バトンズと従来型M&A仲介会社は、そもそもサービスの仕組みが異なります。 バトンズは売り手・買い手がプラットフォーム上で直接マッチングする「M&Aマッチングプラットフォーム」であり、売り手の基本手数料は無料。一方、M&A仲介会社は専属アドバイザーが一貫してサポートする「フルサポート型」で、最低報酬は500万〜2,500万円が相場です。
会社の売却を検討しているなら、この2つの違いを正しく理解した上で、自社の案件規模・予算・求めるサポートに合う方を選ぶことが重要です。
この記事でわかること
- バトンズとM&A仲介会社のビジネスモデルの根本的な違い
- 手数料・費用の具体的な比較と案件規模別シミュレーション
- サポート体制・成約スピード・情報管理の違い
- それぞれのメリット・デメリット(売り手視点)
- 自社に合うのはどちらか、判断するための具体的な基準
- 両方を賢く使い分ける方法
この記事は、会社や事業の売却を検討している中小企業オーナー・経営者の方に向けて書いています。 買い手ではなく「売り手」として最適な選択をするための判断材料をまとめました。
バトンズとM&A仲介会社の根本的な違い
バトンズは「M&A仲介会社」ではありません。 ここを誤解したまま比較すると、的外れな判断につながります。
バトンズは、売り手と買い手がオンライン上で直接出会える「マッチングプラットフォーム」です。不動産でいえばSUUMOやHOME'S、転職でいえばリクナビやdodaのような位置づけに近いといえます。一方、M&A仲介会社は、専属のアドバイザーが売り手・買い手双方と契約し、案件の発掘から成約・引き渡しまで一貫して取り仕切る「フルサポート型」のサービスです。
この違いが、手数料・成約スピード・サポートの手厚さなど、あらゆる面に影響しています。
比較項目 | バトンズ(プラットフォーム型) | M&A仲介会社(フルサポート型) |
|---|---|---|
サービスの本質 | 売り手・買い手のマッチングの場を提供 | 専属アドバイザーが案件を一貫サポート |
売り手の手数料 | 基本無料(有料オプションあり) | 成功報酬+着手金・中間金(計数百万〜数千万円) |
対象案件の中心 | 小規模〜中規模(年商1億円未満が多い) | 中規模〜大規模(年商数億円〜数百億円) |
成約までの期間 | 平均約3ヶ月 | 平均6〜12ヶ月 |
マッチング方法 | プラットフォーム上で売り手・買い手が直接検索 | アドバイザーが自社ネットワークから候補を選定 |
サポート範囲 | セルフ〜段階的オプション | 案件開始〜成約後まで一貫フルサポート |
買い手の選択肢 | 登録買い手30万人超(2026年2月末時点) | 各社の顧客ネットワーク(規模は非公開が多い) |
掲載案件数 | 常時10,000件以上 | 各社数十〜数百件程度 |
出典:バトンズ公式サイト(2026年4月13日確認)、各社公式サイト
なお、バトンズの詳細なサービス内容については「バトンズ(BATONZ)とは?手数料・評判・特徴を徹底解説」で詳しく解説しています。M&A仲介の仕組みについては「M&A仲介とは?仕組み・役割・手数料を解説」をご覧ください。
手数料・費用の違いを徹底比較

売り手にとって、手数料の差はもっとも大きな判断材料です。 バトンズとM&A仲介会社では、料金体系の仕組み自体がまったく異なります。
バトンズの料金体系(2026年4月〜 料金Ver.009)
バトンズの最大の特徴は、売り手の基本利用料が無料であることです。着手金・月額料金・中間金・成功報酬のいずれも発生しません。ただし、専門家によるサポートを受けたい場合は有料オプションが用意されています。
売り手の料金(基本+オプション):
利用形態 | 着手金 | 成功報酬 | 特徴 |
|---|---|---|---|
セルフ利用(基本) | 無料 | 無料 | 自分でプラットフォーム上のやり取りを進める |
サポートサービス | 無料 | 55万〜220万円(税込)※成約価格帯で変動 | 提携専門家によるサポート付き |
プレミアムサポート | 無料 | 220万〜1,650万円(税込)※成約価格帯で変動 | より手厚い専門家サポート |
※サポートサービスの成約手数料は、成約価格500万円未満で55万円、1,000万〜3,999万円で220万円、4,000万円以上で成約価格の5.5%。プレミアムサポートは1,000万円未満で220万円、3億円以上で成約価格の5.5%。
買い手の料金:
項目 | 料金(税込) |
|---|---|
成約時システム利用料 | 成約価格の2.2% |
最低料金(1,000万円未満) | 38.5万円 |
最低料金(1,000万円以上) | 77万円 |
最低料金(5,000万円以上) | 165万円 |
出典:BATONZ利用料金ページ(2026年4月13日確認)
M&A仲介会社の一般的な手数料体系
M&A仲介会社の手数料は、一般的にレーマン方式と呼ばれる成功報酬に加え、着手金・中間金が発生するケースがあります。
レーマン方式の標準報酬率:
取引金額 | 報酬率 |
|---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超〜10億円の部分 | 4% |
10億円超〜50億円の部分 | 3% |
50億円超〜100億円の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
主要M&A仲介会社の手数料比較:
会社名 | 着手金 | 中間金 | 成功報酬の計算基準 | 最低報酬額 |
|---|---|---|---|---|
日本M&Aセンター | あり | あり | 時価総資産 | 2,500万円 |
M&Aキャピタルパートナーズ | なし | 成功報酬の10% | 譲渡金額 | 2,500万円 |
ストライク | なし | 100〜300万円 | 譲渡金額 | 2,000万円 |
M&A総合研究所 | なし | なし | 譲渡金額 | 2,500万円 |
インテグループ | なし | なし | 譲渡金額 | 1,500万円 |
出典:M&A仲介手数料比較(ma-success.jp)、各社公式サイト(2026年4月13日確認)
注意すべきポイント: 同じ「レーマン方式」でも、計算基準が「譲渡価格(株式価値)」か「移動総資産(負債込み)」かで報酬額が数百万〜数千万円変わります。契約前に必ず計算基準を確認してください。
手数料体系の詳細は「M&A仲介会社の手数料比較 完全ガイド」でさらに詳しく比較しています。
【シミュレーション】案件規模別の手数料はいくら違う?
同じ案件でバトンズとM&A仲介会社を使った場合、手数料がどれほど変わるのか。売り手側の負担額を具体的に試算しました。
前提条件:
- バトンズはセルフ利用(無料)とサポートサービス利用の2パターン
- M&A仲介会社はレーマン方式(5%)・最低報酬2,500万円で試算
- いずれも税込表示
売却価格 | バトンズ(セルフ) | バトンズ(サポート) | M&A仲介会社 |
|---|---|---|---|
500万円 | 0円 | 55万円 | 2,500万円(※) |
1,000万円 | 0円 | 220万円 | 2,500万円(※) |
3,000万円 | 0円 | 220万円 | 2,500万円(※) |
5,000万円 | 0円 | 275万円 | 2,500万円(※) |
1億円 | 0円 | 550万円 | 2,500万円 |
3億円 | 0円 | 1,650万円 | 2,500万円 |
5億円 | 0円 | 2,750万円 | 2,500万円 |
※最低報酬額が適用されるため、売却価格に関わらず2,500万円の支払いが発生。実際には着手金・中間金が別途加算される会社もあります。
このシミュレーションから読み取れること:
- 売却価格3億円以下では、バトンズ(サポート利用を含めても)の方がM&A仲介会社より圧倒的にコストが低い
- 売却価格5億円を超える規模になると、バトンズのプレミアムサポート(5.5%)とM&A仲介会社の成功報酬(5%)はほぼ同水準になる
- 小規模案件(売却価格1,000万円以下) では、M&A仲介会社の最低報酬がそもそも現実的でないケースが多い
つまり、年商数千万円〜数億円規模の売却であれば、手数料の面ではバトンズが大幅に有利です。ただし、手数料だけで判断するのは危険です。次のセクションで解説するサポート体制の違いも合わせて考える必要があります。
サポート体制・成約スピードの違い

手数料が安いバトンズと、高額でもフルサポートが付くM&A仲介会社。この差がもっとも出るのが「サポートの手厚さ」です。
バトンズのサポート体制:3段階から選べる
バトンズでは、サポートの深さを自分で選ぶことができます。
サポートレベル | 内容 | 費用 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
セルフ利用 | プラットフォーム上で自分で交渉を進める | 無料 | M&Aの知識がある方、小規模な案件 |
サポートサービス | 提携専門家(約2,000社の士業・金融機関等)がサポート | 成功報酬のみ | 初めての売却で専門家の助けがほしい方 |
プレミアムサポート | より手厚い専門家チームによる支援 | 成功報酬のみ | 案件が複雑、または高い安心感を求める方 |
バトンズでは提携専門家が約2,000社あり、地域や業種に応じた専門家を紹介してもらえます。ただし、提携専門家は約2,000社と多岐にわたるため、担当者の専門分野や経験が自社の案件に合うかを事前に確認することが重要です。
成約スピード: バトンズの平均成約期間は約3ヶ月(最短1週間の事例もあり)。プラットフォーム上に常時10,000件以上の案件が掲載されており、買い手登録も30万人超のため、マッチングのスピードが速い傾向にあります。
出典:バトンズ公式サイト、バトンズFAQ(2026年4月13日確認)
M&A仲介会社のサポート体制:専属アドバイザーによるフルサポート
M&A仲介会社では、契約した時点から専属のアドバイザーが付き、以下の業務を一貫してサポートします。
- 案件化支援:企業価値の算定、資料作成、スキーム設計
- 買い手探索:自社ネットワークから最適な買い手候補を選定・打診
- 交渉代行:価格・条件の交渉をアドバイザーが代行
- デューデリジェンス支援:DD(企業調査)のプロセス管理
- 契約・クロージング:契約書の確認、資金決済、引き渡し手続き
- PMI支援(一部の会社):成約後の統合プロセスのサポート
成約スピード: M&A仲介会社の平均成約期間は6〜12ヶ月。複雑な案件では1〜2年かかるケースもあります。ただし、これはより広い候補先から最適な買い手を見つけるためのプロセスであり、単純に「遅い」とは言い切れません。
情報管理・秘密保持の違い
M&Aにおいて、売却情報が外部に漏れることは経営に深刻な影響を与えます。情報管理の仕組みは両者で異なります。
比較項目 | バトンズ | M&A仲介会社 |
|---|---|---|
情報開示の範囲 | プラットフォーム上に匿名で案件掲載(不特定多数が閲覧可能) | 限定された候補先にのみNDA締結後に開示 |
企業特定リスク | 業種・地域・規模から特定されるリスクあり | アドバイザーが情報管理を厳格にコントロール |
秘密保持 | 利用規約上の秘密保持誓約 | 個別NDA+アドバイザーの管理 |
情報漏洩のリスクを特に重視する場合は、M&A仲介会社の方が厳格な管理体制を持っています。一方、バトンズでも匿名掲載の段階では企業名は開示されず、実名開示には双方の同意が必要です。
バトンズのメリットとデメリット(売り手視点)
バトンズの5つのメリット
1. 売り手の基本手数料が無料
もっとも大きなメリットです。セルフ利用であれば、案件の掲載からマッチング、交渉まで一切費用がかかりません。「まず手数料をかけずにM&Aの可能性を探りたい」という方には最適です。
2. 成約スピードが速い
平均成約期間は約3ヶ月。30万人超の買い手プールと常時10,000件以上の案件があるため、マッチングの機会が多く、スピーディーに進む傾向があります。
3. 小規模案件でも対応できる
売却価格100万円台からの案件も掲載されており、M&A仲介会社では受けてもらえない小規模案件にも対応しています。個人事業主や小さな店舗の売却にも利用できます。
4. サポートの段階を自分で選べる
セルフ利用、サポートサービス、プレミアムサポートの3段階から、必要に応じてサポートレベルを選択できます。
5. 5年連続成約数No.1の実績
2021〜2025年の5年連続で成約件数No.1を獲得しています(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)。2026年4月21日には東証グロース市場への上場も予定されており、サービスの信頼性は高まっています。
バトンズのIPOについては「バトンズ上場(IPO)解説【2026年4月】」で詳しく解説しています。
バトンズの5つのデメリット・注意点
1. 大型案件には向かない
年商1億円未満の案件が中心のプラットフォームです。数十億円規模の案件では、M&A仲介会社やFAに依頼する方が、より適切な買い手候補の発掘と条件交渉が期待できます。
2. セルフ利用では知識・経験不足のリスクがある
M&Aの基礎知識がない状態でセルフ利用すると、不利な条件で成約してしまうリスクがあります。企業価値の算定、契約書の確認、デューデリジェンスの対応など、専門知識が求められる場面は多くあります。
3. 価格交渉の支援が限定的
プラットフォーム型のため、売り手の利益を最大化するための積極的な価格交渉は基本的にサポート対象外です。「この会社にはもっと高く売れる」といった判断は、自分で行う必要があります。
4. 情報漏洩リスクがゼロではない
案件をプラットフォーム上に掲載するため、業種・地域・規模の組み合わせから企業が特定されるリスクがあります。情報漏洩を極端に気にする業界・地域では慎重な対応が必要です。
5. 違約金規定に注意が必要
バトンズ上で得た情報をもとに、バトンズを介さずにM&Aを成立させた場合、200万円の違約金が発生します。この規定は利用前に必ず確認しておくべきです。
出典:バトンズFAQ、infotop バトンズ解説記事(2026年4月13日確認)
M&A仲介会社のメリットとデメリット(売り手視点)
M&A仲介会社の5つのメリット
1. 専属アドバイザーによる一貫サポート
案件の立ち上げから成約・引き渡しまで、経験豊富なアドバイザーが一貫してサポートします。M&Aが初めての経営者にとって、プロセス全体を任せられる安心感は大きなメリットです。
2. 大型案件・複雑な案件への対応力
数十億〜数百億円規模の案件、事業分割を伴うM&A、クロスボーダー案件など、複雑なスキームにも対応できます。特定業種に特化した仲介会社では、業界知識を活かしたシナジーの評価も受けられます。
3. 交渉力による売却価格の最大化
経験豊富なアドバイザーが買い手との価格交渉を代行するため、売り手が単独で交渉するよりも高値での成約が期待できるケースがあります。
4. 厳格な情報管理
限定された候補先にのみ、NDA締結後に情報を開示するため、情報漏洩のリスクが低く抑えられます。従業員・取引先への事前漏洩が経営リスクとなる企業には大きなメリットです。
5. 法務・税務の専門的アドバイス
M&Aに伴う法務リスクの洗い出し、税務上の最適なスキーム設計など、専門的なアドバイスが受けられます(ただし、最終的な判断は税理士・弁護士に相談することをおすすめします)。
M&A仲介会社の5つのデメリット・注意点
1. 手数料が高額
最低報酬は500万〜2,500万円が相場です。売却価格が数千万円規模の場合、手数料の割合が非常に高くなり、手取り額が大幅に減ります。
2. 利益相反リスクがある
M&A仲介会社は売り手・買い手の双方から手数料を受領する「両手取引」が一般的です。構造上、成約を優先するインセンティブが働きやすく、必ずしも売り手の利益が最大化されるとは限りません。この点が気になる場合は、FA(財務アドバイザー)という選択肢もあります。
M&A仲介とFAの違いについては「M&A仲介 vs FA(財務アドバイザー)の違いを徹底比較」で解説しています。
3. 成約までに時間がかかる
平均6〜12ヶ月、場合によっては1〜2年かかります。経営者の年齢や健康状態、事業環境の変化を考えると、時間がかかることにもリスクがあります。
4. 着手金・中間金が返金されないリスク
会社によっては着手金や中間金が発生し、仮にM&Aが不成立に終わっても返金されないケースがあります。契約前に返金条件を必ず確認してください。
5. 小規模案件は断られることがある
最低報酬額の関係で、年商1〜2億円未満の企業は受付自体を断られるケースがあります。
あなたの会社はどちらが向いている?判断基準チェック

バトンズとM&A仲介会社のどちらを選ぶかは、案件の規模・予算・求めるサポートの3つで判断できます。
バトンズが向いている企業
以下のいずれかに当てはまる場合は、バトンズの利用を優先的に検討するのがよいでしょう。
- 売却価格の見込みが3億円以下(手数料メリットが非常に大きい)
- 年商が1億円未満の小規模企業・個人事業
- 手数料をできるだけ抑えたい
- まずはM&Aの市場感を把握したい(案件掲載して反応を見るだけなら無料)
- スピード重視で進めたい(平均3ヶ月での成約を目指す)
- M&Aに関する基礎知識がある程度ある、または専門家サポートを個別に手配できる
- 赤字企業・債務超過企業(バトンズでは赤字・債務超過の案件成約実績あり)
バトンズをおすすめしないケース
- 売却価格が5億円を超える大型案件
- 業界特有の規制対応が必要(許認可、業法など)
- 複雑なスキーム(事業分割・株式交換など)を検討している
- 情報漏洩リスクを絶対に避けたい(同業者が多い地域・業界など)
- 交渉のプロに任せて売却価格を最大化したい
M&A仲介会社が向いている企業
- 売却価格の見込みが5億円以上の中〜大型案件
- 年商が数億円以上あり、最低報酬を支払っても十分な手取りが残る
- M&Aが初めてで、プロセス全体をプロに任せたい
- 情報漏洩リスクを最小限に抑えたい
- 業種特化型の仲介会社に、業界知識を活かした買い手探索を期待する
- 複雑なスキームや大規模なデューデリジェンスが見込まれる
M&A仲介会社をおすすめしないケース
- 売却価格が1億円未満(最低報酬が手取り額を大幅に圧迫する)
- 手数料の予算が限られている
- スピード重視でなるべく早く売却したい
企業規模別おすすめ早見表
売却価格の目安 | おすすめの選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
500万円以下 | バトンズ(セルフ) | M&A仲介会社の最低報酬が売却額を超えてしまう |
500万〜3,000万円 | バトンズ(サポートサービス) | 手数料を抑えつつ専門家サポートも受けられる |
3,000万〜1億円 | バトンズ(サポート or プレミアム) | 仲介会社の最低報酬が割高。サポートで十分対応可能 |
1億〜3億円 | バトンズ(プレミアム)or 完全成功報酬のM&A仲介会社 | 案件の複雑さに応じて使い分け |
3億〜5億円 | M&A仲介会社 or バトンズプレミアム | 両方の見積もりを取って比較 |
5億円以上 | M&A仲介会社 | フルサポートの価値が手数料を上回る |
完全成功報酬制のM&A仲介会社については「完全成功報酬制のM&A仲介会社7社を比較」、スモールM&Aに対応する会社は「スモールM&A仲介会社おすすめ10社比較」でそれぞれまとめています。
バトンズとM&A仲介会社を賢く併用する方法
「どちらか一方しか使えない」という決まりはありません。 実際には、バトンズとM&A仲介会社を段階的に使い分けるのが、もっとも合理的な方法です。
おすすめの併用ステップ
ステップ1:バトンズで市場感を把握する(無料)
まず、バトンズに匿名で案件を掲載して、どのくらいの買い手から打診が来るかを確認します。この段階では費用は一切かかりません。買い手からの打診内容を見ることで、自社の「売れそうな価格帯」と「興味を持つ買い手の層」が把握できます。
ステップ2:反応を見て次のアクションを判断する
- 打診が多く、希望に近い条件の買い手がいる → バトンズで進める(サポートサービス利用推奨)
- 打診はあるが条件が合わない、または交渉が難航しそう → M&A仲介会社やFAに相談を開始
- 打診がほとんどない → 案件規模・業種に合ったM&A仲介会社を検討
ステップ3:本格交渉のフェーズで最適な支援を選ぶ
バトンズで見つかった候補先との交渉が複雑になりそうな場合は、バトンズのプレミアムサポートを利用するか、M&A仲介会社やFAに切り替えることも選択肢です。
併用時の注意点
- バトンズの利用規約上、バトンズで得た情報をもとにバトンズを介さずM&Aを成立させた場合、200万円の違約金が発生します。バトンズで知り合った買い手との成約は、必ずバトンズを通して行ってください。
- M&A仲介会社と専任契約を結んでいる場合、他のルートでの売却活動が制限されるケースがあります。契約書の専任条項(テール条項を含む)を必ず確認してください。
利用前に確認すべき5つの注意点
1. M&A支援機関登録制度を確認する
中小企業庁は2021年に「M&A支援機関登録制度」を創設し、2026年3月現在で約3,400の支援機関が登録されています(うちM&A専門業者は約1,200者)。バトンズもM&A支援機関として登録済みです。
M&A仲介会社を選ぶ際は、この登録制度に登録されているかを確認することで、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言している業者かどうかの目安になります。
出典:中小企業庁 M&A支援機関登録制度(2026年4月13日確認)
2. 手数料の計算基準を事前に確認する
M&A仲介会社のレーマン方式は、計算基準が「譲渡価格(株式価値)」か「移動総資産(株式価値+負債)」かで報酬額に大きな差が出ます。借入金が大きい企業ほど差額が膨らむため、契約前に必ず確認してください。
3. 着手金・中間金の返金条件を確認する
M&A仲介会社によっては、着手金や中間金が不成約の場合でも返金されません。契約書で返金条件を必ず確認し、リスクを把握した上で契約しましょう。
4. 専任契約のテール条項に注意する
M&A仲介会社との契約には「テール条項」が含まれることがあります。これは、契約終了後も一定期間内に仲介会社が紹介した相手との成約が成立した場合、成功報酬を支払う義務がある条項です。複数の選択肢を並行検討する際は、この条項の期間と範囲を把握しておく必要があります。
5. 法務・税務の最終判断は専門家に
M&Aに伴う税務処理(株式譲渡所得税、事業承継税制の適用など)や契約書の法的論点は、バトンズ・M&A仲介会社のどちらを利用する場合でも、税理士・弁護士など専門家の助言を受けることを強くおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. バトンズは本当に売り手無料?隠れた費用はない?
基本利用(案件掲載・マッチング・交渉)は無料です。ただし、提携専門家によるサポートサービスやプレミアムサポートを利用した場合は成功報酬が発生します。また、バトンズDD(企業調査サービス)は43.78万円(税込)の別途費用がかかります。隠れた費用というよりは、「必要に応じてオプションを追加する仕組み」と理解するのが正確です。
Q. バトンズの親会社が日本M&Aセンターだけど、利益相反はない?
バトンズの主要株主は日本M&Aセンターホールディングス(上場後も27.2%保有見通し)ですが、サービスの運営は独立して行われています。バトンズはプラットフォーム型で売り手・買い手が直接交渉するため、M&A仲介会社のような両手取引の構造的利益相反は生じにくい仕組みです。ただし、グループ全体の利益関係については留意しておく価値はあります。
Q. M&A仲介会社に断られた場合、バトンズで売れる可能性はある?
あります。M&A仲介会社は最低報酬額の関係で、年商1〜2億円未満の企業を受けないケースがあります。一方、バトンズは売却価格100万円台の案件から掲載可能で、赤字・債務超過の企業の成約実績もあります。仲介会社に断られた場合のセカンドオプションとして、バトンズを検討する価値は十分あります。
Q. バトンズのサポートサービスとM&A仲介会社、どちらの方がサポートの質は高い?
一般的に、M&A仲介会社の方がサポートの範囲・深さともに手厚いです。専属アドバイザーが一貫して担当し、価格交渉・DD対応・契約支援まで行います。バトンズのサポートサービスは提携専門家による支援であり、担当する専門家の専門分野・経験によって対応内容に差が出ることがあります。ただし、手数料の差を考慮すれば、案件規模によってはバトンズのサポートサービスでも十分なケースは多くあります。
Q. バトンズとM&A仲介会社を同時に使うことは問題ない?
バトンズの利用と並行してM&A仲介会社に相談すること自体は問題ありません。ただし、バトンズで得た情報をもとにバトンズを介さず成約した場合、200万円の違約金が発生します。また、M&A仲介会社と専任契約を結ぶ場合は、他のルートでの売却活動が制限される可能性があるため、契約条件を必ず確認してください。
Q. 2026年のバトンズ上場で何か変わる?
バトンズは2026年4月21日に東証グロース市場に上場予定です(証券コード:554A)。上場により情報開示が義務化されるため、サービスの透明性が向上することが期待されます。一方、上場企業として収益拡大が求められるため、料金体系の変更やサービス方針の変化が生じる可能性もあります。現時点では料金体系の変更は発表されていませんが、今後の動向は注視が必要です。
まとめ:手数料で選ぶか、サポートで選ぶか
バトンズとM&A仲介会社は「安い vs 高い」という単純な話ではなく、サービスの仕組み自体が違います。
判断基準 | バトンズを選ぶ | M&A仲介会社を選ぶ |
|---|---|---|
売却価格 | 3億円以下 | 5億円以上 |
手数料の許容範囲 | できるだけ抑えたい | 数百万〜数千万円は許容できる |
サポートへの期待 | 自分で進める or 必要な部分だけサポート | プロセス全体をプロに任せたい |
情報管理の重要度 | 匿名掲載で問題ない | 厳格な秘密保持が必要 |
スピード | 3ヶ月以内を目指したい | 半年〜1年かかっても最適な相手を見つけたい |
案件の複雑さ | シンプルな株式譲渡 | 事業分割・規制対応など複雑なケース |
迷った場合は、まずバトンズに無料で案件を掲載して市場の反応を見るのが、リスクなく最初の一歩を踏み出す方法です。その結果を踏まえて、M&A仲介会社やFAへの相談を検討しても遅くはありません。
会社の売却は経営者人生でもっとも大きな意思決定のひとつです。手数料の安さだけでなく、自社の規模・業種・状況に合ったパートナーを選ぶことが、納得のいくM&Aの実現につながります。
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