事業承継で銀行・金融機関が提供する支援制度は、融資・信用保証・経営者保証解除・相談マッチングの4カテゴリに分類できます。制度を正しく組み合わせれば、承継コストを大幅に抑えながら手続きをスムーズに進めることが可能です。
この記事では、日本政策金融公庫の融資優遇制度から信用保証協会の事業承継特別保証、2024年以降の経営者保証解除の最新動向、地域別の活用ロードマップまでを体系的に解説します。後継者をどう探すべきか、どの制度を優先的に活用すべきか、具体的な判断基準をお伝えします。
この記事でわかること:
- 銀行・金融機関が提供する支援制度の全体像(4カテゴリ一覧)
- 日本政策金融公庫の融資優遇と信用保証協会の事業承継特別保証の詳細
- 2024年以降の経営者保証解除の最新動向
- メガバンク・地方銀行・信用金庫・日本政策金融公庫の役割の違い
- 後継者の有無によって変わる活用ロードマップ
- 銀行相談で注意すべきリスクと対処法
対象読者: 事業承継・会社売却を検討している中小企業のオーナー経営者
事業承継で金融機関が提供する支援制度の全体像

銀行・金融機関が提供する事業承継支援は、「お金を貸す」だけではありません。現時点では、以下の4つのカテゴリに整理できます。
カテゴリ | 主な制度・サービス | 主な提供機関 | 費用 |
|---|---|---|---|
① 融資制度 | 事業承継・集約・活性化支援資金 | 日本政策金融公庫 | 金利のみ(優遇あり) |
② 信用保証制度 | 事業承継特別保証・経営承継関連保証 | 信用保証協会 | 保証料率0.20〜1.90% |
③ 経営者保証解除支援 | 金融庁ガイドライン・特則に基づく保証解除 | 取引金融機関 | 原則無料 |
④ 相談・マッチング | M&A仲介・マッチングプラットフォーム・専門家紹介 | 銀行・日本政策金融公庫 | 相談無料〜(成約時のみ別途) |
これらは互いに独立した制度ではなく、組み合わせて使うことが前提です。たとえば、「事業承継特別保証で経営者保証なし融資を受けながら、銀行のM&Aマッチングで後継者を探す」という使い方が現実的です。
まずは自社がどのカテゴリの支援を必要としているかを整理し、その後、適切な機関へ相談する流れが効率的です。
事業承継の全体的な流れや手続きについては、「M&A 売却 流れ」もあわせてご参照ください。
融資制度:日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」

日本政策金融公庫(以下、公庫)は、民間金融機関では対応しにくい承継資金ニーズに対応するため、通常より有利な金利で融資を行っています。以下が現行制度の概要です(2026年5月時点・公庫公式サイト確認)。
制度名:事業承継・集約・活性化支援資金
融資限度額: 直接貸付14億4,000万円
対象者と金利優遇(基準利率からの引き下げ幅):
対象者の区分 | 金利優遇幅 | 融資上限 |
|---|---|---|
中期承継計画策定者 | 基準利率-0.4〜0.65% | 8億円まで |
経営権確保による承継者 | 基準利率〜基準利率-0.9% | 上限3.0% |
第二創業・新規事業展開者 | 基準利率-0.65〜0.9% | 8億円まで |
経営承継円滑化法認定者 | 基準利率-0.4〜0.65% | 上限3.0% |
資金使途の例:
- 後継者が承継時に必要な資金(株式取得資金など)
- M&Aにより他社から事業を承継する際の資金
- 事業承継後の設備投資・運転資金
- 納税資金・退職金支払い資金
申請窓口: 日本政策金融公庫の各支店
⚠️ 注意: 基準利率は定期的に変動します。現在の具体的な利率は、申請前に日本政策金融公庫の公式サイトまたは窓口で必ず確認してください。
経営承継円滑化法による金融支援(別枠保証の仕組み)
日本政策金融公庫の融資優遇と並んで重要なのが、経営承継円滑化法(2008年施行)に基づく金融支援です。都道府県知事の認定を受けることで、通常の保険・融資枠とは別枠での保証・融資が受けられます。
認定の条件(いずれも該当すること):
- 先代経営者の死亡または退任後、事業継続に支障が生じていること
- 中小企業者(会社または個人事業主)であること
(A)中小企業信用保険法の特例(別枠保証)
通常枠に加えて以下の別枠保証が受けられます:
保険種別 | 通常限度額 | 別枠追加 |
|---|---|---|
普通保険 | 2億円 | +2億円 |
無担保保険 | 8,000万円 | +8,000万円 |
特別小口保険 | 2,000万円 | +2,000万円 |
一定の財務要件を満たす場合、経営者個人保証が不要になります。
(B)日本政策金融公庫法の特例
前述の「事業承継・集約・活性化支援資金」として、通常より有利な金利での融資が受けられます。
申請窓口: 都道府県知事(2017年4月以降、経済産業局から変更)
参考: 中小企業庁「金融支援申請マニュアル(令和6年3月版)」で手続きの詳細を確認できます。
保証制度:信用保証協会の「事業承継特別保証」
信用保証協会が提供する「事業承継特別保証」は、経営者保証(個人保証)を不要とした形で信用保証を受けられる制度です。2020年4月に開始され、後継者が融資を受けやすくするための重要な仕組みです。
制度の概要
保証限度額: 2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)
保証料率の比較:
区分 | 保証料率(年) |
|---|---|
通常の場合 | 0.45〜1.90% |
経営者保証コーディネーター確認後 | 0.20〜1.15%(大幅軽減) |
経営者保証コーディネーターの確認を受けることで、保証料率が大幅に引き下げられる点がポイントです。
出典: 全国信用保証協会連合会・各都道府県信用保証協会公式サイト(2026年5月確認)
対象企業の要件(いずれかに該当)
- 保証申込日から3年以内に事業承継を予定する計画を持つ法人
- 2020年1月1日〜2025年3月31日に事業承継を実施し、承継から3年以内の法人
利用に必要な4つの財務・ガバナンス要件
この制度を利用するには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
- 資産超過(直近決算で純資産がプラスであること)
- EBITDA有利子負債倍率が10倍以内(借入過多でないこと)
- 法人と個人の財務が分離されていること(経営者の私的流用がないこと)
- 返済緩和(リスケ)の実績がないこと
赤字・債務超過の企業、リスケ中の企業は利用できません。この点は事前に確認しておくことが重要です。
申請の流れ
事業承継特別保証は、信用保証協会への直接申請はできません。必ず取引金融機関を通じた申請が必要です。
- 与信取引のある金融機関に相談(直接申請不可)
- 事業承継計画書・財務要件確認書・ガバナンス体制チェックシート等を準備
- 金融機関を通じて信用保証協会に申請
- 審査通過後、保証実行
融資期間: 10年以内(据置期間1年以内を含む)
信用保証協会による保証には他にも以下の種類があります:
- 経営承継関連保証
- 特定経営承継関連保証
- 経営承継準備関連保証
- 特定経営承継準備関連保証
- 経営承継借換関連保証
- 事業承継サポート保証
自社の状況に応じて、最適な保証制度を金融機関窓口で確認してください。
経営者保証の解除支援:2024年以降の最新動向
事業承継の大きな障壁となってきた「経営者保証」について、2024年以降に大きな制度変更が行われています。特に売り手オーナーが知っておくべき内容です。
2024年4月以降の重要な変更
信用保証協会の運用変更(2024年4月以降):
- 事業承継による経営者交代時、後継者への保証追加は原則不要となりました
- 前経営者の保証解除を希望する場合も、条件変更により解除できる仕組みが整備されています
中小M&Aガイドライン改訂(2024年8月30日):
- 金融機関に対し、M&A成立前後に経営者保証解除・移行への相談対応を義務付け
- 後継者難の地域では、買収先紹介からPMI支援まで担うよう銀行監督指針が改正されました
経営者保証解除のための条件(一般的な基準)
金融庁ガイドラインに基づき、以下の条件を整えることで経営者保証の解除を金融機関に求めやすくなります:
- 法人と個人の財務分離が明確であること
- 決算書・事業計画書など財務情報の透明性が確保されていること
- 返済能力を示す利益の安定性があること
- 承継後の企業経営が継続できる事業計画の合理性があること
⚠️ 注意: 経営者保証の解除は個別企業の財務状況・借入条件により異なります。実際の判断は取引金融機関および弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
相談・マッチング:金融機関で受けられる無料サポート
日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援
日本政策金融公庫は、後継者を探すオーナー向けに無料のマッチングサービスを提供しています。
対象者:
- 譲り渡し側:後継者不在で事業を譲渡したい現経営者
- 譲り受け側:創業や新分野進出を目的に事業を譲り受けたい起業家
提供機能:
- 後継者募集企業の検索(新着企業・実名掲載企業を含む)
- 成約事例の紹介
- 「継ぐスタ カレッジ」教育プログラム
- 都道府県別サポート情報
累計実績(令和5年度末時点・日本政策金融公庫公式):
項目 | 件数 |
|---|---|
申込件数 | 13,518件 |
引き合わせ件数 | 1,349件 |
成約件数 | 168件 |
評価の注意点: 累計168件の成約は、M&A仲介会社の年間成約件数と単純比較はできません。公庫のマッチングは公的機関としての紹介機能であり、M&A仲介会社とは役割が異なります。
地域金融機関による事業承継促進事業(東京都の例)
東京都では2019年7月から、都内の45金融機関(信用金庫28・信用組合13・地方銀行4)と連携した事業承継支援を提供しています。
支援内容:
- 承継課題の洗い出し〜解決策立案まで一貫サポート
- 専門家派遣(最大8回まで無料)
- 「東京都中小企業制度融資」の事業承継融資で金利0.2%優遇
出典: 東京都産業労働局公式サイト(2026年5月確認)
各都道府県でも同様の連携事業が設けられています。まずは地域の商工会議所や金融機関に確認することをおすすめします。
民間銀行のM&Aアドバイザリー・マッチング
主要銀行が提供するサービスの概要は以下の通りです(2026年5月時点・各社公式サイト確認):
三菱UFJ銀行
- 銀行・信託・証券の専門チームが連携したM&Aアドバイザリー
- 国内3拠点(東京・大阪・名古屋)、海外4拠点にM&A専門スタッフを配置
三井住友銀行(SMBCグループ)
- M&Aマッチングサービス「Alliance Research」を提供
- 法人口座保有企業全社が申し込み可能なプラットフォーム型
- 自社でパートナー探索が可能(利用は無料)
信金キャピタル株式会社(信用金庫系)
- M&A・事業承継の無料相談を受け付け
- 完全成功報酬制(着手金・月額報酬なし)
七十七銀行
- M&A専門会社・他金融機関との全国ネットワーク構築
- 希望・条件に応じたマッチングを実施
M&A仲介会社を利用する場合の手数料・選び方については「M&A費用・相場ガイド」で詳しく解説しています。
金融機関の種類別比較:どこに相談すべきか

金融機関は「銀行」とひとくくりにされますが、メガバンク・地方銀行・信用金庫・日本政策金融公庫では得意領域が大きく異なります。以下で整理します。
金融機関の種類別比較表
金融機関 | 対象企業規模の目安 | 得意領域 | 相談コスト | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ) | 年商10億円超 | 大規模M&A・海外展開・専門的アドバイザリー | 相談無料、M&Aアドバイザリーは成功報酬 | 小規模案件は後回しになる場合がある |
地方銀行 | 年商1〜10億円 | 地域内マッチング・中規模案件・事業承継融資 | 相談無料、M&A仲介は別途 | 取引先内での紹介に限られる場合がある |
信用金庫・信用組合 | 年商数千万〜1億円 | 地域密着・小規模案件・きめ細かいサポート | 相談無料 | 対象エリア・業種に制約がある場合がある |
日本政策金融公庫 | 全規模(中小企業全般) | 政策融資・優遇金利・マッチング支援 | 融資のみ、相談無料 | 成約支援よりも資金調達面が主 |
2025年12月以降の新動向:地銀M&A仲介子会社の解禁
2025年12月19日に金融庁が策定した「地域金融力強化プラン」により、地方銀行が直接M&A仲介業務を行える子会社を設立することが解禁される方針が示されました。すでに京都フィナンシャルグループが「京都M&Aアドバイザリー」を設立(2025年7月)しており、今後は地銀系M&A仲介会社が中小規模案件(企業価値1〜10億円)で積極的な役割を担うと見られます。
出典: 金融庁「地域金融力強化プラン(2025年12月19日)」
活用ロードマップ:後継者の有無で変わる進め方
事業承継の進め方は、後継者がいるかどうかで大きく分岐します。それぞれのケースで、どの機関にどの順番で相談すべきかを整理します。
ケース①:後継者がいる場合(親族内承継・社内承継)
後継者はいるが、資金調達や経営者保証の問題を解決したい場合のロードマップです。
STEP 1. 取引金融機関へ相談
- 現在の融資条件・経営者保証の状況を確認
- 事業承継計画の概要を相談
STEP 2. 経営承継円滑化法の認定申請(必要に応じて)
- 都道府県知事に申請(別枠保証・公庫優遇融資の活用に必要)
- 中小企業庁「金融支援申請マニュアル(令和6年3月版)」を参照
STEP 3. 事業承継特別保証の申請
- 4つの財務・ガバナンス要件を確認
- 金融機関経由で信用保証協会に申請
STEP 4. 経営者保証の解除交渉
- 金融庁ガイドラインに基づき、取引金融機関と交渉
- 2024年4月以降は後継者への保証追加は原則不要
STEP 5. 承継後の融資条件の見直し
- 後継者名義での借入条件・保証条件を最終確認
ケース②:後継者がいない場合(第三者承継・M&Aによる売却)
M&Aによる売却を検討しているオーナー向けのロードマップです。
STEP 1. 地元の金融機関(地銀・信用金庫)に概況を相談
- 無料相談で選択肢の概要を把握
- マッチングサービスの紹介を受ける
STEP 2. 事業承継・引継ぎ支援センターへ相談
- 公的機関のため、中立的な立場でのアドバイスが受けられる
- 令和6年度の成約件数は2,132件(過去最高、中小企業基盤整備機構・2025年9月公表)
- 金融機関経由の相談者紹介も可能
STEP 3. M&A仲介会社または金融機関のM&Aアドバイザリーを選定
- 対象企業規模・業種に合った仲介会社を選ぶ
- 必要に応じて複数社へ相談(非専任・専任契約の違いを確認)
STEP 4. 経営者保証の解除を並行して進める
- M&A成立前後に金融機関へ保証解除・移行の相談を行う(2024年8月以降義務化)
STEP 5. 売却資金の活用・税務対策
- 売却益への課税対策(税理士との連携が必須)
- 退職金・引退後の資産管理の検討
事業承継の税金・節税については「事業承継 税金 節税ガイド」で詳しく解説しています。
事業承継・M&A補助金との組み合わせ活用
融資・保証制度と組み合わせることで、承継コストをさらに軽減できるのが「事業承継・M&A補助金」です。
事業承継・M&A補助金(14次公募の概要)
受付期間(14次公募): 2026年2月27日〜2026年4月3日
申請方式: Jグランツ(電子申請のみ)
4つの補助枠と補助額:
補助枠 | 主な対象 | 最大補助額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
事業承継促進枠 | 承継にかかる費用全般 | 600万円 | 2/3 |
専門家活用枠 | 弁護士・税理士・FA等の活用費用 | 600万円 | 2/3 |
廃業・再チャレンジ枠 | 廃業コスト・再起業費用 | 200万円 | 2/3 |
PMI推進枠 | 承継後の統合・成長投資 | 2,000万円 | 1/3〜2/3 |
出典: 中小企業庁・mirasapo-plus.go.jp(2026年5月確認)
⚠️ 注意: 14次公募の受付は終了しています。15次公募のスケジュールは2026年5月時点で未発表のため、中小企業庁公式サイトで最新情報を確認してください。
組み合わせ活用の例
- 融資 + 補助金: 日本政策金融公庫の優遇融資で承継資金を調達しつつ、補助金で専門家費用(FA・税理士・弁護士)を補助
- 事業承継特別保証 + 補助金: 個人保証なしの融資で事業継続資金を確保しながら、PMI推進枠でM&A後の統合投資を行う
銀行・金融機関への相談で注意すべきリスク
銀行への相談には多くのメリットがある一方で、注意すべきリスクも存在します。「中小M&Aガイドライン」(2024年8月改訂)でも金融機関の行動規範として明記されています。
リスク①:利益相反の問題
銀行が買い手・売り手双方とアドバイザリー契約を締結した場合、銀行としての融資回収リスクを優先して行動する可能性があります。具体的には、買収価格を抑えようとする交渉や、特定の企業への誘導が生じるリスクがあります。
対処法: 銀行が仲介を担う場合は、利益相反に関するポリシーを事前に確認する。必要に応じて独立したFAやM&A仲介会社を活用する。
リスク②:承継先の選択肢が限定される
地方銀行・信用金庫が紹介できる承継候補は、多くの場合、その金融機関の既存取引先内に限られます。これにより、本来最適な買い手が見つかる機会を逃す可能性があります。
対処法: 銀行の紹介は選択肢のひとつと捉え、並行してM&A仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターにも相談する。
リスク③:M&A実務の専門性の限界
銀行の担当者は融資・保証の専門家ですが、M&Aの企業価値評価・デューデリジェンス・契約交渉については、専門のM&A仲介会社やFAほどの経験値を持っていない場合があります。
対処法: 複雑な案件では、銀行への相談と並行して、M&A仲介会社やFA(財務アドバイザー)への相談も検討する。
リスク④:融資・保証制度の利用不可ケース
事業承継特別保証は、4つの財務要件を満たさない企業は利用できません。特に以下のケースは注意が必要です:
- 直近決算で赤字・債務超過の企業
- リスケ(返済猶予)中の企業
- EBITDA有利子負債倍率が10倍を超える企業
- 法人と個人の財務が混在している企業
⚠️ 重要: 融資・保証制度の利用可否は最終的に金融機関・信用保証協会の審査によります。本記事の情報は参考として活用し、実際の申請前には必ず担当窓口に確認してください。
こんな企業に活用しやすい制度・活用が難しいケース
銀行の支援制度が特に活用しやすい企業
以下の条件に当てはまる企業は、銀行・金融機関の支援制度を積極的に活用できます:
- 財務健全性が高い企業(直近決算で黒字・資産超過・リスケなし)
- 既存取引金融機関との関係が良好で、経営者保証解除の交渉が見込める企業
- 後継者が決まっており、承継資金(株式取得・納税資金等)の調達が主な課題の企業
- 年商1億円未満の小規模企業で、地元信用金庫との関係を活かしたい企業
- 第三者承継(M&A売却)を検討しているが、まず選択肢を把握したい段階の企業
銀行支援制度の活用が難しいケース・注意が必要な企業
以下のケースでは、銀行だけに頼らず、他の支援機関や専門家の活用も検討してください:
- 赤字・債務超過・リスケ中で事業承継特別保証の要件を満たせない企業
- 買収先候補の選択肢を幅広く探したい場合(銀行の紹介範囲は限定的)
- クロスボーダーM&A(海外企業への売却)を検討している企業(地銀・信金は不得意)
- M&Aの企業価値評価・交渉を専門的にサポートしてほしい場合(FAやM&A仲介会社を選ぶべき)
- 急いで売却したい場合(銀行経由の手続きは時間がかかる場合がある)
M&A仲介会社と銀行の役割の違い・選び方については「M&A仲介会社 おすすめ比較」もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 事業承継の相談を銀行にするのは「無料」ですか?
A. 初期相談・概況ヒアリングは、地方銀行・信用金庫の多くで無料です。ただし、銀行とアドバイザリー契約を締結した場合や、銀行が紹介したM&A仲介会社と契約した場合には別途費用が発生します。まず「相談だけしたい」段階では費用はかかりません。
Q. 事業承継特別保証は、相談当日に申請できますか?
A. できません。申請には事業承継計画書・財務要件確認書・ガバナンス体制チェックシート等の書類準備が必要です。また、4つの財務・ガバナンス要件を満たしているかの事前確認も必要なため、相談から申請まで数週間〜数か月かかるのが一般的です。早めに動き始めることをおすすめします。
Q. 事業承継・引継ぎ支援センターと銀行の違いは何ですか?
A. 事業承継・引継ぎ支援センターは中小企業基盤整備機構が運営する公的機関で、特定の金融機関や仲介会社と利益関係がない中立的な相談窓口です。銀行は融資・保証の提供機関であり、自社の既存取引先を前提としたマッチングが中心です。中立的なアドバイスを得たい場合は、まず支援センターへの相談が有効です(令和6年度の成約件数は2,132件・過去最高)。
Q. 赤字の会社でも銀行の事業承継支援を受けられますか?
A. 事業承継特別保証(経営者保証なしの保証制度)は、資産超過・リスケなしの財務要件があるため、直近決算が赤字・債務超過の企業は利用できません。ただし、通常の信用保証や日本政策金融公庫への相談は可能な場合があります。また、赤字でも事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や、M&A仲介会社への相談は受けられます。まず窓口に状況を正直に相談することが重要です。
Q. 地銀のM&A仲介子会社と大手M&A仲介会社のどちらが良いですか?
A. 地銀系M&A仲介会社(2025年以降順次解禁)は、地域密着・小規模案件(企業価値1〜10億円)で地元企業への紹介ネットワークを持つ点が強みです。一方、大手M&A仲介会社は全国・海外のネットワークを持ち、より幅広い候補企業の中からマッチングが可能です。地域内での後継者を優先するなら地銀系、より高い売却価格や幅広い候補を求めるなら大手仲介会社を検討するとよいでしょう。
Q. 経営者保証の解除は自分で交渉できますか?
A. 原則として、取引金融機関に対して解除を申し出ることは可能です。ただし、金融庁ガイドラインや保証解除の条件を理解した上で交渉する必要があるため、実務上は弁護士や中小企業診断士などの専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。2024年4月以降は後継者への保証追加は原則不要になっており、承継前後の保証条件の整理は専門家と進めるのが確実です。
まとめ:銀行・金融機関の支援制度を活用する際のポイント
事業承継で銀行・金融機関の支援制度を最大限に活用するには、以下の点を押さえておくことが重要です。
重要ポイントのまとめ:
- 支援制度は4カテゴリ(融資・保証・経営者保証解除・相談マッチング)を組み合わせて使う
- 事業承継特別保証は財務健全性の高い企業限定(4要件をすべて満たす必要がある)
- 2024年4月以降、後継者への経営者保証追加は原則不要になっている
- 銀行相談だけでは選択肢が限定されるため、事業承継・引継ぎ支援センターや仲介会社も並行して活用する
- 地銀M&A仲介子会社の解禁(2025年12月政策)により、地域金融機関の役割が拡大している
- 補助金(最大2,000万円)との組み合わせで承継コストを抑えられる
融資・保証・経営者保証解除の具体的な条件は個社の財務状況や借入条件によって大きく異なります。記事内の数値・制度内容は2026年5月時点の公式情報に基づいていますが、制度の詳細要件や手続きは随時変更される可能性があります。申請前には必ず取引金融機関または中小企業庁・信用保証協会の公式窓口でご確認ください。
専門家への相談を強くおすすめします。 特に税務面(売却益の課税・事業承継税制の活用)については、税理士への相談が不可欠です。
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