M&A仲介会社は大手と中小どっちがいい?年商別の選び方・手数料差を徹底比較
ホームお役立ち記事M&A仲介会社は大手と中小どっちがいい?年商別の選び方・手数料差を徹底比較
ガイド

M&A仲介会社は大手と中小どっちがいい?年商別の選び方・手数料差を徹底比較

M&A仲介会社は大手と中小のどちらを選ぶべきか、年商・案件規模に応じた判断基準を解説。手数料の計算例、大手4社と中小仲介会社の違い、売り手目線での選び方を比較します。

M&A比較レビュー編集部2026/4/1310分で読める

「M&A仲介会社は大手と中小のどちらに依頼すべきか」——結論は、自社の年商と案件規模で最適解が変わります。 年商50億円超の中堅以上なら大手のネットワークが有利に働きやすく、年商10億円以下の中小企業なら手数料と対応力の面で中小・ブティック型のほうが合理的な選択になりやすいです。

ただし、これはあくまで目安です。業種の特殊性、地域、売却希望条件によっても最適な選択は異なります。大事なのは「大手だから安心」「中小だから安い」という二項対立で判断しないことです。

この記事でわかること:

  • 大手と中小M&A仲介会社の7つの違い(比較表で整理)
  • 大手のメリット5つ・注意点4つ、中小のメリット5つ・注意点4つ
  • 手数料がいくら違うか — 年商3億円・10億円・30億円のシミュレーション
  • 年商別の仲介会社選び判断フロー
  • 大手が向いている企業・中小が向いている企業の具体的な条件
  • 仲介でもFAでもない第3の選択肢

この記事は、会社の売却を検討しており「どの規模の仲介会社に相談すべきか」を判断したい中小企業オーナーに向けて書いています。

M&A仲介会社の選び方の全体像は「M&A仲介会社の選び方ガイド」で解説しています。

大手と中小M&A仲介会社の違い — 7つの比較項目で整理

大手M&A仲介会社と中小M&A仲介会社の特徴を比較するイメージ図

大手と中小の最大の違いは「ネットワークの規模」と「手数料の水準」です。 大手は全国ネットワークと豊富な買い手候補を持つ代わりに手数料が高く、中小は柔軟で低コストな代わりにネットワークが限定的です。

以下の7項目で整理します。

比較項目

大手M&A仲介会社

中小・ブティック型M&A仲介会社

規模・体制

コンサルタント数百名規模。上場企業が中心

数名〜数十名。非上場が多い

買い手ネットワーク

地方銀行・会計事務所・全国の金融機関と連携。買い手候補が圧倒的に多い

特定業種・地域内では強いが、全国カバーは限定的

最低報酬額

1,000万〜2,500万円(税別)

100万〜500万円(税別)

着手金

あり(日本M&Aセンター) or 無料(他大手3社)

無料が主流

完全成功報酬制

M&A総合研究所のみ(売り手側)。他社は中間金あり

多くが採用

担当者体制

分業制(売り手担当・買い手担当が別)or 一気通貫型

代表や上級コンサルタントが直接対応。担当が変わりにくい

得意な案件規模

年商10億〜数百億円

年商1億〜10億円(小規模M&A特化型は1億円未満にも対応)

※2026年4月13日時点の情報に基づきます。各社の最新情報は公式サイトでご確認ください。

重要な補足: 「大手」「中小」は業界慣行による分類であり、法的な区分ではありません。現時点では、上場している日本M&Aセンター・M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク・M&A総合研究所の4社を「大手」と呼ぶのが一般的です。

上場M&A仲介会社の全10社比較は「上場M&A仲介会社10社を徹底比較」で詳しく解説しています。

大手M&A仲介会社の特徴 — メリット5つと注意すべき点4つ

大手M&A仲介会社の公式サイトイメージ(M&Aキャピタルパートナーズ)

画像出典: M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト

大手M&A仲介会社の最大の強みは、全国規模のネットワークを活かした「買い手候補の多さ」です。 特に、買い手の数が売却価格を左右する入札形式の案件では、候補が多いほど売り手にとって有利に働きます。

大手4社の基本情報

会社名

設立

コンサルタント数

手数料の特徴

最低報酬額(税別)

日本M&Aセンター

1991年

723名

着手金あり。移動総資産レーマン

2,000万円

M&Aキャピタルパートナーズ

2005年

223名

着手金無料。株価レーマン

2,500万円

ストライク

1997年

385名

着手金無料。オーナー受取額レーマン

1,000万円(売り手)

M&A総合研究所

2018年

306名

完全成功報酬制(売り手)。譲渡価額レーマン

2,500万円

※コンサルタント数は各社直近四半期決算時点の公開情報に基づく(出典:Career Ladder決算分析、2025年2月記事)。最低報酬額は日本M&Aセンターは複数情報源より推定(公式ページでは非公表)、M&A総合研究所は確定的な公式ソース未確認。

メリット5つ

1. 買い手候補のネットワークが圧倒的

日本M&Aセンターは全国の会計事務所1,021所・地方銀行の約95%と提携しています。買い手候補が多ければ、複数社の買い手候補から条件を比較でき、売却価格の引き上げにつながりやすくなります。

2. 豊富な成約実績と業種知見

日本M&Aセンターは年間738件(2025年3月期第3四半期、9ヶ月累計)の成約実績があり、業種を問わず対応できる体制です。5年連続ギネス世界記録を持つ取扱件数は、M&A業界における実績の裏付けです。

3. 社内に法務・税務・財務の専門家がいる

大手は社内に各分野の専門チームを抱えています。デューデリジェンスや契約書の検討で外部専門家を個別手配する必要がなく、複雑な案件でも一貫した対応が受けられます。

4. 上場企業としての情報開示と信用力

上場4社はすべて財務情報・業績をIR資料で開示しており、経営の透明性が高いです。仲介会社の経営状態が不透明だと、案件途中で倒産・撤退するリスクがありますが、上場企業にはその心配が少ないです。

5. 非公開の買い手候補にリーチできる

大手独自のデータベースには、公開されていない買い手候補の情報が蓄積されています。一般的なマッチングプラットフォームには登録していない買い手にもリーチできるのは、大手ならではの利点です。

注意すべき点4つ

1. 手数料が高額 — 小規模案件では割高になる

最低報酬額が1,000万〜2,500万円のため、たとえば売却額が5,000万円の場合、手数料だけで売却額の20〜50%に達します。年商数億円以下の中小企業には、費用対効果が見合わないケースがあります。

2. 大型案件を優先されるリスク

大手仲介会社は、成約金額が大きい案件ほど手数料収入が大きくなる構造です。数億円規模の案件は、数十億円の案件と比べて社内での優先度が低くなる可能性があります。上場企業の四半期業績プレッシャーも、大型案件の早期成約を優先する傾向を強めます。

3. 分業制による担当者の交代

一部の大手では、案件のフェーズ(売り手開拓→マッチング→交渉→クロージング)ごとに担当者が代わる分業制を採用しています。「経営者の思い」を最初から最後まで同じ担当者に伝え続けられない場合があります。なお、M&Aキャピタルパートナーズは一気通貫の担当者制を採用しています。

4. 利益相反の構造的リスク

大手・中小を問わず、仲介会社は売り手と買い手の双方から手数料を受け取る「両手取引」が一般的です。仲介会社にとっては、将来もリピーターとなる買い手のほうが重要な顧客になりやすいという構造的なリスクがあります。

利益相反問題の詳細は「M&A仲介の利益相反問題とは?」で解説しています。

中小・ブティック型M&A仲介会社の特徴 — メリット5つと注意すべき点4つ

中小M&A仲介会社の最大の強みは「低コスト」と「柔軟な対応」です。 特に年商10億円以下の中小企業が会社を売却する場合、大手の最低報酬額では費用が売却額に対して高すぎるため、中小仲介会社のほうが合理的な選択になることが多いです。

代表的な中小・ブティック型仲介会社の例

会社名

特徴

手数料の特徴

インテグループ

中堅・中小企業特化。年商1〜150億円の実績

完全成功報酬制

ファンドブック(fundbook)

テクノロジー活用のマッチング

着手金無料

経営承継支援

中小企業の事業承継に特化

完全成功報酬制

バトンズ

マッチングプラットフォーム型。小規模M&A対応

売り手手数料無料

ブティックス

介護・福祉・建設に業界特化

業界最安水準。最短1ヶ月で成約

メリット5つ

1. 手数料が大幅に安い

中小仲介会社の最低報酬額は100万〜500万円が相場で、大手の1,000万〜2,500万円と比べると5分の1〜10分の1以下です。着手金・中間金が無料の完全成功報酬制を採用する会社も多く、M&Aが不成立なら費用は一切かかりません。

最低報酬額が低い仲介会社の比較は「最低報酬が安いM&A仲介会社を比較」をご覧ください。

2. 担当者が変わりにくい — 伴走型の支援

少人数体制のため、最初の相談から成約まで同じ担当者が対応するケースがほとんどです。代表や上級コンサルタントが直接担当につくことも多く、経営者同士の距離感で相談できます。

3. 特定業界に精通している場合がある

介護・福祉、建設、IT、薬局など、特定の業界に絞って実績を積んでいる中小仲介会社があります。業界の商慣習・許認可・人材の流動性を熟知しているため、大手よりも精度の高いマッチングが行われることがあります。

4. 小規模M&Aにも積極対応

年商1億円未満のスモールM&Aに対応する仲介会社が増加しています。バトンズのようなマッチングプラットフォーム型では、売り手手数料を無料にしている会社もあります。

スモールM&Aの仲介会社は「スモールM&A仲介会社を比較」にまとめています。

5. 意思決定が速い

組織がコンパクトなため、「この買い手候補に提案していいか」「条件を変更していいか」といった判断が速いです。大手の社内稟議に時間がかかるのに対し、中小はスピーディに案件を進められる場合があります。

注意すべき点4つ

1. 買い手ネットワークの規模が限定的

中小仲介会社のデータベースに登録されている買い手候補は、大手と比べると圧倒的に少ないです。最適な買い手を見つけるまでに時間がかかる場合や、買い手が見つからない場合もあります。特に地域をまたぐ案件、業種の異なる買い手を探す案件では、この差が顕著です。

2. 社内の専門家が不足している場合がある

法務・税務・財務の専門チームを社内に持たない仲介会社もあります。デューデリジェンスや契約書のレビューで外部の弁護士・税理士を個別に手配する必要があり、結果としてトータルコストが増える可能性があります。

3. 成約実績の検証が難しい

非上場の中小仲介会社は、成約件数や売上高を公開する義務がありません。「実績多数」と謳っていても、具体的な件数・金額を確認できないことがあります。設立間もない会社の場合は、担当者個人の経験年数・前職の実績を確認するのがひとつの判断材料です。

4. PMI支援や海外案件への対応が難しい場合がある

M&A成約後の統合プロセス(PMI)や、海外企業との取引を含むクロスボーダー案件には対応できない中小仲介会社もあります。こうした案件では、大手か専門FAへの依頼が現実的です。

手数料はどれだけ違う? — 大手と中小の具体的な計算例

M&A仲介手数料の大手と中小の比較イメージ

同じ案件でも、大手と中小では手数料が数百万〜数千万円単位で変わります。 ここでは、レーマン方式の計算基準の違いも含めて、年商3億円・10億円・30億円の3パターンでシミュレーションします。

前提条件

  • 年商3億円の企業:株式価額2億円、移動総資産4億円と仮定
  • 年商10億円の企業:株式価額7億円、移動総資産12億円と仮定
  • 年商30億円の企業:株式価額20億円、移動総資産35億円と仮定

シミュレーション結果

ケース

大手A社(移動総資産ベース)

大手B社(株価ベース)

中小C社(譲渡価額ベース・最低報酬500万円)

年商3億円(株価2億円/移動総資産4億円)

2,000万円(最低報酬適用)

2,500万円(最低報酬適用)

1,000万円

年商10億円(株価7億円/移動総資産12億円)

5,100万円

3,300万円

3,300万円

年商30億円(株価20億円/移動総資産35億円)

1億2,000万円

7,500万円

7,500万円

※上記は成功報酬のみの概算。着手金・中間金は含まない。レーマン方式の料率は5億円以下5%・5億超〜10億円以下4%・10億超〜50億円以下3%・50億超〜100億円以下2%・100億円超1%で試算。大手A社は移動総資産ベース(最低報酬2,000万円)、大手B社は株価ベース(最低報酬2,500万円)、中小C社は譲渡価額(≒株価)ベース(最低報酬500万円)。実際の金額は各社・各案件で異なります。

計算例の読み方

年商3億円のケースが最も差が顕著です。 大手では最低報酬が適用されるため、売却額2億円に対して手数料が2,000〜2,500万円(売却額の10〜12.5%)になります。一方、中小C社なら1,000万円(売却額の5%)で済みます。

年商30億円の規模になると、移動総資産ベースの大手A社は1億2,000万円に達しますが、株価ベースの大手B社や中小C社は7,500万円です。同じ「レーマン方式」でも計算基準が違えば手数料が約1.6倍変わります。

レーマン方式の仕組みと4つの計算基準の違いは「レーマン方式とは?計算例付きで解説」で詳しく説明しています。

「安ければ良い」とは限らない

手数料が安い中小仲介会社を選んだ結果、買い手候補が少なく売却価格自体が低くなれば、トータルでは損をする場合もあります。手数料の額面だけでなく、「手数料を差し引いた後の手取り額」で比較することが重要です。

年商別の選び方 — 自社の規模に合った仲介会社を選ぶ判断基準

年商別にM&A仲介会社を選ぶ判断フローのイメージ図

「年商○億円ならどちらを選ぶべきか」という判断の目安を、4つの年商帯に分けて整理します。 ただし、年商だけで一律に決められるものではなく、業種の特殊性や売却の緊急度も考慮してください。

年商1億円未満 — マッチングプラットフォーム型 or スモールM&A特化型

この規模では、大手の最低報酬額(1,000万〜2,500万円)が売却額に対して高すぎます。バトンズのようなマッチングプラットフォーム型か、最低報酬200〜300万円のスモールM&A特化型が現実的な選択です。

  • おすすめの仲介タイプ:マッチングプラットフォーム型、スモールM&A特化型
  • 手数料の目安:100万〜300万円
  • 注意点:仲介会社のサポート範囲が限定される場合がある。デューデリジェンスや契約書レビューは別途専門家への依頼が必要

年商1億円以下向けの仲介会社は「年商1億円以下の小規模M&A仲介会社を比較」にまとめています。

年商1億〜10億円 — 中小・ブティック型が第一候補

この規模帯では、中小仲介会社の手数料体系がフィットしやすいです。完全成功報酬制の仲介会社を中心に、2〜3社に並行して相談し、提案内容と担当者の質を比較するのが定石です。

  • おすすめの仲介タイプ:中小・ブティック型。完全成功報酬制の大手(M&A総合研究所等)も選択肢に
  • 手数料の目安:500万〜2,000万円
  • 注意点:業界特化型の仲介会社があれば優先的に検討する。買い手候補の数は事前に確認

年商10億〜50億円 — 大手・中小どちらも選択肢

この規模になると、大手の手数料も売却額に対して許容範囲になります。大手のネットワークで多くの買い手候補を集めて入札させるか、中小の業界特化型で精度の高いマッチングを狙うか、戦略的に選ぶ段階です。

  • おすすめの仲介タイプ:大手フルサービス型 or 中小のなかでも実績豊富な会社
  • 手数料の目安:2,000万〜5,000万円
  • 注意点:大手に依頼する場合は、自社案件が社内で優先されるかを確認する。中小を選ぶ場合は、ネットワークの広さを事前に確認

年商50億円超 — 大手 or 専門FA

この規模では、案件の複雑性(株式構造、関連会社の整理、のれん・知的財産の評価など)に対応できる専門チームが必要です。大手仲介会社のフルサービスか、FA(財務アドバイザー)への依頼が現実的です。

  • おすすめの仲介タイプ:大手フルサービス型、大手FA
  • 手数料の目安:5,000万円〜1億円超
  • 注意点:利益相反リスクを考慮し、仲介ではなくFA(片側アドバイザー)を検討する価値あり

こんな企業には大手がおすすめ / こんな企業には中小がおすすめ

年商だけでなく、案件の特性ごとに「どちらが向いているか」を整理します。

大手M&A仲介会社がおすすめの企業

条件

理由

年商50億円以上の中堅〜大企業

手数料負担が売却額に対して過大にならない。大型案件でのマッチング力が必要

全国の買い手候補にアプローチしたい

大手のネットワーク(地方銀行・会計事務所)が強みを発揮する

業種が特殊ではなく、幅広い買い手が想定される

特化型ではなくても対応できる。大手の汎用ネットワークが活きる

複雑な株式構造・グループ会社を含む案件

法務・税務・財務の社内専門チームが一貫対応できる

短期間で確実に成約したい

実績・ブランド力で買い手の信頼を得やすい。大手の「ネームバリュー」が交渉を加速させる場合がある

中小・ブティック型M&A仲介会社がおすすめの企業

条件

理由

年商10億円以下の中小企業

手数料が売却額に対して合理的。大手の最低報酬では割高になる

特定業種(介護・建設・IT・薬局等)の企業

業界特化型の仲介会社なら、大手以上に精度の高いマッチングが期待できる

初期費用をかけたくない

完全成功報酬制の会社が多く、M&Aが成立しなければ費用ゼロ

経営者が直接コミュニケーションを取りたい

代表クラスが担当者になるケースが多い。「経営者の思い」を理解した上でのマッチングが期待できる

時間に余裕があり、じっくり相手を選びたい

成約を急がず、オーナーのペースに合わせた伴走型の支援が受けやすい

おすすめしない組み合わせ

逆に、以下の組み合わせは避けたほうがよいです。

  • 年商1億円未満の企業 × 大手仲介会社 — 最低報酬額が売却額の20〜50%に達する。担当者の優先度も低くなりやすい
  • 年商50億円超の複雑な案件 × 実績の少ない中小仲介会社 — 法務・税務の専門性が追いつかず、案件が頓挫するリスクがある
  • 地域を限定した案件 × 全国型の大手のみ — 地域密着型の中小仲介会社や地元の金融機関のほうが、地場の買い手候補を知っている場合がある

「大手か中小か」だけではない — FA(片側アドバイザリー)という選択肢

M&A仲介会社に依頼する以外にも、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)に依頼する選択肢があります。 「大手 vs 中小」の二項対立で考えがちですが、売り手の利益を最大化したいなら、FA(片側アドバイザリー)も検討に値します。

仲介とFAの違い

項目

仲介(両手取引)

FA(片側アドバイザリー)

契約関係

売り手・買い手の双方と契約

売り手のみ(or 買い手のみ)と契約

手数料の受け取り

双方から受領

契約したクライアントからのみ

利益相反リスク

構造的に存在する

低い(クライアントの利益最大化が使命)

マッチング機能

自社のネットワークで買い手を探す

買い手探しは別途対応が必要な場合もある

向いている場面

初めてのM&Aで、仲介の一貫サポートが必要な場合

売却価格を最大化したい場合、複数の買い手候補がすでにいる場合

FAが向いているケース

  • すでに買い手候補が複数いる(買い手探しの必要がない)
  • 売却価格を最大限に引き上げたい
  • 仲介会社の利益相反リスクを避けたい
  • 取引金額が大きく(10億円超)、交渉力のある専門家が必要

仲介とFAの違いの詳細は「M&A仲介 vs FA(財務アドバイザー)の違い比較」で解説しています。

現実的なアドバイス:最初は仲介に相談でOK

ただし、中小企業の売却で最初からFAに依頼するのはハードルが高いのも事実です。FAは買い手を自ら探す機能を持たないことが多いため、仲介会社にまず相談しつつ、複数社から提案を受けて比較するのが現実的な進め方です。

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」(第3版・2024年8月改訂)でも、「仲介者という業態を中小M&Aにおいて不適切であると断ずることは現実的ではない」としつつ、利益相反リスクについての情報開示を求めています(出典:中小企業庁 中小M&Aガイドラインページ)。

M&A FAの役割と選び方は「M&A FA(財務アドバイザー)とは?」で詳しく解説しています。

仲介会社選びで後悔しないための5つのチェックポイント

大手・中小のどちらに依頼する場合でも、契約前に以下の5点を必ず確認してください。

1. レーマン方式の「計算基準」を確認する

「うちはレーマン方式です」だけでは手数料の総額はわかりません。計算基準には「移動総資産」「株式価額(株価)」「企業価値」「オーナー受取額」の4種類があり、同じ案件でも基準によって手数料が2〜3倍変わるケースがあります。

確認すべき質問: 「レーマン方式の基準は何ですか?(株価ベース?移動総資産ベース?)」

計算基準ごとの差額シミュレーションは「レーマン方式とは?計算例付き解説」で確認できます。

2. 最低報酬額(ミニマムフィー)を明確にする

レーマン方式で計算した結果が最低報酬額を下回る場合、最低報酬額が適用されます。売却額が小さいほど、最低報酬額が手数料総額を左右します。契約前に書面で確認してください。

3. 着手金・中間金の有無と返金条件

「完全成功報酬制」と「着手金無料の成功報酬制」は別物です。着手金が無料でも、基本合意時に中間金が発生する仲介会社があります。また、M&Aが不成立になった場合の着手金・中間金の返金可否も確認が必要です。

詳しくは「完全成功報酬のM&A仲介会社を比較」をご覧ください。

4. 担当者の経験・実績を直接聞く

仲介会社の看板ではなく、実際に自社を担当する個人の経験年数・過去の成約件数・得意業種を確認してください。中小企業庁のガイドライン第3版でも、「担当者の保有資格・経験年数・成約実績の説明」が仲介者に求められています(出典:経済産業省 ガイドライン改訂プレスリリース)。

5. M&A支援機関登録制度の登録状況を確認する

中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されている仲介会社は、手数料体系を公表する義務があり、中小M&Aガイドラインへの準拠が求められています。2024年8月時点で2,766先が登録済みです。登録の有無は、仲介会社の最低限の品質を確認する指標になります。

M&A支援機関登録制度の詳細は「中小M&Aガイドラインとは」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 大手と中小のどちらに先に相談すべきですか?

A. 最低2〜3社に並行して相談し、提案内容と手数料を比較するのがベストです。 大手1社・中小1〜2社に同時に相談しても問題ありません。複数社から提案を受けることで、買い手候補の数・想定売却価格・手数料を比較でき、自社に合った仲介会社を見極められます。「1社だけに相談して、そのまま契約する」のは避けたほうがよいです。

無料相談の選び方は「M&A無料相談の選び方・注意点」で解説しています。

Q. 中小の仲介会社は信頼できますか?実績が少ないのが不安です。

A. 会社の規模だけで信頼性は判断できません。 確認すべきは、(1)M&A支援機関登録制度に登録しているか、(2)担当者個人の経験年数と成約実績、(3)手数料体系が書面で明示されているか、の3点です。設立間もない会社でも、担当者が大手出身で豊富な実績を持っている場合があります。

Q. 大手仲介会社に断られることはありますか?

A. あります。 売却額が小さい案件(おおむね年商3億円以下)は、大手の最低報酬額を考えると仲介会社にとっても効率が悪いため、受託を断られるか、優先度を下げられる場合があります。その場合は、中小仲介会社やマッチングプラットフォーム型への依頼に切り替えるのが合理的です。

Q. 大手と中小で成約までの期間に差はありますか?

A. 一概には言えませんが、大手のほうが買い手候補を早く見つけやすい傾向はあります。 ネットワークの広さからマッチングの初動が速い反面、社内の稟議プロセスに時間がかかる場合もあります。中小は逆に、マッチングに時間がかかるものの、一度マッチングすれば交渉〜成約までスピーディに進む場合があります。一般的にM&Aの成約期間は6ヶ月〜1年が目安です。

Q. 利益相反の問題は大手と中小で違いますか?

A. 利益相反のリスクは、大手・中小を問わず仲介会社の構造に共通する問題です。 ただし、大手のほうが大量の案件を扱うため「成約を急ぐプレッシャー」が強くなりやすいという指摘はあります。一方、中小は個別案件への依存度が高く、丁寧に対応する傾向がある反面、経営基盤が弱い場合は成約を急ぐインセンティブも存在します。どちらを選ぶにしても、複数の相手先の提案を比較し、仲介会社任せにしないことが売り手を守る最善策です。

まとめ — 「どっちがいいか」は自社の状況で決まる

「M&A仲介会社は大手と中小のどちらがいいか」に対する唯一の正解はありません。自社の年商・業種・売却の緊急度・手数料の許容範囲によって最適解は異なります。

判断のポイントまとめ:

  • 年商10億円以下の中小企業 → 中小・ブティック型を中心に検討。完全成功報酬制で初期費用を抑える
  • 年商10億〜50億円 → 大手・中小の両方に相談して比較。案件の特性と手数料のバランスで判断
  • 年商50億円超 → 大手仲介 or FA(片側アドバイザリー)。案件の複雑性に対応できる専門チームが必要
  • 特定業種に属する企業 → 業界特化型の中小仲介会社があれば、大手より優先的に検討する価値あり
  • 買い手候補がすでにいる場合 → 仲介ではなくFA(片側アドバイザー)が選択肢に

最も大切なのは、大手1社だけ、中小1社だけに相談するのではなく、最低2〜3社に並行して相談して比較することです。複数社の提案を比較すれば、買い手候補の数・想定売却価格・手数料の妥当性が見えてきます。

仲介会社の選び方の全体像は「M&A仲介会社の選び方ガイド」、売り手向けの仲介会社比較は「M&A仲介会社おすすめ比較【売り手向け】」をご覧ください。

※本記事の手数料・業績データは2026年4月13日時点の公式サイト・IR情報・公開資料に基づきます。M&A仲介会社の手数料体系は変更される場合があるため、実際のご検討時は各社の公式サイトで最新情報を確認してください。M&Aの意思決定にあたっては、M&A仲介会社だけでなく、顧問税理士や弁護士など独立した専門家にもご相談されることをおすすめします。

M&A比較レビュー編集部 のプロフィール画像

M&A比較レビュー編集部

M&A仲介会社の選び方・費用・実績を徹底調査する専門編集部です。