介護・福祉事業の売却を考えるなら、介護報酬制度・許認可・行政手続きに精通した仲介会社を選ぶことが最も重要です。 介護業界のM&Aは一般的なM&Aと異なり、介護事業所番号の引継ぎ、行政への届出、介護人材の継続雇用といった業界特有の論点が多く、専門知識のない仲介会社では適切な売却条件を引き出せないリスクがあります。
この記事では、介護・福祉業界のM&Aに実績のある仲介会社9社を、手数料体系・介護分野の成約件数・対象企業規模・サポート体制の4つの比較ポイントで比較します。
この記事でわかること:
- 介護・福祉業界に強いM&A仲介会社9社の特徴と手数料の比較
- 介護特化型と総合型(介護専門部署あり)の使い分け
- 事業規模別に最適な仲介会社の選び方
- 介護M&Aで失敗しないための許認可・人材面の注意点
- 事業承継・M&A補助金を活用した手数料の軽減方法
こんな方に向けた記事です:
- デイサービス・訪問介護・グループホーム・有料老人ホーム等の売却を検討している経営者
- 後継者不在で事業承継の方法を探している介護事業者
- 仲介会社ごとの手数料の違いを把握してからM&Aを進めたい方
介護・福祉業界に強いM&A仲介会社9社の比較一覧表
本記事で紹介する9社の主要スペックを一覧で比較します。手数料体系や対象規模は各社で大きく異なるため、全体像を把握したうえで詳細を確認してください。
会社名 | タイプ | 着手金 | 成功報酬 | 最低報酬 | 介護分野の実績 | 対象規模 |
|---|---|---|---|---|---|---|
介護M&A支援センター(ブティックス) | 介護特化型 | 0円 | レーマン方式 | 600万円〜 | 累計1,931件 | 小規模〜大規模 |
CBヘルスケア(旧CBパートナーズ) | 介護特化型 | 0円 | 完全成功報酬(料率非公開) | 非公開 | グループ累計1,400件超 | 小規模〜大規模 |
カイポケM&A(エス・エム・エス) | 介護特化型 | 0円 | レーマン方式 | 基本成約料100万円 | 売却案件200件超 | 小規模〜中規模 |
日本M&Aセンター | 総合型(専門部署あり) | 要確認 | レーマン方式 | 非公開(高額とされる) | 全業界10,000件超 | 中規模〜大規模 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 総合型 | 0円 | レーマン方式 | 非公開 | 医療・福祉に実績あり | 中規模〜大規模 |
ストライク | 総合型(専門部署あり) | 要確認 | レーマン方式 | 非公開 | ヘルスケアG対応 | 中規模〜大規模 |
インテグループ | 総合型(介護専門サイト運営) | 0円 | レーマン方式(5〜1%) | 1,000〜1,500万円 | 介護M&A専門サイトあり | 中規模〜 |
M&Aベストパートナーズ | ヘルスケア特化型 | 0円 | レーマン方式 | 1,000万円 | ヘルスケア領域に注力 | 中規模〜 |
M&A総合研究所 | 総合型 | 0円(売り手) | 完全成功報酬 | 非公開 | 全業種対応 | 中小〜中堅 |
※手数料情報は2026年4月時点の各社公式サイト掲載情報に基づきます。実際の費用は案件規模・条件により異なるため、必ず各社に直接ご確認ください。
関連記事: M&A仲介会社の手数料体系について詳しく知りたい方は「M&A費用の相場と手数料の仕組み」もあわせてご覧ください。
介護M&A仲介会社は「2つのタイプ」に分かれる

介護・福祉業界でM&A仲介会社を選ぶとき、最初に理解すべきなのが介護特化型と総合型の違いです。それぞれ強みと弱みが異なり、売却する介護事業の規模や状況によって最適な選択が変わります。
タイプ1:介護・ヘルスケア特化型(ブティックス・CBヘルスケア・カイポケM&A)
介護・医療・福祉業界のM&Aを専門に扱い、介護報酬制度や許認可手続きに精通しているのが特徴です。
- メリット: 介護事業所番号の引継ぎ、行政への届出、介護人材の処遇など、業界特有の論点をスムーズに対応できる。介護業界の買い手ネットワークが豊富
- デメリット: 異業種からの買い手候補(不動産会社のヘルスケア参入など)へのリーチは大手総合型に劣る場合がある
タイプ2:総合型+介護専門チーム(日本M&Aセンター・ストライク・インテグループほか)
全業種を対象とするM&A仲介大手の中に、介護・ヘルスケア専門チームを設けているタイプです。
- メリット: 数千〜数万社規模の買い手ネットワーク。異業種の大企業が介護事業に新規参入するケースのマッチングに強い。東証プライム上場企業としての信頼性
- デメリット: 介護特化型と比べると、小規模な介護事業所(年商数千万円台)の案件は対応が限定的な場合がある。最低報酬額が高い傾向
どちらを選ぶかの判断基準:
- 年商1億円以下・小規模な介護事業所 → 介護特化型(ブティックス、カイポケM&A)が手数料面で有利
- 年商数億円以上・複数施設を運営する法人 → 総合型の専門チーム(日本M&Aセンター、ストライク)も選択肢に入る
- 異業種を含む幅広い買い手を探したい → 総合型が有利
各社の詳細解説|介護特化型3社
介護M&A支援センター(ブティックス)|介護M&A成約実績No.1
介護M&A支援センターは、東証グロース上場のブティックス株式会社が運営する介護事業M&Aに完全特化した仲介サービスです。2015年に介護分野のM&A支援を開始し、累計成約件数は1,931件(2025年12月31日時点)と、介護業界では突出した実績を持ちます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | ブティックス株式会社(東証グロース・証券コード: 9272) |
M&A事業開始 | 介護: 2015年、医療: 2017年、障害福祉: 2020年 |
累計成約件数 | 1,931件(2025年12月末時点) |
買手候補企業 | 1.8万社以上 |
専門アドバイザー | 69名 |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(10〜1%段階制)、成約基本料100万円 |
最低報酬 | 合計600万円〜(成約基本料100万円+成功報酬) |
対象地域 | 全国(拠点: 東京・大阪) |
出典:介護M&A支援センター公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 介護事業M&Aの成約実績No.1を標榜。デイサービス、グループホーム、有料老人ホーム、訪問介護/看護、サ高住など、介護施設の類型ごとに豊富な実績がある
- 年6回のCareTEX商談展示会(来場者3万人)を自社で主催しており、独自の買い手ネットワークを構築している点が他社にない強み
- M&A支援機関協会の正会員として、中小M&Aガイドラインに準拠した運営
注意点:
- 最低報酬は合計600万円〜。取引価格が2,000万円以下の小規模案件では、手数料率が実質30%を超えるケースもあるため、事前に確認が必要
- 拠点は東京・大阪の2箇所。地方の案件では、対面でのサポート頻度が限られる可能性がある
こんな介護事業者におすすめ: 年商5,000万円以上で、介護業界に詳しいアドバイザーに任せたい経営者。同業の買い手候補を多く検討したい場合に特に強い
CBヘルスケア(旧CBパートナーズ)|医療・介護・福祉に20年超の専門実績
CBヘルスケアは、芙蓉総合リースグループの100%子会社として、医療・介護・福祉・薬局のM&Aに20年以上特化してきた仲介会社です。2026年4月に4子会社を統合し、「CBパートナーズ」から「CBヘルスケア」へ社名を変更しています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社CBヘルスケア(2026年4月に社名変更) |
設立 | 1999年7月 |
親会社 | 芙蓉総合リース株式会社(東証プライム上場) |
累計成約件数 | グループ累計1,400件以上 |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | 完全成功報酬制(料率非公開) |
拠点 | 東京・札幌・名古屋・大阪・広島・福岡(全6拠点) |
対象地域 | 全国 |
出典:CBヘルスケア公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 医療・介護・福祉に20年以上特化しており、介護事業の許認可手続きや行政対応のノウハウが豊富。行政手続きを含む一気通貫の支援が受けられる
- 全国6拠点は介護特化型では最多クラス。地方の案件でも対面サポートが受けやすい
- 芙蓉総合リースグループの資金力・ネットワークを活用した買い手探索が可能
注意点:
- 成功報酬の料率が非公開。具体的な費用は個別見積もりが必要
- 2026年4月に社名変更したばかりのため、「CBパートナーズ」の名前で検索する方が多い。旧URLはリダイレクト済み
こんな介護事業者におすすめ: 地方で介護事業を営んでおり、許認可手続きを含めて手厚くサポートしてほしい経営者。医療法人との複合的なM&Aにも対応
カイポケM&A(エス・エム・エス)|介護SaaS最大手のネットワークを活用
カイポケM&Aは、東証プライム上場の株式会社エス・エム・エスが運営するM&A仲介サービスです。介護経営支援ツール「カイポケ」の導入事業所数56,900超(2025年7月時点)を基盤に、独自のネットワークでマッチングを行います。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社エス・エム・エス(東証プライム・証券コード: 2175) |
サービス開始 | 2019年7月(試験提供は2018年11月〜) |
カイポケ導入事業所数 | 56,900事業所(2025年7月時点) |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(10〜1%段階制) |
最低報酬 | 基本成約料100万円 |
算定基準 | 移動総資産 |
対象地域 | 全国 |
出典:カイポケM&A公式サイト、エス・エム・エスプレスリリース(2019年7月)(2026年4月確認)
強み:
- 基本成約料100万円は業界最安水準。小規模な訪問介護やデイサービスの売却でも手数料負担を抑えられる
- 介護SaaS「カイポケ」の56,900事業所のネットワークを活かし、介護業界内の買い手候補とのマッチングに強い
- 介護業界の経営データ(収支分析・離職率・稼働率等)に精通したコンサルタントが在籍
注意点:
- M&Aサービス開始が2019年と業歴は比較的浅い。ブティックスやCBヘルスケアと比べると成約実績はまだ積み上げ段階
- 算定基準が「移動総資産」ベース。負債を含む金額が報酬の算定基礎になるため、同じ案件でも「譲渡価格」ベースの会社より手数料が高くなる可能性がある
こんな介護事業者におすすめ: 年商数千万円台の小規模介護事業所で、できるだけ手数料を抑えたい経営者。すでにカイポケを利用している事業者はデータ連携もスムーズ
各社の詳細解説|総合型・ヘルスケア注力型6社
日本M&Aセンター|業界最大手の「医療介護支援部」が専門対応
日本M&Aセンターは、M&A仲介業界で全業界累計10,000件超の成約実績を持つ最大手です。社内に「医療介護支援部」を設置し、介護・福祉分野のM&Aに専門チームが対応します。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス(東証プライム) |
設立 | 1991年 |
全業界成約実績 | 10,000件超(ギネス世界記録5年連続認定) |
介護分野の体制 | 医療介護支援部が専門対応 |
手数料 | レーマン方式(着手金・中間金は要確認) |
対象地域 | 全国 |
出典:日本M&Aセンター公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 圧倒的なネットワーク。全国の金融機関・会計事務所と提携しており、介護業界に新規参入したい異業種の大企業を買い手候補として紹介できる
- 医療介護支援部が介護報酬制度・許認可手続きに精通。PMI(統合プロセス)支援やDD(デューデリジェンス)支援も対応
- 大型案件(数億〜数十億円規模)のM&Aに強い
注意点:
- 介護分野単独の成約件数は非公開。全業界10,000件超のうち介護がどの程度の割合かは確認できない
- 最低報酬額が業界最高水準とされており、年商1億円以下の小規模案件では費用対効果が合わない可能性がある
- 着手金が発生する場合がある(案件により異なる)
こんな介護事業者におすすめ: 複数施設を運営する年商数億円以上の介護法人で、異業種を含む幅広い買い手候補を検討したい場合
関連記事: 日本M&Aセンターの詳しい特徴・手数料は「日本M&Aセンターとは?手数料・強み・評判を徹底解説」で解説しています。
M&Aキャピタルパートナーズ|着手金無料で介護・福祉に実績あり
M&Aキャピタルパートナーズは、東証プライム上場のM&A仲介会社です。着手金・月額報酬が無料で、中小M&Aガイドラインに準拠した運営を行っています。介護・福祉分野でもM&A支援実績があります。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社(東証プライム) |
着手金・月額報酬 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式 |
対象業種 | 全業種(医療・介護・福祉に実績あり) |
対象地域 | 全国 |
出典:M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 着手金・月額報酬が無料で、成約しなければ費用が発生しないため、売却検討段階でもリスクなく相談できる
- 専任アドバイザー制で、担当者が一貫してサポート
- 上場企業としてのコンプライアンス体制
注意点:
- 介護分野専門のチームがあるかは公式サイトで確認できていない(2026年4月時点)。介護特化型と比べると業界固有の知見は限定的な可能性がある
- 最低報酬額・中間金の有無は非公開。詳細は個別見積もりが必要
こんな介護事業者におすすめ: 着手金なしでまず相談を始めたい中規模以上の介護法人
関連記事: M&Aキャピタルパートナーズの詳しい特徴は「M&Aキャピタルパートナーズとは?特徴・手数料・評判を解説」をご覧ください。
ストライク|「ヘルスケアグループ」が介護M&Aを専門対応
ストライクは、東証プライム上場のM&A仲介会社です。社内に「ヘルスケアグループ」を設置し、介護・福祉分野のM&Aに専門のコンサルタントが対応します。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社ストライク(東証プライム) |
介護分野の体制 | ヘルスケアグループが専門対応 |
成功報酬 | レーマン方式 |
対象業種 | 全業種(ヘルスケア分野に専門グループあり) |
対象地域 | 全国 |
出典:ストライク公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 介護・福祉業界のM&A事例を公式サイトで多数公開しており、業界の売却パターンを事前に把握できる
- 複数の買い手候補と同時交渉することで、好条件での成約を目指すスタイル
- 介護業界のM&A件数推移データを定期的に公開しており(2024年度41件の業界データはストライク調べ)、市場動向の知見が豊富
注意点:
- 着手金・中間金の有無は案件ごとに異なり、公式サイトでは明示されていない
- 介護分野単独の成約件数は非公開
こんな介護事業者におすすめ: 複数の買い手候補を比較検討し、最も好条件の相手を選びたい介護法人
関連記事: ストライクの詳しい情報は「ストライクとは?M&A仲介の特徴・手数料・評判を解説」で解説しています。
インテグループ|介護M&A専門サイト運営+譲渡価格ベースの手数料
インテグループは、中堅・中小企業のM&Aを手がける仲介会社です。介護M&Aに特化した専門サイト(kaigoma.jp)を別途運営しており、介護分野への注力姿勢を示しています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | インテグループ株式会社 |
介護M&A専門サイト | kaigoma.jp |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(5〜1%段階制) |
最低報酬 | 1,500万円(売買2億円以下は1,000万円) |
算定基準 | 譲渡価格(他社は「移動総資産」が多い) |
成約期間 | 平均3.5ヶ月〜半年程度 |
対象地域 | 全国 |
出典:インテグループ介護M&A専門サイト(2026年4月確認)
強み:
- 成功報酬の算定基準が「譲渡価格」ベース。多くの仲介会社が採用する「移動総資産」(負債を含む)ベースと比べ、同じ案件でも手数料が安くなる傾向がある
- 成約まで平均3.5ヶ月〜半年と比較的スピーディー
- 介護M&A専門サイトを運営しており、介護業界の案件に注力している姿勢が明確
注意点:
- 最低報酬は1,000〜1,500万円と高め。取引金額が1億円以下の小規模案件では、手数料率が10%を超えることになる
- 訪問介護・デイサービスは「売上2億円程度〜」が目安とされており、小規模事業所には対応が難しい場合がある
こんな介護事業者におすすめ: 年商2億円以上の介護法人で、譲渡価格ベースの手数料計算で費用を抑えたい場合
M&Aベストパートナーズ|ヘルスケア領域を4大注力分野の1つに設定
M&Aベストパートナーズは、製造・建設・不動産・ヘルスケアの4領域で全案件の約9割を占める、業界特化型のM&A仲介会社です。全国9拠点のネットワークを持ちます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社M&Aベストパートナーズ |
特化領域 | 製造・建設・不動産・ヘルスケア(全体の約9割) |
着手金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式 |
最低報酬 | 1,000万円 |
拠点 | 全国9拠点 |
出典:M&Aベストパートナーズ公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- ヘルスケア領域を4大注力分野の1つに据えており、業界知識のあるアドバイザーが対応
- 全国9拠点と、中堅クラスのM&A仲介会社としてはカバー範囲が広い
- 着手金無料で、成約するまで費用が発生しない
注意点:
- ヘルスケア領域の中で介護単独の実績は非公開。医療・薬局を含む合算の可能性がある
- 最低報酬1,000万円のため、小規模案件には向かない
こんな介護事業者におすすめ: 年商2億円以上の中堅介護法人で、ヘルスケア領域に知見のあるアドバイザーを求める場合
M&A総合研究所|AI活用のマッチングで成約スピードに強み
M&A総合研究所は、東証グロース上場のM&A仲介会社です。AIやDXを活用したマッチングシステムを特徴とし、成約スピードの速さで知られています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社M&A総合研究所(東証グロース) |
着手金・中間金 | 0円(譲渡企業側) |
成功報酬 | 完全成功報酬制 |
成約スピード | 最短43日、平均7.2ヶ月(2025年9月期実績) |
対象業種 | 全業種(介護含む) |
対象地域 | 全国 |
出典:M&A総合研究所公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 譲渡企業側は完全成功報酬制。着手金・中間金が一切かからず、成約しなければ費用ゼロ
- AIを活用したマッチングで成約スピードが速い(最短43日、平均7.2ヶ月)
- 強固なコンプライアンス体制を公式に掲げている
注意点:
- 介護業界に特化したチームの有無は公式サイトで確認できていない(2026年4月時点)
- 最低報酬額は非公開。個別見積もりが必要
- 全業種対応のため、介護特化型と比べると許認可手続きのノウハウは要確認
こんな介護事業者におすすめ: できるだけ早く売却を完了させたい介護事業者。着手金リスクなしで複数社に並行相談する際の候補として
関連記事: M&A総合研究所の詳しい特徴は「M&A総合研究所とは?手数料・評判・特徴を徹底解説」をご覧ください。
手数料・費用の仕組みと比較

介護事業のM&Aでは、手数料の「安さ」だけでなく「算定基準」の違いを理解することが重要です。同じレーマン方式でも、算定基準が「譲渡価格」か「移動総資産」かで最終的な手数料に大きな差が出ます。
レーマン方式の仕組み(介護M&Aの場合)
レーマン方式とは、取引金額に応じて報酬率が段階的に下がる計算方法です。介護M&A仲介会社の多くがこの方式を採用しています。
取引金額 | 一般的な報酬率 |
|---|---|
5億円以下 | 5% |
5億円超〜10億円以下 | 4% |
10億円超〜50億円以下 | 3% |
50億円超〜100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
※介護特化型のブティックス・カイポケM&Aは、小規模案件向けに5億円以下を「10〜5%」の細分化したレートを設定しています。
「算定基準」の違いで手数料が変わる
レーマン方式で重要なのは、何の金額に対して料率をかけるか(算定基準)です。
算定基準 | 意味 | 採用会社 |
|---|---|---|
譲渡価格(株式価値) | 売却価格そのものに対して計算 | インテグループ |
移動総資産 | 株式価値+負債(借入金等)の合計に対して計算 | カイポケM&A、一部の大手 |
具体例: 株式譲渡価格1億円・借入金5,000万円の介護事業所の場合
- 譲渡価格ベース: 1億円 × 5% = 500万円
- 移動総資産ベース: 1億5,000万円 × 5% = 750万円
同じ案件でも250万円の差が生じます。事前に算定基準を確認することが大切です。
最低報酬額の比較(介護M&Aで特に重要)
介護事業のM&Aは取引価格が数百万〜数億円と幅広く、小規模案件では最低報酬額が実質的な手数料になるケースが多いです。
会社名 | 最低報酬額 | 手数料が割高になる目安 |
|---|---|---|
カイポケM&A | 100万円 | 取引価格1,000万円以下 |
介護M&A支援センター | 600万円〜 | 取引価格3,000万円以下 |
M&Aベストパートナーズ | 1,000万円 | 取引価格5,000万円以下 |
インテグループ | 1,000〜1,500万円 | 取引価格5,000万円以下 |
CBヘルスケア | 非公開 | 要確認 |
日本M&Aセンター | 非公開(高額とされる) | 要確認 |
ポイント: 取引価格2,000万円以下の小規模な介護事業所では、最低報酬額の低いカイポケM&A(100万円)が費用面で最も有利です。一方、取引価格1億円以上なら最低報酬よりレーマン方式の料率が適用されるため、算定基準や料率の差を重視すべきです。
事業承継・M&A補助金で手数料を軽減できる
中小企業庁が実施する「事業承継・M&A補助金」を活用すれば、M&A仲介手数料の一部を補助金でまかなえる場合があります。
- 対象枠: 「専門家活用枠」でM&A仲介手数料が補助対象
- 補助率: 最大2/3(上限額あり)
- 2026年度の公募: 令和6年度補正予算で十四次公募が実施済み(2026年2月27日〜4月3日)。今後も継続的に公募が行われる見込み
※補助金の詳細・最新の公募状況は中小企業庁公式サイトでご確認ください。
関連記事: 補助金の詳細は「事業承継・M&A補助金(2026年最新)活用ガイド」で解説しています。
事業規模別おすすめの仲介会社
介護事業の売却では、年商規模によって最適な仲介会社が大きく異なります。以下は、事業規模別のおすすめを整理したものです。
年商5,000万円以下の小規模介護事業所
おすすめ: カイポケM&A(エス・エム・エス)
- 基本成約料100万円と最低報酬が最も低く、小規模案件でも手数料負担を抑えられる
- ただし、取引価格が数百万円レベルの場合はM&Aプラットフォーム(バトンズ等)の利用も検討すべき
年商5,000万円〜2億円の中小規模介護事業所
おすすめ: 介護M&A支援センター(ブティックス)、CBヘルスケア
- 介護業界に特化した知見と買い手ネットワークが活きるボリュームゾーン
- 介護M&A支援センターは累計1,931件の実績で、この規模帯に最も多くの事例を持つ
- CBヘルスケアは地方6拠点のカバー範囲が強み
年商2億円〜5億円の中堅介護法人
おすすめ: 介護M&A支援センター、インテグループ、M&Aベストパートナーズ
- 取引価格が大きくなるため、算定基準の違い(譲渡価格 vs 移動総資産)による手数料差に注目
- インテグループは譲渡価格ベースの算定で、この規模帯では手数料が有利になる傾向
年商5億円以上の大規模介護法人
おすすめ: 日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク
- 大型案件では買い手ネットワークの広さが成約条件に直結する
- 異業種の大企業(不動産、建設、IT等)の介護参入ニーズとのマッチングに強い
- PMI支援・DD支援まで一貫してサポートできる体制
事業規模別の判断フロー
年商規模 | 最優先候補 | 次の候補 | 注意点 |
|---|---|---|---|
〜5,000万円 | カイポケM&A | バトンズ等プラットフォーム | 最低報酬額を必ず確認 |
5,000万〜2億円 | 介護M&A支援センター | CBヘルスケア | 介護特化型の知見が活きる |
2億〜5億円 | インテグループ | 介護M&A支援センター、M&Aベストパートナーズ | 算定基準の違いで手数料に差 |
5億円以上 | 日本M&Aセンター | ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ | 買い手ネットワークの広さ重視 |
介護M&A仲介会社を選ぶ5つのポイント

仲介会社ごとの特徴を把握したうえで、最終的に依頼先を決める際に確認すべき5つのポイントを整理します。
ポイント1:介護業界の成約実績
介護事業のM&Aは、許認可の引継ぎ・行政手続き・介護人材の処遇など、他業種にはない論点が多数あります。介護分野での成約実績が豊富な会社ほど、想定外のトラブルを未然に防げる可能性が高いです。
確認すべき点:
- 介護分野「単独」の成約件数(全業種の合算ではなく)
- 自社と同じ施設類型(デイサービス、訪問介護、有料老人ホーム等)の実績の有無
- 直近1〜2年の実績(古い実績だけでは現在の対応力がわからない)
ポイント2:手数料の算定基準と最低報酬額
前述のとおり、同じレーマン方式でも算定基準(譲渡価格 vs 移動総資産)と最低報酬額で実質的な費用は大きく変わります。
初回相談時に確認すべきこと:
- 算定基準は何ベースか
- 最低報酬額はいくらか
- 着手金・中間金の有無
- 成功報酬以外に発生する費用(デューデリジェンス費用、交通費等)
ポイント3:許認可・行政手続きへの対応力
介護M&Aでは、スキーム(株式譲渡 or 事業譲渡)の選択が許認可の引継ぎに直結します。
スキーム | 許認可の扱い | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
株式譲渡 | そのまま引継ぎ | 手続きが少ない。事業所番号も維持 | 簿外債務等のリスクを引き継ぐ |
事業譲渡 | 新規申請が必要 | 必要な資産のみ選んで引き継げる | 行政手続きに2〜3ヶ月。事業所番号が変わる可能性 |
介護特化型の仲介会社(ブティックス、CBヘルスケア等)は、この行政手続きのサポートに慣れており、スキーム選択のアドバイスも的確です。
ポイント4:買い手ネットワークの質と量
介護事業の買い手には大きく2タイプあります。
- 同業の介護法人: エリア拡大・施設類型の多角化を目的に買収。介護運営のノウハウがあるため、PMI(統合後の運営)がスムーズ
- 異業種の大企業: 不動産、建設、IT企業等が介護業界に新規参入するために買収。高い買収金額を提示するケースもある
介護特化型は同業の買い手に強く、総合型は異業種の買い手にも広くリーチできます。どちらの買い手を想定するかで、最適な仲介会社は変わります。
ポイント5:M&A支援機関登録制度への登録状況
中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された仲介会社は、一定の基準を満たしています。登録会社を選ぶことで、不適切な仲介行為のリスクを軽減できます。
- ブティックス(介護M&A支援センター):M&A支援機関協会正会員
- CBヘルスケア:M&A支援機関協会正会員
- その他各社の登録状況は、中小企業庁の公式データベースで確認できます
関連記事: M&A仲介会社選びの基本は「M&A仲介会社の選び方ガイド」で体系的に解説しています。
介護・福祉業界のM&A市場動向【2025〜2026年】

介護業界でM&Aの件数が増加している背景には、構造的な要因があります。仲介会社を選ぶ前に、業界全体の動向を把握しておくと判断の参考になります。
M&A件数は増加傾向
介護・福祉企業を対象としたM&A件数は2024年度に41件(公開案件ベース、ストライク調べ)で、2020年から連続で増加しています。非公開案件を含めると実際の件数はこれよりはるかに多いとみられます。
介護事業者の倒産が過去最多を更新
2025年上半期の介護事業者の倒産件数は87件(うち訪問介護45件)で、過去最多を更新しました(出典: ワイズマン)。経営環境の悪化を受け、倒産前にM&Aで事業を存続させるケースが増えています。
介護報酬改定が小規模事業者に影響
2024〜2025年の介護報酬改定では、大規模事業者優遇の方向性が明確になりました。財務諸表の公表義務化も導入されており、小規模事業者が単独で経営を続ける難易度が上がっています。
人材不足が売却の後押しに
介護業界の有効求人倍率は3.61倍(2024年5月、全職種平均1.05倍の約3.4倍)と深刻な人手不足が続いています。厚生労働省の推計では、2040年度に約272〜280万人の介護職員が必要とされています。大手法人との統合により人材確保力を強化する目的でM&Aを選択する事業者が増えています。
データ出典: 厚生労働省「介護保険事業状況報告」、ストライク「介護業界のM&A動向」、ワイズマン「令和7年度上半期介護事業者倒産レポート」(いずれも2026年4月確認)
介護M&A特有の注意点
介護事業のM&Aには、一般的なM&Aにはない業界特有の注意点があります。仲介会社に依頼する前に、以下の点を把握しておきましょう。
注意点1:許認可と事業所番号の引継ぎ
介護事業には都道府県・市区町村の許認可が必要です。株式譲渡であれば法人格が変わらないため許認可はそのまま引き継がれますが、事業譲渡の場合は旧事業者の「廃業届」と新事業者の「新規申請」が必要になり、2〜3ヶ月の手続き期間がかかります。
事業所番号が変わると介護保険の請求に影響するため、スキームの選択は慎重に検討すべきです。
注意点2:介護人材の流出リスク
介護人材の流出は、介護M&Aにおける最大のリスクです。M&Aの噂が施設内に広まると、不安を感じた職員が退職するケースがあります。
- M&A交渉中の秘密保持を徹底する
- 成約後、従業員への説明は丁寧に行い、処遇条件(給与・勤務体制)の維持を明確に伝える
- 介護に詳しい仲介会社は、職員への説明方法やタイミングのアドバイスも行ってくれる
注意点3:施設・設備のデューデリジェンス
介護施設のDD(デューデリジェンス)では、通常の財務・法務DDに加えて以下の確認が必要です。
- 施設の老朽化・修繕状況(大規模修繕の必要性)
- 入居率・稼働率の推移
- 入居者の要介護度の分布(重度者が多いと運営コストが高い)
- 過去の行政指導・監査指摘事項の有無
- BCP(事業継続計画)の策定状況(義務化対応)
- 補助金の返還リスク(事業譲渡の場合)
注意点4:地域コミュニティとの関係
地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護、グループホーム等)では、地域住民や自治体との信頼関係が事業価値の一部です。M&A後もこの関係を維持できるかが、買い手にとっての重要な判断材料になります。
※介護M&Aの法的・税務的な判断については、介護に詳しい税理士・弁護士への相談をおすすめします。
こんな介護事業者にはM&Aがおすすめ
以下のような状況にある介護事業者は、M&Aによる売却・事業承継を検討する価値があります。
- 後継者がいない、または後継者が介護事業の承継を希望していない
- 人材不足で事業の維持が難しくなっている
- 介護報酬改定で収益性が低下し、単独経営の見通しが厳しい
- 施設の老朽化で大規模修繕が必要だが、投資資金の確保が難しい
- 体力・年齢的に経営の継続が厳しくなってきた
- より大きな法人のもとで、従業員と利用者の安定を確保したい
M&Aをおすすめしないケース
一方、以下のケースではM&A以外の選択肢(親族内承継、従業員承継等)を先に検討すべきです。
- 後継者が決まっており、事業承継計画が進行中 → 親族内承継・従業員承継のほうがスムーズ
- M&Aの目的が「とにかく高く売りたい」だけで、従業員や利用者への配慮が二の次 → 介護業界では信頼関係が重要。無理な条件設定は買い手がつかない原因に
- 直近で重大な行政処分を受けている → 処分の解消後に検討するのが現実的
- 経営改善の余地が大きく、もう少し業績を上げてから売却したい → 先に経営改善に取り組み、企業価値を高めてから売却するほうが好条件になる
関連記事: 事業承継全般については「事業承継とは?M&Aとの違い・選択肢を解説」もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護事業のM&Aにかかる期間はどれくらいですか?
一般的に6ヶ月〜1年程度が目安です。ただし、株式譲渡か事業譲渡かによって行政手続きの期間が異なります。株式譲渡は比較的短期間で完了しますが、事業譲渡は許認可の新規申請に2〜3ヶ月かかるため、その分長くなります。インテグループは成約まで平均3.5ヶ月〜半年と比較的速いスピードを公表しています。
Q. 小規模な訪問介護事業所でもM&Aできますか?
売却自体は可能ですが、取引価格が小さい場合、仲介会社の最低報酬額がネックになります。取引価格が1,000万円以下なら、カイポケM&A(最低報酬100万円)またはバトンズ等のM&Aプラットフォームの利用が現実的です。
Q. 介護事業の売却価格はどのくらいが相場ですか?
一般的な目安として「時価純資産+営業利益の2〜5年分」(年倍法)で算出されます。首都圏の介護事業所では3,000万円〜1億円程度が相場感とされています(参考: M&A総合研究所、2026年4月確認)。ただし、施設の立地、入居率、介護人材の定着率、施設の老朽度などにより大きく変動します。正確な評価は仲介会社の無料査定を利用するのが確実です。
Q. M&A後、介護職員の雇用はどうなりますか?
株式譲渡の場合、法人格が変わらないため従業員の雇用契約はそのまま引き継がれます。事業譲渡の場合は、新たな雇用契約の締結が必要ですが、実務上は買い手が従業員全員の雇用継続を条件にするケースがほとんどです。介護人材の確保が買い手にとっても重要なため、雇用条件の維持が交渉の前提になることが多いです。
※雇用条件の変更や労務契約の詳細については、社会保険労務士・弁護士への相談をおすすめします。
Q. 仲介手数料を補助金でまかなえると聞きましたが本当ですか?
中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」の「専門家活用枠」を利用すれば、M&A仲介手数料の最大2/3が補助対象になります。ただし公募期間が限られているため、M&Aの検討を始めた段階で仲介会社に補助金の活用可否を相談しておくことをおすすめします。
Q. 複数の仲介会社に同時に相談しても大丈夫ですか?
基本的に初回相談の段階では複数社に相談することが推奨されます。ただし、正式な仲介契約(アドバイザリー契約)を締結する段階では、専任契約か非専任契約かで複数社への依頼可否が変わります。専任契約を結んだ場合は他社への依頼ができなくなるため、契約内容を事前に確認してください。
まとめ
介護・福祉業界のM&A仲介会社を選ぶ際のポイントを整理します。
介護特化型を選ぶべきケース:
- 介護報酬制度・許認可手続きに精通したアドバイザーが必要
- 介護業界内の同業者を買い手候補として探したい
- 年商2億円以下の小〜中規模介護事業所
総合型を選ぶべきケース:
- 異業種を含む幅広い買い手候補を検討したい
- 年商5億円以上の大規模法人
- PMI支援まで一貫した体制を求める
まず行動すべきこと:
- 自社の年商規模に合った2〜3社に初回無料相談を申し込む
- 各社の手数料(算定基準・最低報酬額)を比較する
- 介護分野の成約実績(自社と同じ施設類型)を確認する
- 事業承継・M&A補助金の活用可否を相談する
介護事業者の倒産が過去最多を更新する中、M&Aは従業員と利用者を守りながら事業を存続させる有力な選択肢です。まずは情報収集として、介護業界に強い仲介会社への相談から始めることをおすすめします。
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