会社売却で許認可・免許は引き継げる?業種×スキーム承継可否 一覧ガイド【2026年最新】
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会社売却で許認可・免許は引き継げる?業種×スキーム承継可否 一覧ガイド【2026年最新】

会社売却で建設業許可・宅建免許・運送業などの許認可を引き継げるかを、株式譲渡・事業譲渡・会社分割・合併のスキーム別&業種別の一覧表で解説。建設業2020年改正や経営力向上計画の特例、売り手が選ぶべきスキームまで網羅します。

M&A比較レビュー編集部2026/7/66分で読める

結論から言うと、許認可・免許をそのまま引き継ぎたいなら「株式譲渡」が最も有利です。 株式譲渡は会社の法人格が変わらず株主が入れ替わるだけなので、原則として建設業許可・宅地建物取引業免許・運送業許可などの許認可はそのまま維持されます。一方、事業譲渡では原則として許認可を承継できず、譲受側での新規取得が必要になります。

ただし、業種(根拠法)とスキーム(株式譲渡・事業譲渡・会社分割・合併)の組み合わせによって扱いは大きく変わります。特に建設業は2020年10月の法改正で「事前認可を受ければ承継できる」制度ができており、「建設業は必ず再取得」と書いた古い情報は今や誤りです。

この記事でわかること

  • 株式譲渡・事業譲渡・会社分割・合併のスキーム別に許認可がどう扱われるか
  • 建設業・宅建業・運送業・飲食業など業種別の承継可否(一覧表)
  • 事業譲渡でも許認可を承継できる「経営力向上計画」の特例(対象6業種)
  • 建設業許可の承継認可制度(2020年改正)の最新ルール
  • 許認可を守りたい売り手がどのスキームを選ぶべきかの判断基準

誰向けの記事か

建設業・不動産業・運送業・飲食業・介護事業・産業廃棄物処理業など、許認可・免許を持つ会社の売却を検討しているオーナー経営者に向けた記事です。「せっかく取った許可が買い手に引き継げないと、取引そのものが成立しないのでは」と不安な方が、自社の業種とスキームの組み合わせで結論を確認できる構成にしています。

⚠️ 本記事は制度の全体像を整理したガイドです。許認可の承継は業種・自治体・個別事情によって扱いが異なり、条文改正も頻繁にあります。実際の判断は必ず管轄行政庁への事前相談と、行政書士・弁護士・税理士などの専門家への確認のうえで行ってください。

まず結論:許認可を維持したいなら「株式譲渡」が基本

許認可の承継可否は「どのスキームを使うか」でほぼ決まります。まずスキーム別の大原則を押さえてください。

スキーム

許認可の扱い(原則)

理由

株式譲渡

原則そのまま維持(承継手続き不要)

法人格が変わらず株主が代わるだけ。会社が持つ許認可・契約・雇用はそのまま存続する

事業譲渡

原則、承継できない(譲受側で新規取得が必要)

事業を個別に移転するため、許認可は個別に取り直しになる

会社分割(吸収・新設)

業種により3パターン(①届出で自動承継 ②行政庁の認可・承認 ③再取得)

包括承継だが、許認可の性質・根拠法により扱いが分かれる

合併(吸収合併)

各根拠法により可否が決まる(一律ではない)

存続会社に権利義務が包括承継されるが、許認可の扱いは法律ごとに異なる

※出典: M&Aキャピタルパートナーズ「許認可の承継とは」「許認可の譲渡はできる?」、マネーフォワード クラウド会社設立、fundbook 各コラム(確認日 2026-07-07)

つまり、「許可を持っていること自体が会社の価値」であるような業種(建設業・運送業・許認可がボトルネックの業種)は、株式譲渡を選べば手続きも空白期間もほぼ発生しません。 逆に、事業の一部だけを切り出したい・簿外債務リスクを避けたいといった理由で事業譲渡や会社分割を選ぶ場合は、許認可を取り直す時間とコストが発生する前提で計画を立てる必要があります。

株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶべきかの全体比較は株式譲渡 vs 事業譲渡 どっちがいい?メリット・デメリット比較で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【一覧表】業種 × スキーム 許認可の承継可否マトリクス

自社の業種の行を見れば、スキームごとの扱いが一目でわかるようにまとめました。◎=原則そのまま維持/〇=届出等で承継可/△=行政庁の認可・承認が必要/×=原則再取得 を表します。

業種(根拠法の例)

株式譲渡

事業譲渡

会社分割

合併

建設業(建設業法)

△※1

△※1

△※1

宅地建物取引業(宅建業法 第3条)

×

△※2

△※2

一般貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法 第30条ほか)

×※3

〇/△

〇/△

一般旅客自動車運送事業(道路運送法 第36条)

×※3

飲食店営業(食品衛生法 第53条)

×

理容業・美容業(理容師法・美容師法)

×

クリーニング業(クリーニング業法)

×

旅館・ホテル業(旅館業法 第3条の2)

△※3

旅行業(旅行業法 第15条)

×

〇/△

〇/△

介護事業(介護保険法 第106条ほか)

◎/△

×

産業廃棄物処理業(廃棄物処理法 第15条の4)

風俗営業・パチンコ店等(風営法 第7条の3)

×

労働者派遣事業(労働者派遣法)

×

×

×

医療法人(医療法)

×

注記

  • ※1 建設業は2020年10月改正で、承継予定日の前に「事前認可」を受ければ空白期間なく承継可能になりました(後述)。認可がなければ従来どおり再取得が必要です。
  • ※2 宅建業の会社分割は、承継会社がすでに宅建免許を保有していれば承継可能。新設分割では原則再取得です。
  • ※3 建設業・旅館業・一般貨物/旅客自動車運送業などは、事業譲渡でも「経営力向上計画」の認定を受ければ承継できる特例があります(後述の対象6業種)。
  • 上表は制度の代表的な整理であり、自治体・個別事情で扱いが変わります。必ず管轄行政庁に事前確認してください。

※出典: fundbook「会社分割時に許認可の再取得は必要?」、M&Aキャピタルパートナーズ、国土交通省・中小企業庁 各資料(確認日 2026-07-07)

スキーム別の詳しい扱い

株式譲渡:原則すべての許認可がそのまま維持

株式譲渡では会社の法人格が存続するため、会社名義の許認可・免許・登録・届出はそのまま有効です。許認可の再取得も承継申請も原則不要で、事業に空白期間が生じません。許認可がビジネスの生命線である業種にとって、これが株式譲渡の最大のメリットです。

ただし、次のようなケースでは株式譲渡でも届出や承認が必要になり得るため、デューデリジェンス(DD)で必ず確認します。

  • 建設業許可:経営業務管理責任者・専任技術者の常勤性が継続していることが前提。役員入れ替えでこれらの人的要件が欠けると、許可要件を満たさなくなる恐れがあります。
  • 医療法人・介護事業など:社員・役員(実質的支配者)の変更に伴い、行政庁への届出や認可が必要になる場合があります。
  • その他の許認可:免許自体は失効しなくても、役員変更届・変更届出の提出が必要なものがあります。

事業譲渡:原則、許認可は承継できない

事業譲渡は、事業に関する資産・負債・契約を「個別に」移転する手法です。許認可は会社(法人格)に紐づくため、事業だけを買った譲受側には自動的には引き継がれません。 譲受側は原則として自ら新規で許認可を取得する必要があります。

そのため事業譲渡では、譲受側が「許可取得に必要な人的要件・設備要件を満たしているか」「取得までにどれくらいの期間がかかるか」が取引スケジュールを左右します。許可取得までに数週間〜数か月かかる業種もあるため、クロージング時期の設計に注意が必要です。

会社分割:業種により3パターンに分かれる

会社分割(吸収分割・新設分割)は権利義務を包括的に承継する手法ですが、許認可については業種の根拠法により以下の3つに分かれます。

A. 届出で自動的に承継されるもの(比較的容易)

業種

根拠法(例)

飲食店営業

食品衛生法 第53条

理容業・美容業

理容師法 第11条の3/美容師法 第12条の2

クリーニング業

クリーニング業法 第5条の3

浴場業(公衆浴場)

公衆浴場法 第2条の2

貨物自動車運送事業(承継規定)

貨物自動車運送事業法 第35〜36条

旅行業

旅行業法 第15条

ガス小売事業

ガス事業法 第8条

B. 行政庁の認可・承認が事前に必要なもの

業種

根拠法(例)

ホテル・旅館営業

旅館業法 第3条の2

一般旅客自動車運送事業

道路運送法 第36条

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法 第30条

介護事業

介護保険法 第106条

パチンコ店等の風俗営業

風営法 第7条の3

産業廃棄物処理業

廃棄物処理法 第15条の4

C. 承継が認められず再取得が必要なもの

業種

根拠法(例)

補足

建設業

建設業法 第7条

2020年改正で「事前認可」を得れば承継可能に(後述)

宅地建物取引業

宅建業法 第3条

新設分割は再取得。吸収分割は承継会社が免許保有済みなら不要

労働者派遣事業

労働者派遣法

事業譲渡・会社分割ともに承継不可・再取得

※出典: fundbook「会社分割時に許認可の再取得は必要?」ほか(確認日 2026-07-07)

合併:根拠法ごとに扱いが決まる

吸収合併では消滅会社の権利義務が存続会社に包括承継されますが、許認可については法律ごとに扱いが異なり、一律ではありません。 会社分割と同様に「届出で承継」「認可・承認が必要」「再取得」の3パターンに分かれるため、対象業種の根拠法を個別に確認する必要があります。

事業譲渡でも許認可を承継できる特例(経営力向上計画)

事業譲渡は原則許認可を承継できませんが、中小企業等経営強化法にもとづく「経営力向上計画」の認定を受けると、一定業種で許認可を承継できる特例があります。

対象6業種(中小企業経営強化法施行令)

  1. 旅館業
  2. 建設業
  3. 一般旅客自動車運送事業
  4. 一般貨物自動車運送事業
  5. 火薬類製造業・火薬類販売業
  6. 一般ガス導管事業

主な条件・目安

  • 中小企業間の事業譲渡が対象。譲渡側・譲受側のいずれかが大企業の場合は特例の対象外
  • 手続き(計画認定)の期間の目安は概ね30〜60日程度
  • 事前に事業所管大臣の認定を受ける必要があるため、クロージングまでのスケジュールに余裕を持たせる。

※出典: 中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」、M&Aキャピタルパートナーズ 等(確認日 2026-07-07)

対象業種・要件は制度改正で変わる可能性があります。利用を検討する場合は中小企業庁の最新の手引きと、支援機関・行政書士に確認してください。

【重要】建設業許可は2020年改正で「承継できる」ようになった

建設業のオーナーが最も誤解しやすいポイントです。かつては「建設業許可は譲渡・合併・分割では引き継げず、いったん廃業届で取り下げて新規取得し直す」のが原則でした。しかし、2020年(令和2年)10月1日施行の改正建設業法で状況が変わりました。

  • 改正で建設業法 第17条の2・第17条の3(「承継」節)が新設された。
  • 承継予定日の前に「事前の認可」を受ければ、許可番号・経営事項審査(経審)の結果を含めて、建設業者としての地位を空白なく承継できるようになった。
  • 対象は、個人事業主間・既存法人間・個人+法人・法人成りなど幅広いケース。

申請の受付期間に注意

事前認可の申請は、承継予定日(譲渡・合併・分割の日)の2か月前〜25日前までに行う必要があります。この期間を逃すと従来どおり再取得扱いになり、許可の空白期間が生じてしまいます。M&Aのスケジュールを組む段階で、この申請期限を逆算しておくことが重要です。

※出典: 国土交通省 関東地方整備局「事業承継等の事前認可制度」、東京都都市整備局「建設業許可の手引」(確認日 2026-07-07)

「建設業は再取得必須」と書かれた古い記事・情報が今もネット上に多く残っています。現行制度では事前認可で承継可能です。ただし手続き要件は厳格なので、必ず管轄の許可行政庁と行政書士に確認してください。

許認可を守るための実務チェックリスト

許認可付きの会社を売る際に、売り手が押さえておくべき実務ポイントです。

  • 保有する許認可の一覧・有効期限・更新時期・附帯条件を棚卸しする
  • 行政処分歴・是正勧告歴の有無を確認する(DDで必ず開示対象になる)
  • 専任技術者・宅地建物取引士・運行管理者・衛生管理者など有資格者(人的要件)の継続を確認する
  • 有資格者が退職予定の場合、承継後の人員体制をどう確保するかを買い手と協議する
  • スキーム決定前に管轄行政庁へ事前相談(可否・必要書類・所要期間)を行う
  • 契約書に「許認可の承継/再取得の完了をクロージング条件とする条項」を入れ、取得できない場合に解除できるようにする
  • 建設業などは申請期限(承継日の2か月〜25日前)を逆算してスケジュールを組む

特に見落とされがちなのが人的要件です。株式譲渡で許可自体は維持できても、キーパーソンの有資格者が退職すると要件割れで許可が維持できなくなります。承継後の人員体制まで含めて設計しておきましょう。

売り手側のデューデリジェンス準備についてはM&A DD 売り手の準備チェックリストで詳しくまとめています。

こんな会社は株式譲渡が向いている/事業譲渡が向いている

許認可の観点から、どのスキームが向いているかを整理します。

株式譲渡が向いている会社

  • 建設業・運送業・旅館業など、許認可の取得・維持がビジネスの前提になっている
  • 許認可の再取得に時間がかかり、事業に空白期間を作れない
  • 会社を丸ごと(従業員・契約・許認可ごと)承継してほしい
  • 許可番号や経審の点数など、過去の実績を引き継ぎたい

事業譲渡・会社分割が向いている会社

  • 複数事業のうち一部だけを売却したい(許認可のない事業を切り出す等)
  • 簿外債務・偶発債務のリスクを買い手が避けたく、資産・負債を選別して移転したい
  • 許認可を持たない、または再取得が比較的容易な業種(飲食・理美容など届出承継が可能な業種)
  • 経営力向上計画の対象6業種で、特例による承継が使える

いずれの場合も、許認可の扱いだけでスキームを決めるのは危険です。税務(譲渡益課税・消費税)、契約・雇用の移転、簿外債務リスクなどを総合して判断する必要があります。スキーム選定は仲介会社・弁護士・税理士と一緒に決めるのが実務の基本です。

どのM&A仲介会社に相談すべきか迷う場合はM&A仲介会社 おすすめ 比較で、対象規模・手数料・サポート体制を比較して選べます。

よくある質問(FAQ)

Q. 株式譲渡なら本当に何も手続きしなくていいの?

免許・許可自体は失効しませんが、役員変更届などの届出が必要な業種があります。また建設業・介護・医療などは人的要件や実質的支配者の変更に関する確認が必要です。「株式譲渡だから完全に手続き不要」と考えず、DDの段階で許認可ごとに要否を洗い出してください。

Q. 事業譲渡で許認可が取り直しになると、どれくらい時間がかかる?

業種・自治体によって大きく異なります。届出で済むものから、審査に数か月かかるものまで幅があります。再取得に必要な期間は必ず管轄行政庁へ事前確認し、クロージング時期に反映させてください。再取得費用(行政書士報酬・登録免許税など)も業種・地域で幅があるため、専門家に見積もりを取りましょう。

Q. 建設業の許可は結局引き継げるの?

現行制度では、承継予定日の2か月前〜25日前までに事前認可を申請すれば、許可番号・経審の結果ごと空白なく承継できます。 期限を過ぎると再取得扱いになります。古い「再取得必須」という情報に惑わされず、最新制度で確認してください。

Q. 許認可が引き継げるか不安なまま契約を進めても大丈夫?

契約書に「許認可の承継・取得の完了をクロージング条件とする条項」を入れておけば、万一取得できなかった場合に取引を解除できます。許認可付きM&Aでは、この条項の設計が非常に重要です。契約条項は弁護士に確認してもらいましょう。

まとめ:スキームと業種の掛け合わせで結論が決まる

  • 許認可をそのまま維持したいなら株式譲渡が原則有利。法人格が変わらず、免許・許可はそのまま存続する。
  • 事業譲渡は原則再取得。ただし経営力向上計画の認定で、対象6業種は承継特例が使える。
  • 会社分割・合併は業種により「届出承継/認可・承認/再取得」の3パターンに分かれる。
  • 建設業は2020年改正で承継可能になった。申請期限(承継日の2か月〜25日前)に注意。
  • 許可自体が維持できても、有資格者の退職による人的要件割れに注意。承継後の人員体制まで設計する。

許認可の承継可否は、業種の根拠法・自治体の運用・個別事情によって変わり、条文改正も頻繁にあります。本記事は全体像の整理を目的としたものであり、最終的な判断は管轄行政庁への事前相談と、行政書士・弁護士・税理士など専門家への確認のうえで行ってください。

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出典・参照(確認日 2026-07-07)

  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)令和6年8月」/「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」
  • 国土交通省 関東地方整備局「事業承継等の事前認可制度」/東京都都市整備局「建設業許可の手引」
  • M&Aキャピタルパートナーズ「許認可の承継とは」「許認可の譲渡はできる?」
  • fundbook「会社分割時に許認可の再取得は必要?」/マネーフォワード クラウド会社設立「事業譲渡時は許認可の承継ができる?」
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