M&A市場動向【2026年最新】件数・金額・業界別トレンドと売り手企業への影響を徹底解説
ホームお役立ち記事M&A市場動向【2026年最新】件数・金額・業界別トレンドと売り手企業への影響を徹底解説
ガイド

M&A市場動向【2026年最新】件数・金額・業界別トレンドと売り手企業への影響を徹底解説

2025年のM&A件数5,115件・金額35.7兆円はともに過去最高。2026年Q1も四半期最高の1,295件と拡大が続くM&A市場の全体像・業界別動向・売り手企業への影響をデータで解説します。

M&A比較レビュー編集部2026/4/1210分で読める

日本のM&A市場は、2025年に件数5,115件(前年比+8.8%)・金額35.7兆円(前年比+74.7%)でいずれも過去最高を更新しました。2026年1-3月期も四半期として過去最高の1,295件・12.4兆円で推移しており、市場拡大の勢いは衰えていません。

この記事でわかること:

  • 2025年通期と2026年Q1のM&A件数・金額の最新データ
  • IT・物流・調剤薬局・製薬など業界別のM&A動向
  • MBO・非公開化の急増、PEファンドの存在感拡大の背景
  • M&A市場が拡大し続ける6つの構造的要因
  • 2026年の市場展望と専門家の見通し
  • 売却を検討する中小企業オーナーにとって、この市場環境が何を意味するか

想定読者: 会社の売却・事業承継を検討しているオーナー経営者、M&A市場全体の動向を把握したい経営層

M&A市場の全体像|2025年実績と2026年Q1速報

M&A市場の件数・金額推移を示すデータビジュアライゼーション

日本のM&A市場は、件数・金額の両面で過去最高を更新し続けています。まずは最新のデータを確認しましょう。

2025年通期のM&A実績

2025年のM&A件数は5,115件(前年比+8.8%)で、2年連続の最多更新となりました。金額ベースでは35.7兆円と、前年比+74.7%の大幅な増加です。

指標

2025年実績

前年比

備考

M&A総件数

5,115件

+8.8%

過去最高(2年連続更新)

M&A総金額

35.7兆円

+74.7%

過去最高

国内同士(IN-IN)件数

4,086件

+10.4%

件数の約8割を占める

国内同士(IN-IN)金額

11.2兆円

+59.9%

日本→海外(IN-OUT)件数

657件

▲1.2%

件数は微減

日本→海外(IN-OUT)金額

18.2兆円

+87.2%

大型案件が金額を押し上げ

海外→日本(OUT-IN)件数

372件

+11.7%

件数最多更新

海外→日本(OUT-IN)金額

6.2兆円

+70.0%

出典: レコフデータ(マールオンライン)、2026年2月号「マール」掲載 / 確認日: 2026-04-12

ストライクの適時開示ベースの集計(上場企業の公開情報のみを対象)でも、2025年の上場企業M&A件数は1,344件(前年比+10.1%)、金額は20兆3,870億円(前年比+93%増)で、いずれも過去最高を記録しています。

データの読み方に関する注意: レコフデータは公開・非公開を含む広範なM&A案件を集計しているのに対し、ストライクは適時開示ベース(上場企業が公表した案件のみ)を集計しています。そのため数値に差があります。本記事ではレコフデータを主な基準として使用し、補足的にストライクの数値を参照しています。

2026年Q1(1-3月期)の速報値

2026年の出だしも好調です。1-3月期のM&A件数は1,295件で、前年同期の1,182件から+9.6%の増加。金額は12兆3,883億円と、四半期ベースでは過去最高を記録しました。

件数

金額

主な案件

1月

358件

久光製薬MBO(3,937億円)

2月

432件

1兆7,190億円(2月として過去最高)

住友林業の米住宅企業買収(6,549億円)

3月

505件

1兆3,017億円

アポロによる日本板硝子の非公開化(約5,900億円)

出典: レコフデータ(マールオンライン)/ 確認日: 2026-04-12

3月の505件のうち、ストライク集計(適時開示ベース)では単月150件と、2008年の統計開始以来の過去最多でした。月単位でも市場の拡大が続いていることがわかります。

2025年〜2026年の主要大型案件

市場全体の金額を大きく押し上げたのは、グループ再編・クロスボーダー・非公開化の大型案件です。

2025年の金額上位案件

順位

案件

金額

分類

1

トヨタ不動産による豊田自動織機TOB(非公開化)

4兆6,840億円

グループ再編

2

ソフトバンクGによる米アンペア・コンピューティング子会社化

9,730億円

IN-OUT

3

ソフトバンクGによるスイスABBロボティクス事業取得

8,187億円

IN-OUT

4

セブン&アイのスーパー事業売却

8,147億円

カーブアウト

5

日本板硝子のアポロによる非公開化

約5,900億円

OUT-IN/非公開化

6

アサヒGHDによる英ディアジオ東アフリカ事業取得

4,654億円

IN-OUT

7

ソフトバンクGによるOpenAI Global資本参加

4,486億円

IN-OUT

出典: ストライク プレスリリース / フロンティア・マネジメント / 確認日: 2026-04-12

2026年の注目案件(Q1時点)

案件

金額

分類

三菱商事による米ヘイインズビル・リソーシズ買収

約1兆1,941億円

IN-OUT

久光製薬MBO

3,937億円

MBO/非公開化

大塚製薬による米トランセンド・セラピューティクス買収

約1,116億円

IN-OUT

アポロによる日本板硝子の非公開化

約5,900億円

OUT-IN/非公開化

出典: 各社プレスリリース / 確認日: 2026-04-12

2025年〜2026年の大型案件に共通するのは、グループ再編(トヨタ不動産→豊田自動織機)、海外成長投資(ソフトバンクG、三菱商事)、非公開化(久光製薬、日本板硝子)の3つのテーマです。これらは一時的なブームではなく、後述する構造的要因に基づいた長期的なトレンドと見られます。

業界別M&A動向|2025年〜2026年の注目セクター

IT・物流・製薬など業界別M&A動向のイメージ図

M&A件数の増加は特定の業界に偏ったものではなく、幅広いセクターで再編が進んでいます。以下、業界別の動向を整理します。

IT・ビジネスサービス

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とした買収が引き続き活発です。経済産業省の予測では、2030年にIT人材が約79万人不足するとされており、人材確保を目的としたM&Aが増加しています。

IT子会社のカーブアウト(親会社からの切り離し・売却)も目立つ動きで、事業会社がコア事業以外のIT部門を売却し、資本効率を高める動きが広がっています。

主な案件: ソフトバンクGによるOpenAI資本参加(4,486億円)、ブラックストーンによるテクノプロHD買収(508億円)

調剤薬局

全国6万施設超の調剤薬局業界は、M&Aによる再編が最も活発な業界の一つです。大手チェーンによる中小薬局の買収・統合が加速しており、2025年にはツルハ・ウエルシアの経営統合が完了しました。

薬局オーナーにとっては、大手チェーンによる買収ニーズが高い状態が続いており、売却先の選択肢が豊富な環境です。

主な案件: ツルハ・ウエルシア経営統合(2025年12月完了)、アドバンテッジパートナーズによる日本調剤買収(118億円)

物流

2024年問題(ドライバーの労働時間規制)に加え、2026年4月には物流改正法が施行されました。荷主への規制が強化されたことで、企業が自社の物流子会社を再編・売却する動きが活発化しています。

運送職の有効求人倍率は2.58倍と深刻な人手不足が続いており、規模拡大・人材確保を目的としたM&Aが増加しています。

関連記事: 物流業界M&A 2026年問題と再編動向では、物流業界のM&Aについてより詳しく解説しています。

ヘルスケア・製薬

製薬業界では、新薬開発パイプラインの獲得を目的としたM&Aが活発です。自社研究開発だけでは十分な新薬候補を確保できない製薬企業が、バイオベンチャーや海外企業の買収に動いています。

主な案件: ベインキャピタルによる田辺三菱製薬買収(510億円)、塩野義製薬によるJT医薬事業(鳥居薬品)買収(160億円)、大塚製薬による米トランセンド・セラピューティクス買収(約1,116億円)

化学・素材

石油化学業界ではエチレン製造設備の統廃合が本格化しています。三井化学・出光興産・住友化学がポリオレフィン事業を統合するなど、PBR(株価純資産倍率)の低い企業が「選択と集中」を進める動きが目立ちます。

コンシューマー・小売

小売業界では大規模な再編が進行中です。セブン&アイのスーパー事業売却(8,147億円)は、コンビニ事業に経営資源を集中するための戦略的な売却でした。

主な案件: ベインキャピタルによるヨーク・ホールディングス買収(815億円)、トライアルHDによる西友買収(383億円)

エネルギー

再生エネルギー・脱炭素関連のM&Aが案件の半数以上を占めるようになっています。GX(グリーントランスフォーメーション)を目的としたM&Aは、今後さらに拡大が見込まれる分野です。

主な案件: JERA Americasによるシェールガス権益取得(228億円)

業界別M&A動向まとめ

業界

主なM&Aの目的

活発度

売り手にとっての環境

IT・ビジネスサービス

人材確保・DX推進

買い手が豊富。技術力・人材が評価される

調剤薬局

チェーン拡大・規模の経済

大手チェーンの買収ニーズが高い

物流

規模拡大・人手不足対応

法改正で再編加速。売却機会が増加

ヘルスケア・製薬

パイプライン獲得

技術・製品に希少性があれば高評価

化学・素材

事業の選択と集中

カーブアウト型の売却が増加

小売

競争力強化・統合

立地・ブランド価値が評価ポイント

エネルギー

GX・脱炭素

再エネ関連技術は需要が高い

製造業

グループ再編・海外進出

技術力・取引先が買い手の関心事項

出典: フロンティア・マネジメント / 日本M&Aセンター / M&A総合研究所の各種レポートを基に整理 / 確認日: 2026-04-12

MBO・非公開化の急増|上場廃止がIPOを大幅に上回る

MBO・非公開化による企業の上場廃止トレンドのイメージ図

2025年のM&A市場で特に目立ったのが、MBO(マネジメント・バイアウト)や非公開化の急増です。

M&A・グループ内再編を理由とした上場廃止件数は142件(前年94件、+51.0%)に達し、うちMBOは30件と過去最高を記録しました。一方、新規上場(IPO)は66件にとどまり、上場廃止がIPOを76件上回る異例の事態となっています。

指標

2025年

2024年

前年比

上場廃止件数(M&A・再編理由)

142件

94件

+51.0%

うちMBO

30件

過去最高

新規上場(IPO)

66件

差引(上場廃止 − IPO)

+76件

上場廃止がIPOを大幅に超過

出典: レコフデータ(マールオンライン)/ 確認日: 2026-04-12

上場企業数は、2022年4月の東証市場再編時の3,305社から、2025年11月末時点で3,168社に減少しています(▲137社)。

なぜMBO・非公開化が増えているのか

MBO・非公開化が増加している背景には、以下の3つの要因があります。

1. 東証のPBR改革: 東京証券取引所は2023年からPBR1倍割れ企業に改善策の開示を求めてきました。2026年1月にはさらに踏み込み、各社のPBR改善策の「内容」を一斉公開しています。市場からの改善圧力が強まった結果、経営の自由度を確保するために非公開化を選ぶ企業が増えています。

2. アクティビスト(物言う株主)の活発化: 2025年6月の株主総会で、アクティビストが対象にした企業は113社と過去最高でした。「同意なき買収提案」が毎年見られる状態に定着したことも、MBOを後押しする要因です。

3. PEファンドの資金力: 後述するPEファンドの存在感拡大により、MBOに必要な資金の調達が容易になっています。

PEファンドの存在感拡大

PE(プライベート・エクイティ)ファンドは、2025年のM&A市場で存在感を一段と増しました。

PE関与案件数は335件(2025年11月末時点)と高水準を維持し、PE傘下の投資先企業は1,000社超に達しています。金額上位20案件のうち8件にPEファンド(ベインキャピタル、ブラックストーン、KKR等)が関与しており、大型案件でのPEファンドの影響力は無視できない水準です。

特筆すべきは、外資系PEファンドによるOUT-IN M&Aの金額が3.2兆円と、OUT-IN全体の70%超を占めた点です。日本企業の買収に対する海外PEファンドの関心は引き続き高く、日系PEファンドの新規設立も相次いでいます。

出典: フーリハン・ローキー / 確認日: 2026-04-12

売り手にとってのPEファンド

中小企業オーナーの中には「PEファンドへの売却」にイメージが湧かない方もいるかもしれません。PEファンドは事業会社と異なり、数年間で企業価値を向上させた後に再売却(エグジット)することを目的としています。

売り手にとっては、以下のようなメリットがあります。

  • 事業会社に比べて買収判断が早いことが多い
  • 豊富な資金力があり、適正な対価を支払える
  • 経営改善のノウハウを持っており、従業員の雇用が維持されやすい

一方で、数年後に再度売却される可能性がある点には留意が必要です。

クロスボーダーM&Aの動向|日本企業の海外投資が拡大

日本企業による海外M&A(IN-OUT)の金額は18.2兆円(前年比+87.2%)と大幅に増加しました。国内市場の成熟・縮小を見据え、海外での成長を求める企業が増えていることが背景にあります。

一方で、海外から日本への投資(OUT-IN)も件数372件(前年比+11.7%)と過去最多を更新しており、日本企業の割安感やPEファンドの対日投資が活発です。

世界のM&A市場に占める日本の割合は6.1%と、前年の4.0%から拡大しています。

区分

件数

金額

特徴

IN-OUT(日本→海外)

657件

18.2兆円

海外成長投資が主因

OUT-IN(海外→日本)

372件

6.2兆円

外資PEファンドの対日投資が7割超

出典: レコフデータ / フーリハン・ローキー / 確認日: 2026-04-12

中小企業にとっての意味

クロスボーダーM&Aは大企業だけの話ではありません。近年は中小企業による東南アジアを中心とした海外案件も増加傾向にあります。また、海外企業やPEファンドが買い手候補に加わることで、中小企業であっても売却先の選択肢が広がっているのが現在の市場環境です。

事業承継M&Aの現状|後継者不在127万人の構造的課題

事業承継における経営者の世代交代を表すイメージ図

中小企業の事業承継問題は、M&A市場の拡大を支える最大の構造的要因です。

中小企業庁のデータによると、2025年までに70歳を超える中小企業経営者は約245万人。そのうち約127万人(約半数)が後継者未定の状態です。この状態が続けば、黒字経営にもかかわらず廃業する企業は約60万社、失われる雇用は10年間で累計約650万人、GDPへの影響は約22兆円に達すると試算されています。

指標

数値

出典

70歳超の中小企業経営者

約245万人

中小企業庁

うち後継者未定

約127万人

中小企業庁

黒字廃業の可能性がある企業

約60万社

中小企業庁

失われる可能性のある雇用

累計約650万人(10年間)

中小企業庁

社長平均年齢

63.59歳(2024年、過去最高)

帝国データバンク

後継者不在率

53.9%

帝国データバンク(2023年調査)

出典: 中小企業庁 / 帝国データバンク / 確認日: 2026-04-12

こうした状況を受け、事業承継型のM&A件数は2025年11月末時点で945件と過去最高水準に達しています(フーリハン・ローキー集計)。また、公的機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」の2023年度成約件数は2,023件(前年比120%)、累計成約件数は10,174件を超えました。

M&A支援機関の登録数も2,956社(2025年3月時点、中小企業庁登録制度)と増加しており、中小企業がM&Aに取り組むためのインフラは着実に整備されています。

関連記事: 事業承継について基礎から知りたい方は事業承継とは?基本から進め方まで解説をご覧ください。

M&A市場が拡大し続ける6つの構造的要因

M&A市場の拡大は一時的なブームではなく、構造的な要因に支えられています。現在のM&A増加を後押しする主な要因は以下の6つです。

1. 経営者の高齢化と後継者不足

前述の通り、245万人の経営者が70歳を超え、うち127万人が後継者未定です。親族や社内での承継が難しい場合、第三者へのM&Aが現実的な選択肢となります。この問題は短期的に解消される性質のものではなく、今後も中小M&Aの件数を押し上げる要因であり続けます。

2. 成長戦略としてのM&A活用

自前の研究開発や市場開拓には時間がかかります。M&Aによって技術・人材・顧客基盤を一括で獲得する方が効率的と判断する企業が増えています。特にDX人材やGX技術の獲得を目的としたM&Aが目立ちます。

3. 東証PBR改革とアクティビスト圧力

東証によるPBR改善の要請と、アクティビストの活発化が事業再編・非公開化を加速させています。「現状維持」が許されない環境になったことで、経営陣は事業ポートフォリオの見直しを迫られています。

4. PEファンドの存在感拡大

外資系・日系を問わずPEファンドの投資額・案件数が増加しています。PE傘下の1,000社超の投資先企業からのエグジット(売却)も新たなM&A案件を生み出しており、M&A市場に「好循環」が生まれています。

5. M&A支援インフラの充実

M&A支援機関は2,956社が登録しており、バトンズをはじめとするM&Aマッチングプラットフォームの普及も進んでいます。中小企業にとってM&Aのハードルは着実に下がってきています。

関連記事: M&A仲介会社の選び方についてはM&A仲介会社おすすめ比較で詳しく解説しています。

6. 法制度の整備

2021年に施行された株式交付制度など、M&Aの実行を容易にする法制度の整備も進んでいます。また、事業承継税制の特例措置(2027年末まで)や事業承継・M&A補助金など、公的支援策も充実しています。

※事業承継税制や補助金の最新の金額・要件は、中小企業庁の公式情報でご確認ください。具体的な適用判断は税理士などの専門家への相談をおすすめします。

関連記事: 事業承継税制の特例措置と要件事業承継・M&A補助金の最新情報もあわせてご確認ください。

2026年のM&A市場展望|専門家はどう見ているか

2026年のM&A市場について、「活況が続く」というのが専門家の一致した見方です。

Q1(1-3月期)の実績が四半期として過去最高の1,295件・12.4兆円であることに加え、構造的要因が引き続き作用しているためです。

主な展望ポイント

1. 件数・金額ともに過去最高更新の可能性

Q1のペースが続けば、通年で5,000件を大きく超える可能性があります。金額面でも大型案件が相次いでおり、2025年の35.7兆円を上回る可能性は十分にあります。

2. 非公開化トレンドの継続

東証PBR改革の実質的な効力強化(改善策の内容を一斉公開)により、上場維持のコストとメリットを再評価する企業が増加。MBO・非公開化のトレンドは2026年も続くと見られます。

3. セクター別再編のさらなる加速

化学・医薬・物流・IT分野を中心に、業界再編の流れは加速傾向にあります。特に物流業界は2026年4月の法改正施行を受けて、新たなM&A案件の増加が見込まれます。

4. 海外投資の拡大

日本企業による海外M&Aと、海外PEファンドによる対日投資の両面で、クロスボーダーM&Aは拡大傾向が続きます。

5. 中小企業M&Aの普及がさらに進む

支援機関・マッチングプラットフォームの充実により、これまでM&Aに縁がなかった中小企業にもM&Aの選択肢が広がっています。

6. ESG・サステナビリティ関連M&Aの増加

GX(グリーントランスフォーメーション)目的の買収や環境技術の獲得が新たなM&Aテーマとして台頭しています。

専門家のコメント

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の竜口敦氏は、2026年のM&A市場について以下のように分析しています。

  • 日本企業の海外成長志向と資本効率改善への圧力が最大のドライバー
  • PEファンドの投資・エグジット両面での存在感がさらに強化される
  • 非友好的買収提案が買い手意欲を刺激する傾向は継続
  • 創業家が保有する上場企業のMBO活動が高水準で推移する見通し

出典: マールオンライン / フロンティア・マネジメント / フーリハン・ローキー / 確認日: 2026-04-12

売却を検討する中小企業オーナーへ|市場動向が意味すること

ここまで見てきたM&A市場のデータは、売却を検討している中小企業オーナーにとってポジティブな内容です。

現在の市場環境が売り手に有利な3つの理由

1. 買い手候補が豊富

M&A件数が過去最高を更新し続けているということは、それだけ多くの買い手が市場にいるということです。事業会社だけでなく、PEファンドも積極的に買い手として動いており、中小企業であっても複数の買い手候補が出やすい環境です。

2. 適正な売却価格が期待できる

買い手候補が多いほど、競争原理が働き、適正な価格(場合によってはそれ以上)での売却が期待できます。特にIT・物流・調剤薬局など、業界再編が活発な分野では、売り手にとって有利な交渉が期待されます。

3. 支援体制が充実

M&A支援機関は2,956社が登録されており、中小企業庁の事業承継・引継ぎ支援センターも全国に設置されています。初めてのM&Aでも、専門家のサポートを受けながら進めることができます。

事業承継税制の特例措置に注意

事業承継を検討する際に押さえておくべきなのが、事業承継税制の特例措置です。贈与税・相続税の納税猶予の特例は2027年12月末までの時限措置です。特例承継計画の提出期限については制度延長が行われていますが、最新の期限は中小企業庁の公式情報でご確認ください。

M&Aに限らず、親族内承継や従業員承継を含めた事業承継全体の検討を早めに始めることが重要です。

※事業承継税制の適用要件や具体的な手続きについては、税理士などの専門家への相談をおすすめします。

関連記事: 事業承継税制の特例措置と要件

注意点:市場が活況だからこそ慎重に

市場環境が売り手に有利だからといって、拙速な判断は禁物です。以下の点には注意してください。

  • M&A仲介会社の手数料体系は各社で大きく異なる — 複数社を比較検討してから依頼することをおすすめします
  • 適正な企業価値評価を受けること — 市場が活況でも、自社の企業価値を正しく把握した上で交渉に臨むことが重要です
  • 秘密保持に配慮すること — M&Aの検討が従業員や取引先に漏れると、事業への悪影響が生じる可能性があります

関連記事: 手数料・費用について詳しくはM&A費用・手数料の相場ガイドをご覧ください。

この市場環境での売却を検討すべき企業・まだ早い企業

売却の検討をおすすめする企業

  • 経営者が60代後半以上で、後継者が未定の企業 — 体力・判断力があるうちに、余裕を持った事業承継の計画を立てることが重要です
  • 業界再編が進んでいるセクターの中小企業 — 物流・調剤薬局・IT・ヘルスケアなど、買い手の需要が旺盛な業界では有利な条件が得られやすい時期です
  • 業績が安定している企業 — M&Aにおいて買い手が最も重視するのは「安定した収益力」です。業績が好調な時期に売却するほうが、有利な条件を引き出せます
  • 事業承継税制の特例措置を活用したい企業 — 特例措置には期限があるため、早めの検討が有利です

まだ検討が早い企業

  • 業績が一時的に悪化している企業 — 業績低迷期に売却すると企業価値が低く評価されます。業績回復後に検討するのが得策です
  • 経営者がまだ若く、事業成長の余地が大きい企業 — 事業を成長させた上で売却するほうが、より高い対価が期待できます
  • M&Aの目的や条件が明確でない企業 — 「何のために売るのか」「譲れない条件は何か」を整理してから動くことが大切です

よくある質問

Q. 2025年のM&A件数は何件でしたか?

2025年のM&A件数は5,115件で、前年比+8.8%の過去最高を記録しました(レコフデータ集計)。金額も35.7兆円と過去最高を更新しています。

Q. 2026年のM&A市場はどうなりますか?

2026年Q1(1-3月期)は四半期として過去最高の1,295件・12.4兆円を記録しており、通年でも2025年を上回る可能性があります。経営者の高齢化、東証PBR改革、PEファンドの存在感拡大といった構造的要因が引き続き市場を支えるため、「活況が続く」というのが専門家のコンセンサスです。

Q. MBO・非公開化はなぜ増えているのですか?

東証のPBR改革(PBR1倍割れ企業への改善圧力)、アクティビスト(物言う株主)の活発化、PEファンドの資金力増大が主な要因です。2025年には上場廃止件数142件に対し、IPOは66件にとどまり、上場企業数は減少傾向にあります。

Q. どの業界のM&Aが最も活発ですか?

IT・ビジネスサービス、調剤薬局、物流、ヘルスケア・製薬が特に活発です。IT分野ではDX人材獲得目的、調剤薬局では業界再編、物流では2024年問題・2026年法改正対応、製薬では新薬パイプライン獲得が主な動機です。

Q. 中小企業の売り手にとって、今は良いタイミングですか?

現時点では、売り手にとって比較的有利な市場環境といえます。買い手候補が豊富で、PEファンドの参入により中規模案件でも複数の候補が出やすい状況です。ただし、M&A仲介会社の手数料体系は各社で異なるため、複数社の比較検討をおすすめします。具体的な条件やタイミングは、M&A専門家に相談のうえ判断してください。

Q. M&A仲介会社はどう選べばいいですか?

自社の規模(年商・従業員数)と業界に合った仲介会社を選ぶことが重要です。大手仲介会社は幅広いネットワークを持つ一方、中小特化型の仲介会社のほうが手数料が抑えられる場合もあります。複数社から無料相談を受けた上で比較検討してください。

関連記事: M&A仲介会社おすすめ比較で主要各社の手数料・特徴を比較しています。

まとめ

日本のM&A市場は、2025年に件数5,115件・金額35.7兆円でいずれも過去最高を記録し、2026年Q1もそのペースを上回る勢いで拡大しています。

この市場拡大は一時的なブームではなく、経営者の高齢化・東証PBR改革・PEファンドの存在感拡大・M&A支援インフラの充実といった構造的要因に支えられたものです。

売却を検討している中小企業のオーナーにとっては、買い手候補が豊富で交渉しやすい環境が続いています。事業承継税制の特例措置の期限(2027年末)も見据え、早めの情報収集と専門家への相談をおすすめします。

次に読むべき記事:

※本記事の情報は2026年4月12日時点で取得可能な公開情報に基づいています。M&Aに関する具体的な判断は、M&A専門家・税理士・弁護士にご相談ください。

M&A比較レビュー編集部 のプロフィール画像

M&A比較レビュー編集部

M&A仲介会社の選び方・費用・実績を徹底調査する専門編集部です。