事業承継・M&A補助金「廃業・再チャレンジ枠」とは?廃業費用2/3・最大300万円の要件と対象経費【16次公募】
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事業承継・M&A補助金「廃業・再チャレンジ枠」とは?廃業費用2/3・最大300万円の要件と対象経費【16次公募】

事業承継・M&A補助金の廃業・再チャレンジ枠は、M&Aが成約しなかった会社の廃業費用の2/3・最大300万円を補助する枠です。単独申請と併用申請の違い、対象経費、補助額の試算、16次公募(2026年10月2日〜11月6日)の日程と注意点を公募要領をもとに解説します。

M&A比較レビュー編集部2026/9/2912分で読める

事業承継・M&A補助金の「廃業・再チャレンジ枠」は、M&Aで会社を売ろうとしたものの成約しなかったオーナーが、会社をたたんで新しい挑戦(起業・就職など)をするときに、廃業にかかる費用の2/3・最大300万円を補助する枠です。 一部の事業だけを売って残りをたたむ場合は、単独ではなく「専門家活用枠」などとの併用で申請します。

この記事でわかること

  • 廃業・再チャレンジ枠の仕組みと、単独申請・併用申請の違い
  • 売り手の状況別に「どのルートで申請するか/そもそも対象になるか」の判断フロー
  • 補助対象になる廃業費用・ならない費用と、経費額別の補助額の試算
  • 13次公募(令和6年度補正)からの変更点(上限150万円→300万円など)
  • 16次公募(申請受付2026年10月2日〜11月6日17:00)のスケジュール・必要書類・審査の観点
  • 使う前に知っておきたい注意点(後払い・交付決定前の発注NG・課税など)

この記事は、M&Aで会社を売ろうとしたがうまくいかず廃業を考えているオーナーや、事業の一部を売って残りを整理したいオーナー向けです。 16次公募全体の申請準備は事業承継・M&A補助金 16次公募の申請ガイド、補助金の4つの枠の全体像は事業承継・M&A補助金とは?で解説しています。

ご注意: 本記事は、事業承継・M&A補助金事務局が公開している16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)Ver.1.0(2026年9月)、同じく16次の専門家活用枠・事業承継促進枠の公募要領、16次「よくある質問(廃業・再チャレンジ枠)」を2026年9月30日に確認して作成しています。補助額の試算は編集部の計算で、実際の補助額は審査・確定検査で決まります。申請の可否や経費の該当性は事務局・認定経営革新等支援機関に、会社の清算手続きや補助金の税務処理は司法書士・税理士にご相談ください。

この記事の結論

  1. 単独申請(再チャレンジ申請)は「2020年以降に登録M&A支援機関などを通じてM&Aに着手したが成約しなかった」ことが前提です。 自分だけで買い手を探した場合や、M&Aに着手していない場合は対象外です
  2. 補助率は2/3、補助額は50万円〜300万円です。 補助対象経費(税抜)が75万円未満だと申請できず、廃業支援費が75万円以下なら経費450万円以上で上限の300万円に達します(編集部計算)
  3. 16次公募の補助事業期間は2027年1月下旬(予定)から14か月以内です。 交付決定前に発注した解体・原状回復などは対象外のため、廃業を急ぐ会社は使えない可能性があります

廃業・再チャレンジ枠とは|廃業費用の2/3・最大300万円を補助する枠

事業承継・M&A補助金 公式サイトのトップ画像

廃業・再チャレンジ枠は、廃業にかかる費用(司法書士報酬、在庫の処分、建物・設備の解体、借りていた物件の原状回復、リースの解約など)の一部を国が補助する枠です。正式には「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠」といい、中小企業庁の事業として事業承継・M&A補助金事務局が運営しています(公式サイト: shoukei-mahojokin.go.jp)。

公募要領では、目的を「再チャレンジに取り組むための廃業に係る経費の一部を補助する」と説明しています。つまり、単に会社をたたむ費用ではなく、「たたんだ後に新しいことに挑戦する」ことが条件になっている点がこの枠の特徴です。

事業承継・M&A補助金には4つの枠があり、廃業・再チャレンジ枠はそのうちの1つです。

枠

主な対象

売り手との関係

事業承継促進枠

事業を引き継いだ(引き継ぐ予定の)後継者の設備投資など

親族内承継・従業員承継の後継者向け

専門家活用枠

M&Aの仲介手数料・FA費用・DD費用など

会社を売るオーナーが最も使う枠(売り手支援類型・小規模売り手支援類型)

PMI推進枠

M&A後の統合作業(PMI)の費用

主に買い手向け

廃業・再チャレンジ枠

廃業にかかる費用

M&Aが成約しなかった場合/一部だけ売って残りをたたむ場合

背景には、休廃業の増加があります。東京商工リサーチによると、2025年の休廃業・解散は6万7,210件(前年比7.2%増)で、過去最多の更新は3年連続でした。休廃業した企業の代表者は60代以上が90.6%を占めています(出典: 東京商工リサーチ「2025年 休廃業・解散企業」動向調査、2026年1月9日公開、2026年9月30日確認)。

M&Aと廃業のどちらを選ぶかで迷っている段階なら、先にM&Aか廃業か 比較・判断基準を読むと、この枠の位置づけがつかみやすくなります。

単独申請と併用申請の違い

廃業・再チャレンジ枠には、この枠だけで申請する「再チャレンジ申請(単独申請)」と、ほかの枠と一緒に申請する「併用申請」の2つの方法があります。 会社ごと廃業するなら単独申請、M&Aと組み合わせて事業の一部を廃業するなら併用申請、と覚えておくと整理しやすいです。

比較項目

再チャレンジ申請(単独申請)

併用申請

対象となるケース

M&Aで事業を譲り渡せなかった株主・個人事業主が、新しい挑戦のために既存事業を廃業する

事業承継・M&Aに取り組む会社が、既存事業や引き継いだ事業の一部を廃業する

申請する枠

廃業・再チャレンジ枠

事業承継促進枠/専門家活用枠/PMI推進枠(廃業・再チャレンジ枠への別途の申請は不要)

対象となる廃業

会社自体の廃業のみ

会社自体の廃業、または事業の一部の廃業(事業撤退)

補助率

2/3以内

併用する枠の補助率に従う

廃業費の補助上限

300万円

原則300万円(小規模売り手支援類型と併用する場合は150万円)

補助下限

50万円

50万円

移転・移設費

対象外

計上できる

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P2・P6・P13・P15〜P16、16次公募要領(専門家活用枠・小規模売り手支援類型)。確認日: 2026年9月30日。※PMI推進枠と併用する場合の廃業費の扱いは、PMI推進枠の16次公募要領で必ずご確認ください。

併用申請には重要な条件があります。専門家活用枠(売り手支援類型・小規模売り手支援類型・買い手支援類型)と併用する場合、補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(M&A)が実現しなかったときは、廃業費は補助対象外になります。「一部を売る予定だったが、売れなかった」場合には廃業費が補助されない点に注意してください。

専門家活用枠の中身(仲介手数料がどれだけ補助されるか)は、事業承継・M&A補助金「専門家活用枠」売り手向け活用ガイドで詳しく解説しています。

売り手はどのルート?状況別の判断フロー

会社を売ろうとしているオーナーが廃業費の補助を受けるルートは、主に次の3パターンに分かれます。 自分がどれに当てはまるかを先に確認しておくと、準備する書類や相談先が決まります。

あなたの状況

使えるルート

廃業費の補助上限

注意点

① 2020年以降に、事業承継・引継ぎ支援センター/登録M&A支援機関/M&Aマッチングサイトを通じてM&Aに着手したが、成約しなかった。会社ごとたたんで再出発したい

廃業・再チャレンジ枠の単独申請

300万円(補助率2/3)

締切日時点で着手から3か月以上経っていること、認定支援機関の確認が必要

② 事業の一部は売れた(売る予定)。手元に残った事業をたたみたい

専門家活用枠(売り手支援類型/小規模売り手支援類型)との併用申請

300万円/小規模売り手支援類型は150万円

M&Aが補助事業期間内に実現しないと廃業費は対象外

③ M&Aに着手していない、または自分だけで買い手を探した

単独申請は対象外

—

まず事業承継・引継ぎ支援センターや登録M&A支援機関に相談し、売却の可能性を探る

③に当てはまる方は、廃業を決める前に一度M&Aを試す価値があります。赤字や債務超過の会社でも、技術・人材・許認可・取引先などが評価されて売れるケースはあります(参考: 赤字・債務超過会社の売却は可能か 実務ガイド)。無料で相談できる公的窓口として事業承継・引継ぎ支援センターがあり、ここへの相談依頼は単独申請の「M&A着手」の条件にも当てはまります。

仲介会社に依頼する場合は、M&A支援機関登録制度に登録されているかを必ず確認してください。仲介会社選びの基準はM&A仲介会社の選び方、手数料を抑えたい小規模案件ならM&Aマッチングサイトの利用も選択肢です(M&Aマッチングプラットフォーム比較)。

単独申請(再チャレンジ申請)の要件

単独申請の主な要件は「中小企業であること」「2020年以降にM&Aに着手し、締切時点で3か月以上経ったが成約していないこと」「認定支援機関の確認を受けた再チャレンジ計画があること」「支配株主などとの共同申請であること」の4つです。

補助対象者: 中小企業者または個人事業主(青色申告者)

中小企業基本法に準じた中小企業者、または個人事業主が対象です。個人事業主は青色申告者に限られます。

業種

資本金

従業員数

製造業その他

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P7〜P12。確認日: 2026年9月30日

ゴム製品製造業(一部を除く)、ソフトウェア業・情報処理サービス業、旅館業には別の基準があります。みなし大企業、直近3年の課税所得の平均が15億円を超える会社、資本金5億円以上の法人の100%子会社、社会福祉法人・医療法人・一般社団法人などは対象外です。また、親会社が議決権の50%超を持つ子会社や代表者が同じ法人は「同一法人」とみなされ、申請できるのは1社だけです。

2020年以降にM&Aに着手し、締切時点で3か月以上経過していること

単独申請の前提は、2020年以降に事業の譲り渡し(売却)に着手したが、成約しなかったことです。公募要領では「着手」を次のいずれかと定めています。

  • 事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼
  • M&A仲介業者・地域金融機関などM&A支援機関との包括契約(着手に関する契約)の締結
  • M&Aマッチングサイトへの登録

注意したいのは次の2点です。

  • 申請者が自分でM&Aに着手した場合は対象外で、原則としてM&A支援機関登録制度の登録機関による支援に限られます
  • 16次公募では、申請受付の締切日(2026年11月6日)時点で、着手から3か月以上経過している必要があります。逆算すると、2026年8月6日ごろまでに着手していることが目安です(編集部の計算。実際の判定は事務局にご確認ください)

再チャレンジ計画を作り、認定支援機関の確認を受けること

廃業後に何をするかを「再チャレンジ計画書」にまとめ、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書をもらう必要があります。認定支援機関には、税理士・中小企業診断士・金融機関などが登録されています。

公募要領が示す「再チャレンジ」の例は次のとおりです。

  • 新しく法人を設立して事業を行う
  • 個人事業主として新しい事業を行う
  • 自分の知識・経験を活かせる企業への就職や、社会貢献

起業だけでなく、就職も再チャレンジとして認められています。 ただし、後述するとおり「起業」は加点項目です。

共同申請であること(法人の場合)

法人の場合は、廃業する会社(対象会社)と、議決権の過半数を1者で持つ支配株主(または議決権の過半数を持つ株主の代表者=株主代表)が共同で申請します。個人事業主は本人が申請します。

実質的に同じ株主が複数の会社で申請し、再チャレンジの内容が実質的に同じ場合は、すべての申請を合計して300万円が上限です。

そのほか、事務局の調査・アンケートへの協力や、過去に「経営資源引継ぎ補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」を受けた場合は事業化状況報告を済ませていることも要件になっています。

補助額と対象経費|いくら補助されるか

単独申請の補助率は補助対象経費の2/3以内、補助額は下限50万円・上限300万円です。 ただし、司法書士報酬などの「廃業支援費」は補助の上限が別に50万円に決まっています。

補助率・上限額・下限額

申請方法

補助率

補助下限額

補助上限額

再チャレンジ申請(単独申請)

2/3以内

50万円

300万円

併用申請

併用する枠の補助率に従う

50万円

300万円(小規模売り手支援類型との併用は150万円)

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P15〜P16、16次公募要領(専門家活用枠 小規模売り手支援類型)。確認日: 2026年9月30日

  • 補助額が50万円を下回る申請(補助対象経費で75万円未満)は受け付けられません
  • 単独申請で上限の300万円に届くのは、廃業支援費が75万円以下の場合、補助対象経費が450万円(税抜)以上のときです。廃業支援費が75万円を超えると、超えた分は補助が増えないため、上限到達に必要な経費総額も大きくなります(編集部計算)
  • 消費税は補助対象外なので、金額はすべて税抜で考えます

補助対象になる経費・ならない経費

経費の区分

補助対象になるもの

主な対象外

廃業支援費(補助上限50万円)

解散登記・清算人選任登記・清算結了登記などで司法書士に払う費用/解散・清算・残余財産確定の各事業年度の会計・税務申告の専門家費用

登録免許税、定款認証料、収入印紙代、印鑑証明などの取得費、この補助金の申請書類の作成代行費

在庫廃棄費

商品在庫を専門業者に依頼して処分する費用

在庫を売って対価を得る場合(キックバックを含む)、海外の在庫

解体費

自社所有の建物・設備の解体費

消耗品の処分費、海外で使っていたもの

原状回復費

借りていた土地・建物・設備を返すときの原状回復費

自社所有物の修繕、原状回復義務のない物件、契約のない物件

リースの解約費

リース解約に伴う解約金・違約金

リース資産の売買に係る費用(ファイナンスリースの解約金は対象外となる可能性あり)

土壌汚染調査費

地歴調査、有害物質の特定、濃度測定・汚染範囲の確認

土壌汚染対策工事

移転・移設費

効率化のための設備の移転・移設

単独申請では計上できない(併用申請のみ)

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P15・別紙P41〜P46。確認日: 2026年9月30日

ファイナンスリースの解約金は、公募要領の本文と別紙で書き方が異なっています。リース契約が残っている場合は、見積を取る前に事務局へ確認することをおすすめします。

工場やガソリンスタンドなど土壌汚染のおそれがある不動産を持つ会社は、調査費は補助対象でも対策工事は対象外です。土壌汚染の論点は環境デューデリジェンス(土壌汚染・アスベスト)対策ガイドも参考にしてください。

補助額のシミュレーション(単独申請)

補助対象経費(税抜)がいくらなら、補助額と自己負担がいくらになるかを試算しました。

ケース

補助対象経費の内訳(税抜)

経費合計

補助額

自己負担

A: 小さな店舗をたたむ

司法書士・税理士 30万円/在庫廃棄 15万円/原状回復 25万円

70万円

申請不可(75万円未満)

70万円

B: 賃貸店舗・事務所を返す

司法書士・税理士 45万円/在庫廃棄 30万円/原状回復 75万円

150万円

100万円

50万円

C: 工場を借りて操業していた

司法書士・税理士 90万円/原状回復 200万円/リース解約 110万円

400万円

約256.7万円(※)

約143.3万円

D: 自社工場を解体する

司法書士・税理士 60万円/解体 450万円/在庫廃棄 90万円

600万円

300万円(上限)

300万円

※ケースCは、廃業支援費90万円×2/3=60万円が上限の50万円で頭打ちになるため、50万円+(310万円×2/3≒206.7万円)≒256.7万円で計算しています。

(編集部試算。端数処理や経費ごとの上限の適用方法は公募要領・事務局の確定検査に従います。実際の補助額は審査・確定検査で決まります)

ケースAのように経費が小さい場合は、そもそも申請できません。廃業費用の見積を早めに取り、補助対象経費が75万円を超えるかを最初に確認しましょう。1件50万円以上(税抜)の発注は原則2者以上の相見積が必要なので、見積は複数社から取っておくと手戻りを防げます。

13次公募(令和6年度補正)からの変更点

令和7年度補正予算の14次公募から、補助上限が150万円から300万円に引き上げられ、M&A着手からの必要期間も6か月から3か月に短くなりました。 インターネット上には旧年度の「上限150万円」のままの情報も残っているため、注意してください。

項目

13次公募まで(令和6年度補正)

14次〜16次公募(令和7年度補正)

補助上限

150万円以内

300万円

補助率・下限

2/3以内・50万円

変わらず

M&A着手からの経過期間

6か月以上

3か月以上

廃業支援費の範囲

司法書士等の費用/会計・税務の専門家費用/清算業務に関わる従業員の人件費など

司法書士の費用/会計・税務の専門家費用(人件費は対象外に)

土壌汚染調査費

なし

追加

出典: 13次・14次・15次・16次の公募要領(廃業・再チャレンジ枠)。確認日: 2026年9月30日

15次と16次の公募要領を比べると、要件・上限・対象経費に実質的な変更はなく、変わったのは日程や表記が中心です。

16次公募のスケジュールと申請の流れ

事業承継・M&A補助金 公式サイトに掲載された申請の注意点を解説するマンガ

16次公募の申請受付は2026年10月2日(金)から11月6日(金)17:00までで、Jグランツでの電子申請のみです。 申請には「GビズIDプライム」が必要で、発行に1〜2週間(混雑時は3週間程度)かかるため、まだ持っていない方は先に取得してください。

16次公募のスケジュール

時期

内容

2026年9月4日

16次公募要領を公開

2026年9月9日〜10月7日17:00

16次公募説明会の申込受付(説明会は10月9日開催予定)

2026年9月25日

Jグランツ申請フォームの項目定義書・必要書類チェックリスト・パンフレットを公開

2026年10月2日〜11月6日17:00

申請受付(Jグランツ)

2027年1月下旬(予定)〜

交付決定後、14か月以内が補助事業期間。この期間内に廃業を完了させる(廃業登記の完了、または廃業届の受理)

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P15・P21、事業承継・M&A補助金 公式サイトのお知らせ。確認日: 2026年9月30日

申請から入金までの流れ

  1. 公募要領を読む
  2. 確認を依頼する認定支援機関を決める
  3. GビズIDプライムを取得する
  4. 書類を準備し、認定支援機関から確認書をもらう
  5. (任意)加点のための証明書類を準備する
  6. Jグランツで入力・添付して提出する(差し戻しがあれば対応)
  7. 採択 → 交付申請 → 交付決定
  8. 交付決定後に、見積・発注・廃業の実施(登記・在庫処分・解体・原状回復など)
  9. 実績報告 → 補助額の確定 → 入金

実績報告の期限は、補助事業の完了日から30日を過ぎた日と、補助事業の完了期限日から10日を過ぎた日のうち、早い方です。

単独申請の必要書類

対象

主な書類

共通

認定支援機関の確認書、再チャレンジ計画書、M&A着手の証明(事業承継・引継ぎ支援センターの支援依頼書の写し/M&A支援機関との業務委託契約書の写し/M&Aマッチングサイトの登録完了画面・メールの写しのいずれか)

法人

履歴事項全部証明書(3か月以内)、直近3期分の決算書、株主名簿/共同申請者(支配株主・株主代表)の履歴事項全部証明書または住民票、株主名簿(代表者の原本証明付き)、株主代表の確認書

個人事業主

住民票、直近3期分の確定申告書B・青色申告決算書、開業届・青色申告承認申請書の写し

実績報告時

法人は閉鎖事項全部証明書、個人事業主は個人事業の廃業等届出書

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P22〜P23。確認日: 2026年9月30日

M&A着手の証明がないと申請できません。仲介会社との契約書やマッチングサイトの登録メールは、捨てずに保管しておきましょう。

審査の観点と加点項目

審査では「なぜ廃業が必要か」「従業員や取引先への対応が決まっているか」「再チャレンジが実現できるか」の3点が見られます。 不採択の理由は問い合わせても教えてもらえないため、計画書の段階でこの3点に答えられるようにしておくことが大切です。

審査の3つの観点

  1. 再チャレンジを実現するために、既存事業の廃業(設備撤去・解体など)が必要な理由が明確か
  2. 廃業に向けた準備として、従業員の再就職方針、既存取引先への支払い方針、取引先の引き継ぎが明確か
  3. これまでの技術・ノウハウ・経験を踏まえて、再チャレンジが実現できる内容か

加点項目

  1. 再チャレンジする人の年齢が若い
  2. 再チャレンジの内容が「起業(個人事業主としての開業を含む)」である
  3. 賃上げ(補助事業完了年度の翌年度に、従業員1人あたりの給与支給総額を2%以上引き上げることを表明する)

賃上げ加点は、未達だとその後18か月間、中小企業庁の補助金で大きく減点されます。会社をたたむことを前提とする単独申請で賃上げ加点を選ぶ場合は、未達時のリスクを認定支援機関とよく確認してください。

再チャレンジ計画書の準備チェックリスト

審査の観点をもとに、計画書を書く前に整理しておきたい項目をまとめました。

  • M&Aに着手した時期・相談先・成約しなかった理由を説明できる
  • 廃業しないと再チャレンジできない理由(設備・借りている物件・資金・時間など)を説明できる
  • 従業員一人ひとりの再就職先の見通し、または支援の方針が決まっている
  • 仕入先・金融機関への支払いの見通しと、顧客・取引先を誰に引き継ぐかが決まっている
  • 再チャレンジの内容(起業・開業・就職・社会貢献)と、これまでの経験とのつながりを説明できる
  • 廃業費用の見積(1件50万円以上は2者以上)を取り、補助対象経費が75万円以上になることを確認した
  • 確認書を依頼する認定支援機関が決まっている

採択実績|申請件数そのものが非常に少ない枠

廃業・再チャレンジ枠は、事業承継・M&A補助金の中で最も申請件数が少ない枠です。 直近2回の公募結果は次のとおりです。

公募回

廃業・再チャレンジ枠 申請/採択

全枠合計 申請/採択

公表日

14次(2026年2月27日〜4月3日)

1件/1件

512件/311件

2026年5月15日

15次(2026年6月19日〜7月24日)

2件/1件

551件/338件

2026年9月11日

出典: ミラサポplus「【補助金採択結果】事業承継・M&A補助金(十五次公募)」(2026年9月30日確認)、中小機構 補助金活用ナビ(2026年9月14日確認)

母数が1〜2件と非常に少ないため、採択率を「採りやすさ」の目安にするのは適切ではありません。また、併用申請の件数は各枠の件数に含まれ、廃業費を含む併用申請が何件あったかは公表されていません。申請が少ない理由も公表されていないため、「自分は対象外だろう」と決めつけず、要件に当てはまるかを一度確認しておく価値はあります。

使う前に知っておきたい注意点

事業承継・M&A補助金 公式サイトに掲載された補助金活用の失敗例を解説するマンガ

この枠で最も多い落とし穴は「タイミング」と「お金の流れ」です。 廃業を急いでいる会社や、手元資金が少ない会社は、次の点を先に確認してください。

タイミングに関する注意点

  • 交付決定前に発注した経費は対象外です。16次公募の補助事業期間は2027年1月下旬(予定)からのため、それより前に解体や原状回復を発注すると補助されません
  • 補助事業期間(交付決定から14か月以内)に、廃業登記の完了または廃業届の受理まで終える必要があります。清算手続きの期間を司法書士・税理士と逆算しておきましょう
  • 賃貸物件の退去期限やリース満了日が交付決定より前に来る場合は、補助を受けられない可能性があります

お金の流れに関する注意点

  • 補助金は後払い(精算払い)です。解体費などはいったん全額を自己資金で払い、実績報告と額の確定の後に入金されます。公募要領でも、つなぎ融資の検討を促しています
  • 支払いは補助事業者名義の口座からの銀行振込、またはクレジットカードの1回払いのみです。現金払い、手形・小切手、QRコード決済などは対象外です
  • 補助対象経費は、対象会社と支配株主(または株主代表・個人事業主)が契約して支払ったものに限られ、ほかの株主が負担した分は対象外です
  • 補助金は受け取った事業年度の収益として計上され、法人税等の課税対象になります。清算中の会社で補助金を受け取る場合の処理は、必ず税理士にご相談ください

手続き・ルールに関する注意点

  • 1件50万円以上(税抜)の発注は原則2者以上の相見積が必要で、最も安い業者を選びます。50万円未満でも1社の見積は必要です
  • 申請書の作成を有償で代行できるのは行政書士(行政書士法人)だけです。それ以外の業者に有償で作成を頼むと行政書士法違反となる可能性があり、交付決定の取消しにつながることもあります
  • 申請者本人が内容を理解しないまま申請した場合も、交付決定後に取り消されることがあります
  • 交付後は、完了年度から1年間の事業化状況報告、帳簿・証拠書類の5年間の保存が必要です。虚偽申請などの不正受給には、交付取消し・加算金(年10.95%)・名称の公表・刑事罰があります

すでに別の補助金(ものづくり補助金など)で取得した設備を解体・処分する場合は、財産処分の制限がかかっていることがあります。補助金受給企業のM&A 返還義務・承継の注意点ガイドもあわせて確認してください。

つなぎ資金の調達や、廃業後の起業資金を考えている方は、日本政策金融公庫 事業承継・M&A融資 活用ガイドも参考になります。

廃業・再チャレンジ枠の活用をおすすめする経営者/おすすめしない経営者

この枠が役立つのは、「M&Aを試したが成約せず、会社をたたんで次の挑戦に移りたい」オーナーで、廃業費用がある程度かかり、廃業の時期を2027年以降に調整できる方です。

活用をおすすめする経営者

  • 2020年以降に、事業承継・引継ぎ支援センターや登録M&A支援機関、マッチングサイトを通じて売却を試したが成約しなかった
  • 自社工場の解体、借りている店舗・事務所の原状回復、在庫処分などで、廃業費用が75万円(税抜)以上かかる見込みがある
  • 廃業後に起業・開業・就職など、次にやることが決まっている(または具体的に描ける)
  • 従業員の再就職先や取引先の引き継ぎについて、ある程度めどが立っている
  • 解体や退去の時期を、交付決定(2027年1月下旬予定)の後にずらせる
  • 事業の一部を売却する予定で、残りの事業の撤退費用も補助を受けたい(専門家活用枠との併用)

おすすめしない(使えない可能性が高い)経営者

  • M&Aに着手していない、または知人経由など自分だけで買い手を探していた
  • 締切日(2026年11月6日)時点で、M&A着手から3か月が経っていない
  • 賃貸物件の退去期限などの関係で、年内〜2027年1月までに廃業を終えなければならない
  • 廃業費用が少なく、補助対象経費が75万円に届かない
  • 在庫を買取業者に売って現金化する予定が中心(対価を得る処分は対象外)
  • 廃業後の予定がまったく決まっておらず、再チャレンジ計画を書けない
  • 白色申告の個人事業主

「使えない」に当てはまっても、M&Aの可能性が残っているなら、次の公募までに登録M&A支援機関などを通じて売却を試すことで、状況が変わることがあります。

申請前に相談できる窓口

中小企業基盤整備機構 事業承継・引継ぎ支援センターのポータルサイト画像

申請できるかどうかの判断は、事務局と認定支援機関に相談するのが確実です。 相談内容に応じて、次の窓口を使い分けてください。

相談したいこと

相談先

要件・対象経費・申請手続き

事業承継・M&A補助金事務局(廃業・再チャレンジ枠)050-3145-3812(平日9:30〜12:00/13:00〜17:00)

再チャレンジ計画の確認書

認定経営革新等支援機関(顧問税理士・金融機関・中小企業診断士など)

M&Aの可能性・売却先探し

事業承継・引継ぎ支援センター(無料)

解散・清算の登記

司法書士

清算期の税務・補助金の課税

税理士

中小M&A支援での不適切な事例

M&A支援機関登録制度の情報提供窓口

出典: 16次公募要領(廃業・再チャレンジ枠)P39。確認日: 2026年9月30日

会社を売るか・たたむかの全体の流れは、会社売却とは・流れ完全ガイドで確認できます。

よくある質問

清算手続き中の会社や休眠会社でも申請できますか?

公募要領には、清算中の会社や休眠会社の扱いについて直接の記載は見当たりません(2026年9月30日確認)。単独申請は「補助事業期間内に廃業を完了させる」ことを前提とした仕組みのため、すでに解散している会社が対象になるかは、申請前に事務局へ確認してください。破産や特別清算は通常の廃業と扱いが異なる可能性があるため、弁護士への相談もおすすめします。

補助金が入る前に会社の清算を終えてしまっても受け取れますか?

実績報告では法人の閉鎖事項全部証明書を提出する仕組みのため、廃業(清算結了)の後に報告・入金が行われる流れが想定されています。ただし、清算結了後の入金口座や、入金された補助金を誰がどう受け取るか(残余財産の扱い)については公募要領で確認できませんでした。事務局と税理士・司法書士に事前に確認しておくと安心です。

在庫を買取業者に引き取ってもらった場合は補助されますか?

在庫を売って対価を受け取る場合(キックバックを含む)は、在庫廃棄費の対象外です。専門業者に費用を払って処分してもらう場合が対象です。一部を売却し、残りを有償で処分する場合は、どの部分が対象になるか事務局に確認してください。

再チャレンジは起業でなければいけませんか?

起業でなくても構いません。公募要領では、法人設立・個人事業での開業のほか、自分の知識・経験を活かせる企業への就職や社会貢献も再チャレンジの例として挙げています。ただし、起業は加点項目なので、審査上は起業の方が有利になります。

以前に知人の紹介で買い手を探したことがあります。対象になりますか?

申請者が自分で買い手を探しただけの場合は、単独申請の対象外です。着手と認められるのは、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、M&A支援機関との着手に関する契約、M&Aマッチングサイトへの登録で、原則として登録M&A支援機関による支援に限られます。今から支援機関に相談しても16次公募には間に合わない可能性が高いため、次回以降の公募を視野に入れて検討してください。

17次公募はありますか?

2026年9月30日時点で、17次公募の有無や時期は公式に発表されていません。16次に間に合わない方は、公式サイトのお知らせを定期的に確認してください。

まとめ

  • 廃業・再チャレンジ枠は、M&Aが成約しなかった会社の廃業費用の2/3・最大300万円を補助する枠
  • 会社ごとたたむなら単独申請、一部を売って残りをたたむなら専門家活用枠などとの併用申請
  • 単独申請は2020年以降に登録M&A支援機関などを通じたM&A着手と、締切時点で3か月以上の経過が前提
  • 補助対象経費が75万円未満だと申請不可。廃業支援費が75万円以下なら450万円以上で上限300万円。司法書士・税理士費用の補助は50万円まで
  • 16次公募は2026年10月2日〜11月6日17:00に受付。交付決定(2027年1月下旬予定)前の発注は対象外
  • 補助金は後払いで課税対象。清算手続き・税務は専門家に相談を

廃業を決める前にもう一度売却の可能性を探りたい方は、M&Aか廃業か 比較・判断基準やM&A仲介会社の選び方もあわせてご覧ください。

補助金の要件・金額・日程は公募回ごとに変わる可能性があります。申請前に必ず最新の公募要領と事務局の案内をご確認ください。会社の清算手続きや補助金の税務処理など、個別の判断は税理士・司法書士・認定支援機関などの専門家にご相談ください。

出典一覧(確認日: 2026年9月30日)

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