M&A仲介会社との関係を解消したい場合、法的には「いつでも契約解除が可能」です。 ただし、テール条項や違約金条項の存在により、実際の解除には注意すべきポイントがいくつかあります。
この記事では、以下の内容をわかりやすく整理しています。
- 営業電話・DMの断り方 — しつこい勧誘を丁寧かつ確実に断る方法
- 仲介契約(アドバイザリー契約)の解除手順 — 5ステップの具体的な進め方
- 違約金・テール条項のリスクと対処法 — 解除後に費用が発生するケースと防ぎ方
- 交渉プロセス途中での辞退 — 段階別の法的拘束力とリスク
- 契約前に確認すべきチェックリスト — トラブルを未然に防ぐ予防策
この記事はこんな方に向けて書いています:
- M&A仲介会社からの営業を断りたい経営者
- 契約中の仲介会社を変更したい・契約を解除したい売り手オーナー
- 仲介契約を結ぶ前に、解除条件を確認しておきたい方
注意: 本記事の法的な内容は一般的な情報提供を目的としています。個別の契約解除については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。
M&A仲介会社を「断る」3つの場面を整理

M&A仲介会社との関係で「断りたい」「やめたい」と感じる場面は、大きく3つに分けられます。場面ごとに対処法やリスクが異なるため、まず自分がどの段階にいるのかを確認しましょう。
場面 | 具体的な状況 | 法的リスク | 対処の難易度 |
|---|---|---|---|
① 営業アプローチの段階 | 電話・DM・手紙で勧誘を受けている | なし | 低い |
② 仲介契約の締結後 | アドバイザリー契約・仲介契約を締結済み | テール条項・違約金の可能性あり | やや高い |
③ M&A交渉プロセスの途中 | 基本合意後・DD中・最終契約前で辞退したい | 段階により異なる(後述) | 高い |
以下では、それぞれの場面について具体的な対処法を解説します。
【場面①】M&A仲介会社の営業電話・DMの断り方
結論から言えば、営業アプローチの段階では法的リスクはゼロです。 契約を結んでいない以上、断ることに何の制約もありません。ただし、断り方のマナーと明確さが重要です。
そのまま使える断り文句(3パターン)
パターン1:売却を検討していない場合
「お電話ありがとうございます。現在M&Aは検討しておりません。今後のご連絡も不要です。検討が必要になった際はこちらからお問い合わせいたします」
パターン2:後継者がいる場合
「後継者がおりますので、第三者への売却は考えておりません。お気持ちだけ頂戴いたします」
パターン3:既に専門家がいる場合
「M&Aについては顧問の専門家がおりますので、外部からのご提案は受け付けておりません」
営業を断る際の3つのポイント
- 曖昧な返答をしない — 「今はちょっと…」「検討しておきます」は「まだ可能性がある」と判断され、再度連絡が来る原因になります
- 丁寧だが明確に断る — 邪険な対応は企業イメージに影響します。落ち着いたトーンで、しかし「不要です」と明言しましょう
- 担当者名と会社名を控える — 同じ会社から別の担当者が再架電してくることがあります。「○月○日に○○様からお電話いただき、お断りしました」と伝えられるようにしておくと効果的です
【場面②】仲介契約(アドバイザリー契約)を解除する方法

結論:法的にはいつでも解除できる
M&A仲介契約は法的には「準委任契約」の性質を持ち、民法651条1項により「各当事者がいつでもその解除をすることができる」とされています。
ただし、民法651条2項(2020年4月改正)により、以下の場合は損害賠償義務が発生する可能性があります。
- 相手方にとって不利な時期に解除した場合
- 受任者(仲介会社)の利益をも目的とする契約を、委任者(売り手)が解除した場合
「やむを得ない事由」がある場合は、損害賠償なしでの解除が認められます(出典:マネーフォワード 委任契約の解除、確認日:2026年4月16日)。
契約解除の5ステップ
以下の手順で進めるのが一般的です。
Step 1:契約書の解除条項を精読する
まず手元の契約書で以下の4点を確認します。
- 解除通知期間 — 「解除の○日前までに書面で通知」等の定めがあるか
- 自動更新の有無 — 契約期間満了後に自動更新される条項はないか
- 違約金条項 — 中途解約時の違約金が定められているか
- テール条項 — 契約終了後の成功報酬支払い義務の有無・期間・対象範囲
Step 2:担当者に解除の意向を伝える
口頭またはメールで解除の意思を伝え、合意解約の可能性を探ります。相手が合意すれば、もっともスムーズに解消できます。
ポイント: メール等の記録に残る方法で連絡することが重要です。電話のみの連絡だと「聞いていない」とされるリスクがあります。
Step 3:正式な解除通知書を送付する
合意が得られない場合、または確実に記録を残したい場合は、内容証明郵便で解除通知書を送付します。
<解除通知書の記載例>
令和○年○月○日
株式会社△△(仲介会社名)
代表取締役 ○○○○ 殿
通知人 株式会社□□(自社名)
代表取締役 ○○○○
契約解除通知書
当社は、貴社との間で令和○年○月○日付で締結した
M&A仲介契約(以下「本契約」)について、
民法第651条第1項に基づき、本書面をもって
本契約を解除いたします。
つきましては、本契約に基づく関連資料の返却及び
精算手続きについて、○日以内にご連絡くださいますよう
お願いいたします。
なお、テール条項に基づく対象企業リストの確定について、
別途協議させていただきたく存じます。
以上
※ これは一般的な参考例です。実際の送付にあたっては、契約内容に応じて弁護士に作成を依頼することを強くおすすめします。
Step 4:関連資料の返却と精算手続き
- 仲介会社に預けた自社の財務資料・企業概要書等の返却を求める
- 実費精算が必要な場合は内容を確認し、不当な請求がないかチェックする
Step 5:テール条項の対象企業リストを確定させる
テール条項がある場合、「仲介会社が紹介した相手先企業」のリストを明確にしておくことが極めて重要です。リストが曖昧だと、解約後にどの相手と成約しても「当社が紹介した」と主張されるリスクがあります。
違約金なしで解除できるケースと法的根拠
すべての契約解除で違約金が発生するわけではありません。以下の法的根拠に基づき、違約金なしで解除できるケースがあります。
法的根拠 | 適用される場面 | ポイント |
|---|---|---|
民法651条1項(任意解除権) | 原則としていつでも | 委任契約はいつでも解除可能。ただし損害賠償の可能性あり |
民法541条(債務不履行による解除) | 仲介会社が業務を果たしていない場合 | 買い手紹介がない・活動報告がない等、「やるべきことをやっていない」場合に有効 |
民法1条2項(信義則違反) | 仲介会社の著しく不誠実な対応 | 囲い込み・利益相反的な行為がある場合 |
民法90条(公序良俗違反) | 著しく不当な契約条項 | 実際の損害を大幅に超える違約金等は無効になりうる |
特に重要なのは「債務不履行」を理由とする解除です。 仲介会社が買い手の紹介をほとんど行っていない、活動報告がない、連絡が取れないといった状況は、仲介会社側の債務不履行にあたる可能性が高く、この場合は違約金なしで解除できる根拠になります。
補足: 弁護士の八木啓介氏(YPS法律事務所)は「M&A仲介会社と契約を締結するタイミングから弁護士に業務を依頼することが望ましい」と指摘しています(出典:YPS法律事務所コラム、確認日:2026年4月16日)。
契約解除時に発生しうる費用の全体像
契約解除の際に「結局いくらかかるのか」は、売り手オーナーが最も気になるポイントです。 費用は契約内容によって大きく異なりますが、一般的に発生しうる費用を整理します。
費用の種類 | 発生条件 | 金額の目安 | 回避・軽減の方法 |
|---|---|---|---|
実費精算 | 契約書に実費精算条項がある場合 | 数万〜数十万円(企業概要書作成費・交通費等) | 合意解約で免除交渉が可能な場合あり |
違約金 | 契約書に違約金条項がある場合 | 契約により異なる | 債務不履行を理由にすれば減額・免除の可能性あり |
テール条項に基づく成功報酬 | 解約後、テール期間内に仲介会社が紹介した相手と成約した場合 | 成功報酬の全額(レーマン方式等で計算) | 対象企業リストの明確化・テール期間の短縮交渉 |
着手金(返金なし) | 既に着手金を支払っている場合 | 50万〜200万円程度(一般的な水準) | 着手金無料の会社を選ぶことで回避 |
※ 上記の金額はあくまで一般的な目安です。個別の契約内容により大きく異なるため、正確な金額は契約書の確認と専門家への相談が必要です。
テール条項による「二重コスト」に注意
仲介会社を乗り換える際に最も注意すべきは、テール条項と新しい仲介会社の手数料が二重に発生するリスクです。
例えば、A社との仲介契約を解除してB社に切り替えた場合、A社が紹介していた買い手候補とB社の仲介で成約すると、A社のテール条項による成功報酬とB社の成功報酬の両方が請求される可能性があります。
対策: 新しい仲介会社に切り替える際は、前の仲介会社のテール条項の対象企業リストを新しい仲介会社と共有し、対象企業を交渉先から除外するか、事前に対応方針を決めておきましょう。
テール条項とは?契約解除後も残る支払い義務

テール条項の仕組み
テール条項とは、仲介契約を解除した後でも、一定期間内に仲介会社が紹介した相手とM&Aが成立した場合に、成功報酬の支払い義務が生じる条項です。
仲介会社の立場としては「自社が紹介した案件で成約したのだから報酬を受け取る権利がある」という主張の根拠となる条項ですが、売り手にとっては契約解除後も実質的に制約が残ることになります。
中小M&Aガイドライン(第3版)の規定
2024年8月に改訂された経済産業省「中小M&Aガイドライン」第3版では、テール条項について以下のように定めています(出典:経済産業省プレスリリース、確認日:2026年4月16日)。
- テール期間は最長でも2〜3年以内が目安
- テール条項の対象は、仲介会社が実際に紹介した相手先企業に限定すべき
- 「もはや仲介契約での支援の効果もなくなっているにもかかわらず手数料が生じるとすれば、M&Aを断念しなければならなくなることもあり得る」ため、適切な期間設定が必要
テール条項のチェックポイント
契約書のテール条項を確認する際は、以下の点をチェックしてください。
- テール期間 — 何年間有効か。弁護士の八木啓介氏は「1年〜1年半程度あれば十分」と指摘しています(出典:YPS法律事務所コラム)
- 対象の範囲 — 「仲介会社が紹介した相手先」に限定されているか。無限定のテール条項は要注意
- 対象企業リスト — 具体的にどの企業が対象なのかが明記されているか
- テール期間内の活動制限 — 他の仲介会社を通じた活動に制限はあるか
関連記事: テール条項の詳しい仕組みや期間の目安については、「テール条項とは?M&A契約における期間・注意点を解説」もあわせてご覧ください。
【場面③】M&A交渉プロセス途中での辞退・断り方
M&Aの交渉プロセスでは、段階が進むほど辞退の法的リスクが高くなります。 以下の表で各段階のリスクを確認してください。
交渉段階 | 法的拘束力 | 辞退の可否 | 違約金リスク | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
NDA(秘密保持契約)締結後 | 秘密保持のみ拘束 | 交渉辞退は自由 | なし(通常) | 秘密保持義務は辞退後も継続 |
意向表明書(LOI)提出後 | 法的拘束力なし(一般的) | 辞退可能 | なし(通常) | 相手方への早期連絡がマナー |
基本合意書(MOU)締結後 | 部分的(独占交渉権等) | 辞退は可能だが慎重に | 独占交渉権違反のリスク | 独占交渉権条項の内容を確認 |
最終契約書(SPA)締結後 | 全条項に法的拘束力 | 正当事由が必要 | 高い | 弁護士への相談が必須 |
(出典:M&A総合研究所「M&Aの違約金」、確認日:2026年4月16日)
基本合意後〜DD中の辞退が最も判断が難しい
実務上、最も悩むのは基本合意書(MOU)締結後からデューデリジェンス(DD)中の辞退です。
基本合意書には通常「独占交渉権」が含まれており、この期間中に他の買い手候補と交渉すると違約金が発生する場合があります。ただし、DDで重大な問題が発覚した場合など「正当な理由」があれば、辞退は認められるのが一般的です。
辞退を決めた場合のマナー:
- できるだけ早く相手方と仲介会社に連絡する
- 辞退の理由を誠実に説明する(詳細すぎる説明は不要)
- 書面で正式に辞退の意思を伝える
- 秘密保持義務を遵守する(DDで知った情報は厳守)
こんな状況なら仲介契約の解除を検討すべき
以下のサインが見られる場合は、契約解除を積極的に検討すべきです。 「もう少し待てば」と思って放置すると、時間と機会損失が膨らむ一方です。
解除を検討すべき5つのサイン
- 担当者と連絡が取れない(音信不通) — メールの返信が数日以上ない、電話がつながらない状況が続く場合。これは仲介会社側の債務不履行にあたる可能性が高い
- 長期間「在庫案件化」している — 契約から数ヶ月経過しても買い手の紹介がなく、活動報告も不十分。「探しています」の一点張りで具体的な進捗がない
- 企業概要書(IM)の品質が低い — 買い手に送る資料の内容が不正確、または自社の魅力が十分に伝わらない内容になっている
- 囲い込みの兆候がある — セカンドオピニオンの取得を妨害される、他の仲介会社への相談を強く牽制される
- 利益相反が疑われる — 買い手側に有利な条件を押し付けてくる、売却価格を不当に低く誘導している印象がある
(出典:みつきコンサルティング、STRコンサルティング、確認日:2026年4月16日)
実際に専任契約の解除に至った事例
実務では、以下のような経緯で契約解除に至ったケースが報告されています。
事例 | 状況 | 解決方法 |
|---|---|---|
事例A | 担当アドバイザーが突然連絡不通に | メールで「3日以内に返答がない場合、契約解消する」と通知。期限経過後に一方的解除 |
事例B | 半年以上、買い手紹介がない(在庫案件化) | 毎週の活動報告を要求し、対応の不備を記録。1ヶ月後に解除の合意を獲得 |
事例C | 企業概要書の品質が低く、何度修正依頼しても改善されない | 修正履歴を記録し、「業務品質が契約の趣旨に反する」として解除を申し入れ |
(出典:STRコンサルティング「専任アドバイザリー契約の功罪と解除事例」)
共通のポイント: いずれの事例でも、メール等の記録に残る形で不備を指摘し、対応を要求していたことが、スムーズな解除につながっています。
注意: すべてのケースで同様の結果になるとは限りません。契約解除にあたっては弁護士への事前相談をおすすめします。
仲介会社を乗り換える際の注意点と手順
仲介契約を解除した後、別のM&A仲介会社に切り替える場合は、以下の手順で進めましょう。
乗り換え時のステップ
Step 1:テール条項の対象企業リストを確定する
前の仲介会社が紹介した買い手候補のリストを書面で確定させます。このリストが曖昧だと、後に新しい仲介会社経由で成約した際にトラブルの原因になります。
Step 2:セカンドオピニオンを活用する
中小企業庁は「仲介・FA契約及び業務内容に関するセカンドオピニオン」の活用を推奨しています。事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関への相談は、専任契約中でも可能です(出典:中小M&Aガイドライン、確認日:2026年4月16日)。
Step 3:新しい仲介会社を選定する
乗り換え先を選ぶ際は、前の仲介会社で感じた不満の原因を明確にし、以下の点を重視しましょう。
チェックポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
活動報告の頻度 | 定期的な活動報告を約束できるか |
テール条項の扱い | 前の仲介会社のテール対象企業を把握した上で動けるか |
契約期間と解除条項 | 契約期間は適切か。中途解約条項はあるか |
専任 or 非専任 | 専任契約を強要されないか |
登録M&A支援機関かどうか | 中小企業庁の登録を受けた機関か |
Step 4:新しい仲介会社に引き継ぎ事項を共有する
- 前の仲介会社との契約内容(テール条項の対象企業リスト含む)
- これまでのM&Aプロセスの進捗
- 秘密保持契約の範囲
- 自社の希望条件や譲れないポイント
関連記事: 仲介会社の選び方については「M&A仲介会社おすすめ比較」をご覧ください。専任契約と非専任契約の違いは「M&A 専任契約 vs 非専任契約の違い・選び方」で詳しく解説しています。
トラブルを防ぐ「契約前」のチェックリスト

仲介契約のトラブルの多くは、契約前の確認不足が原因です。 以下のチェックリストを使って、契約締結前に解除条件を含む重要事項を確認してください。
契約書の確認チェックリスト
【契約期間・解除条件】
- □ 契約期間は明確に定められているか(6ヶ月〜1年が一般的)
- □ 自動更新条項はあるか。ある場合、更新拒否の通知期限はいつか
- □ 中途解約条項はあるか。解約通知は何日前までに必要か
- □ 解約時の違約金条項はあるか。金額または計算方法は明記されているか
【テール条項】
- □ テール期間は何年か(ガイドラインの目安は最長2〜3年以内)
- □ テール条項の対象は「仲介会社が紹介した相手先企業」に限定されているか
- □ 対象企業リストの確定方法は定められているか
【専任条項】
- □ 専任契約か非専任契約か
- □ 専任の場合、セカンドオピニオンの取得は認められているか
- □ 専任期間は適切か(中小M&Aガイドラインは「長期間にしないよう留意」と規定)
【手数料】
- □ 着手金の有無と金額
- □ 成功報酬の計算方式(レーマン方式の場合、最低報酬額はいくらか)
- □ 中間金の有無と発生タイミング
- □ 実費精算の範囲と上限
【業務内容】
- □ 仲介会社が行う業務の範囲が具体的に記載されているか
- □ 活動報告の頻度と方法は定められているか
- □ 重要事項説明を受けたか(中小M&Aガイドライン第3版で義務化)
ポイント: 中小M&Aガイドライン第3版では、仲介契約の締結前に重要事項の書面交付・明確な説明が必要とされています。手数料の計算例・支払時期・中途解約時の取り扱いまで説明を求める権利があります。説明が不十分なまま契約を急かされた場合は、契約を見送ることも選択肢です。
こんな企業は契約見直しを検討すべき / 今の仲介会社を継続した方がよいケース
仲介契約の見直し・解除を検討すべき企業
- 契約から3ヶ月以上経過しても、具体的な買い手候補の紹介がない
- 担当者の対応が遅く、連絡がつかないことが多い
- 企業概要書や提案資料の品質に不満がある
- 手数料体系や契約条件の説明が不十分だった
- 「他の仲介会社に相談しないでください」と強く言われた(ガイドラインではセカンドオピニオンを推奨)
- 売却希望価格と大きく乖離した価格を提示され続けている
今の仲介会社を継続した方がよい企業
- 定期的な活動報告があり、具体的な進捗が見えている
- 買い手候補との面談が進んでいる段階
- 担当者との信頼関係ができており、コミュニケーションに問題がない
- 契約期間の残りが短く、満了を待った方がテール条項のリスクを抑えられる
- 解除後にすぐ別の仲介会社を見つけられる見通しがない
判断に迷う場合は、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。 専任契約中であっても、公的機関への相談はガイドライン上認められています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 専任契約中でも他の仲介会社に相談できますか?
A. セカンドオピニオンとしての相談は可能です。 中小企業庁の中小M&Aガイドラインでは、専任契約中であっても「他の業者に意見を求めること(セカンドオピニオン)」は認められるべきと明記されています。ただし、正式に別の仲介会社と仲介契約を締結する場合は、先に現在の契約を解除する必要があります。
Q2. テール条項があると、解約後は一切M&Aできなくなるのですか?
A. そのようなことはありません。 テール条項の対象は、その仲介会社が紹介した特定の相手先企業に限定すべきものです。対象企業以外とのM&Aには影響しません。ただし、契約書上の対象範囲が曖昧な場合はトラブルになりやすいため、解約時にリストを確定させておくことが重要です。
Q3. 違約金を請求された場合、必ず支払わなければなりませんか?
A. 必ずしもそうとは限りません。 実際の損害額を著しく超える違約金は、法的に減額が認められる場合があります(民法90条・公序良俗違反)。また、仲介会社側に債務不履行がある場合は、違約金の支払い義務が発生しない可能性もあります。高額な違約金を請求された場合は、弁護士に相談してください。
Q4. 仲介契約の解除には弁護士が必要ですか?
A. 必須ではありませんが、依頼することを強くおすすめします。 合意解約でスムーズに解消できるケースでは弁護士なしでも進められます。しかし、テール条項や違約金が絡む場合、または仲介会社が解除に応じない場合は、弁護士の関与が解決を早め、不利な条件を防ぐことにつながります。弁護士の八木啓介氏も「契約締結時から弁護士に依頼することが望ましい」と述べています。
Q5. 着手金は返金されますか?
A. 一般的には返金されません。 着手金は仲介業務の開始対価として支払われるもので、契約解除しても返金されないケースがほとんどです。ただし、仲介会社側の重大な債務不履行が認められる場合は、返金請求が認められる可能性もあります。着手金のリスクを避けたい場合は、契約時に着手金無料の仲介会社を選ぶことも一つの方法です。
Q6. 営業電話がしつこい場合、法的に止めさせることはできますか?
A. 明確に断ったにもかかわらず繰り返し営業される場合は、対応可能です。 まず、書面(メール可)で「今後の営業連絡をお断りします」と通知してください。それでも続く場合は、相手企業のコンプライアンス部門に連絡するか、登録M&A支援機関であれば中小企業庁の相談窓口に報告することも検討できます。
まとめ:M&A仲介会社の断り方・契約解除で押さえるべきポイント
M&A仲介会社との関係解消は、以下のポイントを押さえておけば、過度に恐れる必要はありません。
- 営業段階の断りは気負わずに — 明確に断れば法的リスクはゼロ
- 仲介契約は法的にいつでも解除できる — 民法651条で保護されている。ただし、テール条項・違約金には注意
- 仲介会社側に問題があれば、より有利に解除できる — 債務不履行は強力な根拠
- テール条項の対象企業リストを必ず確定させる — 曖昧なまま解除すると後のトラブルの原因に
- 契約前のチェックが最も重要 — 中小M&Aガイドライン第3版の規定を知っておくことで、交渉力が大幅に上がる
- 迷ったらセカンドオピニオンを — 公的機関への相談は専任契約中でも可能
契約解除を検討している方は、まず契約書を手元に用意し、この記事のチェックリストで解除条件を確認することから始めてみてください。 判断に迷う場合は、弁護士や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談をおすすめします。
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