建築設計事務所のM&A仲介会社おすすめ10社比較【2026年】手数料・最低報酬・管理建築士の承継まで解説
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建築設計事務所のM&A仲介会社おすすめ10社比較【2026年】手数料・最低報酬・管理建築士の承継まで解説

建築設計事務所の売却・事業承継に対応するM&A仲介会社10社を、設計特化型・建設業特化型・大手・プラットフォームに分けて比較。着手金・最低報酬・設計事務所での実績を公式情報で整理し、事務所の規模別おすすめと管理建築士の引き継ぎで失敗しない選び方を解説します。

M&A比較レビュー編集部2026/10/411分で読める

建築設計事務所の売却では、まず「設計特化型の仲介会社」と「大手・中堅の仲介会社」に並行して相談し、最低報酬額と管理建築士の引き継ぎ方まで確認してから1社に絞るのが現実的です。 設計事務所は譲渡額が数千万〜数億円の案件が多く、大手の最低報酬(2,000万〜2,500万円)が手取りを大きく削ることがあります。そのため、知名度だけで選ぶと手取りが想定より少なくなりかねません。

この記事でわかること

  • 建築設計事務所の売却に対応する主要10社の手数料・対象規模・設計事務所での実績(2026年10月5日時点の公式情報)
  • 個人事務所・小規模法人・中堅法人など、事務所の規模別のおすすめ
  • 譲渡額5,000万円/1億円/3億円で、最低報酬が手取りにどう効くかの試算
  • 管理建築士・建築士事務所登録・設計図書の保存義務など、設計事務所ならではの確認事項

この記事が役立つ方:後継者不在や引退を理由に、意匠・構造・設備設計事務所やPM/CM会社の売却・事業承継を考えているオーナー建築士・経営者の方。

先に結論

  1. 譲渡額が1億円前後までなら、最低報酬額が低いか非公開の設計特化型・プラットフォーム型を先に当たる
  2. 従業員10名以上・利益数千万円規模なら、設計特化型+大手/中堅を並行して買い手の幅を確保する
  3. どの会社を選ぶ場合も、「売却後の管理建築士を誰が務めるか」を最初の面談で相談できるかで見極める

※手数料・実績は2026年10月5日に各社公式サイトで確認した内容です。改定されることがあるため、契約前に必ず書面の見積もりで確認してください。建築士法上の手続き・税務・契約の判断は、行政書士・税理士・弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

建築設計事務所のM&A仲介会社おすすめ10社 比較表

建築設計事務所のM&A仲介会社10社を設計特化型・建設業特化/中堅・大手・プラットフォームの4タイプに分類した図解

建築設計事務所の売却に対応する仲介会社は、大きく次の4タイプに分かれます。まずは一覧で違いを把握してください。

仲介会社

タイプ

着手金

中間金

成功報酬の基準

最低報酬

設計事務所関連で確認できた実績

設計事務所M&A(青山芸術)

設計特化

0円

0円(月額も0円)

レーマン方式(料率・基準額は非公開)

非公開

登録6,000社以上・50,000名以上(成約件数は非公開)

設計事務所M&A総合センター(M&A Do)

設計特化窓口

0円

0円

譲渡企業は成功報酬も0円

—

公式サイトに件数の記載なし

アドバイザリー株式会社

地域系(名古屋)

公式で未掲載

公式で未掲載

公式で未掲載

公式で未掲載

設計事務所の成約4件(2026年5月時点)

M&Aベストパートナーズ

建設業特化

0円

基本合意時に250万円または成功報酬の10%

株式価値ベースのレーマン方式

公式で未掲載

建設業の譲受候補ネットワーク15,000社超(設計単体の件数なし)

オンデック

中堅中小向け

書類作成費30万円(契約時)

基本合意時に成功報酬の10%(成功報酬に充当)

時価純資産額ベースのレーマン方式

2,000万円(仲介)

構造設計事務所の成約インタビュー公開(2023年成約)

日本M&Aセンター

大手

あり(金額非公開)

公式で未掲載

時価総資産額ベースのレーマン方式

非公開

建築設計の譲渡案件を公開中(件数は非公開)

M&Aキャピタルパートナーズ

大手

0円

相手先決定後に総報酬の約10%

株価ベースのレーマン方式

非公開

設計事務所単体の件数は非公開

ストライク

大手

0円

基本合意報酬100万円〜300万円+税(資産規模による)

オーナー受取額ベース。4億円まで一律2,000万円

実質2,000万円

設計事務所単体の件数は非公開

M&A総合研究所

大手

0円

0円

譲渡価格ベースのレーマン方式(完全成功報酬)

2,500万円

設計事務所単体の件数は非公開

バトンズ

プラットフォーム

0円

0円

株式譲渡はプレミアムサポート必須(価格帯別の定額〜成約価格の5%)

200万円(税込220万円)〜

「建築設計」カテゴリに売却案件352件掲載

出典:各社公式サイトの料金・サービスページ(設計事務所M&A/設計事務所M&A総合センター/アドバイザリー/M&Aベストパートナーズ/オンデック/日本M&Aセンター/M&Aキャピタルパートナーズ/ストライク/M&A総合研究所/バトンズ)。確認日:2026年10月5日

表の読み方の注意

  • 「レーマン方式」は報酬の基準になる金額(時価総資産・株価・譲渡価格など)によって料率をかける仕組みです。同じ「5%」でも基準が違えば報酬額は変わります
  • 「登録社数」「成約件数」「掲載件数」は会社ごとに定義が異なります。数字の大小をそのまま実力の差と読まないでください
  • 「公式で未掲載」「非公開」の項目は、面談で書面による提示を求めるのが原則です

業種を問わない仲介会社の比較はM&A仲介会社 比較(売り手向け)、ゼネコン・工事会社向けは建設業のM&A仲介会社おすすめで詳しく整理しています。

事務所の規模・状況別のおすすめ早見表

どの仲介会社が合うかは、事務所の形態(個人か法人か)と想定譲渡額でおおむね決まります。下表を出発点に、2〜3社へ相談先を絞ってください。

事務所の状況

最初に相談したいタイプ

候補

理由

個人事務所・譲渡額数百万〜数千万円

プラットフォーム、設計特化型

バトンズ、設計事務所M&A、設計事務所M&A総合センター

大手の最低報酬(2,000万円〜)では手取りが残りにくい

法人・従業員10名未満・譲渡額1億円前後まで

設計特化型を軸に中堅を比較

設計事務所M&A、設計事務所M&A総合センター、アドバイザリー

設計業界の買い手網を持つ会社で、最低報酬の負担を抑えやすい

法人・従業員10〜30名・利益数千万円

設計特化型+大手/中堅を並行

上記+オンデック、M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンター

ゼネコン・設計大手・不動産会社まで買い手の幅を広げられる

構造・設備設計で技術者が多い

設計特化型+中堅

設計事務所M&A、オンデック、M&Aキャピタルパートナーズ

総合設計化・BIM対応を進める設計会社の買い手需要がある

設計施工の会社・工務店に売りたい

建設業に強い会社

M&Aベストパートナーズ、日本M&Aセンター

建設会社側の買い手ネットワークを持つ

中部地方・官公庁案件が中心

地域系

アドバイザリー(名古屋)、取引のある地方銀行

地域の発注者との関係維持を重視しやすい

迷ったときの選び分け

  • 「売却後も数年は自分が管理建築士として残れる」 → 買い手の選択肢が広がるため、大手・中堅にも並行して相談する価値がある
  • 「すぐに引退したい・管理建築士の後任が社内にいない」 → 建築士の人材網を持つ設計特化型や、管理建築士を出せる同業の買い手と組みやすい会社を優先
  • 「個人事務所で、事業(顧客・図面・スタッフ)だけ引き継いでほしい」 → 事業譲渡に対応するプラットフォームや設計特化型から当たる

株式譲渡と事業譲渡の違いは株式譲渡と事業譲渡の比較で詳しく解説しています。

手数料は「最低報酬」で手取りが大きく変わる

譲渡額5,000万円・1億円・3億円での成功報酬を最低報酬の有無別に比較した棒グラフ

設計事務所の売却で手数料を比べるときは、料率よりも先に最低報酬額を確認してください。譲渡額が小さいほど、最低報酬が実質的な手数料率を押し上げるためです。

譲渡額別の成功報酬試算

報酬の基準額を譲渡額と同じと仮定し、税抜きで計算した概算です。

想定譲渡額

レーマン方式5%のみ(最低報酬なし)

最低報酬2,000万円の会社

最低報酬2,500万円の会社

売り手の成功報酬0円モデル

5,000万円

250万円(5%)

2,000万円(実質40%)

2,500万円(実質50%)

0円

1億円

500万円(5%)

2,000万円(実質20%)

2,500万円(実質25%)

0円

3億円

1,500万円(5%)

2,000万円(実質約6.7%)

2,500万円(実質約8.3%)

0円

※最低報酬2,000万円はオンデック(仲介)・ストライク(4億円まで一律)、2,500万円はM&A総合研究所の公式掲載値(2026年10月5日確認)。実際の基準額は会社ごとに異なり(時価総資産・株価・オーナー受取額・譲渡価格・時価純資産)、着手金・中間金・消費税も別途かかる場合があります。実額は必ず各社の見積もりで確認してください。

この試算から、次の2点が読み取れます。

  • 譲渡額1億円前後までの設計事務所では、最低報酬の有無が手取りを最も大きく左右する
  • 譲渡額が3億円を超えてくると、最低報酬の影響は薄まり、買い手の幅やサポート体制の差のほうが重要になる

最低報酬が低い仲介会社を広く探したい場合は最低報酬が安いM&A仲介会社 比較も参考になります。

「売り手は成功報酬0円」のモデルを選ぶときの確認点

設計事務所M&A総合センター(M&A Do)は、公式サイトで譲渡企業の着手金・中間金・成功報酬をすべて0円としています。売り手の負担がない一方、報酬は買い手側から受け取る構造になります(買い手側の手数料体系は公式サイトでは確認できませんでした)。

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」は、仲介者に対して報酬体系や利益相反の可能性を事前に説明するよう求めています。このモデルに限らず、誰からいくら報酬を受け取るのか、買い手側の手数料はどう決まるのかを面談で説明してもらい、納得したうえで契約するのが安全です。

手数料の仕組みをさらに詳しく知りたい方は、M&A成功報酬の比較とM&A手数料の相場ガイドもあわせてご覧ください。

設計事務所に特化した仲介会社3社

設計特化型は、建築士の人材網や設計業界の買い手リストを自前で持っている点が強みです。小〜中規模の事務所は、まずこのタイプから相談すると話が早く進みやすいでしょう。

1. 設計事務所M&A(株式会社青山芸術)

設計事務所M&A(株式会社青山芸術)の公式ロゴ

建築設計事務所の買い手・建築士の人材網を持つ、設計業界特化のM&Aサービスです。 2024年6月19日にサービスを開始しました。

  • 運営:株式会社青山芸術(2020年10月設立、東京都港区)。2025年にパーソルテンプスタッフ株式会社へ株式譲渡し、同社グループに入っています(2026年7月7日のプレスリリースによる)
  • 対象:意匠設計、構造設計、設備設計、デザイン会社、PM/CM会社など。全国対応
  • 手数料:着手金・月額報酬0円。成功報酬はレーマン方式(料率・基準額・最低報酬は公式サイトに記載なし)
  • 実績:公式サイトで登録社数全国6,000社以上・登録人数50,000名以上、成約期間は最短3ヶ月・平均6ヶ月としている。成約件数は非公開
  • 特徴:設計事務所マッチング「アーキタッグ」、建築転職「設計転職」、建築家プラットフォーム「titel」を運営。無料相談は何度でも利用できる
  • 注意点:サービス開始から日が浅く、成約件数と最低報酬額が公開されていない。面談時に書面で確認したい

こんな事務所におすすめ:管理建築士の後任候補や設計スタッフの確保まで含めて相談したい、小〜中規模の設計事務所。

出典:設計事務所M&A 公式サイト、PR TIMES 2026年7月7日リリース(確認日:2026年10月5日)

2. 設計事務所M&A総合センター(株式会社M&A Do)

設計事務所M&A総合センターの公式ロゴ

譲渡企業の手数料を相談料から成功報酬まですべて0円とする、設計事務所向けのM&A窓口です。

  • 運営:株式会社M&A Do(東京都港区)。同社は2026年に入り、業界別の「M&A総合センター」を相次いで開設している
  • 対象:意匠、構造・設備、内装設計、BIM・CAD、確認申請・測量、設計施工・PM/CMなど
  • 手数料:譲渡企業は相談料・着手金・月額報酬・中間金・成功報酬すべて0円
  • 注意点:成約件数・センター開設時期・中小企業庁M&A支援機関登録の有無は公式サイトで確認できなかった。また、事例ページの日付は掲載日で、実際の取引時期とは異なる例がある(例:日新設計のヤマトによる子会社化は2021年11月)

こんな事務所におすすめ:手数料負担を最小限にしたい小規模事務所。ただし、報酬を受け取る相手と利益相反への対応は、事前に説明を受けてください。

出典:設計事務所M&A総合センター 公式サイト(確認日:2026年10月5日)

3. アドバイザリー株式会社

名古屋を拠点に、設計事務所の成約実績を公式に開示している地域系の仲介会社です。

  • 所在地:名古屋市中区。公式サイトで中小企業庁M&A支援機関登録制度への登録を明記している
  • 実績:設計事務所の成約4件(2026年5月時点、公式記載)。意匠・構造・設計監理・官公庁案件を扱う事務所の譲渡に関与
  • 特徴:公式ページで、資格者・担当者の継続性、進行中案件と過去の成果物の管理責任、官公庁案件の入札参加資格、発注者との関係維持などを設計事務所M&Aの論点として挙げている
  • 手数料:公式サイトでは確認できず。面談で要確認

こんな事務所におすすめ:中部地方で官公庁・地元発注者との取引が多く、その関係を維持したまま承継したい事務所。

出典:アドバイザリー株式会社 建築設計業ページ(確認日:2026年10月5日)

建設業・中堅中小に強い仲介会社2社

設計施工の会社や総合設計事務所への売却を考えている場合は、建設業界の買い手を多く持つ会社や、設計事務所の成約事例を公開している中堅の仲介会社も候補になります。

4. M&Aベストパートナーズ

製造・建設・不動産など6業界に特化し、建設業の譲受候補ネットワーク15,000社超をうたう仲介会社です。

  • 手数料:着手金0円。基本合意時に250万円または成功報酬の10%の中間金。成功報酬は株式価値ベースのレーマン方式
  • 拠点:全国8拠点
  • 注意点:建設業特化ページの対象はゼネコン・電気・土木・管工事・リフォーム等で、設計事務所は明示されていない。相談できるかは事前に確認が必要

こんな事務所におすすめ:工務店や建設会社など、設計施工の会社への売却を第一に考える設計事務所。

出典:M&Aベストパートナーズ 建設業ページ(確認日:2026年10月5日)。土木・舗装会社への売却を考える場合は土木・舗装業のM&A仲介会社おすすめも参考になります。

5. オンデック

東証グロース上場の中堅中小向け仲介会社で、構造設計事務所の成約インタビューを公式に公開しています。

  • 手数料:契約時に書類作成費30万円、基本合意時に成功報酬の10%(成功報酬に充当)。成功報酬は時価純資産額ベースのレーマン方式で、最低報酬は仲介2,000万円(FA型は2,500万円)
  • 設計事務所の事例:東京の構造設計事務所(従業員約10名・後継者不在)が、総合設計を目指す池下設計に譲渡(2023年成約)。譲渡側の社長は役員として残留。買い手はBIMなどで設計工程が統合されるなか、総合設計力が必要になったことを動機に挙げている
  • 注意点:最低報酬2,000万円のため、譲渡額1億円前後までの事務所では実質負担が重くなりやすい

こんな事務所におすすめ:技術者が多い構造・設備設計事務所で、譲渡額がある程度見込める法人。

出典:オンデック 料金ページ、成約インタビュー(確認日:2026年10月5日)。詳しくはオンデックとは?手数料・特徴を解説で解説しています。

大手仲介会社4社

大手は買い手候補の母数と上場企業との接点が強みです。一方で、いずれも設計事務所単体の成約件数は公開しておらず、最低報酬も高めか非公開のため、譲渡額がある程度大きい法人向けと考えるのが一般的です。

6. 日本M&Aセンター

  • 手数料:着手金あり(金額は非公開)。成功報酬は時価総資産額ベースのレーマン方式(5億円以下5%〜100億円超1%)
  • 設計事務所との関わり:東海の建築設計事務所(売上2億円未満・従業員10〜20名・一級建築士と構造設計一級建築士が在籍)の譲渡案件を公開している(2026年10月5日時点で交渉中)
  • 注意点:総資産を基準にするため、株価や譲渡価格を基準にする会社より報酬の基準額が大きくなる場合がある。着手金・最低報酬の金額は面談で書面による提示を求めたい

こんな事務所におすすめ:官公庁と事業会社の両方に取引先を持つなど、ある程度の規模がある中堅の設計事務所で、建設・不動産業界も含めて全国から買い手を探したい場合。詳しくは日本M&Aセンターとはをご覧ください。

7. M&Aキャピタルパートナーズ

  • 手数料:着手金0円。相手先決定後に総報酬の約10%を中間金として支払う。成功報酬は株価ベースのレーマン方式(5億円以下5%〜100億円超1%)
  • 注意点:最低報酬・設計事務所単体の実績は公式サイトで確認できない

こんな事務所におすすめ:着手金をかけずに相談を始めたい、利益が出ている中堅規模の法人。株価ベースのため、総資産が大きく株価が低めの事務所では報酬の基準額を抑えやすい場合があります。詳しくはM&Aキャピタルパートナーズとはをご覧ください。

8. ストライク

  • 手数料:着手金0円。基本合意報酬は資産10億円以下で100万円、50億円以下で200万円、50億円超で300万円(税別)。成約報酬はオーナー受取額ベースで、4億円までは一律2,000万円、それを超える部分は5%〜1%
  • 注意点:譲渡額4億円以下では成約報酬が一律2,000万円になるため、小規模事務所には負担が大きい

こんな事務所におすすめ:オーナーの受取額が数億円規模になる中堅以上の設計事務所。詳しくはストライクとはをご覧ください。

9. M&A総合研究所

  • 手数料:着手金・中間金0円の完全成功報酬。譲渡価格ベースのレーマン方式で、最低報酬2,500万円
  • 注意点:最低報酬は、本記事で金額を確認できた会社の中で最も高い水準(オンデックのFA型と同額)。譲渡額1億円の場合の実質負担は25%になる

こんな事務所におすすめ:譲渡額が数億円規模で、成約まで費用を払いたくない事務所。詳しくはM&A総合研究所とはをご覧ください。

出典:日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所 各公式料金ページ(確認日:2026年10月5日)

小規模・個人事務所の選択肢:バトンズ

10. バトンズ

オンライン上で売り手と買い手が直接つながるM&Aプラットフォームで、「建築設計」カテゴリに352件の売却案件が掲載されています(関東158件・関西51件・東海43件、2026年10月5日確認)。

  • 掲載案件の傾向:売上5,000万〜3億円の規模が中心。譲渡希望額は10万円〜1億8,000万円と幅広い
  • 手数料:会社譲渡(株式譲渡)はプレミアムサポートの利用が必須。譲渡額1,000万円未満で200万円(税込220万円)〜、2億円以上は成約価格の5%(税込5.5%)など価格帯別に設定。個人事務所の事業譲渡には別プランがある
  • 注意点:買い手との条件交渉や契約書の確認は、仲介会社に比べると売り手側の負担が大きくなる。税理士・弁護士への相談は必須と考えたい

こんな事務所におすすめ:大手仲介では引き受けてもらいにくい個人事務所や、譲渡額数千万円以下の小規模法人。

出典:バトンズ 建築設計の売却案件、バトンズ 料金体系(確認日:2026年10月5日)。サービスの詳細はバトンズとは、プラットフォーム同士の違いはM&Aマッチングプラットフォーム比較で解説しています。

建築設計事務所がM&A仲介会社を選ぶときの確認ポイント6つ

建築設計事務所が初回面談でM&A仲介会社に確認したい6項目のチェックリスト

設計事務所の仲介会社選びでは、手数料に加えて「建築士事務所ならではの論点を理解しているか」を確認することが大切です。初回面談では次の6点を聞いてください。

  1. 最低報酬額と報酬の基準額:「何の金額に何%をかけ、最低いくらか」を書面でもらう。着手金・中間金・消費税を含めた総額で比べる
  2. 管理建築士の引き継ぎ案:オーナーの残留期間、社内の後任候補、買い手から派遣してもらう案など、具体策を出せるか
  3. 個人事務所か法人かに合ったスキーム:個人事務所は株式譲渡ができないため、事業譲渡や法人化を含めて提案できるか
  4. 買い手候補の顔ぶれ:同業の設計事務所、総合設計事務所、ゼネコン・工務店、デベロッパー、人材会社系など、自社に合う買い手を具体的に挙げられるか
  5. 設計事務所での実績の中身:件数よりも、自社と近い業種(意匠/構造/設備)と規模の事例があるかを聞く
  6. 契約条件:専任契約の期間、契約終了後も報酬が発生する「テール条項」の期間、中小企業庁M&A支援機関登録の有無

仲介会社選び全般の手順はM&A仲介会社の選び方ガイド、売却の進め方は会社売却の流れ完全ガイド、テール条項の注意点はテール条項とはで整理しています。

設計事務所の売却で仲介会社任せにできない5つの論点

建築士事務所の承継には、建築士法上の手続きが関わります。仲介会社が進行を管理してくれても、手続き上の責任は開設者にあるため、オーナー自身も次の論点を押さえておく必要があります。

1. 管理建築士がいなくなると事務所登録を維持できない

建築士事務所は、専任の管理建築士が管理しなければなりません(建築士法24条)。一級建築士事務所なら専任の一級建築士が必要で、1人が複数事務所の管理建築士を兼ねることや、派遣労働者を充てることはできません。管理建築士になるには、建築士として3年以上の実務経験と管理建築士講習の修了が必要です。

オーナーが管理建築士を兼ねている事務所では、売却後に誰が管理建築士を務めるかが最大の論点になります。管理建築士が不在になると登録要件を欠き、廃業等の届出が必要になります。名義貸しは登録取消や免許取消などの処分対象です。

2. 株式譲渡と個人事務所では手続きが大きく違う

法人の株式譲渡(変更届14日以内)と個人事務所の承継(廃業届30日以内+新規登録)の手続きを比較した図解

ケース

建築士事務所登録の扱い

主な期限

法人の株式譲渡

開設者(法人)は変わらないため、代表者・役員・管理建築士の変更届で対応

変更から14日以内(所属建築士の変更は3ヶ月以内)

個人事務所を他者に引き継ぐ

開設者は変更できないため、従前の登録を廃業し、引き継ぐ側が新規登録

廃業等届は30日以内

個人→法人化、一級⇔二級の変更、他都道府県への移転

廃業+新規登録

同上

出典:東京都建築士事務所協会「建築士事務所登録申請と変更等の手引き」(令和4年10月)、建築士法(確認日:2026年10月5日)。手続きの書式・運用は都道府県によって異なる場合があります。

変更届を怠ると、開設者が処分の対象になります(建築士法26条)。クロージング日から逆算して届出の準備を進められる仲介会社かどうかも確認ポイントです。許認可全般の扱いは会社売却時の許認可・免許の承継可否でも整理しています。

3. 設計図書・帳簿の15年保存義務

建築士事務所には、帳簿と設計図書などを15年間保存する義務があります(建築士法24条の4)。事業譲渡の場合は、過去の成果物と帳簿の保管責任をどちらが負うのかを、譲渡契約で明確にしておく必要があります。

4. 一括再委託の禁止

延べ面積300㎡を超える新築工事では、設計・工事監理の一括再委託が禁止されています(建築士法24条の3)。買い手のグループ内で業務を振り替える場合は、この規制に抵触しないか確認が必要です。

5. 官公庁案件の入札参加資格

官公庁の入札参加資格や過去の受注実績が引き継げるかは、株式譲渡か事業譲渡かによって変わり、扱いも発注機関ごとに異なります。公共案件の比率が高い事務所は、スキームを決める前に発注機関や行政書士への確認をおすすめします。

専門家への相談について:建築士事務所登録の手続きは行政書士、譲渡益の税金は税理士、契約書の確認は弁護士への相談をおすすめします。一般的には、個人のオーナーが自社の株式を売却した場合の譲渡益は申告分離課税(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の合計20.315%)の対象になり、事業譲渡では売却した法人側に法人税等がかかります。個別の税額や有利なスキームの判断は、必ず税理士にご確認ください。

売却時の税金の全体像は会社売却の税金・節税 完全ガイドで解説しています。

設計事務所の売却相談が増えている背景

国土交通省の資料によると、建築士事務所の数は減少傾向にあり、建築士の高齢化も進んでいます。後継者が見つからないまま廃業を考える前に、M&Aを選択肢に入れるオーナーが増えています。

指標

数値

一級建築士事務所数(令和5年)

70,725

二級建築士事務所数(令和5年)

24,054

所属する一級建築士のうち60歳以上の割合(令和6年4月1日)

約44%(平成20年の推計約12%から約3.6倍)

一級建築士の登録数(令和6年4月1日)

381,303人

出典:国土交通省「建築分野の担い手の動向について」(建築分野の中長期的なあり方に関する懇談会 第3回・2025年7月8日 資料4)(確認日:2026年10月5日)

買い手側の動機としては、建設会社やデベロッパーが設計者をまとめて確保したい、設計会社が医療施設・工場などの専門領域の設計力を補いたい、といった点が報じられています(日経クロステック 2024年6月21日)。オンデックが公開している構造設計事務所の事例でも、買い手は総合設計力の強化を動機に挙げていました。一級建築士の人数、BIMに対応できる人材、官公庁での実績などは、買い手が評価しやすい要素です。

こんな設計事務所は仲介会社への相談がおすすめ

  • 後継者が親族・社内におらず、廃業以外の選択肢を探している
  • 一級建築士や構造・設備の技術者が在籍し、組織として業務が回っている
  • 官公庁や事業会社など、継続的な取引先を持っている
  • 売却後も一定期間は残って、管理建築士や顧客の引き継ぎに協力できる

仲介会社への依頼を急がないほうがよいケース

  • 所長個人の作家性や人脈だけで受注している:買い手は「所長が抜けた後も仕事が続くか」を見ます。まずは担当者への顧客の引き継ぎや、図面・業務の標準化を進めたほうが評価されやすくなります
  • 管理建築士の後任のめどが全く立たず、自分も残れない:成約しても登録を維持できない恐れがあります。設計特化型に人材面から相談するか、買い手からの派遣が前提になることを理解しておきましょう
  • 社内に引き継げる建築士がいる:親族内承継や従業員承継(MBO・EBO)のほうが、事業承継税制などを使いやすい場合があります(従業員承継とは)
  • 想定譲渡額が数百万円程度:最低報酬のある仲介会社では手取りが残りません。プラットフォームの活用を先に検討してください

建築設計事務所のM&Aに関するよくある質問

Q1. 個人で開設している建築士事務所でも売却できますか?

売却できます。ただし、個人事務所は株式がないため、顧客・進行中の案件・図面・スタッフなどを引き継ぐ事業譲渡が中心になります。開設者は変更できないため、引き継ぐ側は新たに建築士事務所登録を行うことになります。登録が空白になる期間が生じないよう、廃業日と新規登録日を事前に調整してください。手続きの詳細は、都道府県の建築士事務所協会や行政書士への確認をおすすめします。

Q2. 売却後、オーナーはどのくらい事務所に残る必要がありますか?

一律の決まりはなく、買い手との交渉で決まります。設計事務所では、管理建築士の交代や顧客への引き継ぎが必要なため、一般的には一定期間の残留を求められることが多いです。オンデックが公開している構造設計事務所の事例でも、譲渡後に元社長が役員として残っています。残れる期間を最初に仲介会社へ伝えておくと、それに合う買い手を探してもらいやすくなります。

Q3. 進行中の設計契約はどうなりますか?

株式譲渡なら契約の当事者(法人)は変わらないため、原則としてそのまま継続します。ただし、契約に「支配権が変わる場合は通知・承諾が必要」という条項がないか確認が必要です。事業譲渡では契約の当事者が変わるため、発注者ごとに同意を得る必要があります。いずれの場合も、契約書の確認は弁護士への相談をおすすめします。

Q4. 赤字の設計事務所でも買い手は見つかりますか?

見つかる可能性はあります。設計事務所の買い手は、利益だけでなく在籍する建築士や技術者、取引先、得意分野の実績を評価することが多いためです。ただし、譲渡額は低くなりやすいため、最低報酬のある仲介会社では手取りが残らないケースもあります。報酬体系と組み合わせて相談先を選んでください。

Q5. 複数の仲介会社に同時に相談してもよいですか?

無料相談の段階であれば、複数社に相談して提案内容と見積もりを比べるのが一般的です。ただし、専任契約を結ぶと他社に依頼できなくなるほか、契約終了後も一定期間は報酬が発生する「テール条項」が付くことがあります。契約前に、専任の範囲と期間、テール条項の期間を必ず確認してください。

Q6. 売却が決まるまでにどのくらいの期間がかかりますか?

事務所の規模や買い手の見つかりやすさで大きく変わります。参考として、設計事務所M&A(青山芸術)は公式サイトで成約期間を「最短3ヶ月・平均6ヶ月」としています。管理建築士の交代や事務所登録の変更届も必要になるため、引退時期から逆算して1年程度の余裕を持って相談を始めると安心です。

まとめ:建築設計事務所は「最低報酬」と「管理建築士」で仲介会社を選ぶ

建築設計事務所のM&A仲介会社選びは、次の3点で考えるとまとまりやすくなります。

  • 譲渡額1億円前後までの事務所:設計事務所M&A、設計事務所M&A総合センター、バトンズなど、最低報酬の負担が小さい選択肢から相談する
  • 従業員10名以上・利益数千万円の法人:設計特化型に加えて、オンデック・M&Aキャピタルパートナーズ・日本M&Aセンターなどにも並行して相談し、買い手の幅を確保する
  • どの会社を選ぶ場合も:売却後の管理建築士、個人か法人かに合ったスキーム、最低報酬を含む総額を、初回面談で確認する

手数料や実績は変わることがあるため、最終判断は各社の書面見積もりで行ってください。建築士事務所登録の手続き・税金・契約については、行政書士・税理士・弁護士への相談をおすすめします。

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