クリニック・医療法人の売却を検討するなら、医療法人特有のスキーム(出資持分譲渡・社員変更・事業譲渡など)と、保健所・都道府県への許認可手続きに精通した仲介会社を選ぶことが最も重要です。 一般企業向けの株式譲渡しか経験のない仲介会社では、医療法に基づく行政対応や認定医療法人制度への対応で躓き、成約までに想定以上の時間と費用がかかるリスクがあります。
この記事では、医療・クリニックM&Aに実績のある仲介会社9社を、手数料体系・医療業界の成約実績・対象規模・対応スキームの4つの観点で比較します。
この記事でわかること:
- 医療業界に強いM&A仲介会社9社の特徴と手数料の比較
- 医療業界100%特化型・大手医療チーム型・銀行系/独立系の3タイプの使い分け
- 自院の規模(外来クリニック/中核病院/医療法人グループ)別に最適な仲介会社の選び方
- 2026年4月開業規制・退職金税制改正がクリニックM&Aに与える影響
- 医療法人M&Aで失敗しないための注意点
こんな方に向けた記事です:
- 後継者不在で承継を検討している外来クリニックの院長(年齢60〜70代)
- 中核病院・医療法人グループの理事長で第三者承継を視野に入れている方
- 自由診療・歯科診療所・調剤薬局を経営しており、業界再編の流れを把握しておきたい方
- 仲介会社ごとの手数料の違いを把握してからM&Aを進めたい医療経営者
医療・クリニックM&Aの市場背景|2026年は「売り時」が変わる転換期
医療M&Aの仲介会社を選ぶ前に、まず2026年時点の市場環境を整理しておきます。今、医療M&Aを検討すべき構造的な理由が3つあります。
1. クリニックの後継者不在率は約89%、医師の高齢化が深刻
帝国データバンク・日本M&Aセンター等の業界データによれば、クリニックの後継者不在率は約89%、病院・医療業の後継者不在率は 61.8%(fundbook調べ)と非常に高い水準にあります。診療所の医師平均年齢は2024年12月時点で約60歳、医療経営者の平均年齢は 64.9歳(全国経営者平均60.7歳を上回る)まで上昇しており、引退時期と後継者不在の課題が同時に顕在化しています。
2. 2026年4月から「実質的な開業規制」が本格化
厚生労働省は2026年4月から、医師偏在指標に基づく 新規開業規制 を本格化させています。都市部での新規開業がより難しくなったことで、買い手側(勤務医・医療法人グループ・PEファンド)にとっては 既存医院の承継M&A が戦略的代替手段 として強く注目されており、買い手需要が増加しています。これは売り手にとって追い風となる需給環境です。
3. 2026年の退職所得税制改正で「役員退職金スキーム」の見直しが必要
2026年から 退職所得の源泉徴収票提出義務が拡大 され、医療法人M&Aで広く使われてきた役員退職金(理事長退職金)スキームに対する税務当局のチェックが厳格化されています。退職金の妥当性(在任期間×功績倍率)を証明できる書類整備が必須となり、仲介会社の税務知見の差が手取り額に直結する局面 に入っています。
関連記事: 医療M&Aの背景にある事業承継問題については「事業承継とは?基礎知識・進め方・成功のポイント」もあわせてご覧ください。
医療・クリニックM&Aに強い仲介会社9社の比較一覧表
まず、本記事で紹介する9社の主要スペックを一覧で比較します。手数料体系や対応規模は各社で大きく異なるため、全体像を把握したうえで詳細を確認してください。
会社名 | タイプ | 着手金 | 中間金 | 成功報酬 | 最低報酬 | 医療業界実績 | 対象規模 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本M&Aセンター(医療介護支援部) | 大手医療チーム型 | あり | あり | レーマン方式 | 要問い合わせ | 医療介護累計650件超 | クリニック〜病院グループ |
M&Aキャピタルパートナーズ(ヘルスケア) | 大手医療チーム型 | 0円 | 0円 | 株価レーマン方式 | 要問い合わせ | ヘルスケア国内トップクラス | 医療法人〜病院 |
ストライク(医療業界専門部) | 大手医療チーム型 | 0円 | 0円 | オーナー受取額レーマン | 要問い合わせ | 全社3,400件超/医療最大級 | 病院・診療所・歯科 |
CBホールディングス(CBパートナーズ) | 医療100%特化型 | 0円 | 0円 | 完全成功報酬 | 要問い合わせ | 医療介護福祉20年以上 | クリニック〜介護施設 |
ブティックス(医療M&A支援センター) | 医療100%特化型 | 0円 | 0円 | レーマン方式 | 100万円 | 医療介護70件超/介護No.1 | 小規模クリニック〜中堅 |
エムステージ医業承継サポート | 医療100%特化型 | 0円 | 30万円(売り手) | レーマン方式 | 要問い合わせ | 承継M&A 50件以上 | クリニック中心 |
名南M&A(医院承継) | 医療100%特化型 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 個別見積 | 要問い合わせ | 医療機関業務800件超 | 〜20床クリニック中心 |
病院M&Aアドバイザーズ | 病院特化型 | あり(成功報酬の20%) | — | レーマン方式 | 医療法人格のみで300〜500万円 | 個別開示 | 病院・医療法人 |
経営承継支援(三井住友トラストグループ) | 銀行系 | 0円 | 要問い合わせ | 個別見積 | 要問い合わせ | 個別開示 | 中堅医療法人〜病院 |
※手数料情報は2026年4月時点の各社公式サイト掲載情報に基づきます。実際の費用は案件規模・条件により異なるため、必ず各社に直接ご確認ください。
※「成約率」「マッチング率」は各社で分母の定義が異なるため、本記事では比較項目から除外しています。
関連記事: M&A仲介会社の手数料体系全般については「M&A費用の相場と手数料の仕組み」もあわせてご覧ください。
医療・クリニックM&A仲介会社は「3つのタイプ」に分かれる
医療業界でM&A仲介会社を選ぶとき、最初に理解すべきなのが仲介会社のタイプの違いです。大きく3つに分類でき、それぞれメリット・デメリットが異なります。
タイプ1:医療業界100%特化型(CBホールディングス・ブティックス・エムステージ・名南M&A)
医療・介護・福祉業界のM&Aのみを扱い、医療法人特有のスキーム(出資持分譲渡・社員変更・認定医療法人化)に精通しているのが特徴です。
- メリット: 医療法・医療法人税制・保健所手続きへの専門知識が深い。医師ネットワーク・医療業界の買い手候補を保有
- デメリット: 大手と比べると総成約件数では及ばない。大型病院グループの異業種ファンド売却などには対応力が限定的な場合も
タイプ2:大手の医療専門チーム型(日本M&Aセンター・M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク)
全業種を対象とするM&A仲介大手の中に、医療・ヘルスケア専門チームを設けているタイプです。
- メリット: 圧倒的な買い手ネットワーク(数千〜数万社)。東証プライム上場企業の信頼性。PEファンド・大手医療法人グループ・異業種事業会社まで広範な買い手にリーチ可能
- デメリット: 医療100%特化型と比べ、極小規模クリニック(売上数千万円)への対応は限定的な場合がある。着手金が発生する会社もある
タイプ3:病院特化・銀行系・独立系(病院M&Aアドバイザーズ・経営承継支援)
特定の領域(病院特化、信託銀行系の信頼性重視など)に強みを持つタイプです。
- メリット: 病院特化型は医療法規制や行政許認可への深い専門知識。銀行系は信託銀行ネットワークと信頼性、企業価値評価の精度
- デメリット: 病院特化型は対応案件サイズに偏り。銀行系は手数料体系が個別見積中心で比較しにくい場合がある
各社の詳細解説|大手の医療専門チーム型3社
日本M&Aセンター(医療介護支援部)|医療介護累計650件超の最大手
日本M&Aセンターは、東証プライム上場(証券コード2127)の日本最大級のM&A仲介会社です。医療介護に特化した専門チーム「医療介護支援部」を設置し、医療・介護業界での累計成約は650件超(公式サイト掲載)と、業界トップクラスの実績を持ちます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス |
設立 | 1991年 |
上場 | 東証プライム(2127) |
着手金 | あり(金額は要問い合わせ) |
成功報酬 | レーマン方式 |
医療介護成約 | 累計650件超 |
対象規模 | クリニック・医療法人(社団・財団)・病院・介護福祉施設まで全規模 |
対応スキーム | 出資持分譲渡、事業譲渡、合併、病床移転、認定医療法人対応 |
出典:日本M&Aセンター公式サイト 医療業界ページ(2026年4月確認、https://www.nihon-ma.co.jp/sector/medical.php )
強み:
- 医療介護で累計650件超は業界最多水準。類似案件の経験値が圧倒的に高い
- 全国1,000を超える会計士・税理士事務所ネットワークを保有
- グループ統合・経営再構築を専門チームが支援
- 全社では成約実績10,000件超で「M&A成約件数ギネス世界記録™」5年連続認定
注意点:
- 着手金が発生する(金額は個別問い合わせ)。M&Aが成立しなかった場合でも返金されないのが一般的
- 手数料水準は業界最安ではない。コスト重視の場合は他社と比較検討を
こんな方におすすめ: 中規模〜大規模の医療法人・病院グループの理事長で、確実に成約させたい場合。とくに地方の医療機関や、PEファンド・異業種を含めた幅広い買い手候補を求める場合
関連記事: 日本M&Aセンターについて詳しくは「日本M&Aセンターとは?手数料・特徴・評判を解説」をご覧ください。
M&Aキャピタルパートナーズ(ヘルスケア業界プロフェッショナルチーム)|調剤薬局・医療法人M&Aの先駆者
M&Aキャピタルパートナーズは東証プライム上場(証券コード6080)の独立系M&A仲介会社です。2008年から調剤薬局・医療法人M&Aの専門部署を設置しており、ヘルスケア業界で国内トップクラスの仲介実績を持ちます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 |
設立 | 2005年 |
上場 | 東証プライム(6080) |
着手金 | 0円 |
中間金 | 0円(基本合意までは無料) |
成功報酬 | 株価レーマン方式(売買対象の株価を基準) |
売り手・買い手 | 同一料率 |
ヘルスケア専任体制 | 7名以上の専任課長クラス |
主な事例 | 医療法人白愛会(歯科診療所)約2.5億円、株式会社nCS(介護)約18億円 等 |
出典:M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト ヘルスケアチームページ(2026年4月確認、https://www.ma-cp.com/about/team/healthcare/ )
強み:
- 完全成功報酬型(着手金無料) で、基本合意までは費用が一切発生しない
- 株価レーマン方式を採用。売買対象の株価(株式価値)のみを基準にするため、有利子負債が大きい医療法人では「移動総資産方式」より手数料が低くなりやすい
- 調剤薬局業界再編の トップランナー として、業界内のM&A情報・ネットワークが豊富
- 医療・介護サービス業界のM&A件数は2022年に過去最高155件
- 電子カルテ・遠隔診療などDX関連M&Aにも対応
注意点:
- 公式サイトでの「支払手数料率の低さ No.1」表記は 自社公表値 であり、第三者比較の結果ではない点に留意
- 医療法人特化ではなく、ヘルスケア横断(調剤薬局・介護を含む)のため、特定診療科の細かい論点では特化型の方が深掘りできる場合がある
こんな方におすすめ: 中堅〜大規模の医療法人・調剤薬局チェーン・歯科診療所グループの売却を検討しており、上場企業の信頼性と成功報酬型のコスト構造を両立したい場合
関連記事: M&Aキャピタルパートナーズについて詳しくは「M&Aキャピタルパートナーズとは?評判・特徴・手数料を解説」をご覧ください。
ストライク(医療業界M&A仲介)|エムスリー業務提携で買い手データベース約19,000社
ストライクは東証プライム上場(証券コード6196)の独立系M&A仲介会社です。全社成約実績約3,400件以上で、医療機関においては自社公表で 日本最大級 の支援実績を持ちます。医療系最大手のエムスリー株式会社との業務提携による譲渡先マッチングが大きな特徴です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社ストライク |
設立 | 1997年 |
上場 | 東証プライム(6196) |
着手金・相談料 | 0円 |
中間金 | 0円 |
成功報酬 | オーナー受取額レーマン方式 |
全社成約実績 | 約3,400件以上 |
対象 | 病院(一般・精神)、診療所、有床診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、介護老人保健施設、グループホーム |
拠点 | 全国9拠点 |
買い手DB | 約19,000社以上 |
平均成約期間 | 6〜8ヶ月(事例レンジ:2ヶ月〜2年2ヶ月) |
出典:ストライク公式サイト 医療業界ページ(2026年4月確認、https://www.strike.co.jp/industry/medical/ )
強み:
- 「オーナー受取額レーマン」方式を採用。オーナーが実際に受け取る金額を基準に手数料を算出するため、有利子負債が大きい病院案件でも手数料負担が抑えられる傾向
- 完全独立系(金融機関非系列)で、買い手候補に偏りがない
- エムスリーとの業務提携により、全国の医師・医療機関ネットワークを活用したマッチング
- 金融機関・MR・人材紹介・監査法人出身者による医療業界専門チーム
- 全国の税理士・会計士事務所・金融機関と提携
注意点:
- 最低報酬額が非公開のため、極小規模クリニックへの対応姿勢は事前に確認が必要
- 大手のため、担当アドバイザーの質にはばらつきがある可能性
こんな方におすすめ: 病院・有床診療所・グループ展開している医療法人の理事長で、独立系の中立性とエムスリー連携による医師ネットワークの両方を活用したい場合
関連記事: ストライクについて詳しくは「ストライクとは?手数料・強み・評判を徹底解説」をご覧ください。
各社の詳細解説|医療業界100%特化型4社
CBホールディングス(CBパートナーズ)|医療介護福祉に20年以上特化
CBホールディングス(旧CBパートナーズ)は 医療・介護・福祉業界に20年以上特化 したM&A仲介会社です。クリニック開業支援メディアの運営など、業界への深いコミットメントが特徴です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社CBホールディングス |
業界特化 | 医療・介護・福祉に20年以上 |
着手金・中間金 | 0円(完全成功報酬制) |
成功報酬 | 個別見積 |
対象 | クリニック、病院、介護事業、調剤薬局、福祉施設 |
主なサポート | M&A〜開業支援までワンストップ |
出典:CBホールディングス公式サイト(2026年4月確認、https://cbh.co.jp/ )
強み:
- 医療・介護・福祉に完全特化しており、業界知見の蓄積が深い
- 完全成功報酬制で、成約しなければ費用ゼロ
- 開業支援までワンストップ対応。M&A後の買い手の経営支援にも踏み込める
- クリニック開業支援メディアを運営しているため、買い手側の若手医師との接点が豊富
注意点:
- 具体的な成功報酬料率・最低報酬は公式サイトに非公開(要問い合わせ)
- 医療法人の大型再編(数十億円規模)の実績は公式に開示されていないため、案件サイズが大きい場合は他社と比較検討を
こんな方におすすめ: 開業継承型のクリニック売却を検討している院長で、買い手側(勤務医・若手開業医)の人材ネットワークを活用したい場合
ブティックス(医療M&A支援センター)|最低手数料100万円の小規模対応
ブティックスは東証グロース市場上場(証券コード9272)のM&A仲介会社で、医療M&A支援センター(iryo-ma.com)を運営しています。最低手数料100万円 という業界最低水準の料金設定で、小規模クリニックの承継案件に対応できる珍しい仲介会社です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | ブティックス株式会社 |
設立 | 2006年11月 |
上場 | 東証グロース(9272) |
着手金 | 0円 |
中間報酬 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(取引金額2,000万円以下10%、100億円超1%) |
最低手数料 | 100万円 |
医療介護成約 | 70件以上(譲渡側公表ベース)/介護M&A仲介は業界No.1(自社公表) |
対象 | クリニック、医療法人、訪問診療、医療関連施設、介護・福祉施設 |
全国訪問相談 | 無料 |
出典:医療M&A支援センター公式サイト(2026年4月確認、https://iryo-ma.com/ )/ブティックス公式サイト(https://btix.jp/business/manda.html )
強み:
- 最低手数料100万円 は医療M&A仲介の中で最安水準。年商数千万円規模の小規模クリニックでも費用負担が抑えられる
- 譲渡企業(売り手)は完全成功報酬制(着手金・中間金ゼロ)
- 全国訪問相談無料で、地方の小規模クリニックにも対応
- 医療業界専門アドバイザーによる迅速マッチング
注意点:
- 医療事業は2017年開始のため、業歴は他社より浅い
- 大型病院グループや複雑なスキーム案件への対応力は、医療最大手と比べると限定的な可能性
こんな方におすすめ: 年商数千万〜1億円台の小規模外来クリニックの院長で、最低手数料の負担を最小限にしたい場合
エムステージ医業承継サポート|医師ネットワーク4.3万人超の人材力
エムステージ医業承継サポートは、医師人材紹介大手 エムステージグループ が運営する医業承継M&A仲介サービスです。登録医師4.3万人超・医療機関1.7万件超 のネットワークが最大の強みで、買い手(後継候補の院長)のマッチング力が際立ちます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社エムステージマネジメントソリューションズ |
所在地 | 東京都品川区大崎 |
代表 | 田中宏典(医療経営士1級、医業承継士) |
着手金 | 0円(基本合意まで費用なし) |
中間金(売り手) | 基本合意時 30万円 |
中間金(買い手) | 基本合意時 50万円 |
成功報酬 | レーマン方式(1億円まで10%、1〜5億円 5% 等) |
承継M&A実績 | 50件以上 |
医師紹介実績 | 21年以上 |
登録医師 | 4.3万人超 |
医療機関ネットワーク | 1.7万件超 |
対応 | クリニック(医科・歯科)、医療法人 |
出典:エムステージ医業承継サポート公式サイト(2026年4月確認、https://shoukei.mplat.jp/ )
強み:
- 医師人材紹介で蓄積した4.3万人の医師ネットワーク から、現実的な院長後継候補をスピーディに紹介できる
- 法務・財務・人材採用の包括支援
- 親族内承継 〜 第三者M&Aまで対応 できるため、選択肢の幅が広い
- 承継後の経営支援まで一気通貫
注意点:
- 基本合意時に中間金(売り手30万円・買い手50万円)が発生する。完全成功報酬制ではない
- 大型病院M&Aの実績は公式に多数開示されておらず、外来クリニック中心のサービス
こんな方におすすめ: 後継者不在の外来クリニック院長で、現実的な後継医師候補を探したい場合。医師人材ネットワーク経由のマッチングを重視する方
名南M&A(医院承継.biz)|東海・近畿地域密着で800件超の医療実績
名南M&Aは東証スタンダード上場(証券コード7076)で、名南コンサルティンググループ の一員です。東海・近畿圏に拠点を置き、全国800件超の医療機関業務サポート実績 を持ちます。医院承継専門サイト「iinshokei.biz」を運営しています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社名南M&A |
上場 | 東証スタンダード(7076) |
拠点 | 東海・近畿圏が中心 |
着手金・中間金・成功報酬 | 個別見積(公式サイトに料率明記なし) |
医療機関業務サポート | 全国800件超 |
事業承継支援 | 20年超 |
クリニック成約率 | 約70%(業界メディア「ウルクリ」掲載) |
主な対象 | 外来のみ〜20床程度のクリニック、医療法人、調剤薬局 |
主な案件規模 | 売上8,000万〜1.5億円 |
得意診療科 | 内科、整形外科、皮膚科 等 |
出典:名南M&A 医院承継サイト(2026年4月確認、https://iinshokei.biz/ )
強み:
- 東海・近畿圏での地域密着ネットワーク が強く、地元の買い手候補とのマッチングに優れる
- 名南コンサルティンググループ の一員として、税理士法人・社労士法人と連携。承継後の経営支援も提供
- 内科・整形外科・皮膚科等の幅広い診療科に対応
- 医業専門チーム体制
- 開業後の経営安定・成長まで一気通貫支援
注意点:
- 公式サイトに手数料の明記がない(個別見積のため、初回相談時に必ず費用を確認すること)
- 東海・近畿圏が主要エリアのため、首都圏や九州など他地域の案件では大手と比較した方が良い場合もある
こんな方におすすめ: 東海・近畿圏の外来クリニック・医療法人の院長で、地域密着の仲介+承継後の税理士・社労士サポートまで一気通貫で受けたい場合
各社の詳細解説|病院特化・銀行系2社
病院M&Aアドバイザーズ|医業経営コンサル30年のベテラン対応
病院M&Aアドバイザーズは、医療経営コンサルティング会社「有限会社ビジネススクウェア」が運営する病院・医療法人特化のM&A仲介サービスです。医業経営コンサルタント30年以上のベテラン が対応する点が特徴です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 有限会社ビジネススクウェア |
所在地 | 大阪府大阪市中央区 |
着手金 | 基本合意時に成功報酬の20%を徴収(成功時に成功報酬から差し引き) |
成功報酬 | レーマン方式(独自体系) |
医療法人格のみの売買 | 300〜500万円が相場(同社公表) |
対応 | 病院、医療法人、個人クリニック |
併営事業 | 医療従事者向け職業紹介事業(PMIでの離職対策) |
出典:病院M&Aアドバイザーズ公式サイト(2026年4月確認、https://ma-advisors.jp/ /料金ページ https://ma-advisors.jp/fee.html )
強み:
- 医業経営コンサル30年以上 のベテランが直接対応。医療法規制・行政許認可への深い専門知識
- 医療従事者向け職業紹介事業を併営 しており、PMI(M&A後統合)で重要な「医師・看護師の離職対策」に強い
- 会計事務所・弁護士との提携体制
- 医療法人格のみの売買は300〜500万円という明確な相場開示 がある
注意点:
- 基本合意時に成功報酬の20%を着手金として支払う必要がある(成約時に成功報酬から差し引かれるが、不成約の場合の返金可否は要確認)
- 公式に具体的な総成約件数は掲載されていない(個別問い合わせ)
- 大阪を拠点とするため、地理的に遠い地域は対応スピードに制約がある可能性
こんな方におすすめ: 病院・医療法人の理事長で、医業経営コンサル出身のベテランに行政許認可・医療法規制を含めて一括相談したい場合
経営承継支援(三井住友トラストグループ)|銀行系の信頼性と企業価値評価精度
経営承継支援は 三井住友トラストグループ の一員として運営されているM&A仲介会社です。会計士・税理士監修の企業価値評価が強みで、着手金無料で相談可能 です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社経営承継支援 |
所属 | 三井住友トラストグループ |
着手金 | 0円(無料相談可能) |
成功報酬 | 個別見積 |
強み | 会計士・税理士監修の企業価値評価 |
出典:経営承継支援公式サイト(2026年4月確認、https://jms-support.jp/ )
強み:
- 三井住友トラストグループ という金融機関の信頼性。買い手候補のソーシング力が強い
- 会計士・税理士監修で、複数の企業価値算定方法(DCF・類似会社比較・年買法)を比較検討
- 信託銀行系のため、富裕層オーナーや医療法人理事長の資産承継・相続対策と連動した提案が可能
注意点:
- 医療業界100%特化ではなく、全業界対応。医療特有のスキーム(出資持分、認定医療法人)の深掘りは要確認
- 具体的料率は公式に非公開のため、必ず見積もり比較を
こんな方におすすめ: 中堅医療法人〜病院の理事長で、信託銀行系のネットワーク・信頼性と、相続・資産承継まで含めた包括的な提案を受けたい場合
【重要】医療M&A手数料の「計算基準」を必ず確認する
医療M&Aの売却費用を比較するうえで、レーマン方式の計算基準の違いは非常に重要です。同じ「レーマン方式」「5%」と表示されていても、何を基準にするかで手数料が数百万〜数千万円変わります。
レーマン方式の主な計算基準
基準 | 説明 | 手数料の傾向 | 採用例 |
|---|---|---|---|
株価レーマン方式 | 売買対象の株価(株式価値)のみを基準 | 低め | M&Aキャピタルパートナーズ |
オーナー受取額レーマン方式 | オーナーが実際に受け取る金額を基準 | 低め | ストライク |
譲渡代金レーマン方式 | 実際の売買価格を基準 | 中程度 | — |
移動総資産レーマン方式 | 株式価値+負債総額を基準 | 高め | 一部の総合仲介会社 |
レーマン方式の一般的な料率テーブル(参考)
取引金額帯 | 料率 |
|---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超〜10億円以下の部分 | 4% |
10億円超〜50億円以下の部分 | 3% |
50億円超〜100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
※医療・クリニック特化会社では取引金額2,000万円以下の部分で 10% を適用するケースもある(ブティックス例)。
※基準(株価/オーナー受取額/移動総資産)の違いで計算対象額が変わるため、料率が同じでも実額は変動します。
手数料シミュレーション(医療法人の譲渡代金1億円のケース)
以下は成功報酬率5%(5億円以下部分)の場合の比較例です(簡略化した概算)。
基準 | 計算対象額の目安 | 手数料の目安 |
|---|---|---|
オーナー受取額ベース(負債2,000万円があるケース) | 約8,000万円 | 約400万円 |
株価ベース | 1億円 | 約500万円 |
譲渡代金ベース | 1億円 | 約500万円 |
移動総資産ベース(負債5,000万円があるケース) | 1億5,000万円 | 約750万円 |
※上記は概算であり、実際の計算はレーマン方式のテーブル(5億円以下5%、5億円超〜10億円4%…)に基づきます。有利子負債や役員退職金スキームの設計により大幅に変動するため、必ず各社に具体的な見積もりを依頼してください。
ポイント: 医療法人M&Aは一般企業と比べて借入金(有利子負債)が大きいケースが多く、計算基準の選択次第で手数料が 数百万円単位で変わります。「完全成功報酬制」「着手金ゼロ」だけでなく、何を基準に成功報酬を算出するのか を必ず確認しましょう。
クリニック・医療法人M&Aの手数料相場(2026年時点)
医療M&Aの手数料は、医療業界専門の仲介会社と一般企業向け仲介会社で大きく異なります。
項目 | 医療・クリニック専門仲介 | 一般企業M&A仲介 |
|---|---|---|
仲介手数料(成功報酬) | 譲渡金額の 10〜12% | 譲渡金額の 10〜15% |
最低成功報酬 | 300〜500万円(ブティックス例外で100万円) | 1,500〜2,000万円 |
着手金 | 0〜50万円(無料が多い) | 50〜200万円 |
相談料 | 無料 | 0〜1万円 |
中間金 | 無し が多い | 50〜200万円(成功報酬の10〜20%) |
月額報酬 | 無料が一般的 | 約30万円〜(ケースによる) |
出典:船井総研「クリニックM&A手数料の相場と仕組み」(https://ma.funaisoken.co.jp/column/clinic-ma-brokerage-fee-standard )、メディカルトリビューンネクスト、エムステージ各公式情報を集約
ポイント: クリニック専門の仲介会社は 最低報酬が300〜500万円程度 で、一般M&A仲介の最低報酬(1,500〜2,000万円)の約4分の1〜5分の1。譲渡金額が数千万〜2億円台のクリニック・小規模医療法人では、医療特化型を選ばないと手数料負担が著しく重くなる ケースが多い点に注意が必要です。
関連記事: M&A手数料の仕組み全般については「M&A費用の相場と手数料の仕組み」をご覧ください。
規模・診療科別おすすめの仲介会社
医療M&Aでは、自院の規模・形態(外来クリニック/中核病院/医療法人グループ)と診療科 によって最適な仲介会社が変わります。以下を選定の目安として活用してください。
外来のみクリニック(無床、年商1億円以下)におすすめ
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
ブティックス(医療M&A支援センター) | 最低手数料100万円で小規模案件にも対応 |
エムステージ医業承継サポート | 医師ネットワーク経由で後継院長を紹介 |
名南M&A(東海・近畿圏) | 地域密着で承継後の経営支援まで一気通貫 |
この規模では、最低報酬の金額が重要な判断基準になります。譲渡金額3,000万円に対して最低報酬500万円(手数料率約17%)では負担が大きすぎるため、最低報酬が低い会社 か 医師ネットワーク重視のマッチング を優先して検討しましょう。
中核クリニック・医療法人(有床/20床前後、年商1〜5億円)におすすめ
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
ストライク | 独立系の中立性+エムスリー連携の医師ネットワーク |
M&Aキャピタルパートナーズ | 株価レーマンで手数料が抑えやすい+上場企業の信頼性 |
CBホールディングス | 医療介護20年特化+完全成功報酬 |
日本M&Aセンター(医療介護支援部) | 累計650件超の経験値、地方も対応 |
この規模帯は医療業界のM&Aで最もボリュームが多いゾーンです。業界特化型と大手のネットワーク力のどちらを重視するかで選択肢が変わります。2〜3社に並行して相談し、アドバイザーとの相性や提案内容を比較することを推奨します。
中核病院・医療法人グループ(50床以上、年商10億円以上)におすすめ
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
日本M&Aセンター | 医療介護650件超の経験で大型再編に対応 |
病院M&Aアドバイザーズ | 医業経営コンサル30年のベテランが行政対応に強い |
経営承継支援(三井住友トラスト) | 信託銀行系の買い手ソーシング+資産承継一体提案 |
ストライク | 全社3,400件超の対応力、PEファンドや異業種事業会社との接点 |
この規模では、成約実績の豊富さ・複雑なスキーム対応力(合併、グループ再編、PEファンド対応) が最重要になります。着手金が発生しても、適切なバリュエーションで数千万〜数億円高く売却できればトータルでは有利になるため、手数料の安さだけで判断しないこと が重要です。
自由診療・歯科診療所におすすめ
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
M&Aキャピタルパートナーズ | 歯科診療所M&A実績あり(医療法人白愛会2.5億円事例等) |
ストライク | 歯科診療所も対応領域に明記 |
エムステージ医業承継サポート | 歯科医師ネットワークも保有 |
自由診療・歯科は 保険診療と比べてEBITDA倍率(収益性)が高く評価されやすい 領域です。バリュエーション(企業価値評価)に強く、自由診療・歯科の事例実績がある仲介会社を選ぶことで、適正な売却額を引き出しやすくなります。
医療・クリニックM&A仲介会社を選ぶ5つのポイント
1. 医療業界の専門性・特化度を確認する
医療M&Aの成否は「医療法人特有のスキームと行政手続きへの対応力」で決まります。 一般企業M&Aの株式譲渡しか経験のない仲介会社では、出資持分譲渡・社員変更・認定医療法人対応・保健所への開設許可などで躓くリスクがあります。具体的には以下を確認してください。
- 医療業界での成約件数(全体の件数ではなく、医療特化の数字)
- 過去の成約事例のうち、自院と同タイプ(外来クリニック/有床/病院/自由診療等)の案件があるか
- 医療法人スキーム(出資持分、社員変更、認定医療法人)への対応経験
- 保健所・都道府県との折衝経験
2. 手数料の「計算基準」まで比較する
前述の通り、同じレーマン方式でも計算基準で金額は大きく変わります。「完全成功報酬制」「着手金ゼロ」だけでなく、以下の点を必ず確認しましょう。
- 成功報酬の計算基準(株価/譲渡代金/オーナー受取額/移動総資産)
- 最低報酬の金額
- 中間金の有無と金額
- 不成約時の費用負担(着手金返金可否、中間金返金可否)
3. 担当者個人の経験値を確認する(会社規模より優先)
医療M&Aでは、担当アドバイザー個人の経験 が成約結果を大きく左右します。業界メディア「ドクタージャーナル」も「会社規模より担当者個人・チームの能力を重視すべき」と主張しています。初回面談で以下を確認することを推奨します。
- 医療業界のM&Aを何件担当したか
- 自院と同タイプ(外来/有床/自由診療/医療法人等)の案件経験があるか
- 医業経営士・医業承継士などの専門資格の有無
- バリュエーションについてどのような手法を使うか
4. 開業後・PMI支援の有無を確認する
医療M&Aは「成約してゴール」ではありません。買い手側の医師・看護師の離職リスク、地域医療との関係維持、診療報酬請求の引き継ぎ など、PMI(M&A後統合)こそが医療M&Aで最も難しい局面です。
- 承継後の経営支援を提供しているか
- 医師・看護師の離職対策(人材紹介事業の併営など)
- 患者離れ対策の知見
- 開業後の税理士・社労士サポートとの連携
5. M&A支援機関登録制度に登録しているか
中小企業庁が運営する 「M&A支援機関登録制度」 は、一定の品質基準を満たしたM&A支援機関を公的に登録する制度です。医療M&A仲介会社も登録対象となっており、登録の有無は信頼性判断の一基準 になります。
- 中小企業庁「登録M&A支援機関データベース」(https://ma-shienkikan.go.jp/ )で各社の登録状況を確認できる
- 登録機関は事業承継・引継ぎ補助金の利用が可能(要件を満たす場合)
関連記事: M&A支援機関登録制度について詳しくは「登録M&A支援機関とは?一覧・選び方ガイド」をご覧ください。
医療法人M&A特有のスキームを理解する
医療法人は 営利性が制限される ため、一般企業のような単純な「株式譲渡」はできません。医療M&Aで使われる主なスキームは以下の通りで、スキームによって対応できる仲介会社が変わります。
1. 出資持分譲渡(旧法医療法人)
2007年3月以前に設立された 出資持分のある医療法人(旧法医療法人)の場合、出資者が持つ「出資持分」を譲渡することで実質的な経営権の譲渡が可能です。現存する医療法人の多くがこのタイプ で、最も一般的なスキームです。
- メリット:手続きが比較的シンプル
- デメリット:出資持分の評価額が高額になり、譲受側の資金負担が大きい場合がある
2. 事業譲渡
クリニック単体(土地・建物・医療機器・患者カルテ・スタッフ等)を、別の医療法人や個人開業医に譲渡するスキームです。個人開業のクリニックや、医療法人内の特定診療所のみを譲渡したい場合 に使われます。
- メリット:必要な資産・負債のみを切り出せる
- デメリット:保健所への新規開設届・廃止届などの手続きが必要
3. 合併
複数の医療法人を統合するスキームです。医療法人グループの再編、地域医療連携の強化 などで使われます。手続きが複雑で、所轄庁(都道府県知事)の認可が必要です。
4. 社員変更(社団医療法人の場合)
社団医療法人では、社員総会の議決権を持つ「社員」 を入れ替えることで実質的な経営権譲渡が可能です。出資持分のない医療法人(基金拠出型・認定医療法人)でよく使われます。
5. 認定医療法人制度の活用
出資持分の払戻しリスクを回避 するため、出資持分のある医療法人を「持分なし医療法人」へ移行する制度です。M&Aと並行して認定医療法人化を検討するケースも多く、認定医療法人対応の経験がある仲介会社の選定 が重要です。
※スキーム選定は税務・法務上の影響が大きいため、仲介会社の提案だけで判断せず、税理士・弁護士・医業経営コンサルタントへの相談を強くおすすめします。
医療・クリニックM&Aで注意すべき5つのリスク
医療M&Aには、他業種にはない特有のリスクがあります。仲介会社選びの際に、これらのリスクに対する知見があるかどうか も判断基準の一つです。
1. 医師・看護師の離職リスク(PMIの最重要論点)
M&A後に医師・看護師が大量離職すると、診療継続が困難になります。買い手側もこのリスクを強く意識するため、スタッフの定着率や労働環境が売却額に影響する ことがあります。M&A前にスタッフの待遇改善・キーマン医師との面談を進めておくことが、売却額の最大化にもつながります。
2. 院長個人の連帯保証・個人保証
クリニック・医療法人の借入金には、ほぼ例外なく 院長個人の連帯保証 が付いています。M&A成立後にこの個人保証が解除されるかは事前交渉次第で、個人保証の解除が後回しにされる事例 も少なくありません。経営者保証ガイドラインの活用も含め、解除条件を明確化することが重要です。
関連記事: 個人保証の解除方法については「会社売却 個人保証・連帯保証の解除方法」をご覧ください。
3. 役員退職金スキームと2026年税制厳格化
医療法人M&Aでは、譲渡対価の一部を 理事長退職金 として支給することで税負担を抑えるスキームが広く使われてきました。しかし2026年の退職所得源泉徴収票提出義務拡大により、退職金の妥当性(在任期間×功績倍率)を証明できる書類整備が必須 となっています。仲介会社の税務知見の差が手取り額に直結する局面です。
4. 認定医療法人の制度期限と要件
出資持分のある医療法人を持分なし医療法人へ移行する 認定医療法人制度 は、申請期限・要件が定期的に見直されています。M&Aと並行して認定医療法人化を進めるか、出資持分譲渡で承継するかは 税務上の影響が極めて大きい判断 になるため、税理士・医業経営コンサルタントとの連携が必須です。
5. 保健所・都道府県への許認可手続き
医療法人の合併、診療所の開設・廃止、病床数変更などは、保健所・都道府県への許認可手続き が必須です。手続きの遅延は成約スケジュール全体を狂わせるため、行政手続きに精通した仲介会社 の選定が重要です。
※上記のリスクへの対策は、M&Aの実務に精通した税理士・弁護士・医業経営コンサルタントに相談することを強くおすすめします。 特に税務・法務の最終判断は専門家の助言を受けてください。
医療・クリニックM&Aの売却額相場
医療M&Aの売却額は、EBITDA(償却前営業利益)に倍率を掛けた金額 をベースに、土地・建物・医療機器などの資産価値を加味して算定されます。
基本的な計算式
売却額の目安 = EBITDA × 倍率 + 純資産(または時価資産)− 有利子負債
医療機関タイプ | EBITDA倍率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
自由診療クリニック(美容皮膚科等) | 4〜8倍 | 高収益性のため倍率が高くなりやすい |
一般診療所(保険診療) | 3〜5倍 | 患者数・地域シェアが影響 |
歯科診療所 | 3〜6倍 | 自由診療比率・矯正専門等で変動 |
中核病院(一般病床) | 3〜5倍 | 病床機能・地域連携で大きく変動 |
介護老人保健施設 | 4〜6倍 | 介護報酬の安定性が評価される |
調剤薬局 | 5〜10倍 | 業界再編で買い手意欲が高い |
※上記は一般的な相場感であり、個別案件の条件・地域特性・市場環境・買い手の事業戦略により大きく変動します。正確なバリュエーションは必ず仲介会社・税理士・医業経営コンサルタントに依頼してください。
関連記事: バリュエーション手法の詳細は「M&A バリュエーション手法比較(DCF・類似会社・年買法)」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療業界専門のM&A仲介と一般的なM&A仲介の違いは何ですか?
医療M&Aでは、医療法人特有のスキーム(出資持分譲渡・社員変更・認定医療法人対応)と、保健所・都道府県への許認可手続きへの対応が必須です。一般的なM&A仲介では株式譲渡のみを想定しており、医療法に準拠した手続きで躓くリスクがあります。医療業界専門の仲介会社の方が、適正な売却条件と手続きの確実性の両方を引き出しやすい 傾向があります。
Q. 医療100%特化型と大手の医療チーム型、どちらを選ぶべきですか?
年商1〜5億円規模の外来クリニック・小規模医療法人であれば医療100%特化型の方が手厚いサポートと低い最低報酬を受けやすく、年商10億円以上の中核病院・医療法人グループであれば大手のネットワーク力(PEファンドや異業種事業会社へのリーチ)が活きる傾向があります。ただし案件の特性により最適解は変わるため、両方のタイプから1社ずつ無料相談を受けてみる のが最も確実な方法です。
Q. ブティックスの最低手数料100万円にデメリットはありますか?
ブティックスは医療事業を2017年に開始したため、業歴は他社より浅く、医療業界での累計成約件数は70件超(2026年4月時点)と医療最大手と比べると少なくなります。大型病院グループや複雑な合併スキームの案件では、医療最大手と並行相談する ことを推奨します。一方で、年商数千万〜1億円台の小規模クリニックでは費用面のメリットが大きく、有力な選択肢になります。
Q. 医療・クリニックM&Aは成約までどのくらいかかりますか?
一般的に 6ヶ月〜1年 が目安です。ストライクの公開事例では平均6〜8ヶ月、最短2ヶ月、最長2年2ヶ月という幅があります。保健所・都道府県への許認可手続き、認定医療法人申請 などが絡む場合は、想定より長引くケースも多いことを理解しておきましょう。
Q. 複数の仲介会社に同時に相談しても問題ありませんか?
問題ありません。むしろ2〜3社に並行相談することを推奨します。 専任契約(1社のみに依頼する契約)を求められる場合もありますが、初回相談や提案段階では複数社と話を進め、アドバイザーの質や提案内容を比較してから絞り込む のが一般的です。ただし、診療所の財務情報・患者情報など機密性の高い情報の管理には十分注意してください。
関連記事: 専任契約と非専任契約の違いについては「M&A 専任契約 vs 非専任契約 違い・選び方」をご覧ください。
Q. M&A支援機関登録制度に登録している仲介会社を選ぶべきですか?
中小企業庁の M&A支援機関登録制度 に登録されている仲介会社は、一定の品質基準を満たしているため信頼性の参考になります。事業承継・引継ぎ補助金の利用要件にも関わるため、登録の有無は 中小企業庁の登録M&A支援機関データベース で必ず確認しましょう(https://ma-shienkikan.go.jp/ )。
Q. 認定医療法人化とM&Aはどちらを優先すべきですか?
これは 税務・法務上の影響が極めて大きい判断 で、出資持分の評価額・後継者の有無・親族外承継かどうかによって最適解が変わります。仲介会社の意見だけでなく、税理士(医療法人税制に精通した者)と医業経営コンサルタントに必ず相談 してください。判断を急がず、複数の専門家の意見を比較することが重要です。
まとめ|医療・クリニックM&A仲介会社の選び方
医療・クリニックM&Aでは、医療法人特有のスキームと行政手続きに精通した仲介会社を選ぶことが、適正な売却額と確実な成約の両立に直結します。最後に、選び方のポイントを整理します。
3つのタイプから自院に合うものを選ぶ:
- コストを抑えたい、小規模外来クリニック → 医療100%特化型(ブティックス、エムステージ、CBホールディングス、名南M&A)
- 確実に成約させたい、中核病院・医療法人グループ → 大手の医療チーム型(日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ)
- 病院特化や信託銀行系の信頼性が必要 → 病院特化型(病院M&Aアドバイザーズ)または銀行系(経営承継支援)
最低限やるべき3ステップ:
- 本記事の比較表で候補を2〜3社に絞る
- 各社の無料相談に申し込み、担当アドバイザーの 医療業界経験 と 同タイプ案件の実績 を確認する
- 手数料の 「計算基準」 (株価/オーナー受取額/移動総資産)と 最低報酬 を具体的に確認してから、依頼先を決定する
医療・クリニックM&Aは、医療業界の理解と医療法人スキームの実務経験を持つアドバイザーと組むことで売却額・成約スピード・PMIの成功確率が大きく変わります。2026年4月の開業規制本格化と退職金税制改正 により買い手需要が高まっている今、まずは無料相談を活用して、自院に合った仲介会社を見つけてください。
なお、税務・法務に関わる判断(認定医療法人化、退職金スキーム、出資持分の評価等)は仲介会社の提案だけで判断せず、税理士・弁護士・医業経営コンサルタントへの相談を必ず行ってください。
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