親族・知人への会社売却(相対取引)の注意点|税金・法務・交渉トラブルを徹底解説
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親族・知人への会社売却(相対取引)の注意点|税金・法務・交渉トラブルを徹底解説

親族・知人への会社売却(相対取引)は税務リスク・法的手続き・関係性トラブルを事前に把握しないと大きな損失につながります。みなし贈与・遺留分問題・NDA締結の必要性など、専門家情報をもとに注意点を徹底解説します。

M&A比較レビュー編集部2026/6/148分で読める

親族や知人への会社売却(相対取引)は、「信頼できる相手だから安心」と思いがちですが、税務・法務・人間関係の三方向からリスクが発生するため、事前の準備が不可欠です。特にみなし贈与課税と会社法上の手続き違反は、売主・買主の双方に深刻な損害をもたらすケースがあります。

この記事では次の内容を解説します。

  • 相対取引が向いているケース・向いていないケース
  • みなし贈与・低額譲渡の税務リスクと具体的なシナリオ
  • 定款の譲渡制限・デューデリジェンス省略による法的リスク
  • 親族特有の遺留分問題と知人特有の情報漏洩リスク
  • M&A仲介会社を使うべき場合の判断基準

対象読者:後継者(子供・親族)への事業承継を検討しているオーナー社長、または知人・取引先から「会社を売ってほしい」と打診を受けている中小企業オーナー。

⚠️ この記事に含まれる税務・法的情報は2026年6月時点のものです。税制改正や個別の状況によって適用が異なるため、実際の判断は税理士・弁護士・公認会計士にご相談ください。

親族・知人への会社売却(相対取引)の概念図

親族・知人への会社売却(相対取引)とは

相対取引とは、取引所(市場)を介さずに売り手と買い手が1対1で直接交渉・合意する売買形式のことです。「あいたいとりひき」と読み、英語ではOTC(Over The Counter)取引とも呼ばれる一般的な金融・商取引用語です。

非上場中小企業の株式には公開市場が存在しないため、第三者へのM&Aを含め、株式の売買は事実上すべて相対取引の形式をとります。本記事では特に次の3つのパターンを対象に解説します。

パターン

特徴

主なリスク

① 親族内承継(後継者へ売却)

子・孫・兄弟姉妹など身内への株式移転

みなし贈与・遺留分侵害・事業承継税制との関係

② 知人・同業者への売却

長年の知人・友人への売却

情報漏洩・交渉破断時の関係悪化・価格の不透明性

③ 取引先・ビジネスパートナーへの売却

仕入先・顧客など事業上の関係者への売却

秘密保持・NDA・競業他社への情報流出

M&A仲介会社を介したM&Aとの最大の違いは「買い手候補の探索が不要」「価格交渉の透明性が低い」「専門的な手続き管理者がいない」点にあります。手数料コストを節約できる一方で、専門知識なしで進めると重大なリスクが生じます。

相対取引が適しているケース・適していないケース

まず自社の状況が相対取引に向いているかどうかを確認してください。

相対取引が適しているケース

  • 後継者が親族内にすでに決まっており、株式移転の方法・時期を検討している
  • 長年の取引先や同業者から「ぜひ買いたい」と具体的な打診を受けている
  • 年商が比較的小さく(数千万円以下)、企業価値も小規模なため仲介手数料のコストが割に合わない
  • 株価算定の専門家(税理士・公認会計士)は別途起用する予定がある

相対取引が適していないケース

次のいずれかに当てはまる場合は、M&A仲介会社や専門家への相談を強くおすすめします。

  • 複数の買い手候補と比較・競争させて価格を最大化したい
  • 企業価値の適正算定に不安がある(簿外債務・保証・係争リスクが潜在している)
  • 税務・法務の知識が乏しく、契約書類を自力で作成できない
  • 売却後も事業を継続させてほしい(従業員・取引先保護の条件交渉が複雑)
  • 非公開情報の漏洩リスクを最小化したい
相対取引の主なリスク4カテゴリの整理図

相対取引で発生する主なリスクの全体像

親族・知人への相対取引には、大きく分けて次の4カテゴリのリスクがあります。

リスクカテゴリ

内容

主に影響する人

税務リスク

みなし贈与・低額譲渡による二重課税

売主・買主の双方

法務リスク

譲渡制限株式の承認手続き漏れ・表明保証違反

売主・買主の双方

親族特有のリスク

遺留分侵害請求を他の相続人から受ける

売主(将来の相続で問題化)

情報管理リスク

NDAなしによる情報漏洩・交渉破断時のリスク

売主

以下、各リスクの内容と対策を詳しく解説します。

【税務リスク①】みなし贈与で買い手に多額の贈与税が課される

これが相対取引で最も頻発する重大リスクです。

個人間で株式を「時価より著しく低い価格」で譲渡した場合、その差額が買い手への「贈与」とみなされ、買い手に贈与税が課されます(相続税法第9条)。国税庁はこれを「みなし贈与」と呼びます。

みなし贈与が起きやすいシナリオ

【よくある事例】

  • 税理士に相談せず、「親族だから安く売ってあげよう」と考えて時価の半値で売却した
  • 創業当時の株価(取得原価ベース)で計算して売却したが、会社が成長していた
  • 「感謝の気持ち」を込めて長年の取引先に割引価格で売却した

具体的なダメージのイメージ

仮に時価1億円の会社を3,000万円で子供に売却したとします。

  • 売主(親):3,000万円に対して譲渡所得税が発生(20.315%)
  • 買主(子):差額7,000万円が「みなし贈与」とされ、高税率の贈与税が課される可能性

贈与税は最高税率55%(累進課税)のため、売主と買主の双方に税負担が生じる「二重課税」になりかねません。

⚠️ 注意:「時価のどのくらいまでなら大丈夫」という具体的な割合は、税法上「著しく低い価格」の明確な定義がなく、税務当局がケースごとに判断します。「目安」として語られる数値は参考情報にすぎず、実際の取引前に必ず税理士に確認してください(国税庁「相続税法第9条のみなし贈与」より)。

対策:株価の適正評価が最重要

みなし贈与リスクを避けるには、取引前に公認会計士または税理士による株式評価を行い、「税務上の時価」を算定した上で価格設定することが必要です。

株式評価の主な手法(非上場株式):

  • 純資産価額方式:会社の純資産を基準に算定
  • 類似業種比準価額方式:同業種の上場企業の株価を基準に算定
  • DCF法(ディスカウントキャッシュフロー):将来のキャッシュフローを基準に算定
  • 年買法(中小M&Aでよく使われる):純資産+営業利益×年数

税務上の評価には「財産評価基本通達」に基づく方式が出発点となりますが、実際のM&Aでは複数の手法を組み合わせるケースが多く、専門家への依頼が不可欠です。

【税務リスク②】低額譲渡の二重課税と2025年の税制変更

みなし贈与以外にも、譲渡主体の組み合わせによって税務上の扱いが変わります。

低額譲渡の課税パターン別整理表(個人→個人、個人→法人など)

取引パターン別の課税リスク

取引パターン

課税ルール

リスクの内容

個人 → 個人

差額が「みなし贈与」(相続税法第9条)

買主に贈与税が課される

個人 → 法人

時価の1/2未満で売却すると時価で課税(所得税法第59条)

売主に時価相当の譲渡所得税が課される

法人 → 個人

時価との差額が「給与」または「贈与」扱い

買主に給与所得税・贈与税が課される

法人 → 法人

時価との差額が「寄附金」扱い

売主法人の損金算入が制限される

上記は一般的な原則であり、個別の状況によって適用が異なります。法人・個人の組み合わせが複雑な場合は、取引前に必ず税理士・弁護士に相談してください。

2025年税制改正:高額売却益には最大27.5%の課税

2025年1月1日より「高額所得者に対する最低限税(ミニマムタックス)」が導入されました(出典:財務省「令和7年度税制改正の大綱」、2026年6月確認)。

  • 適用対象:年間合計所得が3.3億円を超える高所得者
  • 変更内容:株式譲渡益等に対する実効税率が、現行の約20.315%から最大27.5%(所得税22.5%+住民税5%)に引き上げ
  • 背景:「1億円の壁」と呼ばれる高所得者の実効税率逆進性の是正

年商数千万〜数億円規模の中小企業オーナーで、譲渡対価が3.3億円未満の場合は多くのケースで対象外となりますが、高額売却を検討している場合は税理士への確認が必要です。

【法務リスク①】定款の譲渡制限を無視してはいけない

ほぼすべての非上場中小企業は、定款で「株式の譲渡制限」を定めています。

親族・知人への売却であっても、会社法上の手続きを経ずに株式を譲渡しても、会社がその譲渡を承認していなければ株主として法的に認められません。議決権の行使・配当の受取など、株主としての権利が一切行使できなくなります。

必須の会社法上の手続き(出典:J-Net21、中小企業基盤整備機構、2026年6月確認)

  1. 譲渡承認請求書の提出:株式を取得したい者が会社に承認を求める
  2. 取締役会(または株主総会)での承認決議:会社が正式に承認する
  3. 株主名簿の書換え:新しい株主として記録を更新する

「家族だから大丈夫」が通用しないケース

  • 会社に他の株主(共同創業者・親族など)がいる場合、その人たちの合意なしに株式を移転できない
  • 定款の条件によっては「株主以外への譲渡は認めない」等の制限が存在するケースがある
  • 手続きを省略して株式を移転した場合、後日「この株主は正式な株主ではない」として争いになる可能性がある

【法務リスク②】デューデリジェンスを省略した場合の買い手リスク

親族・知人への相対取引では、「信頼しているから調査不要」としてデューデリジェンス(DD)を省略するケースが多いですが、これは買主にとって非常に危険です。

DDを省略した後に発覚する典型的な問題

  • 簿外債務:帳簿に載っていない未払い費用・未払い税金・保証債務
  • 未払い残業代:労働基準法違反が蓄積していたケース
  • 係争案件:取引先とのトラブルが訴訟に発展していた
  • 環境汚染・設備老朽化:不動産や設備に潜むコスト

これらが引き継ぎ後に発覚した場合、買主は売主に対して損害賠償請求できる可能性があります(表明保証違反)。ただし、相対取引では表明保証条項の作成自体が不十分なことが多く、法的立証が難しくなります(出典:M&A総合法律事務所「表明保証とは?」、2026年6月確認)。

買い手が取るべき対策

仲介なしで進める場合でも、最低限以下の確認を行うことを推奨します:

  • 3期分の決算書・申告書の確認
  • 重要な契約書(賃貸借・取引基本契約・借入・保証)の確認
  • 税務申告の状況・過去の税務調査歴の確認
  • 未払い残業代・労使トラブルの有無確認

【親族特有のリスク】遺留分侵害請求を他の相続人から受けるケース

遺留分侵害請求のリスク:後継者1人への株式集中と他相続人からの請求シナリオ

親族内承継(特に後継者1人への株式集中)特有のリスクとして、遺留分の問題があります。

遺留分とは

遺留分とは、法定相続人が最低限受け取る権利を持つ財産の割合です。後継者の子どもに株式を集中させた場合、他の兄弟姉妹などの法定相続人が「自分の遺留分が侵害された」として遺留分侵害額請求を行うことができます。

自社株の価値が高い場合、後継者は他の相続人に対して多額の代償金を支払わなければならなくなるリスクがあります。

対策:「遺留分に関する民法の特例」を活用する

中小企業庁の公式制度として「遺留分に関する民法の特例」があります(出典:中小企業庁「事業承継と民法〈遺留分〉」公式パンフレット、2026年6月確認)。

特例の種類

内容

効果

除外合意

後継者が取得した自社株式を遺留分算定の基礎財産から除外

他の相続人への遺留分侵害リスクを軽減

固定合意

合意時点の株式価額を固定し、将来の値上がり分を保護

事業成長による相続問題の拡大を防ぐ

いずれも経済産業大臣の確認→家庭裁判所の認可が必要であり、後継者・全相続人・現経営者の合意が前提となります。手続きは複雑なため、弁護士への依頼を推奨します。

生前贈与の加算期間の延長(2024年改正)

2024年1月の税制改正により、相続前の生前贈与の加算期間が旧3年から7年に延長されました(経過措置あり、完全適用は2031年以降)。事業承継のための生前贈与を活用する場合は、早期の長期計画が必要です(出典:国税庁・財務省「令和5年度税制改正の大綱」、2026年6月確認)。

【情報管理リスク】NDAなしで情報を開示してはいけない理由

知人・取引先への売却で特に注意が必要なのが、秘密保持(NDA)の問題です。

仲介会社なし相対取引での情報漏洩シナリオ

具体的なトラブル例:

  1. 取引先に「会社を売りたい」と打診し、条件交渉を開始
  2. 財務情報・主要取引先・顧客リスト・従業員情報を共有
  3. 価格面で折り合いがつかず交渉が破断
  4. 相手(元交渉相手)が競合他社に転職、または自社の競合サービスを立ち上げる

NDAなしで情報を開示した後に交渉が破断すると、競業他社への情報漏洩・重要顧客の流出・従業員の不安による退職などの二次被害が発生するリスクがあります。

NDA(秘密保持契約)を締結するタイミング

原則:情報開示の前。ただし話し合い開始前が理想。

NDAで定めるべき最低限の内容:

  • 開示する秘密情報の範囲
  • 秘密保持義務の期間(一般的に2〜5年)
  • 情報の目的外使用の禁止
  • 交渉破断後の情報廃棄・返還義務
  • 競業避止条項(交渉相手が同業他社として参入することを制限)

親族間でも、感情的なトラブルによる情報の外部流出リスクはゼロではありません。「信頼できる相手だから不要」という認識は危険です。

相対取引 vs M&A仲介会社:どちらを選ぶべきか

相対取引とM&A仲介会社の比較表:コスト・リスク・サポート体制の違い

比較表:コスト・リスク・サポート体制

比較項目

相対取引(仲介なし)

M&A仲介会社を利用

仲介手数料

不要(弁護士・税理士・公認会計士費用は別途)

成功報酬制が一般的(各社により異なります。詳細はM&A費用相場ガイド参照)

買い手探索

不要(すでに相手が決まっている)

仲介会社のネットワークで広く探索

価格交渉

当事者同士で直接交渉

仲介会社がサポート・調整

株価算定

自力または個別に専門家を手配

仲介会社が費用算定をサポート

法務・税務

自力または個別に弁護士・税理士を手配

仲介会社が専門家を紹介・連携

情報管理

NDA締結を自力で手配

仲介会社がプロセスを管理

成約スピード

相手が決まっているため比較的速い

買い手探索に3ヶ月〜1年以上かかる場合も

価格最大化

相手1社との交渉のみ

複数候補との競争で価格が上がりやすい

補助金

対象外の可能性あり

登録支援機関経由なら補助金対象(要確認)

リスク管理

自己責任。手続きミスが起きやすい

仲介会社が手続きフローを管理

こんな場合は相対取引で進めても問題が少ない

  • 後継者への承継方法(贈与・売買・相続)の検討段階で、別途税理士・弁護士を起用できる
  • 取引先からの打診で価格感に双方合意があり、専門家報酬を個別に負担できる
  • 年商・企業価値が小規模で、M&A仲介会社の費用(各社によって異なります。大手仲介会社では最低報酬が数千万円以上の場合もあります)が割に合わない

こんな場合はM&A仲介会社を使うべき

  • 企業価値を最大化したい(複数の買い手候補と競争させる)
  • 税務・法務の知識がなく、自力で契約書類を整備するのが難しい
  • 売却情報を社外に漏らしたくない(従業員・取引先への影響を最小化したい)
  • 事業承継・M&A補助金(登録支援機関経由)を活用したい

M&A仲介会社の費用・選び方について詳しくは「M&A費用相場ガイド」も参照ください。

相対取引を安全に進めるためのチェックリスト

相対取引を選択した場合でも、次の手順・確認事項を守ることでリスクを大幅に軽減できます。

STEP 1:株価算定(取引開始前)

  • 公認会計士または税理士に株式評価を依頼する
  • 税務上の時価を算定し、譲渡価格の根拠として文書化する
  • 贈与・売買・相続のどの形式を選ぶかを確定する

STEP 2:秘密保持契約(NDA)の締結

  • 財務情報・顧客情報を開示する前に必ずNDAを締結する
  • 競業避止条項・情報廃棄義務を含める
  • NDAは弁護士に作成を依頼する(書式テンプレートは法的効力が限定される場合がある)

STEP 3:会社法上の手続き確認

  • 定款の「株式譲渡制限」条項を確認する
  • 取締役会(または株主総会)での承認決議を行う
  • 株主名簿を書き換える

STEP 4:デューデリジェンス(DD)

  • 3期分の決算書・申告書を確認する
  • 重要契約・借入・保証の確認を行う
  • 未払い残業代・労使トラブルの有無を確認する

STEP 5:譲渡契約書の締結

  • 弁護士に譲渡契約書を作成してもらう(表明保証条項を含める)
  • 株式譲渡の対価・支払い条件・クロージング日程を明記する
  • 売却後の競業避止義務・ロックアップ条件を確認する

STEP 6:クロージング・株主名簿書換

  • 対価の授受を確認する
  • 株主名簿を正式に書き換える
  • 登記変更が必要な場合は司法書士に依頼する

こんな場合は必ず専門家・仲介会社に相談すべき

次のいずれかに該当する場合は、個人での対処よりも専門家または仲介会社への相談を優先してください。

専門家(税理士・弁護士)への相談が必要なケース

  • 譲渡価格の設定に不安があり、みなし贈与リスクを排除したい
  • 他の相続人(兄弟姉妹)への遺留分対策を含めて事業承継を設計したい
  • 保証債務・係争案件など複雑な簿外リスクが存在する可能性がある
  • 表明保証条項を含む適切な譲渡契約書を作成したい

M&A仲介会社への相談が必要なケース

  • 相対取引の相手候補はいるが、他の候補と比較検討したい
  • 売却価格の妥当性を客観的に確認したい
  • 売却情報の漏洩リスクをプロに管理してほしい
  • 知人・取引先への売却交渉が行き詰まり、第三者に仲裁してほしい

M&A仲介会社の選び方・比較については「M&A仲介会社おすすめ比較ガイド」をご覧ください。
親族内承継の全体的な制度・手順については「事業承継とは」も合わせて参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相対取引に仲介会社の手数料はかからないのに、なぜ税理士・弁護士に頼む必要があるのですか?

A. 仲介手数料は節約できますが、株式評価の誤りによるみなし贈与税・会社法違反・表明保証違反は、手数料の節約分をはるかに上回る損害をもたらすリスクがあります。特に株価算定は「感覚」では行えず、税務調査の対象になるケースもあります。最低限、税理士による株式評価と弁護士による契約書作成は起用することを推奨します。

Q2. 子どもへの株式譲渡は売買ではなく贈与にした方がよいですか?

A. 一概にどちらが有利とは言えません。売買形式では売主に譲渡所得税(約20%)が発生しますが、贈与形式では買主に贈与税(最高55%)が課されます。ただし、事業承継税制(法人版・個人版)を適用できる場合は贈与形式が税務上有利になるケースがあります(贈与税の納税猶予制度を活用できるため)。これは売買形式では適用されません。具体的な判断は税理士に確認してください。

株式譲渡と事業譲渡の税金の違いについては「株式譲渡 vs 事業譲渡の比較ガイド」も参照ください。

Q3. 知人への売却で、価格交渉が難航しています。どうすればよいですか?

A. 当事者間での価格交渉が行き詰まった場合は、第三者的立場のM&A仲介会社や弁護士に「調停役」として入ってもらうことを検討してください。感情が絡みやすい知人間の交渉を長期化させると、最終的に取引が破談になるだけでなく関係そのものが悪化するリスクがあります。第三者が入ることで客観的な価格根拠を双方に示しやすくなります。

Q4. 親族内承継で、事業承継補助金は使えますか?

A. 事業承継・M&A補助金(2026年時点)は、登録M&A支援機関を経由した場合の費用が補助対象の一つとなっています。仲介会社なしの個人間相対取引が対象となるかどうかは、公募要領の詳細を確認する必要があります(補助金の要件は公募ごとに変更される場合があります)。中小企業庁や登録支援機関に直接問い合わせることを推奨します(出典:中小企業庁公式サイト「事業承継・引継ぎ補助金」、2026年6月確認)。

Q5. 取引先への売却交渉が破断した場合、開示した情報はどうなりますか?

A. NDA(秘密保持契約)を締結している場合、開示した情報の廃棄・返還義務を相手方に課すことができます。ただし、NDAに違反した場合の損害賠償請求は立証が難しいケースも多く、「情報が漏れた後の対処」よりも「漏れないようにする事前管理」の方が重要です。開示する情報の範囲を最小限に絞り、段階的に開示するプロセスを設計することを推奨します。

まとめ:相対取引で後悔しないための3つの鉄則

  1. 価格設定は必ず専門家(税理士・公認会計士)に依頼する
    感覚やコスト削減を優先した株価設定が、みなし贈与課税・二重課税という取り返しのつかない損失につながるケースが最も多いです。
  2. NDAと会社法上の手続きは省略しない
    「信頼できる相手だから不要」という認識が情報漏洩・法的無効のリスクを生みます。相手が親族・知人であっても、手続きの形式は必ず守ってください。
  3. 判断に迷ったら仲介会社または専門家に相談する
    相対取引の「コスト節約」のメリットは、リスクを適切に管理できる場合に限り発揮されます。不安要素がある場合は、M&A仲介会社・税理士・弁護士への相談が結果的に損失を防ぎます。

M&A仲介会社の費用と選び方について詳しくは「M&A費用相場・手数料ガイド」をご覧ください。
M&A仲介の仕組み全体を理解したい方は「M&A仲介とは」もあわせてご参照ください。

本記事の税務・法律情報は2026年6月時点の公式情報をもとに作成しています。税制改正・法改正により内容が変更される場合があります。実際の取引判断は、必ず税理士・弁護士・公認会計士にご相談ください。

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M&A仲介会社の選び方・費用・実績を徹底調査する専門編集部です。