訪問看護ステーションのM&A仲介会社おすすめ8選|手数料・最低報酬・選び方を比較【2026年版】
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訪問看護ステーションのM&A仲介会社おすすめ8選|手数料・最低報酬・選び方を比較【2026年版】

訪問看護ステーションの売却で相談すべきM&A仲介会社8社を、手数料の算定基準・最低報酬・訪問看護への対応で比較しました。譲渡額別の手数料試算、規模別の選び方、指定手続きや人員基準など売却前に確認しておきたい点もまとめています。

M&A比較レビュー編集部2026/10/211分で読める

訪問看護ステーションの売却なら、1拠点・譲渡額数千万円までの規模は最低報酬が低い介護・医療特化型(介護M&A支援センター、カイポケM&A、CBヘルスケアなど)から相談するのが現実的です。複数拠点で年商1億円を超えるなら総合型も比較対象に加え、譲渡額が数百万円規模で自分で買い手を探せるならバトンズなどのマッチングサイトも候補になります。

訪問看護のM&Aは小規模な案件が多いため、手数料率よりも最低報酬額と算定基準(何の金額に料率をかけるか)で実際の負担が大きく変わります。会社ごとの差が出やすいのはこの2点です。

この記事でわかること:

  • 訪問看護ステーションの売却に対応するM&A仲介会社8社の手数料・特徴の比較
  • 譲渡額1,000万円/3,000万円/1億円の場合の手数料試算
  • 拠点数・年商規模ごとの相談先の選び方
  • 指定手続き(介護保険・医療保険)、人員基準、請求記録など、訪問看護ならではの注意点

こんな方に向けた記事です:

  • 訪問看護ステーション(株式会社・合同会社など)を売却・事業承継したいオーナー経営者
  • 管理者や看護師の確保が難しくなり、譲渡や統合を考え始めた方
  • 仲介会社に相談する前に、手数料の相場や会社ごとの違いを知っておきたい方

結論:訪問看護ステーションの売却で相談先を選ぶための早見表

まず自社の規模に合うタイプを決め、そのタイプの中から2〜3社に相談するのが効率的です。規模ごとの目安は次のとおりです。

自社の状況

まず相談したいタイプ

主な候補

選ぶときに確認すること

1拠点・譲渡額が数百万〜数千万円

介護・医療特化型

介護M&A支援センター、カイポケM&A、CBヘルスケア、M&A介護ジャパン

最低報酬と成約基本料、算定基準

譲渡額が数百万円程度で、自分で交渉を進められる

マッチングサイト

バトンズ など

利用料と、指定手続き・契約を誰がサポートするか

複数拠点・年商1億円以上

特化型+総合型を並行で比較

上記の特化型に加え、インテグループ、日本M&Aセンター

譲渡額ベースか移動総資産ベースか

年商数億円以上・グループ法人として売却

総合型も含めて比較

日本M&Aセンター、M&A総合研究所、インテグループ

最低報酬(数千万円規模の会社もある)、買い手ネットワーク

介護M&A支援センター(ブティックス)のロゴ

関連記事: 仲介会社選び全般の基本は「M&A仲介会社の選び方ガイド」、介護事業全体の比較は「介護・福祉業界に強いM&A仲介会社おすすめ」で解説しています。

訪問看護ステーションのM&Aに対応する仲介会社8社の比較表

公式サイトで料率まで確認できたのは4社です。残りの会社は料率を公開していないため、相談時の見積もりで確認が必要です。

会社名

タイプ

着手金

成功報酬の計算方法

算定基準

売り手の最低報酬

訪問看護への対応(公式サイト上)

介護M&A支援センター(ブティックス)

介護・医療特化

0円

成約基本料100万円+レーマン方式(10%〜1%)

取引対価(負債を含まない)

100万円〜

対象業態に訪問看護を明記

カイポケM&A(エス・エム・エス)

介護・医療特化

0円(原則)

成約基本料100万円+レーマン方式(10%〜1%)

移動総資産

100万円

訪問看護M&Aの解説コラムあり

CBヘルスケア(旧CBパートナーズ)

医療・介護・薬局特化

公式で要確認

料率非公開

非公開

非公開

訪問看護のコラム・承継事例あり

M&A介護ジャパン

介護特化

完全成功報酬と記載

料率非公開

非公開

非公開

対象に「訪問看護・介護」を明記

インテグループ

総合型(介護M&A専門サイトあり)

0円(完全成功報酬制)

公式で要確認

公式で要確認

公式で要確認

訪問看護専用ページあり(年商8,000万〜20億円程度が対象と記載)

日本M&Aセンター

総合型

あり(金額非公開)

レーマン方式(5%〜1%)

移動総資産(時価)

公式で未確認

訪問看護の個別ページは未確認

M&A総合研究所

総合型

0円(中間金も0円)

完全成功報酬・レーマン方式(5%〜1%)

譲渡価格

2,500万円

訪問看護のコラムあり

バトンズ

マッチングサイト

—

成約時のプラットフォーム利用料

公式料金ページで要確認

公式料金ページで要確認

「訪問看護・訪問系サービス」の売却案件カテゴリあり

出典:各社公式サイト(介護M&A支援センター 料金、カイポケM&A 料金、M&A総合研究所 料金、日本M&Aセンター 料金、インテグループ 訪問看護、CBヘルスケア、M&A介護ジャパン、バトンズ)。確認日:2026年10月3日。料金は税抜表記が中心で、改定されることがあります。契約前に必ず各社の最新の報酬規程を確認してください。

成約件数は各社で集計範囲(介護全体か、医療・保育・建設なども含むか)が違うため、上の表には入れていません。現時点で、訪問看護だけの成約件数を公表している会社は確認できませんでした。そのため、比べるときは「訪問看護の専用ページや事例があるか」を目安にしてください。

譲渡額別の手数料試算:最低報酬で総額が大きく変わる

譲渡額3,000万円の場合、料率を公開している会社の間で、手数料は約390万円から2,500万円まで開きます。訪問看護のように小規模な案件では、料率よりも最低報酬が総額を決めることが多いと考えてください。

譲渡額(取引対価)

介護M&A支援センター

カイポケM&A ※1

M&A総合研究所

1,000万円

200万円(1,000万円×10%+基本料100万円)

200万円

2,500万円(最低報酬が適用)

3,000万円

390万円(2,000万円×10%+1,000万円×9%+100万円)

390万円

2,500万円(最低報酬が適用)

1億円

900万円(10%〜6%の段階計算800万円+100万円)

900万円

2,500万円(1億円×5%=500万円<最低報酬)

※当編集部が各社の公式料金表(確認日:2026年10月3日)をもとに試算した参考値です(税抜)。実際の報酬額は契約内容によって異なります。

※1 カイポケM&Aは移動総資産(譲渡額に負債などを加えた金額)が算定基準です。この表では「移動総資産=譲渡額」と仮定しています。借入金などがある場合は手数料が上がります。

※介護M&A支援センターの公式ページには、取引対価5,000万円で560万円(税抜)になる計算例が掲載されています。

表から読み取れるのは次の3点です。

  1. 最低報酬が2,500万円の会社は、譲渡額が数千万円の訪問看護ステーションには合いにくい。 譲渡額より手数料が大きくなる場合もあります。
  2. 特化型2社は小さい金額帯の料率が10%と高めです。 最低報酬が低くても、手数料率は5%以上になります。「最低報酬が低い=どの規模でも安い」わけではありません。
  3. 算定基準の確認は欠かせません。 借入金が多い法人の場合、移動総資産ベースだと譲渡価格ベースより手数料が高くなりやすくなります。

手数料以外にも、DD(買収監査)対応の費用や、成約後の顧問・引継ぎ費用がかかる場合があります。見積もりでは「成功報酬以外に発生する費用」も書面で確認してください。

関連記事: レーマン方式の計算方法は「レーマン方式とは?計算例付きで解説」、各社の成功報酬の比較は「M&A成功報酬の比較ガイド」をご覧ください。最低報酬の低い会社に絞った比較は「最低報酬が安いM&A仲介会社比較」でまとめています。

各社の特徴|介護・医療特化型4社

1拠点から数拠点の訪問看護ステーションであれば、最初の相談先はこのタイプが中心になります。介護保険・医療保険の指定手続きや、看護師・管理者の引継ぎといった業界特有の論点に慣れているためです。

介護M&A支援センター(ブティックス)

東証グロース上場のブティックス株式会社(証券コード9272)が運営する、介護・医療・障害福祉などに特化したM&A仲介サービスです。公式サイトでは対象業態として訪問看護を明記しています。

項目

内容

着手金・月額報酬

0円

成功報酬

成約基本料100万円+レーマン方式(2,000万円以下10%〜100億円超1%の10段階)

算定基準

取引対価(負債を含まない)

累計成約件数

2,198件超(2026年6月30日時点、介護以外の業種を含む合計)

買手候補

19,000社以上(公式サイト記載)

出典:介護M&A支援センター公式サイト(確認日:2026年10月3日)

強み: 算定基準が負債を含まない取引対価なので、借入金のある法人でも手数料が膨らみにくい仕組みです。運営会社のブティックスは介護展示会「CareTEX」を主催しており、介護・医療業界の買い手とのつながりがあります。

注意点: 2,000万円以下の部分には10%の料率がかかります。また、公式の比較表では買い手側の最低報酬が500万円〜と記載されています。売り手が直接負担するものではありませんが、極端に小さい案件では買い手が見つかりにくくなる可能性があります。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 年商数千万円〜数億円で、介護・医療系の同業者への譲渡を考えている法人。借入金があり、算定基準を重視したいケース。

カイポケM&A(エス・エム・エス)

カイポケM&A(エス・エム・エス)の公式ロゴ画像

東証プライム上場の株式会社エス・エム・エス(証券コード2175)が運営するM&A仲介サービスです。介護経営支援システム「カイポケ」を導入する約27,000法人とのつながりを活かしたマッチングが特徴で、訪問看護のM&Aに関する解説コラムも公開しています。

項目

内容

着手金・中間金

原則0円

成功報酬

成約基本料100万円+レーマン方式(10%〜1%の10段階)

算定基準

移動総資産

最低手数料

100万円

累計成約件数

800件突破(2026年4月時点、対象業種全体)

出典:カイポケM&A公式サイト、料金ページ(確認日:2026年10月3日)

強み: 最低手数料が100万円と低く、小規模なステーションでも依頼しやすい料金体系です。カイポケをすでに使っている事業者は、運営データの整理がしやすい場合があります。

注意点: 算定基準は移動総資産です。借入金・リース債務などが多い法人では、譲渡額ベースの会社より手数料が高くなることがあります。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 1拠点・譲渡額数千万円以下で、無借金に近いステーション。介護系の買い手を中心に探したい方。

CBヘルスケア(旧CBパートナーズ)

医療・介護・福祉に特化したCBヘルスケアの公式サイト画像

芙蓉総合リースグループの、医療・介護・薬局分野に特化したM&A仲介会社です(1999年設立)。2026年4月1日に組織再編を行い、CBパートナーズから社名を変更しました。訪問看護のM&Aを解説するコラムでは、約3カ月で承継を実行した事例も紹介しています。

項目

内容

サービス

M&A仲介+ハンズオンの経営支援

手数料

公式サイト上で料率を確認できず(個別見積もり)

訪問看護の情報発信

コラム・事例あり

出典:CBヘルスケア公式サイト、訪問看護M&Aコラム(確認日:2026年10月3日)

強み: 医療・介護の両分野を長く手がけてきた会社なので、医療保険の売上割合が高いステーションや、クリニック・薬局と連携しているステーションの相談先になります。

注意点: 料率・最低報酬が公開されていないため、ほかの会社と比べるには見積もりが必要です。旧社名で情報を探す場合は、新社名と混同しないよう注意してください。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 医療法人や医療機関との関係が深いステーション。承継後の経営支援まで含めて相談したい方。

M&A介護ジャパン

東京都千代田区に拠点を置く、介護分野に特化したM&A仲介会社です。公式サイトでは「訪問看護・介護」を対象として明記し、完全成功報酬とPMI(統合後の支援)への対応を掲げています。

出典:M&A介護ジャパン公式サイト(確認日:2026年10月3日)

強み: 訪問看護・訪問介護を正面から対象にしているため、訪問系サービスの譲渡に特化した相談がしやすい点です。

注意点: 現時点で、公式サイト上では料率・最低報酬・成約実績の数値を確認できませんでした。依頼を検討する場合は、報酬規程と訪問看護の支援実績を書面で確認しましょう。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 訪問看護と訪問介護を併設している事業者で、特化型の会社を複数比べたい方。

各社の特徴|総合型3社とマッチングサイト

総合型は買い手のネットワークが広い一方、最低報酬が高めか非公開の会社が多く、主な対象は複数拠点・年商1億円以上の法人です。

インテグループ

全業種を扱うM&A仲介会社で、介護M&Aの専門サイト(kaigoma.jp)内に訪問看護の専用ページを設けています。公式ページでは、年商8,000万円〜20億円程度の訪問看護M&Aに特化していること、完全成功報酬制で着手金がないことを掲げています。

出典:インテグループ 訪問看護M&A(確認日:2026年10月3日)

強み: 訪問看護の公開事例として、N・フィールドからCHCP-HNへの譲渡(2021年)、ミレニアからセントケア・ホールディングへの譲渡(2017年)などを掲載しています。上場企業グループへの譲渡実績を確認できる点は判断材料になります。

注意点: 料率・最低報酬は、2026年10月3日の確認時点で公式ページから確認できませんでした。当編集部が2026年4月に調査した時点では最低報酬が1,000万円以上の水準とされていましたが、現行の金額は未確認です。小規模なステーションは、見積もりで総額を必ず確認してください。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 年商8,000万円以上、複数拠点を運営する法人で、上場企業や大手グループへの譲渡も視野に入れたいケース。

日本M&Aセンター

日本M&Aセンターの公式サイト画像

東証プライム上場の大手M&A仲介会社です。全国の金融機関・会計事務所と提携しており、異業種を含む幅広い買い手に打診できます。

出典:日本M&Aセンター 料金体系(確認日:2026年10月3日)

強み: 買い手ネットワークの広さ。病院・介護大手だけでなく、ヘルスケア分野に参入したい異業種の企業まで買い手候補に入れたい場合に向いています。

注意点: 公式では着手金があること、算定基準が移動総資産(時価)であることが示されています。最低報酬は公式ページで確認できなかったため、相談時に確認してください。小規模な1拠点の案件では、費用に見合わない可能性があります。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 年商数億円以上で、訪問看護に加えて介護施設なども運営するグループ法人の売却。

関連記事: 詳しくは「日本M&Aセンターとは?手数料・強み・評判」をご覧ください。

M&A総合研究所

M&A総合研究所の公式サイト画像

東証プライム上場グループのM&A仲介会社です。譲渡企業側は着手金・中間金がかからない完全成功報酬制で、算定基準は譲渡価格です。

出典:M&A総合研究所 料金体系(確認日:2026年10月3日)

強み: 譲渡価格ベースのため、借入金が多い法人でも手数料が膨らみにくい仕組みです。

注意点: 公式の料金ページでは最低報酬が2,500万円とされています。上の試算のとおり、譲渡額1億円でも最低報酬が適用されるため、訪問看護ステーション単体の売却では費用負担が重くなりがちです。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 譲渡額が数億円以上になる中堅以上の法人。逆に、1拠点・譲渡額数千万円のステーションにはおすすめしにくい会社です。

関連記事: 詳しくは「M&A総合研究所とは?手数料・評判・特徴」をご覧ください。

バトンズ(マッチングサイト)

M&A・事業承継マッチングサイト「バトンズ」の公式サイト画像

日本M&Aセンターグループが運営するM&Aマッチングサイトです。「訪問看護・訪問系サービス」カテゴリに売却案件が掲載されており、2026年10月3日時点で754件でした(訪問介護などを含む件数)。

強み: 売り手が自分で案件を掲載し、買い手と直接やり取りできます。仲介会社の最低報酬に合わない数百万円規模の案件でも、売却先を探しやすい仕組みです。

注意点: 成約時のプラットフォーム利用料は、公式料金ページで最新を確認してください。指定の変更届・新規指定申請、看護師の雇用の引継ぎ、契約書の作成を自分で進める必要があります。専門家に別途依頼する費用も見込んでおきましょう。

こんな訪問看護ステーションにおすすめ: 譲渡額が数百万円規模で、買い手候補との交渉や行政手続きを自分で進められる方。

関連記事: 「バトンズとは?評判・特徴・手数料」で詳しく解説しています。

規模別の選び方:拠点数と年商で相談先を絞る

自社の規模に合わない会社に依頼すると、手数料が割高になったり、案件の優先度が下がったりしやすくなります。拠点数と年商をもとに、次のように絞り込みましょう。

1拠点・年商数千万円クラス

  • 第一候補: 介護M&A支援センター、カイポケM&A(最低報酬100万円〜)
  • 併せて検討: CBヘルスケア、M&A介護ジャパン(見積もりで総額を確認)
  • 譲渡額が数百万円なら: バトンズなどのマッチングサイト
  • 避けたほうがよいケース: 最低報酬が1,000万円を超える会社にだけ依頼すること

2〜5拠点・年商1億〜数億円クラス

  • 第一候補: 特化型2〜3社に加え、インテグループ
  • 比べるポイント: 算定基準の違い。借入金が多いなら、取引対価・譲渡価格ベースの会社が有利になりやすい

年商数億円以上・グループ法人

  • 第一候補: 特化型に加え、日本M&Aセンター・M&A総合研究所などの総合型
  • 比べるポイント: 異業種の大手も含めて買い手を探せるか、PMI(統合後の支援)の体制があるか

規模

想定される買い手

手数料の見方

1拠点・年商数千万円

近隣の訪問看護・介護事業者、医療法人

最低報酬と成約基本料が総額を決める

2〜5拠点・年商1億円〜

地域の介護・医療グループ、上場介護会社

算定基準(負債を含むか)で差がつく

年商数億円以上

上場介護・医療グループ、異業種の大手

料率と最低報酬の両方を確認する

関連記事: 小規模案件向けの比較は「年商1億円以下の小規模M&A仲介会社比較」、医療法人・クリニックの比較は「医療・クリニックのM&A仲介会社おすすめ」をご覧ください。

仲介会社と契約する前に確認したい5つのポイント

訪問看護のM&Aでは、手数料に加えて「指定手続きを支援できるか」「看護師・管理者の引継ぎに慣れているか」で成約の可否が変わります。初回相談では次の5点を確認しましょう。

  1. 算定基準と最低報酬:取引対価・譲渡価格・移動総資産のどれで計算するか。最低報酬はいくらか
  2. 訪問看護の支援実績:会社全体の件数ではなく、訪問看護の事例があるか
  3. 指定手続きのサポート範囲:株式譲渡・事業譲渡それぞれで、行政との事前協議まで支援してくれるか
  4. 契約形態:専任契約か非専任契約か。テール条項(契約終了後も一定期間は報酬が発生する条項)の期間
  5. M&A支援機関登録の有無:中小企業庁の登録支援機関かどうか。事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)は、登録支援機関に支払う費用だけが補助対象です

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも、仲介の利益相反や、最低手数料を含む手数料体系のわかりにくさが課題として挙げられています(出典:中小企業庁 中小M&Aガイドライン資料、確認日:2026年10月3日)。

※仲介契約書の条項(専任条項・テール条項・解約条件など)の解釈に不安がある場合は、署名前に弁護士へ相談することをおすすめします。

関連記事: 契約書の確認ポイントは「M&A仲介契約の注意点・チェックリスト」、テール条項は「M&Aテール条項とは」、ガイドラインの内容は「中小M&Aガイドラインとは」で解説しています。

訪問看護ステーションの売却で注意したい4つのポイント

売り手が事前に整理しておくべきなのは、「指定の引継ぎ方法」「人員基準を守れるか」「請求記録の整合性」「報酬改定後の収益」の4点です。いずれも買い手の評価と成約の可否に直結します。

1. 指定手続き:株式譲渡か事業譲渡かで大きく変わる

一般的には、株式譲渡なら変更届で対応でき、事業譲渡では廃止届と新規指定申請が必要になります。

手法

介護保険の指定(都道府県・指定都市・中核市)

医療保険(健康保険法)の指定

株式譲渡(運営法人はそのまま)

原則、代表者・役員・管理者などの変更届で対応

地方厚生局へ変更届(変更から10日以内)

事業譲渡(運営法人が変わる)

従前の事業所の廃止届+譲受法人の新規指定申請。三重県の例では、廃止届は1カ月前、新規申請は指定予定日の前々月末日まで

介護保険の指定を受けると、健康保険法の指定訪問看護事業者の指定を受けたものとみなされる(健康保険法89条2項。別段の申出をした場合を除く)

事業譲渡では、手続きの日程がずれると、報酬を請求できない空白期間が生じるおそれがあります。行政との事前協議とクロージング日の設計が欠かせず、小規模なステーションで株式譲渡が選ばれやすいのはこのためです。

出典:三重県 介護サービス事業所の指定手続き、関東信越厚生局 訪問看護 変更届(確認日:2026年10月3日)

※手続きの内容・期限は自治体によって異なります。所管の自治体・地方厚生局に事前相談し、契約面は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

関連記事: スキームの違いは「株式譲渡と事業譲渡どっちがいい?比較」で詳しく比較しています。

2. 人員基準と管理者:キーパーソンが辞めると事業を続けられない

訪問看護ステーション(病院・診療所以外)では、看護職員を常勤換算で2.5人以上(うち1人以上は常勤)配置する必要があります。管理者は原則として、専従・常勤の保健師または看護師です。また、介護保険の指定を受けるには法人格が必要です。

M&Aの前後で管理者や看護師が退職すると、人員基準を満たせなくなり、事業を続けられなくなるリスクがあります。売り手は次の点を事前に整理しておきましょう。

  • 管理者の残留意向と、承継後の管理者候補
  • 常勤・非常勤の構成、常勤換算の余裕
  • 給与・オンコール手当などの雇用条件と、承継後も維持できるか

出典:静岡県 訪問看護 指定基準資料、茨城県 訪問看護 指定基準(確認日:2026年10月3日)

※雇用条件の変更や労務面の判断は、社会保険労務士・弁護士へのご相談をおすすめします。

関連記事: 「M&A後、従業員はどうなる?」「会社売却を従業員に伝えるタイミング」もあわせてご覧ください。

3. 請求記録の整合性:買い手のDDで重点的に確認される

訪問看護では、不適切な請求への行政の目が厳しくなっています。報道によれば、厚生労働省は2026年1月から、ホスピス型住宅などへの訪問看護や精神科訪問看護を行うステーションを対象に、不適切な請求の全国調査を進めています(出典:秋田魁新報(共同通信配信)2025年12月21日)。自治体による指定取消の公表も続いています(例:群馬県 報道発表)。

売却前に、次の項目をセルフチェックしておくと、DDで指摘を受けるリスクを減らせます。

  • 訪問時間と記録書・請求内容が一致しているか
  • 加算の算定要件(体制・記録・届出)を満たしているか
  • 過去の実地指導・監査での指摘と、その改善状況

4. 2026年度(令和8年度)診療報酬改定後の収益で評価される

令和8年度の診療報酬改定では、訪問看護管理療養費や訪問看護基本療養費について、1月あたりの訪問日数や同一建物に住む利用者の人数に応じて評価を細かく分ける見直しが行われました。高齢者住宅に併設するタイプなど、同一建物への訪問が多いステーションは影響を受けやすいと考えられます。買い手は改定後の収益を前提に企業価値を評価するため、改定前の実績だけで売却価格を見込まないよう注意してください。

出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定、近畿厚生局 訪問看護(確認日:2026年10月3日)。個別の点数・算定要件は、厚生労働省の最新資料で確認してください。

訪問看護ステーションの売却価格の目安と、評価が上がる要素

売却価格は一般的に、年買法の「時価純資産+営業利益の2〜5年分」が目安とされています。ただし、これは複数の仲介会社がコラムで紹介している簡易的な考え方で、公的な相場統計ではありません。実際の価格は、次の要素で大きく変わります。

評価が上がりやすい要素

評価が下がりやすい要素

看護師の定着率が高く、常勤比率が高い

管理者・看護師の退職予定がある

承継後も管理者が続けてくれる

人員基準ぎりぎりで運営している

ケアマネジャーや医療機関など、紹介元との関係が安定している

特定の紹介元への依存が大きい

加算を適正に算定し、記録が整っている

記録と請求の不整合、監査での指摘がある

医療保険・介護保険の売上構成が安定している

報酬改定で収益が大きく下がる構造

※実際の企業価値評価は、公認会計士・税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

関連記事: 価格の算定方法は「会社売却はいくらで売れる?相場・算定方法」で解説しています。

業界の動き:新規開業も廃止・休止も過去最多

全国訪問看護事業協会の調査によると、2026年4月1日時点で稼働している訪問看護ステーションは20,051件で、初めて2万件を超えました。一方、2025年度中の新規開業は2,428件、廃止・休止は1,288件で、廃止・休止は過去最多です。前年の調査では、廃止・休止の主な理由として人材確保の難しさや利用者不足が挙げられていました。

出典:全国訪問看護事業協会、株式会社eWeLL プレスリリース(2026年6月19日)(確認日:2026年10月3日)

開業も撤退も多い業界なので、人材を確保できない小規模ステーションでは、廃止する前に売却・統合を検討する価値があります。

M&Aでの売却が向いている訪問看護ステーション・向いていないケース

売却を検討する価値があるステーション

  • 後継者がいない、または管理者・看護師の採用が続かず、単独での運営に限界を感じている
  • 黒字、または利用者・紹介元が安定していて、買い手が引き継ぎやすい状態にある
  • 地域の介護・医療グループの傘下に入ることで、職員の雇用と利用者へのサービスを守りたい
  • オーナーの年齢や健康状態を考え、計画的に引継ぎたい

売却を急がないほうがよいケース

  • 請求記録の不整合や監査での指摘が未解決のまま → 先に是正しておかないと、成約しにくくなるうえ減額の原因にもなります
  • 管理者が退職予定で、後任のめどが立っていない → 人員基準を満たせないと、譲渡自体が難しくなります
  • 親族や社内に有力な後継者候補がいる → 親族内承継・従業員承継と比べてから判断しましょう

関連記事: 廃業との比較は「M&Aか廃業か 比較・判断基準」、事業承継の選択肢は「事業承継とは?M&Aとの違い」で整理しています。

よくある質問

Q. 赤字の訪問看護ステーションでも売却できますか?

赤字でも売却できる場合があります。買い手は、地域の利用者・紹介元とのつながりや、看護師チームそのものを評価することがあるためです。ただし価格は純資産をもとにした低めの水準になりやすく、最低報酬が高い仲介会社では手数料が譲渡額を上回るおそれがあります。最低報酬が低い会社かマッチングサイトで、手取り額を試算してから進めるのが安全です。

Q. 看護師や利用者に知られずに売却活動を進められますか?

一般的に、仲介会社は買い手候補にまず社名を伏せた資料を示し、秘密保持契約を結んだ相手にだけ詳しい情報を開示します。職員への説明は、基本合意後からクロージング前後に行うケースが多く見られます。ただし管理者は人員基準や行政手続きに関わるため、売り手と仲介会社で「いつ、誰に、どこまで伝えるか」を早めに決めておきましょう。

Q. ケアマネジャーや主治医にはいつ説明すればよいですか?

株式譲渡で法人格が変わらなければ、契約上の手続きは少なく済みます。それでも訪問看護は紹介元との信頼関係で成り立っているため、クロージング後できるだけ早く、売り手と買い手が一緒にあいさつすることが一般的です。事業譲渡で運営法人が変わる場合は、利用者との契約や訪問看護指示書の扱いも変わるため、買い手や専門家と段取りを決めておく必要があります。

Q. 仲介手数料に補助金は使えますか?

中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」の専門家活用枠では、M&A支援機関登録制度に登録された支援機関への費用が補助対象になります。2026年10月2日から16次公募の受付が始まっていますが、締切・補助上限・対象となる経費は、必ず公式サイトの公募要領で確認してください。仲介会社が登録支援機関かどうかも、契約前に確認しておきましょう。

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Q. 仲介会社ではなく、公的な無料相談窓口はありますか?

各都道府県に、国が設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」があり、無料で相談できます。仲介会社と契約する前の中立的な相談先として利用したり、小規模案件の買い手探しを相談したりできます。

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Q. 売却で得たお金にかかる税金はどうなりますか?

株式譲渡では、オーナー個人の譲渡所得として課税されるのが一般的です。事業譲渡では、まず法人の利益として課税されます。どちらが有利かは、役員退職金の支給なども含めて個別に判断する必要があるため、税理士への相談をおすすめします。

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まとめ:まず2〜3社に見積もりを取り、最低報酬と算定基準を比べる

訪問看護ステーションのM&A仲介会社は、規模に合わせて次のように選び分けるのが基本です。

  • 1拠点・譲渡額数千万円まで → 介護M&A支援センター、カイポケM&Aなど、最低報酬が低い特化型
  • 医療との関係が深い → CBヘルスケアなどの医療・介護特化型
  • 複数拠点・年商1億円以上 → 特化型に加え、インテグループや総合型も比較
  • 譲渡額数百万円で、自分で進められる → バトンズなどのマッチングサイト

最初の行動としては、次の4つがおすすめです。

  1. 自社の譲渡額・借入金の規模を大まかに把握する
  2. 2〜3社に相談し、最低報酬と算定基準を含む見積もりを書面でもらう
  3. 管理者・看護師の引継ぎと、指定手続き(株式譲渡か事業譲渡か)について各社の提案を比べる
  4. 請求記録・加算要件をセルフチェックし、指摘されそうな点を先に是正しておく

指定手続き・税務・労務の判断は、所管の自治体・地方厚生局、税理士・弁護士・社会保険労務士への相談をおすすめします。

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