旅行代理店・旅行業のM&A仲介会社おすすめ6選|手数料比較と旅行業登録の引き継ぎ方【2026年最新】
ホームお役立ち記事旅行代理店・旅行業のM&A仲介会社おすすめ6選|手数料比較と旅行業登録の引き継ぎ方【2026年最新】
比較

旅行代理店・旅行業のM&A仲介会社おすすめ6選|手数料比較と旅行業登録の引き継ぎ方【2026年最新】

旅行代理店・旅行会社の売却を考えるオーナー向けに、M&A仲介会社6社を手数料(最低報酬・報酬の計算基準)、対応規模、旅行業の実績で比較しました。旅行業登録をスキームごとにどう引き継ぐか、旅行業務取扱管理者や営業保証金など売却前に確認したい点もまとめています。

M&A比較レビュー編集部2026/10/512分で読める

旅行代理店・旅行会社の売却では、譲渡額が1億円未満ならプラットフォームか中小企業特化の仲介会社、数億円以上なら大手仲介会社を軸に選ぶのが一般的です。大手の多くは最低報酬が2,000万円以上と高く、小さめの旅行会社では手数料が譲渡額の2〜5割に達することもあります。

もう一つ大事なのが「旅行業登録をどう引き継ぐか」です。株式譲渡なら登録はそのまま残りますが、事業譲渡では買い手が新たに登録を受ける必要があります。この記事では、旅行業法の条文と各社の公式情報(2026年10月6日確認)をもとに整理しました。

この記事でわかること

  • 旅行代理店・旅行業の売却に対応するM&A仲介会社6社の比較(着手金・報酬の計算基準・最低報酬・旅行業の実績)
  • 第3種・旅行業者代理業などの小規模から、第1種・売上10億円超の中堅まで、規模別の相談先
  • 旅行業登録・営業保証金・旅行業務取扱管理者は、M&Aのスキームごとにどう扱われるか
  • 売却前に確認したい、旅行業ならではのチェックリスト
  • 2025〜2026年の旅行業界のM&A事例と、譲渡額別の手数料シミュレーション

こんな方に向けた記事です

後継者がいない、OTA(オンライン旅行会社)との競争で先行きが不安、といった理由で旅行会社・旅行代理店の売却や事業承継を考えているオーナー経営者の方。買い手向けの情報は扱っていません。

関連記事: M&A仲介会社おすすめ比較(売り手向け) / M&A仲介会社の選び方ガイド

結論:旅行代理店の売却はどこに相談すべき?規模別の早見表

相談先は「想定譲渡額」と「旅行業の種別・規模」で決めると、手数料が割高になったり、買い手探しでミスマッチが起きたりするのを避けやすくなります。まずは下の早見表で目安をつかんでください。

旅行代理店業界のM&Aイメージ(日本M&Aセンター公式サイトより)

会社の状況(目安)

想定譲渡額

まず相談したい先

理由

第3種・地域限定・旅行業者代理業、店舗1〜2か所、社員数名

数百万〜3,000万円程度

バトンズ(プラットフォーム)、インテグループ

大手の最低報酬(2,000万円以上)では割に合わない。小規模案件の受け皿がある

第2種・第3種、売上数億円、法人・団体旅行に強い

3,000万〜1億円程度

インテグループ、M&Aキャピタルパートナーズ(最低報酬は要見積もり)

完全成功報酬型、または株価ベースの報酬で、手数料を抑えやすい

第1種・第2種、売上10億円前後、インバウンド・出張手配などの強みあり

1億〜数億円

M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所

異業種・上場企業の買い手まで広く探せる。最低報酬の比率も下がる

第1種、売上数十億円以上、グループ再編・子会社の切り離し

数億円〜

日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク

大型案件の経験と買い手ネットワークが活きる

この記事の結論(3つのポイント)

  1. 最低報酬額を最初に確認する。 譲渡額1億円未満の旅行会社では、手数料を左右するのは料率より最低報酬です
  2. 原則は株式譲渡。 旅行業登録を引き継げるため、買い手が新たに登録を受ける手間と時間がかかりません
  3. 旅行業務取扱管理者の在籍を売却前に固める。 資格者が全員辞めると営業できなくなり、価格やディールの成否に直結します

旅行代理店・旅行業のM&A仲介会社おすすめ6社 比較表

6社を「大手仲介」「中小企業特化の仲介」「プラットフォーム」に分けて比較しました。旅行会社は旅行代金の前受金で総資産が膨らみやすいため、報酬の計算基準が「総資産」か「株価・譲渡価格」かで手数料が変わる点にも注目してください。

手数料の比較(売り手側・税抜)

会社名

タイプ

着手金

中間金

成功報酬の計算基準

最低報酬

M&A総合研究所

大手(東証プライム上場グループ)

0円

0円

譲渡価格 × レーマン方式(完全成功報酬)

2,500万円

M&Aキャピタルパートナーズ

大手(東証プライム)

0円

相手先決定時に手数料総額の約10%

株価 × レーマン方式

公式に記載なし

ストライク

大手(東証プライム)

0円

基本合意報酬 100万〜300万円

オーナー受取額 × レーマン方式

4億円までは一律2,000万円

日本M&Aセンター

大手(東証プライム上場グループ)

あり(金額非公開)

公式に記載なし

時価総資産 × レーマン方式

非公開

インテグループ

中小企業特化

0円

0円

完全成功報酬(旅行業ページに料率の記載なし)

公式に記載なし

バトンズ

プラットフォーム(仲介サポートあり)

0円

0円

株式譲渡はプレミアムサポート必須。成約価格1,000万円未満で200万円〜、2億円以上は5% など

200万円〜

出典: 各社公式料金ページ(M&A総合研究所 https://masouken.com/charge /M&Aキャピタルパートナーズ https://www.ma-cp.com/about/fee/ /ストライク https://www.strike.co.jp/feature/fee.html /日本M&Aセンター https://www.nihon-ma.co.jp/service/fee/ /インテグループ https://www.integroup.jp/industry/travelagency/ )。確認日は2026年10月6日。バトンズは https://batonz.jp/lp/batonz_fee_structure/ (2026年10月5日確認)。レーマン方式の料率は各社とも、5億円以下5%/5億〜10億円4%/10億〜50億円3%/50億〜100億円2%/100億円超1%が基本です(ストライクは4億円まで一律2,000万円)。手数料は改定されることがあるため、契約前に必ず各社の見積もりで確認してください。

対象規模・サポート体制・旅行業の実績の比較

会社名

旅行業向けの公式ページ・体制

公式に確認できた旅行業の実績

対象規模の目安

M&A総合研究所

旅行会社・旅行代理店向けLPあり。「旅行会社・旅行代理店のM&A実績がある専門アドバイザーがフルサポート」と記載

旅行業に限った件数は非公開

最低報酬から見て、譲渡額1億円以上が中心

M&Aキャピタルパートナーズ

業種横断。許認可承継のコラムあり

エヌティーエー旅行(山口県萩市・JTB特約店)の譲渡を仲介(2025年12月発表)

中堅〜中規模の地方旅行会社にも実績あり

ストライク

旅行業に特化したページは確認できず

旅行業に限った件数は非公開

譲渡額数億円以上で手数料の比率が下がる

日本M&Aセンター

旅行代理店業界ページあり(業界動向・M&Aの注意点を掲載)

旅行業に限った件数は非公開

中堅〜大型

インテグループ

旅行会社・旅行代理店ページあり。旅行業界専属のコンサルタントを打ち出している

公開事例3件(売上7億円・20億円・10億円の旅行会社の譲渡)

売上1億円未満の地域密着型から大手グループの子会社まで対応と明記

バトンズ

旅行業カテゴリで案件を掲載

旅行業の売却案件151件を掲載中(2026年10月6日確認)

売上1,000万円未満から50億円以上まで

成約率や成約件数は会社ごとに数え方(分母)が違うため、この記事では横並びの比較をしていません。手数料全般の比較は M&A仲介会社の手数料比較ガイド と 最低報酬が安いM&A仲介会社の比較 で詳しく扱っています。

各社の特徴とおすすめできる旅行会社

各社とも「良い・悪い」ではなく、自社の規模・種別に合うかどうかで選ぶのが基本です。公式情報で確認できた事実をもとに、向き不向きを整理しました。

①M&A総合研究所|旅行業の専門アドバイザーがいる完全成功報酬型

M&A総合研究所のM&Aの流れと報酬発生タイミング(公式サイトより)

M&A総合研究所は、東証プライム上場のクオンツ総研ホールディングスのグループ会社です。旅行会社・旅行代理店向けの専用ページを持ち、旅行業界のM&Aを経験したアドバイザーが専任で担当するとしています。

  • 手数料: 着手金・中間金・月額報酬は0円。成功報酬は譲渡価格を基準にしたレーマン方式で、最低報酬は2,500万円(公式料金ページ、2026年10月6日確認)
  • 特徴: 成約するまで費用がかからない。平均成約期間は「7.2ヶ月」と同社サイトに記載(時点は公式で要確認)

こんな旅行会社におすすめ

  • 想定譲渡額が1億円を大きく超え、費用リスクなしで売却活動を始めたい会社
  • 旅行業の取引慣行を知る担当者についてほしい会社

おすすめしない旅行会社

  • 想定譲渡額が5,000万円前後の小規模な代理店(最低報酬2,500万円だと手数料が譲渡額の半分近くになる)

詳しくは M&A総合研究所の評判・特徴・手数料 をご覧ください。

②M&Aキャピタルパートナーズ|地方の旅行代理店を仲介した実績あり

M&Aキャピタルパートナーズは東証プライム上場の仲介会社です。旅行業では、山口県萩市のJTB特約店「エヌティーエー旅行」を、保育・介護・インバウンド事業などを手がけるSOUホールディングス(千葉市)へ譲渡する案件を仲介しています(2025年12月5日発表)。地域住民向けのカウンター販売と、インバウンド・法人向け事業の顧客が重ならないことを相乗効果として挙げた事例です。

出典: 財経新聞(PR TIMES転載)https://zaikei.co.jp/releases/3214200/ (2026年10月6日確認)

  • 手数料: 着手金0円。相手先が決まった時点で手数料総額の約10%を中間報酬として支払い、残りの約90%を成約時に支払う。計算基準は株価(負債を含まない譲渡対価)のレーマン方式。最低報酬は公式ページに記載がありません
  • 特徴: 株価が基準なので、前受金で総資産が大きい旅行会社でも報酬が膨らみにくい仕組みです

こんな旅行会社におすすめ

  • 地方の独立系代理店・特約店で、異業種の買い手も含めて広く探したい会社
  • 総資産に比べて株価(純資産・収益力)が小さく、総資産を基準にした報酬だと割高になる会社

おすすめしない旅行会社

  • 相手先が決まった段階での費用(中間報酬)も避けたい会社(完全成功報酬型のほうが合う)
  • 最低報酬を事前に知ってから比べたい会社(個別の見積もりが必要)

詳しくは M&Aキャピタルパートナーズの評判・特徴 をご覧ください。

③ストライク|4億円まで一律2,000万円のオーナー受取額ベース

ストライクの手数料体系の説明図(公式サイトより)

ストライクは東証プライム上場の仲介会社で、成約報酬の基準を「オーナー受取額」にしているのが特徴です。

  • 手数料: 着手金0円。基本合意報酬は総資産に応じて100万円(10億円以下)/200万円(50億円以下)/300万円(50億円超)。成約報酬はオーナー受取額4億円までは一律2,000万円、それを超える部分は5%〜1%(いずれも税抜、2026年10月6日確認)
  • 特徴: 受取額が4億円を超えると料率が効いてくるため、数億円規模の旅行会社では報酬が読みやすい

こんな旅行会社におすすめ

  • 想定譲渡額が数億円で、報酬額を事前にはっきり把握したい会社
  • 総資産ではなく、オーナーが実際に受け取る額を基準にしたい会社

おすすめしない旅行会社

  • 譲渡額が1億円未満の会社(一律2,000万円の比率が高い)
  • 旅行業の特化ページや業界の実績を重視する会社(旅行業向けの公開情報は少なめ)

詳しくは ストライクの評判・特徴 をご覧ください。

④日本M&Aセンター|中堅〜大型案件向けの最大手

日本M&Aセンターは、東証プライム上場の日本M&Aセンターホールディングスの中核会社です。旅行代理店業界のページを設け、取引先との関係、人材、財務、労務、コンプライアンス、ガバナンスなどをM&Aの注意点として挙げています。2020〜2023年のM&A仲介件数でギネス世界記録に認定されたと公式サイトに記載があります(2026年10月6日確認)。

  • 手数料: 着手金あり(金額非公開)。成功報酬は時価総資産を基準にしたレーマン方式
  • 注意点: 旅行会社は旅行代金の前受金(お客様からの預り金)で総資産が大きく見えやすく、総資産を基準にすると、株価や譲渡価格が基準の会社より報酬が高くなる可能性があります。具体的な金額は必ず見積もりで確認してください

こんな旅行会社におすすめ

  • 第1種旅行業で売上数十億円規模、または大手グループからの子会社の切り離しなど大型案件
  • 知名度や全国の買い手ネットワークを重視する会社

おすすめしない旅行会社

  • 着手金をかけたくない会社
  • 前受金が多く総資産が膨らんでいる一方で、利益は小さい会社(報酬が割高になりやすい)

詳しくは 日本M&Aセンターの評判・特徴・手数料 をご覧ください。

⑤インテグループ|売上1億円未満から対応する中小企業特化型

インテグループの旅行会社・旅行代理店M&Aページの画像(公式サイトより)

インテグループは中小企業のM&Aに特化した仲介会社です。旅行会社・旅行代理店のページで、「着手金、中間金等がなく、成功報酬のみ」と明記しています。売上1億円未満の地域密着型から大手グループの子会社まで対応するとし、大手旅行会社・ホテル・交通・インバウンド関連の買い手とのネットワークを打ち出しています。

公開されている旅行業の成約事例(公式サイトより)

譲渡した会社

譲り受けた会社

地域

海外の特定地域に強い旅行会社(売上7億円)

広告代理業(売上15億円)

関東→近畿

出張手配に特化した代理店(売上20億円)

福利厚生代行の上場企業(売上1,400億円)

関東

大手グループのノンコア子会社の旅行代理店(売上10億円)

コンサルティング会社(売上350億円)

関東

出典: https://www.integroup.jp/industry/travelagency/ (2026年10月6日確認)

こんな旅行会社におすすめ

  • 売上数億円以下の地域密着型、または法人出張・海外特定地域など強みがはっきりした代理店
  • 費用リスクを抑えながら、仲介会社に伴走してほしい会社

おすすめしない旅行会社

  • 依頼前に料率や最低報酬を確かめて比べたい会社(旅行業ページに記載がないため個別確認が必要)

⑥バトンズ|小規模な旅行会社・代理店の受け皿

バトンズは、日本M&Aセンターホールディングス系のM&Aマッチングプラットフォームです。2026年10月6日時点で、旅行業の売却案件が151件掲載されています。売上1,000万円未満から50億円以上まで幅があり、譲渡希望額は1,000万〜3,500万円の案件が多く見られます(希望額であって成約額ではありません)。

  • 手数料: 会社を譲渡する場合(株式譲渡)はプレミアムサポートが必須。成約価格1,000万円未満で200万円(税込220万円)〜、2億円以上は成約価格の5%など(2026年10月5日確認)

こんな旅行会社におすすめ

  • 第3種・地域限定・旅行業者代理業などで、譲渡額が数百万〜数千万円の会社
  • 個人事業として旅行業を営んでいる方(事業譲渡になります)

おすすめしない旅行会社

  • 買い手探しから交渉まで、仲介会社に任せきりにしたい会社
  • 譲渡額が数億円以上で、広く非公開で買い手を探したい会社

詳しくは バトンズの評判・特徴・手数料 と バトンズとM&A仲介会社の違い をご覧ください。

旅行業登録はM&Aで引き継げる?スキーム別の扱い

結論として、株式譲渡なら旅行業登録はそのまま残り、事業譲渡・会社分割・合併では買い手が自ら登録を受ける必要があります。旅行業は旅行業法による登録制で、登録は会社(法人格)に対して与えられているためです。

スキーム

旅行業登録の扱い

営業保証金

主な手続き

株式譲渡

会社が同じなので登録は残る(取り直しは不要)

会社が供託したまま

役員・商号などの変更は30日以内に届出(旅行業法 第6条の4)

事業譲渡

引き継げない。譲受側が自ら登録を受ける

抹消から6か月以内に譲受側が登録を受けて届け出れば、承継できる(第16条)

売り手は事業の全部を譲渡したら30日以内に届出(第15条)

会社分割

引き継げない。承継する会社が登録を受ける

事業譲渡と同様(第16条)

同上

合併

存続会社が旅行業者でなければ新たな登録が必要

事業譲渡と同様(第16条)

合併で消滅した場合は届出(第15条)

出典: e-Gov法令検索 旅行業法(昭和27年法律第239号)https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0100000239 (2026年10月6日確認)

注意:経営力向上計画の「許認可承継の特例」は旅行業には使えません

中小企業等経営強化法には、経営力向上計画の認定を受ければ、事業譲渡でも一部の許認可を引き継げる特例があります。ただし対象の許認可は施行令第7条で決められていて、旅館業法・建設業法・火薬類取締法・道路運送法・ガス事業法・貨物自動車運送事業法の6つだけです。旅行業法は含まれていません(e-Gov 中小企業等経営強化法施行令で2026年10月6日確認)。

名前の似た「旅館業」(ホテル・旅館)は対象なので混同しやすく、実際にインターネット上で「旅行業も特例で承継できる」と読める記述も見かけます。宿泊業のM&Aについては ホテル・旅館・民泊のM&A仲介会社おすすめ で解説しています。

旅行業の売却で株式譲渡が主流になる理由

登録を引き継げることに加え、事業譲渡では買い手側に次のハードルがあるためです。

  • 買い手が自ら登録を受ける必要があり、財産的基礎(基準資産額)や旅行業務取扱管理者を選任できる体制が審査される(第6条)
  • 営業保証金の供託、または旅行業協会(JATA・ANTA)への加入と弁済業務保証金分担金の納付が終わるまで事業を始められない(第7条・第49条)
  • 譲渡日までに登録が下りないと、事業が止まる期間が生じる

一方、個人事業主として旅行業を営んでいる場合は株式がないため、事業譲渡しか選べません。スキームの違いを詳しく知りたい方は 株式譲渡と事業譲渡の比較 をご覧ください。

⚠️ 実際の登録・届出の手続きや可否は、種別・営業所の数・契約内容によって変わります。所管の行政庁(第1種は観光庁、第2種以下は主たる営業所がある都道府県)と行政書士に事前に確認することをおすすめします。 税務面のスキーム選びは税理士にご相談ください。

旅行業の登録種別と、売却で見られるポイント

買い手が最初に確認するのは「どの種別の登録か」です。種別によって扱える業務、必要な保証金、基準資産額が変わり、そのまま会社の評価や買い手の顔ぶれに影響します。

種別

登録先

業務範囲(概要)

営業保証金(最低額)

協会加入時の弁済業務保証金分担金

基準資産額

第1種旅行業

観光庁長官

海外・国内の募集型企画旅行を含むすべての業務

7,000万円

1,400万円

3,000万円以上

第2種旅行業

都道府県知事

海外の募集型企画旅行以外

1,100万円

220万円

700万円以上

第3種旅行業

都道府県知事

募集型企画旅行は一定の区域内に限る など

300万円

60万円

300万円以上

地域限定旅行業

都道府県知事

一定の区域内の旅行のみ

15万円

3万円

100万円以上

旅行業者代理業

都道府県知事

所属する旅行業者1社の代理のみ

不要

不要

—

出典: 宮城県「旅行業登録制度の概要」https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kankou/ryokougyou.html /観光庁「旅行業法」https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/ryokogyoho/index.html (2026年10月6日確認)。営業保証金は、前事業年度の旅行者との取引額に応じて増額されます(上表は最低額)。

全国の旅行業者等は合計12,645(2024年4月1日時点、旅行サービス手配業2,617を含む)で、第1種(609)と旅行業者代理業(492)が減る一方、第2種(3,092)・第3種(5,148)・地域限定(687)は増えています(出典: JATA「数字が語る旅行業」 https://www.jata-net.or.jp/databank/jata-trend/page-66593/2025_15/ 、観光庁資料。2026年10月6日確認)。小規模な旅行会社が多い業界なので、規模に合う仲介会社を選べるかどうかが他業種以上に効いてきます。

旅行業のM&Aで仲介会社を選ぶ5つのポイント

旅行会社の売却で仲介会社を比べるときは、次の5点を初回の面談で確かめると判断しやすくなります。

①旅行業登録と旅行業務取扱管理者の扱いを説明できるか

初回の面談で「株式譲渡と事業譲渡で登録はどうなるか」「管理者が退職したらどうなるか」を聞いてみてください。旅行業法第11条の2では、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任する必要があり、その営業所の管理者が全員いなくなると、新たに選任するまでその営業所では旅行契約を結べません。この点を正確に説明できない担当者だと、DDや契約書の段階で問題が出てくるおそれがあります。

②最低報酬額と報酬の計算基準を確認する

同じ「レーマン方式5%」でも、基準が総資産・株価・譲渡価格・オーナー受取額のどれかで金額は変わります。旅行会社は前受金で総資産が膨らみやすいため、総資産が基準だと不利になる場合があります。あわせて最低報酬も必ず確認してください。詳しくは レーマン方式とは で解説しています。

③異業種・インバウンド関連の買い手を探せるか

最近の旅行業M&Aでは、大手旅行会社やOTAだけでなく、異業種からの観光参入が目立ちます(丸紅、西武ホールディングス、ゴールドウイン、SOUホールディングスなど。次の章で紹介)。地域の顧客基盤やインバウンドとの接点を評価する買い手まで探せるかどうかで、価格と成約の可能性が変わります。

④自社の規模が対象に入っているか

最低報酬が2,000万〜2,500万円の大手仲介会社は、事実上、譲渡額1億円以上の案件を中心にしています。第3種や代理業の小規模な会社は、プラットフォームや小規模案件に対応する仲介会社のほうが現実的です。年商1億円以下の小規模M&A仲介会社の比較 も参考にしてください。

⑤利益相反と契約条件の説明があるか

仲介会社は売り手と買い手の双方から手数料を受け取るのが一般的です。利益相反への対応方針、専任条項、テール条項(契約終了後も報酬が発生する期間)などを契約前に書面で確認しましょう。詳しくは M&A仲介の利益相反問題 と M&A仲介契約の注意点 をご覧ください。

売却前に確認したい旅行業ならではのチェックリスト

旅行会社のM&Aでは、一般的な財務・法務のDDに加えて、次のような旅行業特有の項目を確認されます。仲介会社に相談する前に整理しておくと、交渉がスムーズになり、価格を下げられる材料を減らせます。

チェック項目

確認する内容

根拠・理由

旅行業務取扱管理者

営業所ごとの資格者数。社長1人だけが資格者になっていないか

第11条の2。資格者の退職は営業停止のリスクになる。キーパーソンの雇用継続(リテンション)の条件が価格に影響する

登録の有効期間

更新期限がクロージングの時期と重ならないか

第6条の2(有効期間は5年)

基準資産額

債務超過や、種別ごとの基準を割り込んでいないか

第6条。株式譲渡でも更新時に問題になりうる

営業保証金・弁済業務保証金分担金

供託額、協会(JATA・ANTA)加入の有無

価格評価で資産として見るかは個別交渉になる

前受金・未払いの仕入代金

お客様からの預り金、ホテル・航空・バスへの未払い、キャンセル返金の債務

「実際に使える手元資金」として見られる。簿外債務の整理が必要

特約店・販売代理の契約

JTB・KNTなどの特約店契約、航空会社・JRの発券契約などに、オーナー変更時の条項(チェンジオブコントロール条項)がないか

契約ごとに扱いが異なるため個別確認が必要

新しい役員の欠格事由

買い手側から入る役員が旅行業法の欠格事由に当たらないか

第6条

役員・商号の変更届

クロージング後30日以内の届出の段取り

第6条の4

⚠️ 上の表は一般的な確認項目で、すべての論点を網羅するものではありません。登録・届出は行政書士や所管の行政庁、契約書は弁護士、税務は税理士にご確認ください。DD全体の準備は DD 売り手の準備チェックリスト、売却準備の全体像は 会社売却の準備チェックリスト にまとめています。

旅行業界のM&A動向(2025〜2026年の事例と市場データ)

旅行業界では、大手旅行会社・OTAによる買収に加え、異業種企業が旅行会社を買って観光事業に参入する動きが続いています。地方の独立系代理店でも、地域の顧客基盤やインバウンドとの接点が評価されています。

市場データ

観光庁によると、2025年度の主要旅行業者44社・グループの総取扱額は3兆9,750億円(前年度比5.3%増)でした。内訳は国内旅行2兆2,940億円(3.5%増)、海外旅行1兆4,309億円(7.1%増)、訪日外国人旅行2,502億円(12.9%増)で、訪日旅行の伸びが目立ちます。

出典: 観光庁(2026年6月15日公表)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002006779.pdf (2026年10月6日確認)

主な旅行業M&A事例(2025〜2026年)

時期

内容

出典

2025年1月

西武ホールディングスが、訪日客向けアドベンチャーツアーの奥ジャパンの全株式を取得し子会社化

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20250116_9024-15/

2025年4月

ゴールドウインが、登山・トレッキングツアーのアルパインツアーサービスを子会社化

https://www.travelvoice.jp/20250401-157442

2025年11月

エアトリが、「トラベルjp」を運営するベンチャーリパブリックの子会社化で株式譲渡契約を締結

https://www.travelvoice.jp/20251201-158837

2025年12月

SOUホールディングスが、山口県萩市のエヌティーエー旅行を譲り受け(M&Aキャピタルパートナーズが仲介)

https://zaikei.co.jp/releases/3214200/

2026年6月

丸紅が沖縄ツーリスト(OTS)に出資し子会社化。観光事業に本格参入

https://www.marubeni.com/jp/news/2026/release/00024.html

2026年6月

JTBが、アジアのDMC(現地手配会社)「EXO Travel」運営会社の買収で合意

https://www.travelvoice.jp/20260618-160001

2026年8月

HISの子会社Jonviewが、米国のインバウンド旅行会社American Ring Travelの全株式取得を決定

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260828_9603-38/

各出典は2026年10月6日確認。

売り手にとってのポイント: 買い手は①大手旅行会社・OTA、②観光に参入したい異業種企業、③インバウンド・体験型旅行を強化したい企業、の3タイプに分かれます。法人顧客、地域の観光事業者とのネットワーク、特定エリア・テーマの手配力などは、規模が小さくても評価されやすい強みです。売り時の考え方は 会社の売り時の判断基準 を参考にしてください。

旅行代理店の売却価格の目安と手数料シミュレーション

旅行代理店の売却価格は、中小企業のM&Aで一般的な「時価純資産+営業利益の数年分」で大まかに見積もられることが多いです。ただし業界で決まった倍率があるわけではなく、前受金の扱いや管理者の在籍状況などで大きく変わります。

売却価格の目安の一例

  • 簡易的な計算: 時価純資産 + 営業利益 ×(3〜5年程度)。仲介会社のコラムでよく紹介される目安の一例で、業界の公式な数値ではありません
  • プラットフォームの譲渡希望額: バトンズに掲載中の旅行業案件は、1,000万〜3,500万円の価格帯が多い(希望額であって成約額ではありません。2026年10月6日確認)

正確な価格は仲介会社の無料査定や公認会計士の企業価値評価で確認してください。考え方は 会社売却の相場・算定方法 で詳しく解説しています。

譲渡額別の手数料シミュレーション(売り手側・税抜の概算)

株式譲渡で「譲渡価格=株価=オーナー受取額」とした場合の概算です。

想定譲渡額

M&A総合研究所

ストライク

M&Aキャピタルパートナーズ

バトンズ(プレミアムサポート)

5,000万円

2,500万円(最低報酬。譲渡額の50%)

2,100万円(基本合意100万円+成約2,000万円。42%)

レーマン方式なら250万円。ただし最低報酬は要見積もり

料金表で要確認

1億円

2,500万円(最低報酬。25%)

2,100万円(21%)

レーマン方式なら500万円。最低報酬は要見積もり

料金表で要確認

3億円

2,500万円(最低報酬。約8.3%)

2,100万円(7%)

レーマン方式なら1,500万円。最低報酬は要見積もり

1,500万円(成約価格の5%)

総資産が基準の場合(日本M&Aセンター)の考え方: 譲渡額が1億円でも、前受金を含めた時価総資産が3億円なら、レーマン方式の計算対象は3億円(5%で1,500万円)になります。これに着手金がかかり、最低報酬は非公開です。

⚠️ 上の表は、各社の公開料金表(2026年10月6日確認。バトンズは10月5日確認)をもとに当編集部が計算した概算です。ストライクは総資産10億円以下の場合の基本合意報酬(100万円)を含めています。消費税、DD費用、買い手側の条件などは含めていません。実際の報酬は必ず各社の見積書で確認してください。売却後に手元に残る金額は 手取り額シミュレーション、税金は 会社売却の税金ガイド をご覧ください(税務の判断は税理士にご相談ください)。

M&Aでの売却が向いている旅行会社・向いていない旅行会社

旅行会社なら誰でもM&Aで売るのが最善、というわけではありません。親族への承継や廃業も含めて比べることをおすすめします。

M&Aでの売却が向いている旅行会社

  • 後継者がおらず、従業員の雇用やお客様との関係を残したい
  • 法人・団体旅行、出張手配、インバウンド、特定のエリアやテーマなど、はっきりした強みがある
  • 旅行業務取扱管理者が社長以外にもいて、オーナーが抜けても営業を続けられる
  • 第1種・第2種の登録や地域の観光事業者とのネットワークなど、買い手が自力ではすぐに得られない資産がある

M&A以外も検討したほうがよい旅行会社

  • 資格者が社長1人だけで、売却後に引き継げる人がいない(先に資格者の採用・育成が必要)
  • 債務超過が大きく、基準資産額を満たせないおそれがある
  • 譲渡額の見込みが数百万円以下で、仲介手数料を払うと手元にほとんど残らない(プラットフォームでの売却や、廃業との比較を検討)

M&Aと廃業の比べ方は M&Aか廃業か 判断基準 で詳しく解説しています。

よくある質問

Q: 第3種旅行業や旅行業者代理業の小さな会社でも売れますか?

A: 売れる可能性はあります。バトンズでは売上1,000万円未満の旅行業案件も掲載されています。ただし旅行業者代理業は「所属する旅行業者1社」の代理しかできないため、売却後も所属先との契約を続けられるかが、買い手の判断に大きく影響します。所属先との契約内容を先に確認しておきましょう。

Q: 旅行業務取扱管理者が社長の自分だけです。売却できますか?

A: 売却自体は可能ですが、社長が退任すると営業所の管理者がいなくなるため、買い手が管理者を確保できるまで社長に残ってもらう(引き継ぎ期間を設ける)条件を求められることが多いです。売却を考え始めた段階で、従業員に資格を取ってもらうか、資格者を採用しておくと条件が良くなりやすいです。引き継ぎ期間の考え方は 会社売却後の社長の引き継ぎ期間 をご覧ください。

Q: JATAやANTAに納めた弁済業務保証金分担金は、売却するとどうなりますか?

A: 株式譲渡なら会社は同じままなので、協会の会員資格や分担金も会社に残るのが基本です。一方、事業譲渡や廃業で退会する場合の返還時期や手続きは、各協会の規約で決まっています。所属する協会に事前に確認してください。 価格評価で分担金をどう扱うかは、買い手との個別交渉になります。

Q: 個人事業として旅行業を営んでいます。M&Aはできますか?

A: 株式がないため、事業譲渡で売却することになります。旅行業登録は引き継げないので、買い手が自ら登録を受ける必要があります。営業保証金は、旅行業法第16条の手続き(登録抹消から6か月以内)で承継できる場合があります。詳しくは 個人事業主の事業売却ガイド をご覧ください。

Q: JTBなどの特約店契約や航空券の発券契約は、売却後もそのまま使えますか?

A: 契約ごとに異なります。オーナーや経営陣が変わったときに、通知・承諾・再審査が必要になる条項(チェンジオブコントロール条項)が入っていることもあります。仲介会社に依頼する前に主要な契約書を洗い出し、必要に応じて弁護士に確認してもらうと安心です。

Q: 複数の仲介会社に相談してもよいですか?

A: 相談するだけなら問題ありません。最低報酬や報酬の計算基準が会社ごとに違うため、旅行会社の場合は2〜3社から見積もりを取って比べることをおすすめします。ただし専任契約を結んだ後は、他社に依頼できなくなることがあります。詳しくは M&A仲介会社に複数相談するメリット・注意点 をご覧ください。

まとめ:旅行代理店の売却は「規模」と「旅行業登録の論点」で仲介会社を選ぶ

旅行代理店・旅行業のM&A仲介会社は、次の順で絞り込むと失敗しにくくなります。

  1. 想定譲渡額を出す → 1億円未満ならバトンズ・インテグループ、数億円以上なら大手仲介を中心に
  2. 最低報酬と報酬の計算基準を比べる → 前受金が多い旅行会社は、総資産が基準かどうかに注意
  3. 旅行業登録・管理者・特約店契約について質問する → 正確に答えられる担当者かどうかで見極める

手数料や実績の数値は改定されることがあります。最終的な判断は、各社の見積書と専門家(行政書士・弁護士・税理士)の助言をもとに行ってください。

次に読みたい記事: M&A仲介会社おすすめ比較(売り手向け) / M&A成功報酬の比較ガイド / M&Aマッチングプラットフォーム比較 / 地方のM&A仲介会社おすすめ

M&A比較レビュー編集部 のプロフィール画像

M&A比較レビュー編集部

M&A仲介会社の選び方・費用・実績を徹底調査する専門編集部です。