年商10億円以上の中規模M&Aでは、単に「大手で実績がある」だけでなく、対象企業規模のレンジと、レーマン方式の計算基準(株価/移動総資産/譲渡価格)がマッチしている仲介会社を選ぶことで、手数料総額が数百万〜数千万円単位で変わります。 年商10〜100億円規模の案件に厚みのある会社は、上場大手4社(日本M&Aセンター・M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク・M&A総合研究所)と、中堅特化の準大手(fundbook・インテグループ・名南M&A)に大別できます。
この記事でわかること:
- 年商10億円以上の中規模M&A仲介会社7社の手数料・対象規模・強みの比較
- レーマン方式の計算基準(株価/移動総資産/譲渡価格)で手数料がどれだけ変わるかのシミュレーション
- 中規模案件ならではの「仲介とFAの使い分け」判断基準
- 企業規模・状況別のおすすめ仲介会社
この記事は、年商10億円以上(おおむね10〜100億円規模)の中堅企業のオーナー経営者で、会社売却や事業承継を検討している方向けです。 年商数千万〜数億円のスモールM&Aや、数百億円超の大型M&Aとは選び方の軸が異なるため、中規模案件の特性にフォーカスして解説します。
年商10億円以上の中規模M&Aの特徴と仲介会社選びで変わるポイント
年商10億円以上の案件は、株式譲渡価格が数億〜数十億円規模になるケースが多く、レーマン方式の適用区分(5億円以下5% → 50億円超1%)のどこに入るかで手数料構造が大きく変わります。 そのため、「どの仲介会社を選ぶか」以上に「どの料金体系を選ぶか」が重要になります。
中規模M&Aならではの3つの特徴
- 成功報酬の絶対額が大きい — 譲渡価格10億円なら成功報酬は数千万円単位。料率構造の違いが数百万〜数千万円の差になる
- 買い手の選択肢が広がる — 事業会社・PEファンド・海外企業など複数の買い手候補が出やすく、入札形式の交渉も検討できる規模感
- 仲介ではなくFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)も選択肢 — 上場子会社売却、複数買い手入札、海外買い手を想定する場合は片側代理のFAが適するケースがある
「中堅企業」の公的な定義
- 経済産業省の従来整理: 常用雇用者100〜1,000人未満・年商10〜1,000億円程度が中堅企業とされる
- 改正産業競争力強化法(2024年成立): 中小企業者を除く従業員数2,000人以下を「中堅企業者」と定義し、設備投資・M&A促進のための税制措置対象に
- 資本金ベース(中小企業白書2023): 資本金1億円以上10億円未満を中堅企業と整理
この記事では、年商10億円以上〜100億円程度の中堅企業を主な対象と想定しています。
中規模M&A仲介会社を比較する4つのポイント

年商10億円以上の案件では、以下の4つの軸で比較することで、自社に合う会社を絞り込めます。
1. 対象企業規模(各社が実際に受託している案件レンジ)
「対応可能規模」の公式表記より、実際に多く受託している案件レンジを確認するのが重要です。 公式FAQや統合報告書でコア規模を明示している会社を優先的にチェックしましょう。
2. 手数料体系(着手金・中間金・最低報酬)
中規模案件では最低報酬額の絶対値(1,500万〜2,500万円)より、譲渡価格が大きくなったときの料率構造のほうが総額への影響が大きくなります。着手金の有無は契約前のハードルに影響しますが、中規模案件では相対的に重要度が下がります。
3. レーマン方式の計算基準(株価/移動総資産/譲渡価格/オーナー受取額)
ここが中規模M&Aで最も差が出るポイントです。 同じ譲渡価格10億円の案件でも、負債規模によって手数料総額が大きく変わります(後ほどシミュレーションで詳しく解説)。
- 株価レーマン: 株式価値のみに料率を乗じる(負債額の影響を受けない)→ M&Aキャピタルパートナーズ・インテグループ
- 移動総資産レーマン: 株式価値+負債(資産総額)に料率を乗じる → 日本M&Aセンター・fundbook
- 譲渡価格レーマン: 実際の譲渡価格に料率を乗じる → M&A総合研究所
- オーナー受取額レーマン: オーナーの実際の手取り額に料率を乗じる → ストライク
4. 業種・地域・得意な買い手層
製造業・ITなど業種別のネットワーク、地銀・信金との提携状況、海外買い手との接点、PEファンドへの紹介実績など、自社の売却方針に沿ったネットワークを持つかどうかを確認しましょう。
中規模M&Aに強い仲介会社7社 比較表【2026年4月時点】
上場大手4社と、中堅特化の準大手3社の手数料・対象規模を一覧で比較します。数値はすべて各社公式サイトで2026年4月時点に確認した情報です。 実際の契約条件は必ず各社の提案書で直接確認してください。
会社名 | 上場/非上場 | 着手金 | 中間金 | 最低報酬 | レーマン計算基準 | 対象企業規模(公式) |
|---|---|---|---|---|---|---|
日本M&Aセンター | 東証プライム(2127) | 有料 | 無料 | 非公開 | 移動総資産 | 年商1〜30億円で約80% |
M&Aキャピタルパートナーズ | 東証プライム(6080) | 無料 | 成功報酬の約10% | 2,500万円 | 株価 | 中堅・中小企業 |
ストライク | 東証プライム(6196) | 無料 | 100〜300万円 | 売り手約2,000万円+料率 | オーナー受取額 | 中堅・中小企業 |
M&A総合研究所 | 東証プライム(9552) | 無料 | 売り手無料/買い手有 | 2,500万円 | 譲渡価格 | 中堅・中小企業 |
fundbook | 非上場 | 無料 | 原則無料 | 2,500万円 | 移動総資産 | 中堅・中小企業 |
インテグループ | 東証グロース(192A) | 無料 | 無料 | 1,500万円 | 株価 | 売上1〜150億円 |
名南M&A | 名証ネクスト(7076) | 公式非公開 | 公式非公開 | 公式非公開 | 公式非公開 | 年商1〜10億円前後(取材記事) |
※名南M&Aは2026年4月時点で公式サイトに手数料の詳細が掲載されていません。個別提案時に各社の見積書で必ず確認してください。
比較表で押さえるべき3つの差
- 最低報酬が最も低いのはインテグループ(1,500万円)。中規模案件の下限レンジでコスト負担が軽くなる
- 着手金有料は日本M&Aセンターのみ。他の上場大手・準大手は無料化済み
- レーマン計算基準は4通りに分かれる。負債規模が大きい会社は株価レーマンが有利になるケースが多い
出典: 日本M&Aセンター 手数料(2026年4月確認) / M&Aキャピタルパートナーズ 手数料 / ストライク 料金体系 / M&A総合研究所 手数料 / fundbook 譲渡の報酬体系 / インテグループ 料金体系
上場大手4社の特徴と向き不向き

1. 日本M&Aセンター|地方案件・業種横断で最大のネットワーク
創業35周年、累計成約実績1万件超の業界最古参。地方銀行95行・信用金庫221庫・会計事務所1,072所との提携ネットワークが最大の強みです。
- 対象企業規模: 公式FAQで「受託する譲渡案件は年商1億円前後から30億円ぐらいまでの企業で80%余り」と明記
- 手数料: 着手金あり(譲渡側は調査・資料作成開始時)、成功報酬は移動総資産レーマン方式
- 従業員: 連結1,118名(うちM&Aコンサルタント660名/2025年6月末時点)
- 国内拠点: 東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・広島・沖縄の7拠点+海外5拠点
こんな企業におすすめ:
- 地方企業で、地元の地銀・信金経由で買い手候補を広く探したい
- 製造業・小売業など幅広い業種で買い手候補を多く集めたい
- 業界最長の運営歴と多拠点サポートを重視したい
向かないケース:
- 着手金を避けたい
- 負債規模が大きく、移動総資産レーマンだと手数料が膨らむ案件
2. M&Aキャピタルパートナーズ|着手金無料+株価レーマンで中堅案件の定番
2005年設立、2014年東証一部上場(現プライム)。着手金無料・株価レーマン方式(株式価値のみに料率を乗じる)が特徴で、負債規模が大きい案件でも手数料が膨らみにくい設計です。
- 手数料: 着手金無料、中間報酬は手数料総額の約10%(基本合意時)、成功報酬は株価レーマン方式
- 最低報酬: 2,500万円(税別)
- 売上高: 2025年9月期約224億円(業界2位)
- 強み: 株価レーマン方式/コンサルタントの中堅案件対応経験/売り手・買い手同一の手数料体系
こんな企業におすすめ:
- 負債規模が大きく、株価レーマンで手数料を抑えたい
- 中間報酬を「成功報酬の一部前払い」として理解した上で、実質コストを重視したい
- 業界2位の安定感と実績を優先したい
向かないケース:
- 譲渡価格5億円以下の案件で、最低報酬2,500万円が相対的に高く感じる場合
3. ストライク|公認会計士主体のネットワーク・財務DDに強み
1997年に公認会計士主導で設立された独立系。SMART(ネットM&A)など独自プラットフォームを運営し、財務デューデリジェンス(DD)に強みがあります。2021年10月から着手金を無料化しました。
- 手数料: 着手金無料、基本合意報酬あり(資産総額10億円以下100万円/10〜50億円200万円/50億円超300万円)、成功報酬はオーナー受取額レーマン方式
- 最低報酬: 売り手4億円以下部分で2,000万円+超過部分の料率
- 売上高: 約203億円(業界3位)
- 強み: 公認会計士主体の組成/SMART等独自プラットフォーム/財務DDの精度
こんな企業におすすめ:
- 財務面のデューデリジェンスに高いクオリティを求めたい
- オーナー受取額ベースの手数料で、負債控除後の料率計算を好む
- 会計士系のネットワークで買い手候補を探したい
向かないケース:
- 基本合意時の支払いなど、キャッシュアウトのタイミング分散を避けたい
4. M&A総合研究所|売り手完全成功報酬制・AI活用でスピード重視
2018年設立の新興勢。2022年東証グロース上場、2024年9月プライム市場へ指定替え(9552)。売り手は着手金・中間金・月額報酬すべて無料の「完全成功報酬制」で、AIマッチングを活用した成約スピードが特徴です。
- 手数料: 売り手は着手金・中間金・月額報酬すべて無料、成功報酬は譲渡価格レーマン方式
- 最低報酬: 2,500万円
- 売上高: 約166億円(業界4位)。2024年9月期は前年比+91%の急成長
- 強み: 完全成功報酬制(売り手)/AIマッチング/成約までのスピード
こんな企業におすすめ:
- 成約まで費用リスクを抑えたい(売り手)
- できるだけ短期間で売却を完了させたい
- テクノロジー活用とデータベース規模を重視したい
向かないケース:
- 譲渡価格が純資産・株価と大きく乖離するケースで、譲渡価格レーマンが割高に感じる場合
中堅特化・準大手3社の特徴と向き不向き
5. fundbook(ファンドブック)|独自プラットフォームによるマッチング
2017年設立の比較的新しい仲介会社。独自のマッチングプラットフォームを軸に、スピード重視の組成を行います。
- 手数料: 着手金無料、中間金は原則無料(合意により発生する場合あり)
- 成功報酬: 移動総資産レーマン方式(5億円以下部分で定額2,500万円 / 5〜10億円4% / 10〜50億円3% / 50〜100億円2% / 100億円超1%)
- 最低報酬: 2,500万円
- 売上高: 約58億円
- 強み: 独自プラットフォームによるマッチング精度/スピード重視の組成
こんな企業におすすめ:
- テクノロジー活用の買い手探索を重視したい
- 移動総資産レーマン方式を許容でき、スピードを優先したい
6. インテグループ|最低報酬1,500万円・完全成功報酬制
2024年6月に東証グロースへ上場した独立系仲介会社(192A)。完全成功報酬制(着手金・中間金・月額報酬すべて無料)と、最低報酬1,500万円という大手実績ある仲介の中では業界最低水準の設定が特徴です。
- 対象企業規模: 公式サイトで「売上1億〜150億円」と明示。売買価格は数千万〜100億円規模まで対応
- 手数料: 着手金・中間金・月額報酬すべて無料、成功報酬は株価レーマン方式
- 最低報酬: 1,500万円(税別)
- 売上高: 約18.9億円
- 強み: 完全成功報酬制/最低報酬額の低さ/MBO(マネジメント・バイアウト)支援の専門性
こんな企業におすすめ:
- 年商10億円前後で、最低報酬額をできるだけ抑えたい
- 成約まで費用リスクを完全に排除したい
- MBOや従業員承継のスキームを検討したい
向かないケース:
- 地方銀行・会計事務所経由の地方案件を広く探したい(ネットワーク規模は大手4社に劣る)
7. 名南M&A|東海・近畿に強い事業承継特化
名証ネクスト市場上場(7076)の独立系仲介会社。名南コンサルティングネットワーク(会計・税務・労務)との連携を活かし、東海・近畿地方の中小・中堅企業の事業承継に強みがあります。
- 拠点: 名古屋本社・東京・大阪・静岡・高松
- 累計支援実績: 名南コンサルティングネットワーク全体で支援先1万件超
- 売上高: 約14.8億円
- 強み: 名南コンサルティングネットワーク連携/東海・近畿地方での知名度/事業承継特化
こんな企業におすすめ:
- 東海・近畿地方に本社・主要拠点がある
- 会計・税務・労務まで一貫したサポートを求めたい
- 事業承継色の強いM&Aを相談したい
向かないケース:
- 全国展開の買い手ネットワークを幅広く活用したい場合(大手4社のほうがネットワーク規模で優位)
レーマン方式の計算基準で変わる手数料シミュレーション

年商10億円以上の案件で最も手数料差が出るのが、レーマン方式の「計算基準」です。 同じ譲渡条件でも、基準が違えば手数料総額に数百万〜数千万円の差が生まれます。
前提条件
- 譲渡価格(株式譲渡): 10億円
- 総資産: 13億円
- 総負債: 3億円
- 株式価値: 10億円
- オーナー受取額: 10億円(簡略化のため税引前)
各方式の手数料試算
計算基準 | 計算対象 | 試算額 | 5%料率部分 |
|---|---|---|---|
株価レーマン | 株式価値 10億円 | 約4,500万円 | 5億円×5%=2,500万円+5億円×4%=2,000万円 |
譲渡価格レーマン | 譲渡価格 10億円 | 約4,500万円 | 同上 |
移動総資産レーマン | 株式価値+負債 13億円 | 約5,400万円 | 5億円×5%+5億円×4%+3億円×3%=4,500万円+900万円 |
オーナー受取額レーマン | オーナー受取 10億円 | 約4,500万円 | 5億円×5%+5億円×4%=4,500万円 |
※最低報酬(1,500万〜2,500万円)の適用やケースごとの諸条件があるため、実際の金額は各社の提案書で必ず確認してください。
読み取りポイント
- 負債規模が小さい案件(負債3億円程度): 4方式で差は約900万円(約2割の差)
- 負債規模が大きい案件(負債10億円超): 移動総資産レーマンと株価レーマンで数千万円の差が生じるケースも
- 譲渡価格が株価より高くなる案件(プレミアム評価): 譲渡価格レーマンが最も高くなる
- 譲渡価格が株価より低くなる案件(負のプレミアム): 譲渡価格レーマンが最も安くなる
結論: 自社の貸借対照表(負債規模)で選ぶべき方式が変わる
- 負債規模が大きい製造業・不動産業: 株価レーマン系(M&Aキャピタルパートナーズ・インテグループ)が有利になる可能性が高い
- 負債規模が小さいサービス業・IT業: どの方式でも大差なし。他の要素(最低報酬・ネットワーク)で選ぶ
- オーナー手取り額を重視する親族なし承継: オーナー受取額レーマン(ストライク)が心理的にわかりやすい
実際の見積もりは各社によって異なるため、必ず複数社から提案を受けることをおすすめします。
年商10億円以上なら仲介とFAの使い分けも検討
年商10億円以上の中規模M&Aでは、仲介ではなくFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)を選ぶほうが有利なケースがあります。 FAは売り手または買い手の片側代理で、利益相反が構造的に発生しません。
仲介が適するケース
- オーナー=株主で、友好的な親族外承継を想定
- スピードと相手探しの幅広さを重視
- 年商30億円以下で、買い手候補が多数想定される
- 地元企業との相談から広げたい
FAが適するケース
- 上場企業の子会社売却・事業部門売却
- 複数買い手による入札形式での売却を検討
- 海外買い手(クロスボーダー案件)を想定
- 年商数十億円超で、利益相反リスクに敏感
- ファンド(PE)への売却で価格交渉力を最大化したい
FA型サービスを提供する主要な会社
- フーリハン・ローキー(旧GCA): 米国本社のグローバルネットワーク/数十億〜千億円規模の中型〜大型M&A
- 野村證券・大和証券・みずほ証券などの証券会社系FA: 上場企業のディール多数
- 独立系ブティックFA: KPMG FAS、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーなど
⚠️ FAは仲介と異なり成功報酬体系が個別交渉で、最低報酬も案件規模に応じて大きく変動します。 仲介との使い分けは、複数社の提案比較が前提になります。
出典: M&Aキャピタルパートナーズ M&A仲介とFAの違い / GVA法律事務所 M&AにおけるFAと仲介の違い
企業規模・重視ポイント別のおすすめ選び方
自社の状況 | 重視ポイント | おすすめ |
|---|---|---|
年商10〜30億円・地方企業 | 地元ネットワークと業種幅 | 日本M&Aセンター |
年商10〜50億円・負債規模大 | 株価レーマンで手数料抑制 | M&Aキャピタルパートナーズ、インテグループ |
年商10〜30億円・コスト重視 | 最低報酬の低さ | インテグループ(1,500万円) |
年商10〜50億円・スピード重視 | 成約までの期間短縮 | M&A総合研究所 |
年商10〜30億円・財務DD重視 | 会計士系の精度 | ストライク |
年商10〜30億円・東海近畿 | 地域密着・事業承継 | 名南M&A |
年商50億円超・上場子会社売却 | 複数買い手入札・利益相反排除 | FA型(フーリハン・証券会社系) |
複数社比較の推奨ステップ
- まず3社程度に相談: 上場大手1社+準大手1社+FA1社で比較軸を揃える
- 各社の提案書を読み比べ: 手数料総額・想定買い手リスト・売却スケジュールを比較
- 担当コンサルタントの相性: 年単位の伴走になるため、面談で相性を確認する
- 専任契約の範囲と期間: 専任条項の範囲・テール条項(契約終了後の成功報酬義務)を弁護士に確認
こんな企業におすすめ/おすすめしない企業
大手4社(日本M&Aセンター・M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク・M&A総合研究所)
おすすめ:
- 上場企業の信頼性・ガバナンス体制を重視
- 広範な買い手ネットワークを活用したい
- 年商10〜50億円の典型的な中堅案件で、標準的なサポートを求める
おすすめしない:
- 最低報酬1,500万円以下で抑えたい小規模案件
- 担当コンサルタントとの密な関係を最優先したい(大手では担当交代の可能性あり)
準大手・特化型(fundbook・インテグループ・名南M&A)
おすすめ:
- コスト効率と柔軟性を重視
- 地域・業種・スキーム(MBO等)で特化したサポートを求める
- 担当者の一貫した伴走を重視
おすすめしない:
- 全国規模の買い手候補を一気に集めたい大型案件
- 海外買い手やクロスボーダー案件
FA型(フーリハン・ローキー等)
おすすめ:
- 上場子会社売却・複数買い手入札
- 年商50億円超・クロスボーダー案件
- 利益相反リスクを構造的に排除したい
おすすめしない:
- 年商10〜30億円の典型的な中堅案件で、スピードと買い手候補数を優先したい
- 固定費的な月額報酬を避けたい(FAは月額リテイナーを設定するケースが多い)
よくある質問(FAQ)
Q1. 年商10億円の会社を売却したら、手数料はいくらになる?
譲渡価格・負債規模・選ぶ計算基準によって大きく変わります。譲渡価格10億円・負債3億円のケースでは、レーマン方式の基準によって約4,500万〜5,400万円程度が目安になります(ただし最低報酬の適用や個別条件があるため、必ず複数社の提案書で確認してください)。
Q2. 着手金無料と有料、どちらを選ぶべき?
中規模案件では着手金の有無より、成功報酬の計算基準と最低報酬の絶対額のほうが総額への影響が大きくなります。着手金有料の日本M&Aセンターは地方ネットワークが最大で、その対価と考えれば合理的な選択肢です。一方、成約リスクを最小化したい場合は、売り手完全成功報酬制のM&A総合研究所やインテグループが候補になります。
Q3. 大手4社と中堅特化会社、どう使い分ける?
広い買い手候補・全国ネットワーク・業界実績を重視するなら大手4社、コスト効率・担当者の一貫サポート・地域や特殊スキーム(MBO等)への対応を重視するなら準大手が適します。年商10〜30億円の典型的な中堅案件では、両方に声をかけて提案を比較するのが一般的です。
Q4. 仲介ではなくFAを使うべきケースは?
上場企業の子会社売却、複数買い手による入札形式での売却、海外買い手(クロスボーダー)想定、年商50億円超で利益相反リスクに敏感なケースでは、FAが適します。逆に、年商10〜30億円で1対1の友好的な売却を想定するなら、仲介のほうがスピードと買い手候補数で有利です。
Q5. 専任契約と非専任契約、中規模案件ではどちらが有利?
仲介会社の多くは専任契約を標準としていますが、年商10億円以上の案件では非専任契約(複数社に並行依頼)や、専任範囲を限定する条項の交渉余地があります。契約条件は弁護士に確認したうえで交渉するのが安全です。テール条項(契約終了後の成功報酬義務)の期間・範囲も重要な論点になります。
Q6. 手数料以外で仲介会社を比較する重要な軸は?
担当コンサルタントの経験年数・実績、過去の類似案件(業種・規模・買い手タイプ)、想定買い手リストの具体性、売却スケジュール、契約解除条項、情報開示(公開範囲)の方針が重要です。特に担当者とは1〜2年単位で伴走する関係になるため、面談での相性確認は必須です。
法的・税務面は必ず専門家に相談を
本記事の手数料体系・計算基準は、各社の公式サイトに基づき2026年4月時点で確認したものです。実際の契約条件は個別案件で変動します。以下については、必ず専門家への相談を推奨します。
- 契約条項(専任・テール・競業避止等): 弁護士
- 株式譲渡・事業譲渡の税務効果: 税理士
- 許認可・従業員承継: 社会保険労務士・行政書士
- バリュエーション(企業価値評価): 公認会計士・FA
まとめ: 年商10億円以上の中規模M&Aは「計算基準の合致」で選ぶ
年商10億円以上の中規模M&Aでは、以下の4ステップで仲介会社を選ぶことをおすすめします。
- 自社の貸借対照表(負債規模)を確認 → 株価レーマン系が有利か、他方式が有利かを判断
- 地域・業種の得意不得意を確認 → 大手4社か準大手か、またはFAかを選別
- 複数社から見積もり → 最低3社に相談し、提案書の具体性で絞り込む
- 契約条項を弁護士と確認 → 専任範囲・テール条項・解除条件を精査
中規模案件ならではの「仲介とFAの使い分け」「レーマン方式の計算基準」をしっかり押さえておけば、手数料総額で数百万〜数千万円単位の差を回避できます。
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