M&Aの相談先は大きく7種類あり、それぞれ得意な企業規模・費用体系・サポート範囲が異なります。 帝国データバンクの2025年1月調査では、M&A経験企業が最初に相談した相手は「メインバンク(53%)」「会計事務所・税理士法人(49%)」が上位ですが、これらはM&A専門ではないため、本格的に売却を進める場合はM&A仲介会社やFAとの併用が不可欠です。
結論として、会社の売却を検討し始めた段階では、まず「事業承継・引継ぎ支援センター(無料)」か「M&A仲介会社の無料相談」で全体像を把握し、その後に自社の規模・目的に合った専門家を選ぶのが現時点でもっとも堅実な進め方です。
この記事でわかること:
- M&Aの相談先7種類の特徴・費用・メリット・デメリット
- 売り手の年商規模別に最適な相談先がわかるフローチャート
- 相談先ごとの費用比較表(初回相談料〜成功報酬まで)
- 複数の相談先を組み合わせて活用する実践的な方法
- 相談先選びで失敗しないための5つのチェックポイント
この記事は、会社の売却やM&Aを検討し始めた中小企業の経営者に向けて書いています。 「誰に最初に相談すればいいかわからない」「相談先によって費用がどう違うのか知りたい」という方に、判断材料を整理してお伝えします。
M&Aの相談先は7種類 — 一覧と比較表

M&Aの相談先は、民間の専門家・士業・公的機関・オンラインプラットフォームの4グループに分けられます。以下の比較表で全体像を把握してから、各相談先の詳細を確認してください。
相談先 | 種別 | 初回相談 | 成功報酬の目安 | 対応規模 | 総合サポート |
|---|---|---|---|---|---|
M&A仲介会社 | 民間・専門 | 無料 | レーマン方式(最低200〜2,500万円) | 年商数千万〜数百億円 | ◎ |
FA(財務アドバイザー) | 民間・専門 | 無料〜 | レーマン方式(高め) | 年商数十億円〜 | ◎ |
銀行・金融機関 | 民間 | 無料 | 高額傾向 | メガバンク: 数億円〜 / 地銀: 数千万円〜 | ○ |
税理士・公認会計士 | 士業 | 無料〜数万円 | DD費用: 数十万〜数百万円 | 規模問わず | △ |
弁護士 | 士業 | 数千〜1万円/時 | DD費用: 数十万〜数百万円 | 規模問わず | △ |
事業承継・引継ぎ支援センター | 公的機関 | 無料 | 無料 | 中小企業全般 | ○ |
M&Aプラットフォーム | 民間・IT | 無料 | 成約価格の3%程度 | 年商数百万〜数億円 | △ |
(出典: M&Aキャピタルパートナーズ「M&A手数料の相場と種類」、M&A総合研究所「M&Aの相談先9選」、各社公式サイト — 確認日2026年4月13日)
成功報酬の計算に使われる「レーマン方式」の詳しい仕組みと計算例は、「レーマン方式とは?わかりやすく計算例付きで解説」で解説しています。
M&A仲介会社 — 売り手・買い手の間に立ちワンストップで支援
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に入り、マッチングから交渉・契約・クロージングまで一貫してサポートする専門家です。 初めてM&Aに取り組む中小企業の売り手にとって、現時点ではもっとも一般的な相談先といえます。
メリット
- 独自のデータベースとネットワークで最適な買い手候補を探してくれる
- マッチングから契約書作成、クロージングまでワンストップで対応
- 業界・地域に特化した知見を持つ会社を選べば、相場感のある交渉が期待できる
- 初回相談は無料の会社がほとんど
デメリット・注意点
- 手数料が高額(成功報酬+最低報酬額が設定されている)
- 着手金・中間金が発生する会社もある(最近は「完全成功報酬制」が増加)
- 売り手と買い手の双方から報酬を受け取る構造上、利益相反の問題が指摘されている
費用の目安
費用項目 | 相場 |
|---|---|
初回相談 | 無料 |
着手金 | 0〜200万円(無料が増加傾向) |
中間金 | 成功報酬の10〜20%(不要な会社もあり) |
成功報酬 | レーマン方式で算出 |
最低報酬 | 大手: 1,000〜2,500万円 / 中小向け: 200〜500万円 |
(出典: M&Aキャピタルパートナーズ「M&A手数料の相場と種類」確認日2026年4月13日)
こんな企業におすすめ
- M&Aが初めてで、プロに全体を任せたい企業
- 年商数億円以上で、買い手候補を幅広く探したい企業
- 売却までのスケジュールを半年〜1年程度で計画したい企業
おすすめしない企業
- 年商数千万円以下の小規模案件(最低報酬が割高になりやすい)
- 費用をできるだけ抑えたい場合(M&Aプラットフォームの方が安い)
売り手視点でのM&A仲介会社の比較は「M&A仲介会社 比較(売り手向け)」で詳しく解説しています。
FA(ファイナンシャル・アドバイザー)— 売り手専属で利益最大化を目指す
FAは依頼主(売り手または買い手)の一方に専属し、依頼主の利益最大化を目指して交渉する専門家です。 仲介会社が双方の「仲立ち」をするのに対し、FAは完全に売り手の味方として動きます。
メリット
- 売り手の利益を最優先に交渉してくれる
- 大型案件で高い専門性を発揮(M&Aスキームの設計力が強い)
- 利益相反の構造的リスクがない
デメリット・注意点
- 仲介会社より報酬が高額になる傾向がある
- 買い手側にもFAがつくため、交渉が長期化しやすい
- 中小企業向けのFAサービスは限られている
こんな企業におすすめ
- 売却額が数十億円以上の大型案件
- 価格交渉で妥協したくない企業
- 仲介会社の利益相反構造に不安を感じる企業
おすすめしない企業
- 年商数億円以下の中小企業(対応してもらえない場合がある)
- できるだけ早期に成約したい企業
M&A仲介とFAの違いをさらに詳しく知りたい方は「M&A FA(財務アドバイザー)とは?仲介との違い」をご覧ください。
銀行・金融機関 — メインバンクへの相談が最多だが注意点も
帝国データバンクの調査(2025年1月)では、M&A経験企業の53%がメインバンクに最初に相談しています。 日常的に取引がある安心感から、最初の相談先として選ばれやすい存在です。
メガバンクの特徴
- M&Aアドバイザリー専門部署を保有
- 数億円〜数十億円以上の大型案件が中心
- 中小規模案件は対応を断られるケースがある
地方銀行の特徴
- 近年、地域の中小企業の事業承継ニーズに対応して積極化
- 地域企業とのネットワークを活かしたマッチングが強み
- 中小企業庁の後押しもあり、M&A支援体制を整備する地銀が増加
メリット
- 自社の財務状況をすでに把握しているため話が早い
- 融資と一体でM&A支援が可能(特に買い手側の資金調達面)
- 幅広い顧客ネットワークを持つ
デメリット・注意点
- 融資元と相談先が同じため、利益相反の可能性がある
- 報酬は高額傾向
- M&A専門チームがない地銀もある(提携先の仲介会社に引き継がれるケースが多い)
- 行内での情報共有範囲に注意が必要(融資部門への情報漏洩リスク)
(出典: fundbook「M&Aにおける銀行の役割」、M&Aキャピタルパートナーズ「M&Aにおける銀行の役割」確認日2026年4月13日)
こんな企業におすすめ
- まず身近な相手に相談したい企業
- メインバンクとの関係が良好で、信頼できる担当者がいる企業
おすすめしない企業
- 融資先に売却意向を知られたくない企業
- M&A専門の支援を求める企業(銀行は仲介会社に取り次ぐだけのケースもある)
税理士・公認会計士 — 財務・税務の専門知識で支援
顧問税理士は自社の財務状況を熟知しているため、M&A検討の最初の相談相手として選ばれやすい存在です。 帝国データバンクの同調査でも、49%がM&Aの相談先として会計事務所・税理士法人を挙げています。
メリット
- 自社の財務状況を深く理解した上でアドバイスしてくれる
- 企業価値算定・財務デューデリジェンスの専門性がある
- 役員退職金の活用など、節税スキームの提案が期待できる
- 簿外債務のリスク発見に強い
デメリット・注意点
- M&A実務経験がない税理士も多い(全体の一部のみM&A対応可能)
- 買い手候補を探すマッチング機能がない
- M&A全体のプロセス管理は専門外
- 顧問税理士が必ずしもM&Aに精通しているとは限らない
(出典: fundbook「M&Aにおける税理士の役割」、M&Aキャピタルパートナーズ「M&Aにおける税理士の役割」確認日2026年4月13日)
※ 売却時の税務処理(譲渡所得の計算、役員退職金の活用等)は個別の状況により大きく異なります。具体的な節税対策については、M&A実務に精通した税理士への相談をおすすめします。
こんな企業におすすめ
- まず信頼できる身近な専門家に相談したい企業
- 売却時の税金や節税対策について具体的に知りたい企業
- 顧問税理士がM&A案件の実務経験を持っている場合
おすすめしない企業
- 買い手候補の探索から任せたい企業
- M&Aの全プロセスを一元管理してほしい企業
会社売却時の税金・節税対策の詳細は「会社売却の税金・節税 完全ガイド」で解説しています。
弁護士 — 法務面のリスク検出と契約書レビュー
弁護士は法務デューデリジェンス、契約書(SPA)の作成・レビュー、法的リスクの検出を担う専門家です。 M&Aの全体を指揮する役割ではなく、法務面での「守り」を固めるために起用します。
メリット
- 法的効力のある正確な契約書を作成・レビューしてくれる
- 訴訟リスクや係争案件の事前検出が可能
- トラブル発生時の法的な解決手段を持っている
デメリット・注意点
- M&A実務経験がない弁護士も多い
- 財務・税務の知見は限定的(別途、税理士・会計士との並行依頼が必要)
- 相談料が高額(1時間あたり数千〜1万円が相場)
こんな企業におすすめ
- 契約内容・法的リスクに不安がある企業
- 係争リスクが想定される案件
- 表明保証条項の内容を慎重に検討したい企業
おすすめしない企業
- 費用を抑えたい企業
- M&Aの全体管理や買い手探しを求める企業
※ 表明保証条項や契約上のリスク配分など、法務面の判断は案件ごとに異なります。M&A経験のある弁護士への相談をおすすめします。
M&Aにおける表明保証の基本と判例については「M&A 表明保証とは?わかりやすく解説」で詳しく紹介しています。
事業承継・引継ぎ支援センター — 国が設置した無料相談窓口
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁が設置した公的な相談窓口で、全国47都道府県に設置されています。 相談からマッチング支援まですべて無料で利用できるのが最大の特徴です。
実績
- 令和6年度(2024年度)の第三者承継の成約件数: 2,132件(過去最高)
- 年間相談者数: 約23,000者
- 累計成約件数: 12,306件
(出典: 事業承継・引継ぎポータル「shoukei.smrj.go.jp」、中小企業基盤整備機構プレスリリース — 確認日2026年4月13日)
メリット
- 完全無料で相談・マッチング支援を受けられる
- 利害関係がないため、公平・中立な助言が得られる
- 小規模事業者や個人事業主の案件にも対応
- 補助金や公的支援制度の情報も得られる
デメリット・注意点
- 対応スピードが民間の仲介会社より遅い場合がある
- 複雑なスキーム(クロスボーダーM&A等)には対応が難しい
- マッチング対象が地域の中小企業中心で、大型案件には向かない
- 民間仲介会社ほどの豊富な買い手ネットワークは持っていない
こんな企業におすすめ
- M&Aを決めていないが、選択肢の一つとして情報収集したい企業
- まず無料で中立的な意見を聞きたい企業
- 年商数千万〜数億円規模の中小企業・個人事業主
- 公的支援制度(補助金等)も含めた総合的なアドバイスが欲しい企業
おすすめしない企業
- スピード重視で成約を急ぎたい企業
- 年商数十億円以上の中堅〜大企業
事業承継で活用できる補助金制度については「事業承継・M&A補助金(2026年最新)」で解説しています。
M&Aプラットフォーム — オンラインで手軽にマッチング
バトンズやトランビに代表されるM&Aプラットフォームは、オンライン上で売り手と買い手をマッチングするサービスです。 費用が安く、小規模案件やスモールM&Aに向いています。
主なサービス
- バトンズ: 2,000社近い専門家と提携。事業承継・スモールM&Aに強み。2026年4月に東証グロース市場へ上場
- トランビ: 国内最大級のユーザー数・掲載案件数。買い手が自主的に交渉を進めるスタイル。手数料は買い手のみ成約価格の3%
メリット
- 費用が仲介会社より大幅に安い(売り手は手数料無料の場合もある)
- 時間・場所を選ばず手軽に利用可能
- 個人事業主や小規模事業の案件にも対応
デメリット・注意点
- M&Aの専門知識がある程度必要(交渉や契約は自分で進める場面がある)
- 情報漏洩対策は利用者自身の責任が大きい
- 大型案件には向かない
- サポートの手厚さはサービスにより差がある
こんな企業におすすめ
- 年商数百万〜数億円程度のスモールM&A案件
- 費用をできるだけ抑えたい企業
- M&Aの基本的な知識があり、ある程度自分で進められる企業
おすすめしない企業
- M&Aの経験がなく、すべてプロに任せたい企業
- 機密性が高い案件
バトンズの詳しい特徴・手数料は「バトンズとは?評判・特徴・手数料」で解説しています。
【フローチャート】売り手の年商規模・目的別|最適な相談先の選び方

「自社にはどの相談先が合うのか」を判断するために、年商規模と目的別のおすすめ相談先を整理しました。
年商規模別のおすすめ相談先
年商規模 | 最初の相談先 | 本格的な依頼先 |
|---|---|---|
数百万〜1億円未満 | 事業承継・引継ぎ支援センター | M&Aプラットフォーム or 小規模特化の仲介会社 |
1億〜5億円 | M&A仲介会社(中小特化)の無料相談 | M&A仲介会社(完全成功報酬制を推奨) |
5億〜30億円 | M&A仲介会社(中堅〜大手)の無料相談 | M&A仲介会社 |
30億円以上 | FA or 大手仲介会社 | FA(利益最大化を優先する場合) |
目的別のおすすめ相談先
「まずは情報収集だけしたい」場合:
- 事業承継・引継ぎ支援センター(完全無料・中立)
- M&A仲介会社の無料相談(複数社を回る)
- 顧問税理士への初期相談
「具体的に売却を進めたい」場合:
- M&A仲介会社の無料相談で2〜3社を比較
- 手数料体系・担当者の経験を確認して1社に絞る
- 必要に応じて税理士・弁護士をDD時に起用
「費用をできるだけ抑えたい」場合:
- M&Aプラットフォーム(バトンズ・トランビ)
- 完全成功報酬制の仲介会社
- 事業承継・引継ぎ支援センター
仲介会社の選び方の詳細は「M&A仲介会社の選び方」を参照してください。無料相談の活用法は「M&A無料相談の選び方・注意点」でまとめています。
M&A相談にかかる費用の相場と年商別シミュレーション

相談先によって費用体系は大きく異なります。特に成功報酬の計算基準の違いは、同じ取引でも手数料が数倍変わる要因になります。
レーマン方式の標準料率
M&A仲介会社やFAの成功報酬は、一般的に「レーマン方式」で計算されます。
取引金額 | 手数料率 |
|---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超〜10億円以下 | 4% |
10億円超〜50億円以下 | 3% |
50億円超〜100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
重要な注意点: レーマン方式には「株価ベース」「移動総資産ベース」「企業価値ベース」の3つの計算基準があり、どれを採用するかで手数料が大幅に変わります。株価レーマンが最も安くなるケースが多いため、仲介会社に依頼する際は計算基準を必ず確認してください。
(出典: M&Aキャピタルパートナーズ「M&A手数料の相場と種類」確認日2026年4月13日)
【年商別シミュレーション】仲介会社に依頼した場合の費用目安
以下は、株価レーマン方式を採用した仲介会社に依頼し、着手金・中間金が無料の場合のおおよその目安です。実際の費用は株価(株式価値)によって変動するため、あくまで参考値として捉えてください。
年商 | 想定株価(参考) | 成功報酬の目安 | 最低報酬の適用 |
|---|---|---|---|
1億円 | 5,000万〜1億円 | 250〜500万円 | 最低報酬が適用される可能性あり |
3億円 | 1.5億〜3億円 | 750〜1,500万円 | 最低報酬(500〜2,500万円)の確認が必要 |
5億円 | 2.5億〜5億円 | 1,250〜2,500万円 | 大手の場合は最低報酬に達しない可能性 |
10億円 | 5億〜10億円 | 2,500〜4,500万円 | 通常はレーマン方式で計算 |
※ 株価は業種・収益性・資産状況により大幅に異なります。正確な費用見積もりは仲介会社の無料相談で確認してください。
手数料の詳しい比較は「M&A仲介会社 手数料比較 完全ガイド」で各社の料金体系を横断比較しています。
相談先を組み合わせて活用する — 3ステップの実践ガイド

M&Aでは、1つの相談先だけですべてをカバーすることは難しく、段階に応じて複数の専門家を組み合わせるのが一般的です。売り手にとっての現実的な活用ステップを紹介します。
ステップ1: 情報収集フェーズ(無料で始める)
まだM&Aを決断していない段階では、費用をかけずに情報収集するのが合理的です。
- 事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、公的機関の中立的な意見を聞く
- 顧問税理士に、自社の財務状況からM&Aの可能性を相談する
- M&A仲介会社2〜3社の無料相談を受け、相場感や進め方を把握する
この段階ではまだ費用は発生しません。複数の意見を聞くことで、相談先ごとの提案内容やスタンスの違いを比較できます。
ステップ2: 仲介会社・FAに正式依頼
売却の意思が固まったら、手数料体系と担当者の実績を比較し、1社に正式依頼します。
- 年商5億円以下: 完全成功報酬制の仲介会社がリスクを抑えられる
- 年商5億円超: 大手仲介会社またはFA。手数料の計算基準(株価ベースか移動総資産ベースか)を必ず確認
- M&A支援機関登録制度に登録されている仲介会社を選ぶと、手数料体系が公表されており透明性が高い
ステップ3: DD・契約段階で士業を起用
基本合意後のデューデリジェンス(DD)や契約書作成の段階で、専門の士業を起用します。
- 税理士・公認会計士: 財務・税務DDの実施、節税スキームの検討
- 弁護士: 法務DD、株式譲渡契約書(SPA)のレビュー、表明保証条項の確認
仲介会社が提携する士業を紹介してくれることが一般的ですが、利益相反を避けるため、売り手が独自に士業を選任する選択肢も検討してください。特に表明保証条項は売り手のリスクに直結するため、慎重な検討が必要です。
会社売却の全体の流れは「会社売却とは?流れ完全ガイド」を、売却前の準備については「会社売却 準備チェックリスト」をご覧ください。
M&A相談で失敗しないための5つのポイント
1. 秘密保持を最優先に
M&Aの相談を始める段階から、情報漏洩には細心の注意が必要です。売却の意向が従業員や取引先に漏れると、人材流出や取引条件の悪化を招くリスクがあります。
- 相談先にはNDA(秘密保持契約)を締結してから詳細情報を開示する
- 銀行に相談する場合、融資部門に情報が共有されないか確認する
- 社内で知っている人を最小限にする
2. 複数の相談先で「セカンドオピニオン」を取る
1社だけの意見で決めず、最低2〜3社の相談先に話を聞くことをおすすめします。提案内容、想定売却価格、手数料体系を比較することで、より良い判断ができます。
3. 手数料体系を事前に確認・比較する
相談先によって費用が大きく異なるため、以下の点を必ず確認してください。
- 着手金の有無
- 中間金の有無と返還条件
- 成功報酬の計算基準(株価ベース / 移動総資産ベース / 企業価値ベース)
- 最低報酬額
- M&A不成立時の費用負担
4. 担当者の経験・実績を確認する
仲介会社を選ぶ際は、会社の看板だけでなく実際に担当するアドバイザー個人の経験も重要です。
- 自社と同じ業種・規模のM&A成約実績があるか
- M&A仲介歴は何年か
- 売り手側の立場で動いてくれるか
5. M&A支援機関登録データベースを活用する
中小企業庁が運営する「M&A支援機関登録制度」のデータベースでは、登録された仲介会社・FAの手数料体系や実績を確認できます。約3,046機関が登録されています(令和7年10月時点)。
登録機関は手数料体系の公表が義務づけられているため、相談先選びの信頼性を判断する材料になります。
(出典: M&A支援機関登録制度公式サイト — 確認日2026年4月13日)
M&A相談に関するよくある質問(FAQ)
Q. M&Aを決めていなくても相談できますか?
はい、相談できます。 M&A仲介会社の無料相談や事業承継・引継ぎ支援センターでは、「売却するかどうか迷っている」段階からの相談にも対応しています。将来の選択肢の一つとして情報収集するだけでも問題ありません。「あと5年早く相談していれば」というケースも多いため、早めの相談が推奨されます。
(出典: M&Aキャピタルパートナーズ FAQ、ストライク 相談FAQ — 確認日2026年4月13日)
Q. 顧問税理士に最初に相談するのは正しい?
顧問税理士への相談自体は自然な流れですが、M&A実務経験がない税理士に相談しても具体的な進め方のアドバイスは期待しにくい点に注意が必要です。税務面のアドバイスを受けつつ、M&A仲介会社やFAなどの専門家と並行して相談するのが望ましい進め方です。
Q. 相談から成約までどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に仲介会社への依頼から成約まで半年〜1年、経営の引継ぎ期間を含めると数年がかりのプロジェクトになることもあります。情報収集の相談期間を含めると、売却を意識してから完了まで1〜2年程度を見ておくのが現実的です。
Q. 無料相談で具体的な売却価格を教えてもらえますか?
多くのM&A仲介会社は無料相談の段階で概算の企業価値・売却価格のイメージを提示してくれます。ただし、正式な企業価値算定にはデューデリジェンスが必要であり、概算値と最終的な成約価格にはズレが生じることがあります。
Q. 銀行に相談すると融資に影響しますか?
銀行の担当者には守秘義務がありますが、行内での情報共有ルールは銀行によって異なります。融資条件への影響を懸念する場合は、M&A仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターなど、融資と無関係な相談先を最初に利用する方が安全です。
まとめ — M&A相談は「早めに」「複数に」が鉄則
M&Aの相談先は7種類ありますが、売り手にとっての鉄則は「早めに相談を始めること」と「複数の相談先から意見を聞くこと」の2つです。
最初の一歩として、事業承継・引継ぎ支援センター(無料)で全体像を把握するか、M&A仲介会社2〜3社の無料相談で相場感をつかむところから始めてみてください。
※ 実際の税務処理や法的な契約内容については、必ず税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。手数料体系や制度は変更される場合がありますので、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
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