事業承継とは、会社の経営権・資産・知的資産を後継者に引き継ぐプロセス全体を指します。 よく混同される「M&A」は、事業承継の手段の1つであり、事業承継そのものではありません。
この記事では、以下の内容をまとめています。
- 事業承継とM&Aの違い(包含関係を図解)
- 3つの承継方法(親族内・従業員・M&A)の比較
- 方法別の費用相場と準備期間
- 自社に合った方法の選び方
- 2026年最新の事業承継税制・補助金情報
この記事は、後継者問題を抱えている、または会社の売却・引き継ぎを検討し始めた中小企業の経営者の方に向けて書いています。
関連記事: M&Aとは?仕組み・流れ・費用を基礎から解説
事業承継とは — 定義と引き継ぐ3つの要素

事業承継とは、会社の経営を次の世代へ引き継ぐことです。単に社長の椅子を譲るだけではなく、経営権・会社の資産・長年培った知的資産の3つを包括的に後継者へ移すプロセス全体を指します(出典: 中小企業庁「事業承継を知る」)。
事業承継で引き継ぐ3つの要素
要素 | 具体的な内容 |
|---|---|
人(経営)の承継 | 経営権の移譲、代表取締役の地位と役割、経営ノウハウの伝達、後継者の育成 |
資産の承継 | 株式、不動産、設備、運転資金、借入金などの負債 |
知的資産の承継 | 技術・特許、ブランド力、顧客基盤、取引先との関係、経営理念、従業員のスキル |
見落とされやすいのが「知的資産の承継」です。決算書に表れない会社の強み — たとえば特定の技術、長年の取引先との信頼関係、社長個人の人脈 — も事業承継の対象になります。これらの引き継ぎに失敗すると、経営権が移っても会社の競争力が失われるリスクがあります。
「事業承継」と「事業継承」はどちらが正しい?
結論から言えば、法令上の正式な表記は「事業承継」です。
「承継」は地位や事業など抽象的なものを引き継ぐ場合に使い、「継承」は財産や権利など具体的なものを引き継ぐ場合に使うという違いがあります。中小企業庁の公式文書や関連法令はすべて「事業承継」と表記しているため、ビジネスの文脈ではこちらを使うのが適切です(出典: 三菱UFJ銀行)。
事業承継とM&Aの違い — 混同しやすい2つの関係を整理

事業承継とM&Aは同じものではありません。 事業承継は「会社を引き継ぐプロセス全般」を指す上位概念であり、M&Aは「第三者への売却・統合」という事業承継の手段の1つです。
わかりやすく言えば、「事業承継」は目的(会社を引き継ぐこと)、「M&A」はその目的を達成する方法の1つ(第三者に売却・統合すること)という関係です。
事業承継とM&Aの比較
比較ポイント | 事業承継 | M&A |
|---|---|---|
定義 | 企業の経営を後継者に引き継ぐプロセス全般 | 企業の合併・買収による経営権の移転 |
対象範囲 | 親族・従業員・第三者すべてを含む | 社外の第三者(企業・個人)が対象 |
両者の関係 | M&Aを含む上位概念 | 事業承継の一手段 |
主な目的 | 事業の存続・発展の継続 | 事業売却・統合によるシナジー創出 |
手段 | 相続、贈与、売買、株式譲渡など多様 | 株式譲渡、事業譲渡、合併など |
費用感 | 親族内承継は比較的低コスト(税理士報酬 数十万円〜) | 仲介手数料(レーマン方式)+ 専門家費用 |
準備期間の目安 | 5〜10年(後継者育成含む) | 6ヶ月〜1年程度(相手探し含む) |
出典: M&Aキャピタルパートナーズ、M&A総合研究所、小谷野税理士法人(2026年4月確認)
つまり「事業承継を考えている」と言った場合、まだ方法は決まっていない段階です。親族に継がせるのか、社内の役員に託すのか、外部の企業に売却するのか — この選択がまさに事業承継の核心になります。
関連記事: M&Aとは?仕組み・流れ・費用を基礎から解説
事業承継の3つの方法 — 親族内承継・従業員承継・M&A

事業承継には大きく分けて3つの方法があります。かつては親族内承継が9割を占めていましたが、近年は親族外への承継が3分の2を占めるまでに変化しています(出典: 日本M&Aセンター)。
2025年の事業承継方法の割合(帝国データバンク調査)
承継方法 | 割合 |
|---|---|
内部昇格(従業員承継) | 36.1% |
同族承継(親族内承継) | 32.3% |
M&Aほか(第三者承継) | 20.6% |
外部招聘 | 7.6% |
出典: 帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」
3つの方法の比較一覧
比較項目 | 親族内承継 | 従業員承継 | M&A(第三者承継) |
|---|---|---|---|
承継相手 | 子ども・配偶者・甥姪など | 役員・従業員 | 社外の企業・個人 |
費用目安 | 税理士報酬 数十万円〜 + 相続税・贈与税 | 株式取得資金の調達が必要 | 仲介手数料(取引金額の1〜5%)+ 専門家費用 |
準備期間 | 5〜10年(後継者育成含む) | 3〜7年 | 6ヶ月〜1年程度 |
売却益 | なし(家族間の承継のため) | 限定的 | あり(創業者利益を得られる) |
後継者の確保 | 適任者がいない場合は困難 | 社内に候補がいれば選定可能 | 外部から広く探せる |
従業員への影響 | 小さい(経営方針の連続性が高い) | 比較的小さい | 経営方針の変更リスクあり |
個人保証の扱い | 原則として引き継ぐ | 引き継ぎが課題になりやすい | 解除できるケースが多い |
経営の自由度 | 高い | 高い | 買い手の方針に左右される |
出典: M&Aキャピタルパートナーズ、三菱UFJ銀行、日本M&Aセンター(2026年4月確認)
方法別のメリット・デメリット
承継方法を選ぶうえで、それぞれのメリットとデメリットを把握しておくことが不可欠です。以下、方法ごとに整理します。
親族内承継のメリット・デメリット
メリット:
- 従業員や取引先の心情的な受け入れがしやすい
- 長期にわたる準備期間を確保でき、後継者をじっくり育成できる
- 相続・贈与により所有と経営を一体的に引き継げる
- 事業承継税制(納税猶予・免除の特例措置)を活用できる
デメリット:
- 後継者に経営の適性や意欲があるとは限らない
- 他の相続人との間で財産をめぐるトラブルが起きやすい
- 外部からの新しい視点が入りにくく、経営が硬直化する恐れがある
- 後継者候補がそもそもいない場合は選択できない
従業員承継(社内承継)のメリット・デメリット
メリット:
- 経営能力を見極めたうえで後継者を選べる
- 経営方針や企業文化の一貫性を保ちやすい
- 事業の実情を深く理解している人材に託せる
デメリット:
- 株式を取得するための資金調達が最大の課題になる
- 金融機関からの借入に対する個人保証を誰が引き受けるか問題になりやすい
- 旧経営者の親族から理解を得る必要がある
- 後継者に「社長としての覚悟」がない場合、引き受けを辞退されることもある
M&A(第三者承継)のメリット・デメリット
メリット:
- 後継者が社内にいなくても事業を存続させられる
- 売却益(創業者利益)を得て、引退後の生活資金にできる
- 買い手企業とのシナジー効果により事業がさらに成長する可能性がある
- 従業員の雇用が維持されるケースが多い
- 個人保証(連帯保証)を解除できるケースが多い
デメリット:
- 条件に合う買い手を見つけるまでに時間がかかることがある
- 希望する価格で売却できない可能性がある
- 買い手企業の方針で経営方針が変わるリスクがある
- 企業文化の統合(PMI)に時間と労力がかかる
- M&A仲介手数料などの費用が発生する
関連記事: M&A売却の流れを詳しく知りたい方はこちら | 株式譲渡と事業譲渡の違いを比較
事業承継の費用相場 — 方法別の比較
事業承継にかかる費用は、方法によって大きく異なります。 全体としては100万〜300万円程度が相場ですが、M&Aの場合は取引金額に応じた仲介手数料が加わるため、総額は数百万〜数千万円になるケースもあります。
方法別の費用比較
費用項目 | 親族内承継 | 従業員承継 | M&A(第三者承継) |
|---|---|---|---|
専門家報酬(税理士・弁護士) | 数十万〜100万円程度 | 100万〜200万円程度 | 弁護士着手金50万円〜 + 相談料1時間5,000〜1万円 |
仲介手数料 | なし | なし(MBOの場合は発生) | レーマン方式(取引金額の1〜5%)※売却額1億円の場合、約400万〜500万円が目安 |
税金 | 相続税(10〜55%の累進課税)、贈与税 | 株式取得に伴う税金 | 譲渡所得税(約20%)※売り手側 |
デューデリジェンス費用 | なし | なし | 別途発生(買い手負担が一般的) |
その他 | 不動産の名義変更費用など | 資金調達コスト(MBOの場合) | 表明保証保険料など |
総額の目安 | 数十万〜数百万円 | 100万〜300万円 | 数百万〜数千万円(取引規模による) |
出典: M&A総合研究所「事業承継の費用相場を方法別に解説」(2026年4月15日確認)
注意: 上記はあくまで目安です。事業規模、資産内容、承継方法の詳細によって大きく変動します。特に税金の計算は個別事情に大きく依存するため、実際の判断は税理士などの専門家にご相談ください。
なお、事業承継税制の特例措置を活用すれば、親族内承継における相続税・贈与税の納税猶予・免除を受けられる場合があります(詳しくは後述の「事業承継税制」セクションで解説)。
あなたの会社に合った承継方法の選び方
「3つの方法があるのはわかったけれど、自分の会社にはどれが合っているのか」— ここが最も迷うポイントです。以下の条件をもとに、大まかな方向性を整理してみましょう。
親族内承継が向いている企業
- 子どもや親族の中に、経営に意欲と適性のある後継者候補がいる
- 引退まで5年以上の準備期間を確保できる
- 会社の株式評価額が高く、相続税対策として事業承継税制を活用したい
- 取引先や従業員との関係維持を最優先に考えている
- 経営理念や企業文化を「家業」として守りたい
従業員承継が向いている企業
- 親族に後継者候補がいないが、社内に信頼できる役員・幹部がいる
- 後継者候補がすでに経営に深く関与しており、育成の時間を短縮できる
- 会社の株式評価額が比較的低く、後継者が株式を取得しやすい
- 現在の経営方針を大きく変えずに承継したい
M&A(第三者承継)を検討すべき企業
- 親族にも社内にも適切な後継者候補がいない
- 経営者の年齢が65歳以上で、準備期間を長く取れない
- 会社を売却して創業者利益を得たい(引退後の資金を確保したい)
- 個人保証(連帯保証)を早期に解除したい
- 大手企業の傘下に入ることで事業をさらに成長させたい
- 業界の再編・統合が進んでおり、単独での生き残りが難しい
M&Aを選ぶ前に確認したいチェックリスト
M&Aキャピタルパートナーズの解説によれば、M&Aが成立しやすい企業には以下の特徴があります(出典: M&Aキャピタルパートナーズ)。
- 売上が安定している(直近3年間で大きな変動がない)
- 営業利益が出ている
- 従業員の年齢層がバランスよく分布している
- 独自のブランド力・技術力がある
- 取引先が特定の1社に依存していない
- 社長がいなくても業務が回る体制がある
逆に、以下のケースではM&Aが難航する可能性があります。
- 売上・利益が不安定で業績が悪化傾向にある
- 社長個人の人脈や技術に業務が大きく依存している
- 取引先が1〜2社に集中している
- 従業員の離職率が高い
- 簿外債務や訴訟リスクがある
廃業とM&A、どちらを選ぶべきか
「後継者もいないし、M&Aもハードルが高そうだから廃業しよう」と考える経営者は少なくありません。しかし、廃業には以下のコストとリスクがあります。
- 従業員の解雇・退職金の支払い
- 在庫の処分、設備の売却損
- 取引先への違約金・損害賠償リスク
- 借入金の返済(個人保証がある場合は個人資産から)
- 廃業手続きの法的費用
M&Aであれば、従業員の雇用が維持され、売却益も得られます。「廃業しかない」と決める前に、M&A仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターへの無料相談を活用することをおすすめします。
関連記事: M&A仲介会社の選び方 | M&A仲介会社おすすめ比較
M&Aによる事業承継の流れ【9ステップ】

M&Aで事業を引き継ぐ場合の一般的な流れを、9つのステップで解説します。全体で6ヶ月〜1年程度が目安です。
ステップ1: M&Aの目的・方向性を定める
「なぜ売却するのか」「譲れない条件は何か」を明確にします。従業員の雇用維持、売却価格の最低ライン、引退後の関与度合いなど、優先順位を整理しましょう。
ステップ2: M&A仲介会社など専門家に相談
M&A仲介会社、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)、または事業承継・引継ぎ支援センター(全国47都道府県に設置)に相談します。初回相談は無料の会社がほとんどです。
ステップ3: 事業調査(自社の現状分析)
自社の強み・弱み、財務状況、事業の将来性を客観的に分析します。企業価値評価(バリュエーション)もこの段階で行います。
ステップ4: 譲渡先の選定・トップ面談
仲介会社がノンネームシート(社名を伏せた概要資料)を作成し、買い手候補を探します。候補が見つかったら、経営者同士のトップ面談を行います。
ステップ5: 基本合意書の締結
売却価格の目安、スケジュール、独占交渉権などの大枠を合意します。法的拘束力のない項目が多いですが、独占交渉権は通常拘束力があります。
ステップ6: デューデリジェンス(DD)
買い手側が財務・法務・税務・事業内容などを詳細に調査します。売り手としては、正確な情報を開示することが信頼関係の構築につながります。
ステップ7: 最終合意契約書の締結
DDの結果を踏まえて条件を最終調整し、最終契約書(DA)を締結します。表明保証、補償条項、競業避止義務などの詳細を詰めます。
ステップ8: クロージング
対価(売却代金)の受け渡し、株式の移転、登記変更などを行います。この時点で経営権が正式に移転します。
ステップ9: 経営統合(PMI)
クロージング後、買い手企業との経営統合を進めます。売り手の経営者が一定期間(通常1〜3年)残留して引き継ぎをサポートするケースが一般的です。
出典: M&Aキャピタルパートナーズ、M&A総合研究所
事業承継税制と補助金【2026年最新】
事業承継を進めるうえで、税制上の優遇措置と補助金制度を把握しておくことは重要です。2026年4月時点の最新情報を整理します。
事業承継税制の特例措置
事業承継税制とは、後継者が先代経営者から株式等を相続・贈与により取得した場合に、相続税・贈与税の納税が猶予・免除される制度です。
2026年4月時点の期限(重要):
項目 | 期限 |
|---|---|
特例承継計画の提出期限 | 2027年9月30日まで(消印有効) |
法人版:贈与・相続の実行期限 | 2027年12月31日まで |
個人版:贈与・相続の実行期限 | 2028年12月31日まで |
出典: 大和総研、税理士法人山田&パートナーズ
特に重要な点: 令和6年度税制改正大綱では「特例措置の適用期限をこれ以上延長しない」方針が示されています。現時点では、今後の再延長は見込まれていません。親族内承継を検討している場合は、特例承継計画の提出期限(2027年9月30日)に間に合うよう早めに準備を進めることが重要です。
※ 2025年度税制改正では後継者の役員要件が緩和されています(従来「贈与日まで3年以上役員」→「贈与直前に役員であればOK」に変更)。
※ 税制の適用要件は複雑で個別事情に大きく依存します。実際の活用にあたっては、必ず税理士など専門家にご相談ください。
事業承継・M&A補助金(旧: 事業承継・引継ぎ補助金)
令和6年度から「事業承継・M&A補助金」に名称変更されたこの制度は、事業承継やM&Aに伴う費用の一部を国が補助するものです。
4つの申請枠:
枠 | 補助上限 | 対象 |
|---|---|---|
事業承継促進枠 | 800万円(賃上げ加算で1,000万円) | 事業承継後の設備投資・販路開拓等 |
専門家活用枠 | — | M&A仲介手数料・DD費用等 |
PMI推進枠 | — | 経営統合にかかる費用 |
廃業・再チャレンジ枠 | — | 廃業に伴う費用 |
直近の公募状況: 14次公募(2026年2月27日〜4月3日)が実施済みです。15次公募のスケジュールは2026年4月15日時点で未発表のため、最新情報は事業承継・M&A補助金公式サイトをご確認ください。
出典: 中小企業庁
関連記事: 事業承継税制の詳細解説 | 事業承継・M&A補助金の活用方法 | 事業承継の税金・節税対策
事業承継の注意点・よくある失敗パターン
事業承継は長期にわたるプロセスであり、準備不足や判断ミスが取り返しのつかない問題につながることがあります。以下、特に多い失敗パターンを整理します。
1. 準備の着手が遅すぎる
中小企業庁の事業承継ガイドラインでは、60歳頃には準備を始めることが推奨されています。後継者の育成には5〜10年かかるため、70歳を超えてから検討を始めると選択肢が狭まります(出典: 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」)。
2. 後継者との意思確認をしていない
「息子が継いでくれるだろう」と思い込み、本人の意思を確認していないケースは非常に多い問題です。後継者候補には早い段階で意向を確認し、合意のうえで育成計画を立てましょう。
3. 株式の分散を放置している
過去の相続や贈与で株式が親族間で分散していると、経営権の移譲がスムーズに進みません。事業承継に着手する前に、株式の集約を進めておく必要があります。
4. 企業価値の磨き上げをしていない
M&Aの場合、売却前に企業価値を高める「磨き上げ」を行うことで、売却条件が大きく変わります。不要な資産の整理、収益性の改善、業務の属人化解消などを計画的に進めましょう。
5. 情報が漏洩する
M&Aの検討段階で従業員や取引先に情報が漏れると、不安から離職や取引解消が起きるリスクがあります。相談先の選定と情報管理は慎重に行う必要があります。
6. 専門家に相談しないまま進める
事業承継には法務・税務・財務の複合的な知識が必要です。顧問税理士だけでなく、事業承継の専門家やM&A仲介会社、事業承継・引継ぎ支援センター(全国47都道府県に設置、相談無料)の活用を検討しましょう。
日本の後継者不在の現状【2025年最新データ】
事業承継が注目される背景には、深刻な後継者不在問題があります。
帝国データバンクの2025年調査によると、全国の後継者不在率は50.1%です。2017年のピーク時(66.5%)から7年連続で改善していますが、依然として企業の半数が後継者不在の状態にあります。
指標 | 数値 |
|---|---|
全国の後継者不在率 | 50.1%(前年52.1%から2.0ポイント低下) |
中小企業の不在率 | 51.2% |
小規模企業の不在率 | 57.3% |
大企業の不在率 | 24.9% |
経営者が70歳以上の企業数 | 約245万社 |
うち後継者不在で廃業リスクがある企業 | 約127万社 |
出典: 帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」
業種別では建設業(57.3%)が最も不在率が高く、製造業(42.4%)が最も低い結果となっています。都道府県別では三重県(33.9%)が最低、秋田県(73.7%)が最高です。
後継者候補の属性も変化しています。2025年には「非同族」が41.0%と初めて40%を超え、4年連続でトップとなりました。親族以外への承継が定着してきていることがわかります。
関連記事: 後継者不在の解決策を詳しく知りたい方はこちら
よくある質問(FAQ)
Q. 事業承継とM&Aの一番大きな違いは何ですか?
事業承継は「会社の経営を後継者に引き継ぐプロセス全般」を指す広い概念で、M&Aはそのうち「第三者への売却・統合」に限定された手段です。親族内承継も従業員承継も事業承継に含まれますが、M&Aには含まれません。
Q. 事業承継にはどのくらいの期間がかかりますか?
親族内承継の場合は後継者育成を含めて5〜10年、M&Aの場合は相手探しから成約まで6ヶ月〜1年程度が一般的です。いずれの方法でも、準備は早いに越したことはありません。
Q. M&Aで会社を売ったら従業員はどうなりますか?
株式譲渡の場合、従業員の雇用契約はそのまま引き継がれるのが原則です。多くのM&A契約では、売り手側が「従業員の雇用維持」を交渉条件として盛り込みます。ただし、経営統合後に組織再編が行われる可能性はゼロではありません。
Q. 後継者がいない場合、まず何をすべきですか?
まずは各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センター(相談無料)に相談するのが第一歩です。自社の状況を整理したうえで、M&A仲介会社への相談やM&Aマッチングサービスの活用を検討しましょう。
Q. 事業承継税制の特例措置はいつまで使えますか?
2026年4月時点では、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、法人版の贈与・相続の実行期限は2027年12月31日です。令和6年度税制改正大綱では「今後の延長はしない」方針が示されており、再延長は見込まれていません。活用を検討している場合は早めに専門家へ相談してください。
Q. 個人事業主でも事業承継はできますか?
個人事業主の事業承継も可能です。ただし、法人とは異なりプロセスや適用される税制が異なります。個人版事業承継税制の適用期限は2028年12月31日までです。詳しくは税理士にご相談ください。
まとめ
事業承継は、会社の経営権・資産・知的資産を後継者に引き継ぐプロセス全体を指します。M&Aは事業承継の手段の1つであり、両者は同じものではありません。
3つの方法を改めて整理すると、以下のとおりです。
- 親族内承継 — 子どもや親族に引き継ぐ。準備に5〜10年かかるが、事業承継税制を活用できる
- 従業員承継 — 社内の役員・幹部に託す。経営の連続性を保ちやすいが、株式取得資金が課題
- M&A(第三者承継) — 社外の企業・個人に売却。後継者不在でも事業存続でき、売却益も得られる
事業承継税制の特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、法人版の実行期限は2027年12月31日です。再延長は見込まれていないため、親族内承継を検討している方は早めの対応が必要です。
どの方法が最適かは、後継者候補の有無、準備に使える時間、会社の財務状況によって異なります。まずは事業承継・引継ぎ支援センター(相談無料)やM&A仲介会社の無料相談を活用して、自社に合った方向性を確認することをおすすめします。
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