化粧品・健康食品製造業の売却では、「業界特有の許認可・薬機法・OEM顧客・ブランド価値を正しく評価できる仲介会社」を選べるかどうかで結果が大きく変わります。財務だけを見る一般的な仲介では、化粧品製造販売業の許可承継リスクや処方ノウハウの価値を見落とすことがあるためです。
この記事では、化粧品・医薬部外品・健康食品・サプリメントの製造業(自社製造・OEM/ODM受託・D2Cブランドを含む)の売却を検討している中小企業オーナー向けに、対応実績のあるM&A仲介会社を手数料・対象規模・業界特化度・サポート形態で比較し、事業タイプ別のおすすめと選び方を整理します。
⚠️ 本記事は一般的な情報整理であり、特定会社の推奨や個別助言ではありません。手数料・実績は各社公式の最新情報(確認日2026年7月20日)に基づきますが改定される場合があります。許認可・薬機法・税務の実際の判断は、行政書士・薬事コンサル・税理士・弁護士など専門家にご相談ください。
この記事でわかること
- 化粧品・健康食品製造業のM&Aで仲介会社選びが特に重要な理由(許認可・薬機法・ブランド評価)
- 対応実績のある主要仲介会社の手数料・対象規模・特徴の比較表
- OEM/ODM・自社ブランド・健康食品通販・小規模、それぞれに向いている相談先
- 失敗しないための選び方チェックリスト
結論:化粧品・健康食品製造業のM&A仲介会社おすすめと選び分け
先に結論をまとめます。事業の規模とタイプによって、向いている相談先が変わります。
こんな会社 | 向いている相談先の方向性 |
|---|---|
中堅規模・全国の買い手を広く探したい | 日本M&Aセンター、M&A総合研究所などの大手仲介 |
化粧品OEM/ODMで技術・処方を正しく評価してほしい | OEM特化のブティック系(Syntax Partners等)+大手の併用 |
健康食品・サプリ通販/D2Cブランド | レバレジーズM&Aアドバイザリー、M&A総合研究所、fundbook |
譲渡価額が数千万円規模で費用を抑えたい | バトンズ等のマッチングプラットフォーム |
押さえるべき3つのポイント
- 許認可は自動承継されない — 化粧品製造販売業・製造業の許可は原則そのまま新会社へ引き継げません。株式譲渡か事業譲渡かで承継可否が変わるため、スキームに詳しい仲介を選ぶ。
- 薬事DDの対応力 — 財務DDだけでなく、薬機法・景表法・機能性表示に関する薬事デューデリジェンス(DD)の力量が成否を左右する。
- 手数料は「計算ベース」で総額が変わる — 同じレーマン方式でも「譲渡価格ベース」か「移動総資産ベース」かで報酬総額が大きく変わる。最低報酬額と合わせて必ず確認する。
まず全体像を知りたい方は「M&A仲介会社 おすすめ比較(best-ma-companies)」、費用の仕組みは「M&A費用・手数料相場(ma-fee-guide)」も参照してください。
なぜ化粧品・健康食品製造業のM&Aは仲介会社選びが重要なのか
この業界のM&Aは、一般的な製造業と異なり許認可・薬事規制・無形資産(ブランド・処方)の扱いという3つの固有論点があります。ここを理解している仲介でないと、条件交渉やDDで不利になりやすいのが実情です。
許認可が自動承継されない(最重要)
化粧品の「製造販売業許可」「製造業許可」は、会社の商号変更とは異なり、原則として新しい会社へ自動的には引き継がれません。M&Aの手法によって扱いが変わります。
- 株式譲渡:会社そのものが存続するため、許可は会社に残る。許認可を維持しやすい。
- 事業譲渡・会社分割:買い手側で新規に許可取得が必要になる場合があり、業種によっては審査に1〜6か月かかる。その間は事業を実施できず、売上機会の損失につながることがある。
このため、化粧品・健康食品製造業では株式譲渡スキームが選ばれやすい傾向があります。スキーム選択を許認可の観点から助言できるかは、仲介会社の重要な力量です。(出典: 日本財務戦略センター、確認日2026-07-20)
三役・有資格者と薬事DD
化粧品製造販売業では、総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者の三役配置が求められます(化粧品では一人が兼任できるケースあり)。承継時には人的要件・物的要件(設備・GMP等)の再確認が必要です。
加えて、薬機法・景品表示法・機能性表示食品/特保の表示規制に関する薬事DDの重要度が高く、ここを見落とすと成約後にトラブルが表面化します。(出典: 各都道府県薬務課、おおぐし行政書士事務所、確認日2026-07-20)
許認可・三役・薬事の判断は、必ず行政書士・薬事コンサルタント等の専門家に確認してください。
ブランド・処方・OEM顧客という無形資産の評価
D2Cブランドやサプリ通販では、ブランド価値・定期顧客(LTV)・処方ノウハウ・OEM取引先との関係が企業価値の大部分を占めます。これらを財務諸表だけで測るのは難しく、業界の相場観を持つ仲介かどうかで提示価格が変わります。近年は「買収前提で設計されるD2Cブランド」や、マイクロバイオーム・皮膚科学・AI処方などの技術資産型ブランドの買収も増えています。(出典: 株式会社WTC、M&A総合研究所、確認日2026-07-20)
化粧品・健康食品製造業に対応するM&A仲介会社 比較表
化粧品・健康食品業界のM&A事例・動向を公開し、同領域に対応している主要な相談先を整理します。手数料は売り手(譲渡側)目線での確認結果です。
仲介会社 | 形態 | 対象規模の目安 | 着手金/中間金 | 成功報酬 | 最低報酬(売り手) | 業界での特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
M&A総合研究所 | 仲介 | 中小〜中堅 | 無料/無料※ | 完全成功報酬 | 要問い合わせ | AIマッチング。IT・D2C・通販系と親和性。化粧品/健康食品の事例記事を継続公開 |
日本M&Aセンター | 仲介 | 中小〜中堅 | あり/一部あり | あり | 基本2,000万円 | 業界特化部隊・食品専門チーム。累計成約1万件超で実績豊富 |
レバレジーズM&Aアドバイザリー | 仲介 | 中小 | 無料/無料 | 完全成功報酬 | 2,500万円+税 | 健康食品・サプリ業界の動向/事例を公開。約3万の業界データ活用 |
fundbook | 仲介+PF | 中小〜中堅 | 無料/基本合意時 | 成約時 | 要問い合わせ | 化粧品業界のM&A事例を多数公開。プラットフォーム併用型 |
みつきコンサルティング | 仲介 | 小〜中小 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 20年・500件超の支援を掲げる。化粧品事例記事あり |
Syntax Partners | FA/ブティック | 中小 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 化粧品OEM特化。バリュエーション〜PMIまで伴走 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 仲介 | 中小〜中堅 | 着手金無料 | あり | 要問い合わせ | 化粧品OEM製造業の成約実績を公開 |
バトンズ | マッチングPF | 小規模〜 | 低コスト | 成約手数料 | 比較的低額 | 化粧品・コスメ、サプリ・健康食品の売却案件が常時多数 |
※M&A総合研究所は売り手完全成功報酬。買い手側は中間金が発生する場合あり。
(各社公式サイトの料金・サービスページに基づく。確認日2026-07-20。手数料・条件は改定されるため、必ず各社公式の最新料金ページで確認してください。)
レーマン方式の「計算ベース」に注意
多くの仲介は成功報酬にレーマン方式を採用します。一般的な料率の目安は以下です。
- 5億円以下の部分:5%
- 5億円超〜10億円:4%
- 10億円超〜50億円:3%
- 50億円超〜100億円:2%
- 100億円超:1%
ただし、この料率を「譲渡価格」に掛けるか、「移動総資産(負債込み)」に掛けるかで総額が大きく変わります。負債の多い会社ほど総資産ベースは高くなりがちです。レバレジーズ・fundbookは譲渡価格ベースを明示しています。最低報酬額と併せて、必ず契約前に計算方法を確認してください。(出典: 各社公式、確認日2026-07-20)
事業タイプ別のおすすめ相談先
同じ「化粧品・健康食品製造業」でも、事業モデルによって評価してほしいポイントが違います。タイプ別に整理します。
①化粧品OEM/ODM受託製造
技術・設備・処方・GMP・取引先(ブランド)ポートフォリオが企業価値の核です。製造技術と顧客基盤を正しく評価できる相談先が向いています。
- OEM特化で伴走できる Syntax Partners のようなブティック系
- 化粧品OEM製造業の成約実績を公開する M&Aキャピタルパートナーズ
- 広く買い手を探すなら 日本M&Aセンター(業界特化部隊)や M&A総合研究所 を併用
②自社ブランド・D2C(コスメ)
ブランド価値・定期顧客・SNS/EC資産の評価が重要です。マーケティング・通販領域に強い相談先が向いています。
- IT・D2C・通販と親和性が高い M&A総合研究所
- 事例公開が豊富な fundbook
- ブランド視点の買い手候補にアクセスしたい場合は大手仲介も併用
③健康食品・サプリメント通販
機能性表示・景表法など表示規制の理解と、通販事業の顧客資産評価が鍵になります。
- 健康食品・サプリ業界の動向/事例を公開する レバレジーズM&Aアドバイザリー
- 事例記事が豊富な M&A総合研究所
④小規模(譲渡価額 数千万円規模)・費用を抑えたい
大手仲介は最低報酬額が高め(例:2,000万〜2,500万円)で、小規模案件では割高になりやすいです。低コストで進めたい場合はマッチングプラットフォーム型が現実的です。
- 化粧品・コスメ、サプリ・健康食品の売却案件が常時多数の バトンズ
- ただし自分で交渉を進める場面が増えるため、専門家サポートの範囲を要確認
小規模M&Aの進め方は「M&A 小規模・中小企業向けガイド(ma-sme-guide)」も参考にしてください。
化粧品・健康食品製造業のM&A仲介会社の選び方
仲介会社は、以下の基準で比較すると失敗が減ります。上から重要度の高い順です。
- 許認可・スキームに詳しいか — 株式譲渡が有利になる理由を説明できるか、事業譲渡時の許可再取得リスクを助言できるか。
- 薬事DDに対応できるか — 薬機法・景表法・機能性表示の観点でDDを設計できるか。
- 業界の相場観・買い手ネットワークを持つか — 化粧品/健康食品の成約事例や買い手候補を持っているか。
- 手数料の総額が明確か — レーマン方式の計算ベース、着手金・中間金・最低報酬額、DD費用の扱いを明示できるか。
- 登録M&A支援機関か — 中小企業庁の登録支援機関に登録しているかは、客観的な信頼指標のひとつ(各社の登録状況は公式・登録DBで確認を)。
- サポート形態が事業規模に合うか — フルサポートの仲介/FAか、低コストのプラットフォームか。
M&Aの手数料の仕組みは「M&A費用・手数料相場(ma-fee-guide)」、株式譲渡と事業譲渡の違いは「株式譲渡 vs 事業譲渡 比較(stock-vs-business-transfer)」で詳しく解説しています。
こんな会社は「大手仲介」がおすすめ
- 譲渡価額が数億円以上で、全国の買い手候補を広く探したい
- 生産設備・複数拠点を持ち、買い手とのマッチング量を重視したい
- PMI(統合)まで一定の体制で支援してほしい
こんな会社は「業界特化ブティック/FA」がおすすめ
- 化粧品OEMなど、技術・処方・GMPを深く理解した評価をしてほしい
- 少数精鋭で、経営者と密に伴走してほしい
- バリュエーションからクロージング後まで一貫した設計を求める
こんな会社は「プラットフォーム型」がおすすめ
- 譲渡価額が数千万円規模で、大手の最低報酬では割高になる
- コストを抑え、自ら買い手とやり取りを進める余力がある
逆に、安易に選ばない方がよいケース
- 手数料の計算ベースや最低報酬額を明示しない仲介
- 許認可・薬事の論点に触れず「早く決めましょう」と成約を急がせる相談先
- 業界の事例・買い手ネットワークが説明できない相談先
M&A売却の一般的な流れ
化粧品・健康食品製造業でも、売却の大枠は他業種と共通です。
- 相談・仲介会社の選定 — 複数社に相談し、方針・費用・スキームを比較
- 企業価値評価(バリュエーション) — ブランド・処方・OEM顧客も含めて評価
- 買い手の探索・マッチング — ノンネームでの打診
- トップ面談・基本合意 — 条件のすり合わせ
- デューデリジェンス(DD) — 財務・法務に加え薬事DDが重要
- 最終契約・クロージング — 株式譲渡なら許認可を維持しやすい
詳しい手順は「M&A売却の流れ(ma-sell-process)」、DDの事前準備は「M&A DD 売り手チェックリスト(ma-dd-checklist-seller)」を参照してください。
化粧品・健康食品業界のM&A最新動向(2026年)
業界再編は加速しています。仲介選びの背景として押さえておくと役立ちます。
- 2024年6月:日本コルマーホールディングスによるトキワ・コスメティクス・グループ買収 → 化粧品OEM業界の再編が加速。
- 技術資産型ブランドの買収増:マイクロバイオーム・皮膚科学・AI処方・パーソナライズなど、技術やデータを持つD2Cブランドの買収が今後も見込まれる。
- 市場規模:化粧品市場は約2.4〜2.45兆円で推移予測、化粧品OEM市場は約2.6兆円規模との言及。
こうした再編トレンドは、買い手が「技術・ブランド・生産能力」を求めている状況を示します。自社の強みを言語化して評価につなげられる仲介を選ぶことが、より良い条件につながります。(出典: 株式会社WTC、M&A総合研究所、確認日2026-07-20)
よくある質問(FAQ)
Q. 化粧品製造業は株式譲渡と事業譲渡どちらが有利ですか?
一般的には、許認可を維持しやすい株式譲渡が選ばれやすい傾向です。事業譲渡では買い手が製造販売業・製造業の許可を新規取得する必要が生じる場合があり、審査期間中は事業を実施できないリスクがあります。ただし最適なスキームは負債・税務・株主構成によって変わるため、税理士・行政書士等の専門家に相談して判断してください。
Q. 仲介会社の手数料はどのくらいかかりますか?
多くの会社がレーマン方式を採用し、譲渡価額に応じて料率が決まります。大手仲介は最低報酬額(例:2,000万〜2,500万円程度)が設定されていることが多く、小規模案件では割高になりがちです。着手金・中間金・成功報酬・DD費用の有無、計算ベース(譲渡価格か総資産か)を必ず確認してください。金額は改定されるため、各社公式の最新料金ページで確認するのが確実です。
Q. 小規模でも売却できますか?
可能です。譲渡価額が数千万円規模であれば、大手仲介よりバトンズ等のマッチングプラットフォームの方がコスト面で現実的なケースが多いです。ただし交渉や資料準備を自ら進める場面が増えるため、サポート範囲を確認しましょう。
Q. 薬機法や許認可に詳しい仲介を見分けるには?
初回相談で「株式譲渡と事業譲渡で許可の扱いがどう変わるか」「薬事DDをどう設計するか」を質問してみてください。具体的に説明できる相談先は、業界理解が深い可能性が高いです。最終的な法的判断は薬事コンサル・行政書士に確認してください。
Q. 複数の仲介会社に相談してもよいですか?
初期相談の段階では複数社に相談し、方針・費用・買い手ネットワークを比較することをおすすめします。ただし専任(独占)契約を結ぶと他社との並行が制限されるため、契約形態は事前に確認してください。契約の種類は「M&A 専任契約 vs 非専任契約(ma-exclusive-vs-nonexclusive)」で解説しています。
まとめ:業界を理解した仲介を選ぶことが、良い条件への近道
化粧品・健康食品製造業のM&Aは、許認可・薬機法・無形資産という業界固有の論点があり、これらを理解した仲介会社を選べるかどうかが結果を左右します。
- 全国の買い手を広く探すなら大手仲介(日本M&Aセンター、M&A総合研究所)
- 化粧品OEMの技術評価なら業界特化ブティック/FA(Syntax Partners、M&Aキャピタルパートナーズ)
- 健康食品・サプリ通販/D2Cなら通販・マーケに強い相談先(レバレジーズ、fundbook、M&A総合研究所)
- 小規模・低コストならプラットフォーム型(バトンズ)
まずは複数社に相談し、手数料の総額と業界理解を比較しましょう。あわせて、許認可・薬機法・税務の実際の判断は、行政書士・薬事コンサルタント・税理士・弁護士など専門家に必ず確認してください。
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