製造業のM&A仲介会社を選ぶなら、「製造業特化のチームがあるか」「成功報酬の基準が株式価値ベースか移動総資産ベースか」「最低手数料はいくらか」の3点で比較するのが結論です。同じ「成功報酬5%」でも基準価格の違いで支払総額が数倍変わるため、年商規模と業種に合った会社を2〜3社で相見積もりするのが失敗しない近道になります。
この記事では、製造業オーナーが売却を検討する際に候補となる主要8社を、公式情報をもとに手数料・実績・業種特化度で並べ、年商規模別・サブセグメント別の推奨を整理しました。
この記事でわかること
- 製造業に強いM&A仲介会社8社の違い(手数料体系・成約実績・拠点)
- 年商1億円未満/数億円/10億円超で推奨される仲介会社の使い分け
- 金属加工・機械・電子部品・食品など、製造業のサブセグメント別の得意な仲介会社
- 製造業特有の論点(個人保証、工場用地、職人の引継ぎ、得意先依存)
- 仲介会社を選ぶ際に必ず確認すべき5つのチェックポイント
こんな方に向いています
- 後継者不在で製造業の会社売却を検討しているオーナー社長
- 設備投資・GX対応のために大手グループ入りを考えている経営者
- 仲介会社を初めて検討するため、何から比較すべきかわからない方
- すでに1社から提案を受けているが、相見積もりの軸が知りたい方
製造業のM&A市場の現状(2026年時点)

製造業はM&A仲介会社にとって最重要セクターのひとつで、後継者不在型の事業承継M&Aと、大手による技術・人材獲得型M&Aの両方が活発に動いています。まず市場の現状を押さえると、仲介会社選びの判断軸が明確になります。
- 第三者承継M&Aの成約件数: 2024年度に 2,132件 で過去最高(出典: 中小企業庁・事業承継引継ぎ支援センター、令和7年公表)
- 後継者不在率: 2023年時点で中小企業全体 約54%。製造業は基幹産業のため事業承継型M&Aの需要が大きい(出典: 帝国データバンク後継者不在率調査)
- 製造業M&Aの主な目的(売り手側): 後継者不在による承継、設備投資資金の確保、大手グループ入りによる安定化、オーナー個人保証の解除
- 買い手側の目的: 技術・職人の獲得、顧客網の拡大、生産能力の拡張
特に金属加工・機械部品・食品加工セクターでは、技術と顧客基盤を狙った買い手が多く、年商数千万〜数十億円規模の会社でも複数社からの引き合いが入りやすい状況です。
売却の流れ全体はM&A 売却の流れ・期間ガイド、相場感はM&A費用・手数料相場ガイドで詳しく解説しています。
製造業のM&A仲介会社おすすめ8社【一覧比較表】
主要8社を、製造業特化の度合い・手数料体系・成約実績で比較しました(確認日: 2026-04-28)。
仲介会社 | 製造業特化度 | 着手金 | 中間金 | 成功報酬の基準 | 主な対象規模(年商) | 上場 |
|---|---|---|---|---|---|---|
M&Aベストパートナーズ | ★★★ | 無料 | 250万円または成功報酬の10% | 株式価値ベース | 3億〜数十億円 | 非上場 |
日本M&Aセンター | ★★ | 有り | 有り | 移動総資産ベース | 中堅・中小全般 | 東証プライム |
M&Aキャピタルパートナーズ | ★★ | 無料 | 有り | 譲渡対価ベース | 年商10〜100億円中心 | 東証プライム |
ストライク | ★★ | 有り | 有り | 移動総資産ベース | 年商1〜100億円 | 東証プライム |
M&A総合研究所 | ★ | 無料 | 無料 | 譲渡対価ベース | 中小〜中堅 | 東証グロース |
名南M&A | ★★(東海特化) | 有り | 有り | レーマン方式 | 中堅・中小(東海中心) | 名証ネクスト |
fundbook | ★★ | 無料 | 有り(要確認) | レーマン方式 | 中小〜中堅 | 非上場(チェンジHD傘下) |
CINC Capital | ★ | 無料 | 有り | レーマン方式 | 中小〜中堅 | 親会社東証グロース |
※ 各社の正確な手数料は案件規模・契約条件により変動します。最終的な金額は必ず複数社の正式見積もりで確認してください。
各社の特徴と向いている企業
1. M&Aベストパートナーズ|製造業特化の代表格

一文でいうと: 製造・建設・不動産・ヘルスケア・物流・ITの6業種に特化した、製造業オーナーが最初に相談すべき業種特化型仲介会社。
- 設立: 2018年/社員約150名/全国9拠点(札幌・仙台・金沢・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄)
- 譲受候補ネットワーク 約15,000社超
- 成功報酬は 株式価値ベース(負債を含めない算定)。同じ売却額でも移動総資産ベースより支払額が小さくなる傾向
- 最低手数料は1,000万円水準。大手より低い水準を訴求
- 製造業出身のアドバイザーが多く、設備・技術評価の理解が深い
こんな企業におすすめ
- 年商3億〜数十億円の中堅製造業
- 金属加工・機械・部品メーカーで、有利子負債が大きく移動総資産ベースだと手数料が膨らむ会社
- 全国の譲受候補から幅広く探したい売り手
おすすめしない企業
- 年商1億円未満の小規模事業者(最低手数料の負担が相対的に重くなる)
2. 日本M&Aセンター|業界最大手・地銀提携網が圧倒的

一文でいうと: 累計成約 10,000件超・製造業関連 約600件 の業界最大手で、地銀・信金との提携網を通じた買い手探索力が最大の強み。
- 1991年設立、東証プライム上場(日本M&AセンターHD)
- ギネス世界記録™「M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務最多取扱い」5年連続認定
- 製造業界専門グループを設置。「製造業界M&A DATABOOK 2024」 など業界レポートを継続発信
- 成功報酬は 移動総資産ベース のレーマン方式が中心
- 着手金・中間金が必要な代わりに、地銀・信金経由の譲受候補発掘力が他社より強い
こんな企業におすすめ
- 中堅・中小の幅広い規模の製造業
- 地方の地銀・信金と取引が深く、地元金融機関経由のM&Aを希望する企業
- 業界レポート・データベースの厚みを重視する経営者
おすすめしない企業
- 移動総資産ベースの手数料計算で支払額が膨らむ、有利子負債の多い会社(株式価値ベースの仲介会社のほうが安くなる可能性)
- 着手金を払いたくない売り手
3. M&Aキャピタルパートナーズ|中堅製造業×着手金無料

一文でいうと: 着手金無料かつ成功報酬が 譲渡対価ベース で計算される、中堅製造業の売り手にとって透明性の高い大手仲介会社。
- 2005年創業、東証プライム上場
- LSEG「日本M&Aレビュー2025年 フィナンシャル・アドバイザー」国内3部門で1位獲得(公式IR)
- 業種特化チームに製造・医療等を含む
- 成功報酬の基準が 譲渡対価ベース(売り手が受け取る金額がベース)で、移動総資産ベースよりオーナーが負担を理解しやすい
- 1人のアドバイザーが完結まで担当する専任体制
こんな企業におすすめ
- 年商10〜100億円の中堅製造業
- 着手金無料で複数社相見積もりを取りたいオーナー
- 大手のブランド力と上場企業としての透明性を重視する企業
おすすめしない企業
- 年商1〜2億円規模の小規模事業者(中堅向けの体制のため小規模案件は採算が合わない場合あり)
4. ストライク|「SMART」で匿名買い手探索
一文でいうと: 1998年に国内初のインターネットM&A市場「SMART」を立ち上げ、匿名で買い手を探せる老舗仲介会社。
- 1997年設立、東証プライム上場
- M&A市場「SMART」の登録者数 1,000件以上
- 成功報酬は移動総資産ベースのレーマン方式
- 中央経済社『旬刊経理情報』連載など業界での実績が長い
こんな企業におすすめ
- 売却検討段階で社名を伏せたまま買い手の反応を見たい売り手
- 年商1〜100億円の幅広い製造業
- 老舗のブランド力と上場企業の透明性を重視する経営者
おすすめしない企業
- 着手金を払いたくない、完全成功報酬制を希望する売り手
5. M&A総合研究所|完全成功報酬・短期成約
一文でいうと: 着手金・月額・中間金すべて無料、AIマッチングによる短期成約を訴求する完全成功報酬型仲介会社。
- 2018年設立、東証グロース上場
- 成功報酬は 譲渡対価ベース のレーマン方式(5億円以下5%)
- 平均成約期間6ヶ月台(公式PR)
- AIマッチングによる候補スクリーニングが特徴
こんな企業におすすめ
- 着手金・中間金を一切払いたくない売り手
- 短期間で売却を完了させたい経営者
- 製造業に限らず幅広い業種から候補を探したい企業
おすすめしない企業
- 製造業に深い知見を持つアドバイザーを希望する売り手(業種特化度は他社より低め)
- 設備・技術評価で精緻なDDサポートを重視する案件
6. 名南M&A|東海エリア・自動車関連製造業に強い
一文でいうと: 名古屋本社で、自動車関連部品メーカー・東海エリアの製造業の事業承継支援に特化した地域密着型仲介会社。
- 2014年10月設立、名証ネクスト上場
- 年間成約 約40件(東海エリアトップクラス)
- 名南コンサルティングネットワーク(税理士法人・社労士法人等)と連携した総合支援
- 日刊工業新聞での連載など、製造業界での発信実績が豊富
こんな企業におすすめ
- 愛知・岐阜・三重・静岡の自動車関連/機械部品メーカー
- 地元金融機関と取引が深く、東海地域の買い手を希望する企業
- 税務・労務含めた総合的な事業承継支援を求めるオーナー
おすすめしない企業
- 関東・関西・地方を含む全国的な買い手探索を最優先したい売り手(東海エリアの強みが活かしにくい)
7. fundbook|業界別チーム×データベース10万社規模
一文でいうと: 全国10万社規模のデータベースと業界別専門チームを持つ、新興系の中堅仲介会社。
- 2017年設立、2024年12月にチェンジホールディングスが買収完了
- アドバイザー100名超
- 業界別専門チームに製造業を含む
- 手数料体系はチェンジHD買収後の体系変更有無を要確認
こんな企業におすすめ
- 全国規模で買い手候補を比較したい中小〜中堅製造業
- ITプラットフォームの利便性とアドバイザーのハイブリッド支援を求める企業
おすすめしない企業
- 親会社の経営方針変更による体制変動を懸念する売り手(直近で親会社変更があったため)
公式: https://fundbook.co.jp/column/industries-ma/manufacturing-industry/
8. CINC Capital|業界別ノウハウ発信に強い新興プレイヤー
一文でいうと: 産業用機械など業界別コラムを多数発信する、新興系の中堅仲介会社。
- 親会社CINCは東証グロース上場
- 業界別の動向解説・ノウハウ発信が豊富
- 製造業の具体的成約数の公開は乏しいため、実績は問い合わせベースでの確認が必須
こんな企業におすすめ
- 業界動向を整理したコラムを参考に検討を進めたい経営者
- 大手以外の選択肢も比較したい売り手
おすすめしない企業
- 累計成約件数の多さを最優先する売り手
年商規模別|推奨される仲介会社の使い分け
製造業オーナーが最初に押さえるべきは「年商規模で得意な仲介会社が違う」点です。下表は売り手の年商レンジ別の推奨パターンです。
年商レンジ | 第一候補 | 第二候補 | 補足 |
|---|---|---|---|
〜1億円 | M&A総合研究所 | 事業承継・引継ぎ支援センター(公的) | 完全成功報酬の会社 or 公的支援センターを優先 |
1〜3億円 | M&A総合研究所、ストライク | 名南M&A(東海)、fundbook | 中規模に強い会社で複数比較 |
3〜10億円 | M&Aベストパートナーズ、ストライク | 日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ | 業種特化型と大手で比較 |
10〜30億円 | M&Aキャピタルパートナーズ、M&Aベストパートナーズ | 日本M&Aセンター | 中堅向けの体制を持つ会社 |
30億円超 | 日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ | FA系(野村・SMBC日興等のIB部門) | FA/仲介の使い分けも検討 |
小規模事業者の場合、まず公的機関の事業承継・引継ぎ支援センターで無料相談を受け、必要に応じて民間仲介を併用するのが費用対効果の高い進め方です。
製造業のサブセグメント別|得意な仲介会社マッピング
製造業と一括りにしても、金属加工と食品加工では買い手の顔ぶれも、評価軸(設備の汎用性、許認可、HACCP対応など)も大きく異なります。サブセグメント別の得意な仲介会社の傾向は以下のとおりです。
サブセグメント | 得意な仲介会社(傾向) | 評価で重視されるポイント |
|---|---|---|
金属加工・プレス・板金 | M&Aベストパートナーズ、名南M&A、日本M&Aセンター | 設備の汎用性、職人技術、得意先依存度 |
機械・装置メーカー | M&Aキャピタルパートナーズ、M&Aベストパートナーズ | 知財・特許、設計図面、保守契約 |
自動車部品 | 名南M&A、日本M&Aセンター | Tier構造、品質認証(IATF16949)、原価低減能力 |
電子部品・基板 | M&Aキャピタルパートナーズ、fundbook | クリーンルーム、設備更新計画、顧客集中度 |
食品加工 | 日本M&Aセンター、M&Aベストパートナーズ | HACCP・FSSC22000、衛生管理、原料調達網 |
化学・樹脂 | M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンター | 環境規制対応、土壌調査、配合ノウハウ |
印刷・紙器 | M&A総合研究所、fundbook | 設備老朽化、デジタル化対応、得意先依存 |
サブセグメントを問わず、「業種専門チームの有無」と「過去の同業種成約実績」を必ず確認することが重要です。
仲介会社を選ぶ5つのチェックポイント
1. 成功報酬の基準価格(株式価値/譲渡対価/移動総資産)
最重要ポイントは、レーマン方式の「何にパーセンテージを掛けるか」が会社により異なる点です。同じ「5%」でも基準価格次第で支払総額が数倍変わります。
例: 株式譲渡対価3億円・有利子負債2億円の製造業を売却する場合(5%レーマン段階で計算)
基準価格 | 計算式 | 成功報酬(概算) |
|---|---|---|
株式価値ベース | 3億円 × 5% | 約1,500万円 |
譲渡対価ベース | 3億円 × 5% | 約1,500万円 |
移動総資産ベース | (3億円 + 2億円) × 5% | 約2,500万円 |
上記はあくまで一段階のレーマン方式での概算で、最低手数料・複数段階の累積計算は反映していません。実際の支払額は各社の見積もりで確認してください。
製造業は設備投資の借入で有利子負債が大きい会社が多いため、移動総資産ベースだと手数料が大きく膨らみます。負債が大きい会社ほど 株式価値ベース/譲渡対価ベース の仲介会社を優先候補にすると有利です。
2. 業種特化チームの有無と過去実績
「製造業に強い」と書いてあっても、専門チームがあるかどうか・累計何件支援しているかで質は大きく異なります。日本M&Aセンターは「製造業界専門グループ」、M&Aベストパートナーズは「製造特化部門」など、専門チーム明示型を優先するのが安全です。
3. 最低手数料
成功報酬には最低手数料が設定されているのが一般的です。年商規模が小さい会社が大手中堅向け仲介会社に依頼すると、最低手数料の負担で実質的な手数料率が10%を大きく超えるケースがあります。
4. 専任契約・テール条項の条件
多くの仲介会社が 専任契約(独占)を採用しており、契約期間中は他社相談ができません。さらに テール条項(契約終了後一定期間内に成約した場合も手数料が発生する条項)の期間(6ヶ月〜2年)も会社により異なります。契約前に必ず確認すべき項目です。
詳細はM&A専任契約 vs 非専任契約 違い・選び方・M&Aテール条項とは 期間・注意点を参照してください。
5. 個人保証の解除支援の有無
製造業オーナーが最も気にするのが、設備投資の借入で背負った 個人保証・連帯保証 の解除です。仲介会社により買い手交渉でのフォロー体制に差があるため、初回面談で「個人保証の解除はどう交渉してくれますか」と必ず質問してください。
個人保証の解除フローは会社売却 個人保証・連帯保証 解除方法で詳しく解説しています。
製造業特有のDDで見られる7つのポイント
製造業のM&Aでは、買い手のデューデリジェンス(DD)で以下の論点が必ず検証されます。仲介会社を選ぶ際、これらをサポートできる体制かを確認してください。
- 設備・機械の評価: 簿価と時価の乖離、汎用性、減価償却済み設備の実勢価格
- 工場用地・不動産: 借地か所有か、地下汚染、用途地域、再開発リスク
- 棚卸資産: 適正水準か、不良在庫の有無、棚卸方法
- 得意先依存度: 上位3社で売上の50%超なら買い手は懸念
- 技術者・職人の引継ぎ: キーパーソンの年齢、後継育成、雇用維持
- 許認可・認証: ISO9001・IATF16949・HACCP・FSSC22000等の維持
- 環境規制対応: 廃棄物処理、騒音・振動、水質排出基準
DD準備の詳細はM&A DD 売り手の準備チェックリストを参照してください。
製造業M&Aの売却価格の目安
製造業のバリュエーションは、中小規模では EBITDAマルチプル法 が主流で、ボリュームゾーンは以下のレンジです。
- 中小製造業(年商3〜30億円): EBITDA × 3〜5倍 + 現預金 − 有利子負債
- 中堅製造業(年商30〜100億円): EBITDA × 4〜6倍 + 現預金 − 有利子負債
- 上場企業平均: EBITDA × 6〜8倍
ただし、技術独自性が高い会社・大手取引先への安定供給がある会社は上振れ、得意先依存度が高い会社・設備老朽化が進んだ会社は下振れする傾向があります。
売却価格の算定方法はM&Aバリュエーション手法比較で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 製造業特化の仲介会社と大手総合系、どちらが良いですか?
A. 一概に決められません。年商3〜10億円で有利子負債が大きい会社は、業種特化型(M&Aベストパートナーズ等)の 株式価値ベース の手数料体系が有利になりやすい一方、地銀・信金経由の買い手探索を期待するなら大手総合系(日本M&Aセンター等)が有利です。2〜3社で相見積もりして比較するのが基本 です。
Q2. 工場の不動産が借地ですが売却できますか?
A. 可能です。ただし借地契約の譲渡には地主の承諾が必要なため、買い手への引継ぎ条件としてDDで詳細に検証されます。借地条件・残存期間は早期に整理しておくと交渉がスムーズです。法的判断は弁護士への相談をおすすめします。
Q3. 売却すると従業員はどうなりますか?
A. 株式譲渡方式の場合、雇用契約はそのまま新会社に承継されるのが一般的で、給与・退職金等の労働条件も基本的に維持されます。事業譲渡方式では個別の同意が必要です。仲介会社との初回面談で「従業員の雇用維持を最優先する条件で買い手を探したい」と明示してください。
Q4. 個人保証は解除できますか?
A. 多くのM&Aで個人保証の解除は最終契約(SPA)の重要条件として交渉されます。経営者保証ガイドラインに基づき、買い手企業の信用力に置き換える形で解除されるのが一般的ですが、買い手の規模・財務体質により交渉難易度が変わります。仲介会社の交渉力が問われるポイントです。
Q5. 売却までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 製造業のM&Aは設備・技術・許認可のDDに時間がかかるため、初回相談から成約まで 平均8〜12ヶ月 が目安です。買い手選定からは6〜10ヶ月程度。M&A総合研究所など短期成約を訴求する仲介会社は平均6ヶ月台と公表していますが、案件の複雑さで変動します。
Q6. 仲介会社に断られた経験がありますが、別の会社を探せますか?
A. 可能です。年商規模が小さい・地域性が強い・特殊技術案件などで断られるケースはあります。サイズ感が合う仲介会社(M&A総合研究所、fundbook等)や、公的な事業承継・引継ぎ支援センターに相談するのが現実的です。
Q7. 着手金無料の会社のほうが本当に得ですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。着手金無料でも成功報酬の基準価格(移動総資産ベース等)次第で総額が高くなることがあります。「総支払額」のシミュレーションで比較 するのが正解です。
製造業のM&A仲介会社を選ぶときの結論
製造業オーナーが仲介会社を選ぶときは、以下の3ステップで進めるのが失敗しない最短ルートです。
- 年商規模で候補を絞る: 上記の年商規模別マトリクスで3社程度に絞る
- 手数料の総支払額をシミュレーション: 株式価値/譲渡対価/移動総資産の基準を確認し、自社の財務状況で総額を試算
- 初回面談で5つのチェックポイントを質問: 業種特化チーム・最低手数料・専任契約条件・テール条項・個人保証解除支援
業種特化型のM&Aベストパートナーズ、業界最大手の日本M&Aセンター、着手金無料の譲渡対価ベースで透明性が高いM&Aキャピタルパートナーズ、の3社を比較軸に据えて、自社の規模と目的で取捨選択するのが現時点で実務的に最も合理的なアプローチです。
M&A全体の流れはM&Aとは|売り手向け完全ガイド、仲介会社の選び方はM&A仲介会社の選び方ガイド、費用相場はM&A費用・手数料相場ガイドで解説しています。
重要な注記: 本記事の手数料・実績情報は公開されている公式情報をもとに整理しています。実際の契約条件・手数料率・支払総額は案件ごとに変動するため、必ず複数社の正式見積もりで確認してください。また、税務・法務(個人保証解除、株式譲渡所得課税、事業承継税制等)に関する判断は税理士・弁護士等の専門家へのご相談をおすすめします。
出典・参考資料
- 中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析」(令和6年6月)
- 中小企業庁「2025年版 中小企業白書」第9節 事業承継
- 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」: https://ma-shienkikan.go.jp/
- 株式会社M&Aベストパートナーズ「製造業向けM&A」: https://mabp.co.jp/production/
- 日本M&Aセンター「製造業界のM&Aと事業承継の動向」: https://www.nihon-ma.co.jp/sector/c_manufacturing.php
- M&Aキャピタルパートナーズ公式: https://www.ma-cp.com/
- 株式会社ストライク「SMART」: https://www.strike.co.jp/smart/
- M&A総合研究所: https://masouken.com/
- 名南M&A: https://www.meinan-ma.com/
- fundbook「製造業のM&A・事業承継動向」: https://fundbook.co.jp/column/industries-ma/manufacturing-industry/
