会社売却時の税金は、個人株主の株式譲渡であれば譲渡益に対して一律20.315%が課されます。 ただし、売却スキーム(株式譲渡か事業譲渡か)と売り手の属性(個人か法人か)によって税率・課税方式は大きく異なります。
さらに2025年分から適用が始まったミニマムタックス(追加課税)により、譲渡益が3.3億円を超える場合は実質税率が最大27.5%まで上昇する点にも注意が必要です。
この記事でわかること:
- 株式譲渡・事業譲渡それぞれの税金の種類と税率
- 売却額1億〜10億円の手取りシミュレーション(早見表付き)
- 退職金スキーム・会社分割など実務で使える節税対策7選
- 2026年最新の税制改正(ミニマムタックス・退職所得控除見直し)がM&Aに与える影響
- 節税で失敗しないための注意点と専門家への相談タイミング
注意: 本記事の内容は2026年4月時点の税制に基づく一般的な情報提供です。実際の税務判断は、必ず税理士・公認会計士などの専門家にご相談ください。
会社売却でかかる税金の全体像【スキーム別一覧】

会社売却の税金は、どのスキームで売却するかと売り手が個人か法人かの2軸で決まります。中小企業のM&Aで最も多い株式譲渡(個人オーナーが保有株式を売る方法)では、税率20.315%の申告分離課税が適用されます。
以下の一覧表で、スキーム別の課税関係を整理します。
スキーム | 売り手 | 主な課税 | 税率の目安 | 課税方式 |
|---|---|---|---|---|
株式譲渡 | 個人株主 | 所得税・住民税 | 20.315% | 申告分離課税 |
株式譲渡 | 法人株主 | 法人税等 | 約30〜34% | 総合課税(法人の他の所得と合算) |
事業譲渡 | 法人 | 法人税等+消費税 | 法人税等 約30〜34%+消費税10%(課税資産のみ) | 総合課税 |
出典:国税庁 No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(確認日:2026年4月5日)
中小企業のオーナー社長が会社を売却するケースでは、株式譲渡×個人株主のパターンが大半です。この場合、税率は一律20.315%と比較的シンプルですが、2025年分から導入されたミニマムタックスにより、高額売却では追加課税が発生します(後述)。
関連記事: M&Aの売却スキーム全体の流れについては「M&A売却の流れ」で詳しく解説しています。
株式譲渡の税金と計算方法【個人株主の場合】
個人株主が非上場株式を売却した場合、譲渡益に対して20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が課税されます。 給与所得などの他の所得とは分離して計算する「申告分離課税」方式のため、いくら稼いでいても税率は変わりません。
計算式
譲渡所得 = 売却代金 −(取得費 + 譲渡費用)
税額 = 譲渡所得 × 20.315%- 取得費: 株式を取得した際の金額(出資額、購入価額など)
- 譲渡費用: M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用、弁護士・税理士報酬など
具体的な計算例
売却代金5,000万円、取得費(出資額)2,000万円、譲渡費用500万円のケースで計算します。
項目 | 金額 |
|---|---|
売却代金 | 5,000万円 |
取得費 | 2,000万円 |
譲渡費用(仲介手数料等) | 500万円 |
譲渡所得 | 2,500万円 |
税額(2,500万円×20.315%) | 約508万円 |
手取り額 | 約4,492万円 |
取得費がわからない場合(概算取得費の特例)
創業時の出資額が不明な場合や、相続で取得した株式の場合、売却価額の5%を取得費とみなして計算できます(国税庁 No.1463)。
ただし、実際の取得費が売却価額の5%より高い場合は不利になります。可能であれば、設立時の定款や出資金の振込記録を探して実際の取得費を使いましょう。
損益通算の制限に注意
非上場株式(一般株式等)の譲渡損失は、上場株式等の譲渡益との損益通算ができません。 また、給与所得などの他の所得との通算も不可です。
株式譲渡の税金【法人株主の場合】
法人が保有株式を売却した場合は、譲渡益が法人の他の所得と合算され、法人税等(実効税率 約30〜34%)が課されます。 個人の20.315%と比べると税率は高くなります。
ただし法人の場合、他事業で損失が出ていれば譲渡益と通算(相殺)できるのが大きな違いです。赤字部門を持つ法人にとっては、結果的に税負担が軽くなるケースもあります。
比較項目 | 個人株主 | 法人株主 |
|---|---|---|
税率 | 20.315%(固定) | 約30〜34%(所得額により変動) |
課税方式 | 申告分離課税 | 総合課税(他の所得と合算) |
他の所得との損益通算 | 不可 | 可能 |
申告 | 確定申告(翌年2/16〜3/15) | 法人税申告(事業年度終了後2ヶ月以内) |
事業譲渡の税金と計算方法
事業譲渡では、法人税等(実効税率 約30〜34%)に加え、課税資産に対して消費税10%が発生します。 株式譲渡と異なり、「会社そのもの」ではなく「事業(資産・負債・契約)」を売却するため、課税構造が複雑になります。
事業譲渡で発生する税金
1. 法人税等
譲渡益 = 売却価額 − 譲渡資産の簿価 + 譲渡負債の簿価この譲渡益が法人の他の所得と合算され、法人税等が課されます。
2. 消費税(10%)
以下の課税資産が消費税の対象になります。
消費税の対象(課税) | 消費税の対象外(非課税) |
|---|---|
有形固定資産(機械・設備等) | 土地 |
無形固定資産(特許権等) | 有価証券 |
営業権(のれん) | 売掛金等の債権 |
棚卸資産 | — |
3. その他の税金
- 印紙税: 事業譲渡契約書に対して発生(契約金額に応じて数万〜数十万円)
- 不動産取得税・登録免許税: 不動産を含む場合に発生(原則として買い手側の負担)
株式譲渡と事業譲渡の税金比較
中小企業オーナーの売却では、一般的に税負担が軽い株式譲渡が選ばれるケースが多いです。
比較項目 | 株式譲渡(個人) | 事業譲渡 |
|---|---|---|
税率 | 20.315% | 法人税等 約30〜34%+消費税10%(課税資産) |
手続きの複雑さ | シンプル | 資産・契約ごとに移転手続きが必要 |
消費税 | 非課税 | 課税資産に10% |
簿外債務のリスク | 買い手が引き継ぐ | 買い手が選択できる |
売り手の手取り | 比較的多い | 比較的少ない |
ポイント: 売り手にとっては株式譲渡のほうが税負担は軽い傾向ですが、買い手の都合(簿外債務リスクの回避など)で事業譲渡を求められるケースもあります。スキームの選択はM&Aアドバイザーと相談のうえ決定しましょう。
【2026年最新】税制改正がM&Aに与える3つの影響
2025年〜2026年にかけて、M&Aの税金に直接影響する税制改正が複数施行されています。特に高額売却を検討している方は、以下の3点を必ず押さえてください。
1. ミニマムタックス(追加課税)— 2025年分から適用
年間の合計所得金額が3.3億円を超える個人に対し、株式譲渡所得への実質的な追加課税が発生する制度です。
- 従来の税率:20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
- ミニマムタックス適用後の最大税率:約27.5%(所得税22.5%+住民税5%)
影響の大きさ(具体例):
譲渡益 | 従来の税額 | ミニマムタックス適用後 | 追加負担額 |
|---|---|---|---|
1億円 | 約2,032万円 | 約2,032万円(適用なし) | 0円 |
5億円 | 約1億158万円 | 約1億3,750万円 | 約3,593万円 |
10億円 | 約2億315万円 | 約2億7,500万円 | 約7,185万円 |
出典:日本財務戦略センター「2026年M&Aの罠『ミニマムタックス』で後悔しないために」(確認日:2026年4月5日)
実務への影響: 売却額が3.3億円を超える案件では、退職金スキームによる所得分散や、売却年度をまたぐタイミング調整を検討する価値があります。M&Aアドバイザーと税理士の連携が従来以上に重要です。
2. 退職所得控除の調整規定見直し — 2026年1月施行
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCの一時金を受け取った後に退職金を受領する場合の控除の調整期間が5年から10年に延長されました。
- M&A退職金スキームへの影響: 勤続年数ベースの退職所得控除の計算自体は変更なし。ただし、iDeCoと退職金の両方を受け取る予定のオーナーは、控除の重複制限に注意が必要です。
- 退職所得の源泉徴収票提出義務が全従業員に拡大(従来は役員のみ)
出典:freee「【2026年施行】退職所得控除が見直し!5年ルールが10年に?」(確認日:2026年4月5日)
3. 事業承継税制(特例措置)— 計画提出期限が終了
事業承継税制(特例措置)は、非上場株式の贈与税・相続税を猶予・免除する制度ですが、特例承継計画の提出期限は2026年3月31日で既に終了しています。
- 法人版の適用期限:2027年12月末
- 個人版の適用期限:2028年12月末
- 2025年改正で役員3年以上勤務要件が廃止(贈与直前に役員就任していればOK)
注意: 事業承継税制は親族内承継・社内承継向けの制度であり、第三者へのM&A売却には適用されません。詳しくは「事業承継税制とは」をご覧ください。
出典:東京商工会議所「事業承継税制に関する手続きについて」(確認日:2026年4月5日)
売却額別の手取りシミュレーション【早見表】

「結局、手取りはいくらになるのか?」 が経営者にとって最も知りたい情報です。以下は個人株主が株式譲渡で売却した場合の手取り額シミュレーションです(取得費・譲渡費用を差し引いた後の譲渡益ベース)。
退職金スキームなしの場合
譲渡益(税引前) | 税額(20.315%) | 手取り額 | 備考 |
|---|---|---|---|
5,000万円 | 約1,016万円 | 約3,984万円 | ミニマムタックス対象外 |
1億円 | 約2,032万円 | 約7,968万円 | ミニマムタックス対象外 |
3億円 | 約6,095万円 | 約2億3,905万円 | ミニマムタックス対象外 |
5億円 | 約1億158万円 | 約3億9,842万円 | 3.3億円超でミニマムタックスの可能性あり |
10億円 | 約2億315万円 | 約7億9,685万円 | ミニマムタックスで最大約2億7,500万円に増加 |
※ミニマムタックスは年間合計所得(給与・事業所得等を含む)が3.3億円超で適用。上表は株式譲渡所得のみの概算。
退職金スキーム併用の場合(効果の目安)
退職金スキームを適用した場合の節税効果イメージです(ストライク社の試算を参考)。
売却総額 | 退職金なし(税額) | 退職金5,000万円活用(税額) | 節税効果 |
|---|---|---|---|
2億円 | 約3,551万円 | 約3,157万円 | 約394万円 |
4億円 | 約7,070万円 | 約6,662万円 | 約408万円 |
5億円 | 約8,953万円 | 約8,436万円 | 約517万円 |
出典:ストライク「M&Aにおける節税(役職退職金スキーム)」(確認日:2026年4月5日)
重要: 上記はあくまで概算シミュレーションです。取得費・譲渡費用・退職所得控除額・他の所得の状況によって手取り額は変動します。正確な試算はM&Aアドバイザーと税理士に依頼しましょう。
会社売却の節税対策7選【効果・難易度・リスク比較付き】

会社売却時に検討できる節税対策は主に7つあります。最も一般的で効果が高いのは「役員退職慰労金の活用」ですが、すべてのケースに使えるわけではありません。 対策ごとの効果・難易度・リスクを比較表で整理します。
節税対策 | 節税効果 | 難易度 | リスク | 個人株主 | 法人株主 |
|---|---|---|---|---|---|
①役員退職慰労金の活用 | ★★★★☆ | 中 | 過大退職金の否認 | ◯ | — |
②会社分割(ヨコの分割) | ★★★☆☆ | 高 | 税制適格要件の不備 | ◯ | ◯ |
③譲渡費用の最大化 | ★★☆☆☆ | 低 | 税務調査での否認 | ◯ | ◯ |
④概算取得費の特例 | ★★☆☆☆ | 低 | 実際の取得費が高い場合は不利 | ◯ | — |
⑤第三者割当増資 | ★★★☆☆ | 高 | 持分希薄化・代金が会社に入る | — | ◯ |
⑥売却益と経費の相殺 | ★★★☆☆ | 中 | 法人のみ(個人は不可) | — | ◯ |
⑦売却タイミングの調整 | ★★☆☆☆ | 低 | 市場環境の変動 | ◯ | ◯ |
① 役員退職慰労金の活用(最も一般的)
M&Aで最も広く使われる節税手法です。株式譲渡代金の一部をオーナー社長への退職金として支給することで、退職所得の税制優遇を活用します。
退職所得の計算式:
退職所得 =(退職金額 − 退職所得控除額)× 1/2退職所得控除額:
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
なぜ節税になるのか:
- 退職所得控除で一定額を非課税にできる
- さらに1/2計算が適用されるため、課税される金額が半分になる
- 結果として、同額を株式譲渡益で受け取るより税負担が軽くなる
適正な退職金額の目安(功績倍率方式):
適正退職金額 = 最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率功績倍率の目安:社長 3.0倍、専務 2.5倍、常務 2.0倍
例: 月額報酬100万円、在任25年の社長の場合 → 100万円 × 25年 × 3.0 = 7,500万円が適正退職金の目安
注意点:
- 退職金が多すぎると逆効果。 退職所得が4,000万円を超えると最高税率45%+住民税10%が適用され、1/2計算後でも実質27.5%となり、株式譲渡の20.315%を上回ります
- 不相当に高額な退職金は、法人の損金算入が税務署に否認されるリスクがあります
- 買い手側の同意が必要です。 退職金の支給により会社の純資産が減少するため、買い手と交渉のうえ金額を決定します
※税務・法務の詳細は税理士・弁護士などの専門家への相談をおすすめします。
② 会社分割(ヨコの会社分割)
売却前に不要な資産や事業を分割型分割で別会社に移転し、売却対象会社の純資産を適正化する方法です。
節税効果の目安: M&A総合研究所の試算では、分割なしで約9,873万円の課税が分割後に約7,898万円となり、約2,000万円の節税が見込まれたケースがあります。
出典:M&A総合研究所(確認日:2026年4月5日)
注意点:
- 税制適格要件(株主・事業の継続性など)を満たす必要がある
- 手続きに数ヶ月を要する(売却スケジュールに余裕が必要)
- 買い手側のデューデリジェンスで問題視される可能性がある
③ 譲渡費用の適正な計上
M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用、弁護士・税理士報酬など、売却に直接関連する費用を漏れなく譲渡費用に計上することで、譲渡所得を圧縮できます。
領収書や契約書を保管し、確定申告時に忘れず申告しましょう。
④ 概算取得費の特例
取得費が不明な場合に、売却価額の5%を取得費として計上できる制度です。創業者で出資額の記録が残っていない場合に有効です。
ただし、実際の取得費が5%を超えている場合は不利になるため、まずは設立時の定款や通帳記録を探すことが先決です。
⑤ 第三者割当増資の活用
買い手に新株を発行して経営権を移転する手法です。既存株主は株式を売却しないため、譲渡所得税が直接は発生しません。
ただし、売却代金は会社に入金されるためオーナーが直接手取りを得られず、実務上は主要なM&Aスキームとしては限定的に使われます。
⑥ 売却益と経費の相殺(法人の場合)
法人が事業譲渡で得た売却益を、同一事業年度内の設備投資・研究開発費などの経費と相殺して法人税を軽減する方法です。
個人の株式譲渡(申告分離課税)では使えない手法のため、法人株主に限定されます。
⑦ 売却タイミングの調整
ミニマムタックスの影響を考慮し、年間合計所得が3.3億円を超えないよう売却タイミングを調整する方法です。たとえば、一部を翌年度にずらすことで各年度の所得を分散させます。
ただし、M&Aの交渉はタイミングが重要であり、税金対策だけで売却時期を決めるべきではありません。
節税で失敗しないための5つの注意点
節税対策は正しく行えば手取り額を増やせますが、やり方を間違えると逆に税負担が増えたり、税務署から否認されたりするリスクがあります。
注意点1:退職金を出しすぎない
前述の通り、退職金は「適正額」を超えると逆効果です。退職所得が4,000万円を超えると実質税率が株式譲渡の20.315%を上回ります。功績倍率方式で算定した金額を大幅に超えない範囲で設定しましょう。
注意点2:非上場株式の時価評価に注意
売り手と買い手の間で設定する譲渡価額が、税務上の「適正な時価」から著しく乖離していると、低額譲渡・高額譲渡のみなし課税が適用されるリスクがあります。第三者間のM&Aであれば通常は問題になりませんが、親族間やグループ内の取引では特に注意が必要です。
注意点3:みなし配当課税の発生に注意
自己株式の取得(会社が自社株を買い取る形式)で売却を行う場合、買い取り価額のうち資本金等の額を超える部分が「みなし配当」として総合課税されます。個人株主の場合、配当所得として最大55.945%の税率が適用されるため、株式譲渡の20.315%より大幅に高くなります。
注意点4:確定申告の期限を守る
株式譲渡所得の申告は、譲渡の翌年2月16日〜3月15日の確定申告で行います。申告漏れ・期限後申告には延滞税・加算税が課されます。M&A完了後すぐに税理士と連携し、申告準備を進めましょう。
注意点5:事業承継税制との混同に注意
事業承継税制(特例措置)は贈与・相続による承継が対象であり、第三者へのM&A売却には適用されません。 「税金が猶予・免除される」という情報だけで制度を混同しないよう注意してください。
売却前の税金対策スケジュール

税金対策は売却が決まってからでは遅いものがあります。以下のタイムラインを参考に、早めの準備を心がけましょう。
タイミング | やるべきこと |
|---|---|
売却検討開始(1年〜半年前) | ・顧問税理士にM&A売却の税金について相談 |
M&Aアドバイザー選定時 | ・税理士とM&Aアドバイザーの連携体制を確認 |
基本合意〜デューデリジェンス | ・買い手と退職金スキームの合意形成 |
最終契約〜クロージング | ・最終的な税額シミュレーションを税理士に依頼 |
クロージング後 | ・確定申告(翌年2/16〜3/15) |
ポイント: 退職金スキームは買い手の同意が必要なため、M&A交渉の初期段階から税理士を関与させておくことが重要です。
こんな方にこの記事の情報が役立ちます
特に確認をおすすめする方
- 売却益が3.3億円を超える見込みの方 — ミニマムタックスの影響を必ず税理士に確認してください
- 長年経営してきたオーナー社長 — 退職金スキームの節税効果が大きくなります(勤続年数が長いほど控除額が増加)
- 株式の取得費がわからない方 — 概算取得費の特例を使う前に、まず実際の取得費を探すことで節税できる可能性があります
この記事だけでは判断が難しい方
- 法人株主として売却する方 — 法人税の計算は事業全体の損益に依存するため、顧問税理士との個別相談が必要です
- 事業譲渡スキームで売却する方 — 消費税の課税・非課税区分の判定は資産ごとに行うため、税理士の詳細な検討が必要です
- 親族間・グループ内での株式移動 — みなし課税リスクが高いため、必ず専門家に相談してください
税理士・M&Aアドバイザーへの相談のポイント
会社売却の税金対策は、M&Aアドバイザーと税理士の連携が不可欠です。「売った後に税理士に相談」では手遅れになるケースが多いため、以下のタイミングで相談しましょう。
いつ相談するか
- 最も理想的なタイミング: M&Aアドバイザーを選ぶ段階(売却検討の初期)
- 遅くともこのタイミングまでに: 基本合意書の締結前
誰に相談するか
相談先 | 得意な領域 | 注意点 |
|---|---|---|
M&A専門の税理士 | 株式譲渡・退職金スキーム・組織再編の税務 | M&A経験のない税理士だとスキーム設計が不十分になることも |
M&A仲介会社の税務担当 | スキーム全体の設計・買い手との交渉 | 利益相反の可能性があるため、別途セカンドオピニオンを取ると安心 |
顧問税理士 | 会社の過去の決算・取得費の把握 | M&A税務に詳しくない場合は専門家との併用を検討 |
相談時に準備すべき資料
- 直近3期分の決算書
- 株主名簿
- 株式の取得費がわかる書類(定款、出資振込記録等)
- 想定される売却スキームと譲渡価額の概算
関連記事: M&A仲介会社の選び方については「M&A仲介会社おすすめ比較」で詳しく解説しています。手数料の相場については「M&A費用・手数料ガイド」もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社売却の税金はいつ払うのですか?
個人株主の株式譲渡の場合、売却の翌年に確定申告(2月16日〜3月15日)を行い、納税します。 法人の場合は事業年度の法人税申告に含めます。売却代金を受け取ったタイミングではなく、申告・納税のタイミングは翌年度になるため、納税資金の確保を忘れないようにしましょう。
Q. 会社売却で消費税はかかりますか?
株式譲渡の場合、消費税はかかりません(非課税取引)。 事業譲渡の場合のみ、課税資産(設備・のれん・棚卸資産等)に対して10%の消費税が発生します。土地や有価証券は非課税です。
Q. 退職金をもらうと税金は二重にかかりませんか?
二重課税にはなりません。退職金はオーナー個人の退職所得として課税され、株式譲渡益への課税とは別の計算になります。ただし、退職金分だけ会社の純資産が減るため、株式の譲渡価額(売却代金)が下がるのが通常です。トータルの税負担で比較して判断する必要があります。
Q. 赤字の会社でも売却時に税金はかかりますか?
会社が赤字でも、株式の譲渡益が出れば課税されます。 個人の株式譲渡は申告分離課税のため、会社の業績とは別に計算されます。ただし、会社の業績が悪い分だけ売却価額(=譲渡益)が低くなるため、結果として税額も少なくなる傾向があります。
Q. M&A仲介手数料は経費にできますか?
はい、M&A仲介手数料は「譲渡費用」として譲渡所得から差し引けます。 仲介手数料のほか、デューデリジェンス費用、弁護士・税理士への報酬なども譲渡費用に含められます。領収書・請求書を保管しておきましょう。
Q. 相続した株式を売却する場合、取得費はどうなりますか?
相続で取得した株式は、被相続人(亡くなった方)の取得費を引き継ぎます。 被相続人の取得費が不明な場合は、概算取得費(売却価額の5%)を使うことになります。相続税を支払っている場合は「相続税額の取得費加算」の特例(相続税申告期限の翌日から3年以内の譲渡)が使える場合があります。
まとめ
会社売却の税金は、スキームと売り手の属性によって大きく変わります。最後に要点を整理します。
- 個人株主の株式譲渡では税率20.315%。中小企業オーナーの売却で最も一般的
- 2025年分からミニマムタックスが適用され、譲渡益3.3億円超では最大27.5%に上昇
- 節税対策の第一選択は退職金スキームだが、退職所得4,000万円超は逆効果になる可能性がある
- 税金対策は売却検討の初期段階から始めるのが鉄則。クロージング後では手遅れの対策が多い
- 必ずM&A専門の税理士に相談し、正確なシミュレーションに基づいて判断する
本記事は2026年4月時点の税制に基づいています。税制は改正されることがあるため、実際の売却時には最新の情報を税理士にご確認ください。
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